はじめまして、ラファ サイクリング クラブ。
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お気に入りのウェアを起点に、世界のサイクリストへとつながっていく、そんなクラブがあることをご存じだろうか?ロンドン発のサイクリングアパレルブランド、ラファによる会員制コミュニティが「RCC(ラファ サイクリング クラブ)」だ。一人ひとりのスタイルに密着しながら、自転車遊びの本質が詰まったコミュニティとは。その全体像を紹介しよう
Welcome!RCC
早朝5時半、神宮外苑に10人ほどのサイクリストが集まった。年齢も性別も国籍もバラバラだ。簡単なブリーフィングを済ませ、スタート。赤坂見附を越え、北の丸公園の中を抜け、神楽坂の街並みを眺めながらゆるゆると走る。日中ならどこも混雑する都心だが、この時間はまだ人影まばらで空気もうまい。
東京カテドラル聖マリア大聖堂や護国寺にも寄り、徐々に観光客が増えてきた靖国神社を通り過ぎ、元の場所に戻ってくると、まだ8時前だった。いつもなら寝ぼけまなこをこすっている時間。走り終えたメンバーは、またどこかのライドで、と三々五々に散らばっていく。
何に乗るか。どこで乗るか。誰と乗るか。自転車を楽しむに当たって重視するポイントは人それぞれだが、スポーツバイクの世界が多様化するに伴って「誰と走るか」を重視するサイクリストが多くなったように思う。当然、コミュニティの質が問われるようになる。そんななか、世界中のサイクリストから愛されているのがラファサイクリングクラブ、通称「RCC」である。
2004年に産声を上げたイギリスのラファは、ウェアメーカーの本懐である「いい製品を作る」だけではなく、創業当初から「自転車で走ることの魅力と本質」を伝える活動を行ってきた。ラファコンチネンタルと呼ばれたドキュメンタリーや、ラファプレステージなどのライドイベントがそれに当たる。その原動力となったのは創立者であるサイモン・モットラム氏の情熱だが、それが最も直接的に形になったのが、2015年に発足したRCC。ラファが主宰・運営するサイクリングコミュニティである。
現在、RCCのメンバーは全世界で約2万人。日本だけでも約1200人。自転車関連のコミュニティではおそらく世界最大規模だろう。「洗練された高級ウェア」という製品に対するイメージから、RCCも「セレブでガチのメンバーが集うクラブ」と誤解されることも多いが、実際は驚くほど多様でフレンドリーである。
冒頭に記したのは、アーリーバードと呼ばれるRCC恒例のモーニングライドの様子。RCCにはもちろんハードでチャレンジングなライドもあるが、このような緩いライドも多い。文字どおり朝飯前の約20kmだったが、このライドがなければ早朝の都心を走ることもなければ、東京の美しさを発見することもなかったと思う。一人で何かを深く追求するのも自転車の楽しみだが、自転車の世界を広げてくれるのは、他者とのつながりと、それによる新しいライド体験だ。
RCCって一体何だ?
Point① Community「世界最大規模の自転車コミュニティ」
ラファが運営する自転車コミュニティ。資格などはなく、どんな人でも入会可能。ラファのRCC入会ページでメンバーシップパックを購入して、専用アプリをダウンロードするだけでその日からメンバーとして活動できる。年会費は1万1500円で、限定アイテムが購入できる、セール情報が早く配信されるなどのメリットもある(後述)。また、日本のみならず世界中のRCCライドに参加可能。仕事や旅で海外に行った際に、ラファのクラブハウスでバイクをレンタルし、RCCのライドを楽しむメンバーも多いという。
Point② Products「限定アイテムをお得に」
RCCのメンバーになれば、ライドに参加できるだけでなく、様々な特典が得られる。まず、RCC専用デザインのクラブキットが購入可能となる。また、ラファのセール情報に一日早くアクセスできるようになるため、在庫が豊富なタイミングで欲しいアイテムが入手しやすくなる。他にも、全国提携カフェでのドリンク半額、エクスプレス発送料半額、ズイフトのRCCクラブキットのアンロック権、ワフー製品のディスカウントなど、特典は多岐にわたる。「もちろんクラブキットやセール情報を目当てにメンバーになるのも大歓迎です」(三井裕樹さん)
Point③ Ride&Events「ライドを満喫する小旅行へ」
メンバーやライドリーダーが企画するライド以外にも、RCCでは数多くのイベントが実施されている。以下に紹介するのは、RCCのメンバーのみ参加可能なスペシャルイベントだ。RCCサミットという、世界中からRCCメンバーが集まるさらにスケールの大きいライドも行われており、RCCがもたらす広がりは想像以上に大きい。
土地の魅力をじっくり楽しむ”エスケープ”
宿泊を含んだ小旅行的ライドイベントがエスケープ。世界各地で開催されており、日本でも軽井沢、淡路島、蔵王、浜名湖、瀬戸内などで開催されてきた。地元の人々の知識を元に入念に吟味されたルートが特徴で、その土地ならではの体験も付いてくる。自由かつ親密な雰囲気でライドを楽しむことができる。
一年の締めは”エンド オブ イヤー ライド”で
RCCの風物詩ともなっている、年末に開催されるビッグライド。初級~超級の4種類のコースが用意され、どんなレベルのメンバーでも楽しむことができる。昨年は東京→熱海。休憩ポイントが同じだったり、他のグループとすれ違うようなコースになっていたりと、メンバー同士が交流できるようなコース設定も魅力だった。
安全なライドのための”ライドリーダー スキルアップ サミット”
各ライドを企画し引率するのがRCCのライドリーダーだ。メンバーからの他薦で任命されるケースが多く、グループを率いるという責任を担う存在でもあるが、ラファはライドリーダー向けの講習も行っている。講師を招き、スラロームなどの走行テクニックから集団走行のイロハまでを指南、安全なライドを目指している。
Interview 「RCCの来た道、行く道」
「かつてラファはグローリー・スルー・サファリング(苦痛の先にある栄光)という理念を掲げていたり、広告ヴィジュアルに笑顔の写真をあえて使わなかったりと、ストイックなイメージがあり、RCCにもそのイメージを転写されている人が多いのも事実です。しかし実際は幅広いタイプのライドを開催しています。ハードなものもあれば、今回参加していただいた早朝ポタリングのような緩いライドもあります。ライドはビギナー・初級・中級・上級にレベル分けしていますし、途中離脱あり/なしも明記しているので、安心して参加してください。
RCCの発足からもうすぐ10年がたちます。途中、コロナなどの逆風もありましたが、RCCがここまで成長できたのは、自由で多様であるからだと思っています。いつ入ってもいい。いつ抜けてもいい。もちろんライドに参加してもいいし、限定商品やセール情報が目的でもいいんです。入ってもらえると『こんなに楽しくて多様なんだ』と思ってもらえるでしょう。
そんな多様性を生かして、将来的にはRCCをさらに広げていきたいですね。自転車をもっと楽しみたいと思っているのに、『どこを走ればいいのか分からない』『仲間がいない』などの理由で尻込みしている人も多いでしょう。RCCとして、そういう方々に手を差し伸べる活動を続けたいと思っています。人とつながると、自転車の世界は2倍にも3倍にも広がりますから」
ラファ 三井裕樹さん
2015年にラファ入社。店舗スタッフを経てRCC担当(コミュニティ・コーディネーター)へ。ライドリーダーのマネジメントやイベントの企画・運営を担当する。
RaphaTokyo店舗情報
ラファ トーキョー
東京都渋谷区神宮前5-29-1
TEL:03-6434-5571
2014年、アジア初の直営店としてオープン。昨年、北参道から現在の渋谷へ移転しリニューアル。ライフスタイル系の商品を押し出すなど、より開放的な店舗となった。