自転車用リヤビューレーダーで安全は手に入るのか?

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Presented by GARMIN JAPAN

近年、ロードバイクをはじめとするスポーツ自転車に特化した『リヤビューレーダー』と呼ばれる製品が注目を集めている。この製品は、サイクルコンピューターと連携し、テールライトとして機能するだけでなく、後方から接近する車両を検知してくれるというものだ。しかし、果たしてリアビューレーダーは本当に私たちの安全に貢献できるのだろうか? 代表的な製品であるガーミン社の製品を例に、その有効性について深堀りしてみたい。

 

自転車用リヤビューレーダーで安全は手に入るのか?

 

自転車事故は注意していても完全にゼロにはできない

自転車事故は注意していても完全にゼロにはできない

ロードバイクなどのスポーツ自転車乗車中に(それに限らずあらゆる自転車に言えることだが)起こる(起こしてしまう)事故としては、①対自動車、②単独事故、③対自転車、④対歩行者が挙げられる。

②は、言ってしまえば自滅だ。起こさないよう注意して走行すべきなのは当然として、この中で多そうなのは①の対自動車事故だ。事実、警視庁が発表している最新のデータ(2023年「自転車関連事故の状況」)によると、自転車関連事故のうち実に約75%が対自動車となっている。その内訳は、約54%が出会い頭で、27%が右左折時の巻き込みだ。

出会い頭は、根本的に自転車側が一時停止を守らない、信号を守らない、車道の左側を通行しないことが大きな原因の一つになっていることが考えられる(実際、警視庁HPでもそのような見解が示されている)。右左折時の巻き込みについても、車道の左側通行を守らず歩道通行を行うことが原因の多くを占めると考えられる。これについては過去に考察した記事があるので、興味のある人は参照してみてほしい(『自転車は本当に車道左側を通行する方が事故リスクが少ない?』)。

とすると、自転車関連事故のうち多くを占める対自動車事故の大部分は、信号を守る・一時停止を守る・車道の左側通行を守るという最も基本的な交通ルールを自転車側が守り、かつ自分自身で操縦を誤ったりして落車しないかぎりは、避けることができると言える。

しかしそれらを極力つぶしたうえでも、パーセンテージとしては少ないだろうが、後方から自動車に追突・接触されてしまう事故のリスクは残るだろう。また、どんなに優れたライダーでも時として注意力が散漫になることがあるもので、自身のふらつきが原因で後方から来る自動車との接触につながってしまうミスも起こしてしまいうるだろう。

そこで注目したいのが、近年登場してきているテールライト一体型自転車用リヤビューレーダーとサイクルコンピューターとの組み合わせだ。後方から来る自動車のドライバーに自分の存在をアピールしつつも、その接近をサイクルコンピューターの画面と警告音で知らせてくれるものだ。中にはドライブレコーダーまで内蔵するものもある。

 

ガーミンのテールライト&ドラレコ体型リヤビューレーダー「バリア RCT715」

ガーミン・バリア RCT715

ガーミン・バリア RCT715 価格:6万2800円

 

こうしたリヤビューレーダーの代表格がガーミンのバリアシリーズだ。中でも、「バリア RCT715」は、テールランプとドライブレコーダーが一体になったモデルだ。

対応するサイクルコンピューター(スマートフォンも可能)とペアリングすることで、画面上の表示と警告音で、最大140m後方から来る自動車の接近を知らせてくれる。

ガーミン・バリアRCT715の着脱

本体の着脱はレバー1つで簡単に行える

 

実際使ってみるとどんな感じ?

ガーミン・エッジ1050とペアリング

ガーミン・エッジ1050とペアリングしてみた。サイクルコンピューター上で点滅モードなどの細かな操作ができる

 

ということで、実際にテールライト一体型リヤビューレーダーとサイクルコンピューターの組み合わせを使ってみて、どんなものなのか試してみた。先ほど例に挙げたガーミン・バリア RCT715と同じくガーミンのサイクルコンピューター、「エッジ1050」をペアリングしてロードバイクでサイクリングしてみる。

自動車が後ろから接近してくると…

自動車が後ろから接近してくると…

リヤビューレーダーで後方から接近する自動車を検知した画面

リヤビューレーダーで後方から接近する自動車を検知した画面

 

画面の見え方だが、自動車の接近を検知するとその台数分の「点」が自分に向かってくるような表示が画面の右端に出て、それとともに警告音が鳴る。そのときには画面の両端がオレンジ色になって注意喚起してくれる(急接近する自動車があると赤い表示になり、視覚的にわかりやすく表現する)。

自転車用リヤビューレーダーの様子

後続車がいなくなると、安心感を持たせるような効果音とともに緑色の表示が出る

 

以下の動画でその様子をチェックしてみてほしい。

 

使ってみた印象としては、「かなり早い段階から存在を知らせてくれるんだな」ということだ。“ピロッ”と音が鳴り「来たな」と思って後方確認すると、一瞬「ん? 車はどこにいる?」と思ってしまうほど遠い位置から検知してくれるのだ。

この、相当に早い段階から自動車の接近を検知してくれる点に、リヤビューレーダー+サイクルコンピューターの組み合わせの大きな価値があると感じた。これによって、自動車の接近に備える心づもりや所作をその分早い段階から取ることができる。これは自分の感覚だけでは不可能だ。これこそが安全性につながるのだと思った。

ライダーのスポーツ自転車経歴によるとは思うが、こうしたデバイスがなくても後方から接近する自動車の“気配”は誰でも感じ取っているものだと思う。エンジン音、タイヤノイズといったものからだ。しかし、どんなベテランライダーでも、それに常に気づけるとは限らないだろう。風の音だったり、周囲の環境音に遮られて直前まで自動車の接近に気付けず、自動車が自分の横を通り過ぎた瞬間に「はっ!!」 としてひやっとしてしまった経験は誰でもあるだろう。

あるいは、「後方から来る自動車には気をつけよう」と常々肝に銘じていても、ついついライドに集中してしまうあまり、やはり後方から来る自動車の接近に直前まで気づかないなんてことは誰でもありうる。人間は完璧じゃない。

リヤビューレーダーを使うと、そうしたあいまいな人間の感覚の限界を超えてしっかりと確実に検知してくれ、後方から来る車への注意を高い確率で、早い段階から喚起してくれるというわけだ。実際に使ってみるとそれがよく理解できた。

自転車用リヤビューレーダーの様子

もちろん、自分自身が停止している状態でもちゃんと検知する

 

ちなみに、来ている自動車の台数の表示も結構正確だと思う。ちゃんとその台数分表示されているようで、かつ迫ってくるスピード感も正確に表現されていると感じた。それから、四輪自動車(いわゆるクルマ)だけでなく、モーターサイクル(いわゆるバイク/オートバイ)もしっかり検知するし、自転車も検知している。後ろから迫るものすごく速いサイクリストもちゃんと検知するので、サイクリングロードで急に追い抜かれてびっくりする、なんてこともこれで防げそう。

もう一つ気づいたことがある。それは、“後方から迫る自動車はない”ということもこれで認識できるということ。風の音やそのほか周囲の環境音が大きい状況だと、後方から車が迫っていないにもかかわらず、迫っているかのような錯覚というか、恐怖感を覚えることがある。もちろん、後方確認は常々しっかりとしなければいけないが、レーダーで検知していなければそういうときでも「あ、今は来ていないな」と、余計な気遣いや気疲れをしなくて済むという効果もあると感じた。

 

テールライトは“存在アピール力”がかなりすごい

バリアRCT715のテールランプ

さて、バリア RCT715はテールライトとしての機能も持っている。こちらは日中でも最大1.6km後方から視認できるということだが、それってどれほどのアピール力なんだろうか。安全には細心の注意を払ったうえで、ドライバー視点でテールランプの見え方を確認してみた。

カメラで撮影するとどうしても照度が下がっているように見えてしまい分かりにくいのが残念だが、実際に肉眼で見るとめちゃくちゃアピール力が強いと感じた。100mや200m離れた程度なら、かなり強く明かりが目に入ってくる。日中でも最大1.6km離れた場所から視認できるというのは本当だろうとうなづけるほどだ。

自分自身が後方から来る自動車の存在に気づくことと並び、自動車側に自分の存在に気づいてもらうということも、事故を防ぐうえで非常に重要だ。これだけの“存在アピール力”で車道の左側の適切な位置を走行しているにもかかわらず後方から追突されるというのは、もはや悪意を持ってドライバーが突っ込んでくるか、(考えたくはないが)スマホを操作してまったく前方を見ないで運転しているといったことしか考えられないのではないか。

 

ドラレコ機能は映像が鮮明だ

バリア RCT715で実際に撮影してみた映像

バリア RCT715で実際に撮影してみた映像

 

さて、さらにこのアイテムは映像の録画機能もついており、常時録画していて事故を検出した場合にはその発生前後の映像を残してくれる、ドライブレコーダーの役割も果たしてくれる(衝撃を検知すると発動する)。

試しに録画してみた映像はこちら。画質としては十分だと感じる。また、音も記録している。おまけにすごいのは、自分が時速何kmで走行していて、後続車も時速何kmで走行しているか測定して数値が映像内で表示されることだ。

 

~まとめ~「サイコン+テールライト一体型リヤビューレーダー」の組み合わせこそ安全性を最大化できる

交通ルールを守り、単独事故を起こさない慎重な走りをする。それでスポーツ自転車における事故の大部分は防ぐことができるはずだ。そのうえで、さらに後方から来る自動車との追突や接触をなくす努力をすれば、限りなく事故はゼロに近づけることができるだろう。

それでも起こってしまう不運としか言いようのない事故に対しては、映像の録画で事後に対処できるようにする。ここまですれば、我々のライドの安全性はよりパーフェクトに近いものにできると言える。

その点で、サイクルコンピューター+テールライト一体型リヤビューレーダー(ドラレコ機能も付いていれば最強だ)の組み合わせは非常に有効であると言えるだろう。こうしたアイテムには“食わず嫌い”なサイクリストが多いと思われるが(筆者もそうだったが)、これからの時代、サイクリストの安全のために必要なマストアイテムはヘルメット、ヘッドライトに加え、サイクルコンピューター+テールライト一体型リヤビューレーダーである! という観点をこれからは持ってみてもいいかもしれない。

 

リヤビューレーダー+テールライト機能のみのモデルもある

ガーミン・バリア RTL515

ガーミン・バリア RTL515 価格:3万4800円

 

ガーミンの場合、ここで紹介したバリア RCT715の他に「バリア RTL515」があり、こちらはリヤビューレーダーとテールライトの機能に絞っており、その分手に入りやすい価格となっている。

ドラレコ機能は“万一事故が起こってしまった場合”に対応するものなので、まずは“そもそもの事故が起こりにくくする”という意味でこちらのアイテムでも十分だと言えよう。

 

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