Setouchi Vélo協議会 今回の会場は香川県の真ん中、綾川町で開催
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瀬戸内地域とその周辺地域を世界に誇るサイクリングの推進エリアとするため、地方自治体、国、経済連合会等で構成するSetouchi Vélo協議会。第6回の開催地に選ばれたのは、香川県綾川(あやがわ)町。香川県のほぼ中央に位置する人口約2万3000人の町だ。讃岐うどん発祥の地(諸説あり)と言われており、町内にはうどん店が多くある。また、いちごの産地としても有名で、「さぬきひめ」という地物のブランドを使ったスイーツなどが名物である。
開催日:2024年10月3日(木)
会場:綾川町総合運動公園
主催:Setouchi Vélo協議会
eバイク活用の可能性
Setouchi Véloの目的は、自転車、特にeバイクを使った観光振興、地域振興、安全な運用、そして利用者の健康促進、その可能性を探るための意見交換会だ。綾川町も、前述のような課題に直面している。それを自転車活用、eバイク活用によってどう解決できるのかについての意見交換が行われた。
讃岐うどん発祥の地にある、ヤドンの聖地
当日は、残念ながら雨。ゆえにサイクリングで回る予定だったコースをバスで回ることになった。地元の名所ということでまず訪れたのは「府中湖」。隣の坂出市にまたがる湖で、水不足が起こるこの地域の重要な水瓶だ。湖上にはカヌー競技のコースが設定され、国体やインターハイの舞台となったこともある。
湖畔にはサイクリングロードが整備されており、湖の景色を楽しむことができる。このルートがサイクリングを活用した、綾川町観光振興のルートの一つとして定着していって欲しい。
続いては「道の駅滝宮」。さぬきうどんや、地元野菜、いちごなどが楽しめるほか、「うどん県×ヤドン」コラボ商品が多数発見できる。香川県では「うどん」と「ヤドン」の語呂が似ていることなどから、ヤドンを「うどん県PR団」に任命している。
道の駅滝宮から約2kmほどのところには「ヤドン公園」がある。まさに聖地。公園のど真ん中には巨大なヤドンが横たわり、他にも園内には大小様々なヤドンの姿を見ることができる。
安全、健康、地域振興にサイクリングでできること
町内の視察を終えた後は、綾川町総合運動公園体育館内でミーティングを実施。
綾川町総務課いいまち推進室坂井大介さんからの報告では、綾川町内には滝宮天満宮、高鉢山風穴、ヤドン公園といった観光名所があるが、名所の数は少なく、それぞれが離れていること、そして山間部は過疎化が進んでいるという課題点が上げられた。それらをサイクリングによって解決するべく、町では自転車の利活用を進めようとしている。
町内ではロードレースも開催されてきた。2022年にはインターハイロードレースが。2024年には「コッパアヤガワ2024」というJBCFのロードレースも開催された。このときのコースは、綾川町内に設定された1周7.9kmの公道周回コースであった。
2024年8月には、綾川町の関係者が参加して実施された約14kmのトライアルライドの模様が報告された。前田武俊町長、谷岡学副町長をはじめとした行政関係者のほか、町議会、商工会など地元の産業に関わる人たちが体験し、名所「高鉢山の風穴」を目指した。この乗車体験を通してeバイクの活用に向けた共通認識を醸成した。
「世代を超えた自転車活用について『安全と健康』」と題して講演を行ったのは門田基志さん。国内外のMTBレースを転戦する傍ら、各地で見聞した自転車活用のリアルな状況が報告された。
高齢化が進む綾川町において、高齢者が家にこもってしまうのではなく、サイクリングすることで健康寿命を延ばす。そのためには体力をカバーしてくれるeバイクが有効であり、サイクリングを楽しむためのマナーやルールを知る機会を作ることの大切さが語られた。
いま年間の自転車事故件数は69985件、約7分に1回発生している計算になるそうだ。そのうちサイクリストが死に至る事故の約6割が頭部損傷によるもの。自身の命を守るためにヘルメットの着用が大切だ。着用努力義務がスタートしたが、自転車向けとされる商品の中には衝撃吸収性能が不十分なものも散見されるという。SGマーク認証が付いている商品を選ぶことと、写真のようにヘルメットを正しい角度で被り、あご紐を適切な長さに調整することが重要。
うどんサイクルウィーク実現なるか?
ミーティングの最後には「綾川町の課題を自転車活用で解決するヒントを探る」というテーマでパネルディスカッションが行われた。
サイクルスポーツは、このパネルディスカッションで「綾川町うどんサイクルウィーク」を提言。その1週間はサイクリングで、うどん屋を巡るのだ。各店は規模がけっして大きい訳ではない。ゆえに車で来る利用客が駐車するスペースが問題としてついてまわる。自転車の駐輪場なら車よりも省スペースで済む。また、うどん屋をはしごすれば消費カロリーが上がって、罪悪感なくうどんを食べることができるというわけだ。
今後も瀬戸内エリアをサイクリングで盛り上げていくべく、自治体が協力、連携していく。
これからの展開にも注目だ。
構成団体(順不同)
兵庫県、岡山県、広島県、山口県、鳥取県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、近畿地方整備局、中国地方整備局、四国地方整備局、近畿運輸局、神戸運輸監理部、中国運輸局、四国運輸局、(一社)中国経済連合会、四国経済連合会、中国経済産業局、四国経済産業局、(一社)せとうち観光推進機構、(一社)四国ツーリズム創造機構、本州四国連絡高速道路(株)