【リーチ編】石井正則さんと最新&定番モデルを乗り比べ!いま選ぶべき折りたたみ自転車

目次

モデルごとにがらりと違う個性を見せる折りたたみ自転車。どれを選ぶかは、単に性能のよし悪しといった尺度だけではなく、乗り手の用途や価値観が決め手になる。

数多くの折りたたみ自転車を所有し、生活と旅の双方で活用してきた石井正則さんがパシフィックサイクルズのリーチに乗った。経験と直感、そして「趣味性」に基づいたモノ選びに定評がある。もう一人の案内人は、「折りたたみ自転車で旅に出る」編集長である田村浩。輪行を駆使して全国を走ってきた経験を活かし、モデルの特徴や適した用途を解き明かす。

石井正則さん

石井正則
ドラマや舞台で幅広く活躍するタレント・俳優・ナレーター。初代ミニベロ親善大使や7代目自転車名人に任命されるほどの折りたたみ自転車愛好家。写真撮影、喫茶店めぐり、軽量ギアを活用したハイキング、オーディオ機器選びなど、自転車を軸に多彩な遊びを実践する趣味人でもある。

Pacific Cycles Reach

リーチ

パシフィックサイクルズ・リーチ
フレームセット価格/19万5800円

現代のトレンドを盛り込んだ快速ツアラー

アルミ製折りたたみ自転車のOEMメーカーとして技術を培ってきた台湾のパシフィックサイクルズが、自社ブランドによるオリジナルモデルとして世に出したのが「リーチ」。初代モデルの登場は2005年であり、開発には当時の社長(現会長)であるジョージ・リンが全力を注ぎ、7年の月日をかけた。

現行モデルは第3世代となり、ハイドロフォーミングによる流麗なフレームはディスクブレーキに対応し、ワイヤーの内蔵やスルーアクスル化などのトレンドを全面的に取り入れている。そのコンセプトは初代から変わらず、折りたたみ自転車らしいコンパクトさと、ロードバイクに匹敵する走行性能の両立だ。20インチ(451サイズ)の車輪を採用しつつ、軽量で剛性感がありながら前後にサスペンションを備えているという、非常に野心的な造りは初代から現行モデルまで貫かれている。

国内ではフレームセット販売となるため、細身のタイヤを履かせてロードバイクに仕上げるか、太めのタイヤを選んでグラベルバイクとするかなどの方向性は、ユーザーに委ねられている。

クイックフォールディング状態

前輪だけ外したクイックフォールディング状態

フロントサスペンション

12.3mmのトラベル量(作動量)を発揮するフロントサスペンション。衝撃はエラストマーが吸収する

太めなタイヤ

BMX用などの太めなタイヤを選べば、グラベルバイクとして仕上げることもできる

リヤサスペンション

リアサスペンションのトラベル量は5.6mm。エラストマーの交換も容易だ。フロントディレーラーにも対応する

SPEC
フレーム/7005-T4アルミ
フォーク/6061アルミ
重量/4.0kg(フレーム、フォーク、ステムライザー、シートクランプ)
カラー/マットアクアブルー、マットオレンジ、マットブラック、グロッシーホワイト

インプレッション

石井さん

石井:試乗車は太めのタイヤを履いていたので、オンロードだけじゃない楽しみを提案しているようです。大きめの451サイズの車輪に加えてサスペンションが入っているので、走りのしっとり感は高いですね。ロードバイクは持っているけれど、輪行の時に分解したり組み立てるのがストレスなので……という人に選んで欲しい自転車です。ちゃんと安定して走るだけに、折りたたみ自転車に特有のワクワク感は薄いですが、旅に連れ出す相棒として頼りになります。

田村さん

田村:リアスイングアームを縦方向に回転させて折りたたむ、という基本構造を採用していながら、フレーム全体は伝統的なダイヤモンド構造に近く、見た目も走りも優等生。どこにも違和感がありません。オンロードに最適化して組み上げるか、グラベルライドも視野に入れるか、いずれにしても期待に応えてくれるでしょう。その反面、折りたたみに少し手間がかかり、寸法も大きめ。そこを納得した上で選べば、所有者のメインマシンとして無二の存在になるはずです。

評価

リーチの評価

 

今回のリーチを紹介しているサイクルスポーツ特別編集「折りたたみ自転車で旅に出る」は好評発売中です。誌面では、他の車種のインプレッションも掲載しています。

「折りたたみ自転車で旅に出る」お買い求めはこちら

折りたたみ自転車で旅に出る ムック