もしサイクリングで事故に遭ったら……サイクルセイフティ講座2024レポート
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サイクルセイフティ実行委員会では、サイクルスポーツの落車や事故対応に特化したファーストエイドプログラム「サイクルセイフティ」を2016年から開催しており、今年は10月27日(日)大阪(大阪医科薬科大学)、11月24日(日)神奈川(向ヶ丘自動車学校)にて行われた。
サイクリングガイド、コーチとして活躍する平塚吉光さんによるレポート。
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向ヶ丘自動車学校全面協力のもと開催された
どんなスポーツでも危険はあるが、自転車はまた少し違った危険もある。道路を走る、もしくはスピードが出る乗り物であり転倒すると大怪我かそれ以上になる可能性がある。
しかし危険だから乗らないという選択もしにくい。自転車はスポーツであると同時に移動手段でもあり、自転車に乗らない不便さがあるのも確かだ。
また、絶対転倒しないのも残念ながら無理な話である。大なり小なり転倒の可能性は全ての人にあり、仲間や目の前の誰かが転倒してしまう場合もあるだろう。
サイクルセイフティは転倒が発生した際どのような対応をすれば良いのか?を学べる研修である。自転車が転倒する場所のほとんどは室内ではない。道路上、しかも幹線道路や山道、コーナーの途中などいつどこで遭遇するかわからない。
山深い場所で電波がなく救急に連絡できない場合もある。講習を受ければ絶対大丈夫!という訳ではないが、全く知らないのとは訳が違う。楽しむために、安全に対してお金を使うことはとてもいいことだと考えている。
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監修に入るほとんどはサイクリストだ
現場をイメージして
講習では事前に渡される資料をもとにした座学講習が行われたあと、実際の動きを確かめていく。
実際の動きとは…例えば転倒発生の動きや指示出しなどだ。転倒した本人への対応や一緒に走っていた仲間や周りの人への声かけなどは想像できる方もいるだろう。しかし、実際の現場ではさらにもっと多くのことを一瞬で理解して動く必要がある。倒れている場所や現地の状況により対応が変わり、さらに後続車両などへの対応なども必要となる。
想像してみて欲しい。後続車両をどのように止めるのか?場合によっては“無事だった人”を含め、全員が後続車に轢かれてしまう場合もある。いかに冷静に、的確に止めさらにわかりやすく説明できるか?
今回の会場は自動車学校であり、実際に車を走らせ具体的に練習できる環境が整えられた。むやみやたらに飛び出しても車には止まってもらえない。様々な関係者の知見が詰まった講習会だからこそ多くのことが学べる場所だと考える。
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実際の道路をイメージして行う
自転車特有の対応
そのほかの特徴として、サイクリストがかぶるヘルメットのことも考えなければならない。
ヘルメットを装着したまま仰向け頭部保持の体勢は不安定なので外したいところだが、普段どおり外すわけにもいかない。しっかりと頭部保持されたまま、ヘルメットを外して状態維持を続けるのは練習なしでできるものではないだろう。コツのアドバイスなど含め、プロの目で見てもらいながら練習できる講習だ。
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うつ伏せ状態からどうするか?を説明する安藤さん
事故は起きない方が良い。しかし、起きてしまった時にどう対応できるのかは考えるべきである。またサイクリストだけが知っていれば良いものでもないと感じる。
『通学中に起きた自転車事故』
『道路に歩行者が倒れている』
など、一般生活でも応用が効くものであり1人でも多くの方が少しでも知っていることが大切だ。もちろんサイクルツーリズムを進める地域や施設、レース審判として活動する方、自身が自転車に乗る方やその家族も知っておくべきことが詰まっている。
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救急で働くドクターやコミッセールライセンスを持つ看護師などの講師陣
『サイクルセイフティは合否がある資格制度ではない。学ぶことが大切で、これだったらできる!ということを見つけることが大切』だと話す実行委員長の安藤さんの言葉が印象的だった。ぜひ幅広い層に興味を持ってもらいたい。
主催:サイクルセイフティ実行委員会
https://www.facebook.com/cyclesafety.jp/