走り、繋がる一年間。ラファ サイクリング クラブ(RCC)の魅力を探る
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ラファ サイクリング クラブ(RCC)は、ロンドン発のサイクリング アパレルブランドであるラファが運営する、世界最大規模のサイクリング コミュニティだ。そしてRCCは1年間を通じて、大規模イベントから週末のライドまで、数多くのライドイベントを企画・開催している。
そこで今回は、RCCにおいてコース設定や先導役を担う「ライドリーダー」たちの年末のミーティング兼ライド参加し、彼・彼女たちがライドリーダーとして何をモチベーションとし、何を大事にしているのか、話を聞いた。
潜入、ライドリーダー ミーティング
年末が差し迫った11月某日、東京渋谷のキャットストリートにあるラファ東京クラブハウス(Rapha Tokyo Clubhouse)に、続々とサイクルウェア姿の男女がやって来る。この日集まったのは、「ライドリーダー」と呼ばれる、普段ラファで開催されるライドイベントをコース設定や先導役としてリードするライダーたちだ。
皆もまたRCCの会員であり、「今日は一年の締めくくりとして、ライドリーダーの皆さんと一年を振り返ろうというライドなんです」と語るのが、ラファの三井さん。彼が今日の先導役だ。
出発してすぐに通り過ぎる朝の渋谷の街はまだ人通りも少なく、軽快なスピードで駆けていく。青山、赤坂といった東京の代名詞とも言える街を通り、日枝神社から国会議事堂まで続く山王坂を上り切って、国会議事堂から皇居へと下り坂を走り抜ける。
ライドの進行はとてもスムーズで、車通りが多く走りにくい「東京」のイメージを覆すコース設定からは、この街で普段からライドを積み重ねてきた経験を感じられた。
浅草橋で東京スカイツリーを見上げ、隅田川、荒川、中川といった東京の下町を代表する河川を渡り、江戸川サイクリングロードを北上していく。
強烈な北風の中をライダー同士で励まし合いながら辿り着いたのは、千葉県流山市のドーナツカフェ「CYCLO」だ。CYCLO店主の福田博さんもまたRCCのライドリーダーとして走るライダーであり、CYCLOがRaphaパートナーカフェでもあることから、CYCLOゴールとするRCCのライドイベントも多いそうだ。
ライドリーダーたちは特製のスパイスカレーに舌鼓を打ちながら、これまでのRCCの活動の思い出や、これからのRCCをどうしたいかといった話に花が咲く。
取材班である我々(筆者タムーと編集エリグチ)も、ともにその宴の輪に加わりながら、ライドリーダーの皆さんにこの「2024年のRCCライド」を振り返るお話を聞いてみた。
【エスケープ】走ることを通して地域の理解を深められるライド
――2024年に走られた「エスケープ」について教えてください
阿久津さん 「エスケープ」とは、RCCのメンバーで行く宿泊をともなう遠征ライドのことですが、2024年の4月に開催されたエスケープライドは、岐阜県恵那市で開催され、旧街道の「中山道」を走るものでした。岐阜ローカルのRCCメンバーが何度も試走を重ねながら魅力的なルートを計画し、その方と名古屋や中部地方のライドリーダーがライドの先導をしてくれました。「自分たちでイベントを作ってサポートしよう」というRCCメンバーのマインドセットを強く感じるエスケープライドでしたね。
――阿久津さんが企画されたエスケープライドについて教えてください
阿久津さん 地元である栃木県をコースとして「RCCエスケープ那須」を開催しました。日本三大疏水である那須疏水をキーワードに那須野が原と那須岳を巡るコースを計画し、東京のRCCメンバーに地元を知ってもらうようなライドイベントになりました。
――ライドの企画において重視していることについて教えてください
阿久津さん “その地域をよく知ってもらうこと”を重視しています。見どころや歴史などの解説を通して参加者の地域への理解を深めたり、食事で地元食材を楽しんだり、地域を見渡せるような眺望の場所をコースに盛り込んだりするようにしています。他の地域で開催されるエスケープライドでも同様に、その地域の文化をアクティビティとして楽しむことで地域理解を深めることを重視していることが多いですね。
――ライドを企画し始めた理由は何だったのですか?
阿久津さん クラブハウスのない地域では、RCCの恩恵が薄くなってしまうのがもったいないと感じていました。そこで、RCCに参加するメリットを高めたいと思い、ライドを企画し始めました。実際に、他の地域にはRCCをベースとしたコミュニティが盛り上がっている場所もあり、そういった地域のように地元を盛り上げたいという気持ちもあったのです。
――ライドイベントを企画するのを通じて良かったことは何ですか
阿久津さん 企画したライドで地元の友人と東京の友人が一緒に走ることで、知り合いの輪が広がっていったことですね。彼ら同士が他の地域で開催されたイベントで再開した際にも挨拶をする仲になり、コミュニティが広がる橋渡しをできていることを実感できる時が嬉しいです。
【ウィメンズライド】女性ライダーが安心して参加できるライド
――藤森さんが企画されているウィメンズライドについて教えてください。
藤森さん ラファの東京エリアでの唯一の女性ライドリーダーとして、2016年ごろから女性参加者100%のライドとして「ウィメンズライド」を企画していました。走り始める前に朝イチにヨガをしてから走り始めるのが好評でしたね。2020年ごろからは、メンズでも参加したいという声もあり、女性に限定せずにイベントを企画しています。
――どのようなルートを走られているのでしょうか?
藤森さん まずは、私が楽しめると思うことを重視してルートを引いています。幹線道路を避け、旧道や裏道に入っていったり坂をスパイスに入れたりしつつ、都心から緑の多い場所に抜けていくようなコースが多いです。
――初めて参加される参加者の方のハードルを下げるために工夫されていることはありますか
藤森さん ライドの最初に自己紹介をしてもらうようにしているのですが、出身地や呼んで欲しい名前に加えて、日替わりで私が決めたテーマについて少し話してもらうことで、参加者同士で打ち解けられるようにしています。例えば年末であれば、「クリスマスプレゼントに欲しいものは?」「好きなおせちの具材は?」と、ちょっと一言を加えてもらうんです。そうすれば自然と話の輪が盛り上がり場も和らぐものです。また、走っているときも気軽に声をかけてもらえるように、できるだけ声をかけるようにしています。
――やはり女性の参加者の方からすると、女性のライドリーダーがいる安心感を感じられるのでしょうか
藤森さん 女性の参加者としては心強いという声は聞きますね。女性のメンバーは、男性との走力の差があることで足を引っ張ってしまうのでは?と心配される方も多いのですが。たとえ走力差があったとしても、一緒に付いて走るということを大事にしています。
【プレステージ】少し勇気を出せば、一緒に走る人がきっと見つかる
――2024年に開催された「ラファプレステージ裏磐梯」について教えてください。
平沢さん 一年に一度、ラファが主催して行う大規模ライドイベントのプレステージですが、今回は福島県の裏磐梯エリアを中心に開催されました。上りがハードなコースでしたが、浄土平が絶景でまた行きたいと思うライドでした。気持ちが良すぎてライド中の写真を撮るタイミングを逃してしまったので、近いうちにまた行きたいですね。
本間さん ぜひまたRCCとして行きましょう!
――どのようなチームで走られたのですか。
本間さん 「プレステージを走りたい」と声を上げたメンバーがいて、そこから知り合いを集めてできあがったチームでした。普段走らない人も参加し、チーム内で走力の差もありましたが、新鮮に感じるチームでした。
平沢さん 普段は知らない方とチームを組んで走るので、新鮮さを感じるのもプレステージならではですね。
――ラファ プレステージに参加したくてRCCに参加する方もいらっしゃると思いますが、そういった方はどのようにチームを組めば良いのでしょうか
平沢さん まずは少し勇気を出してライドに参加していただき、友達を作ってプレステージに出たいと伝えれば、一緒に出たいという人はきっと見つかると思います。RCCメンバー限定のアプリの中でもチームを組んでない方の募集もあります。
本間さん 普段から一緒に走る仲間がいないとチームを作るのはなかなか難しいと思いますが、RCCの中では他にも出たいメンバーがたくさんいるので、手を挙げさえすればメンバーは見つけやすいです。
――RCC内でメンバーを探すことの利点はどんなところでしょうか
平沢さん ラファのウェアを選んで走っている方が集まっているので、「ちょっとカッコよく走りたい」といった価値観が似ているメンバーが多いので、友達になりやすい人が見つかるというのは利点だと思います。
【レースライド】個人に軸足がありつつも、お互いに高め合える関係
――近年はRCCでのレース活動はいかがでしょうか?
今村さん RCCメンバーとエンデューロレースに参戦したりします。コロナ禍でレースや参加が減って以降、以前より競技志向の方は減ってしまっているものの、メンバー内にはトラック競技をする人やJBCFに登録してレースを走っている人も数名います。
――仲間内で練習ライドをしたりもするのでしょうか
今村さん 仲間内で練習しているメンバーもいますが、RCCとして練習しているというよりは個人の活動に軸足があるように思います。RCCとしてレースに出る・出ないに関わらず、個人のルーチンの中で活動しており、その中でお互いにルートを引いたり参加しあったりライドに参加しあったりという感じです。ただ、レースに出る時にはRCCのジャージを着て、RCCの中にもレースに出るメンバーがいるんだぞとアピールをするようにしています。
――ご自身でライドを企画される際にはどのようなことを心がけていますか
今村さん フラっと気軽に参加しやすいようなライドを心がけていますね。例えば参加者の方が自分でルートを引くのが億劫な時に、私が企画するライドに参加してもらえたらといった思いで企画しています。
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こうしてRCC活動のこれまでを振り返るとともに、ライドリーダー自身がこの先でも「やりたいコト」や「もっと楽しそうなコト」を実践しようと、真剣に語る。そんなライドリーダーたちの姿を通して、RCCというコミュニティがメンバーの主体的なコミットメントによって作り上げられていることを実感する。リアルなサイクリストによるコミュニティは、2025年も新たな展開が期待される。
RCCの世界的ライドイベント【サミット京都】が開催決定!
RCC ライドの頂点であり、世界中の最高のサイクリングスポットを訪れる 「RCC サミット」が、2025年4月10日から 13日まで京都で開催決定。この「サミット」は、文化とライドを堪能できる究極のグローバル自転車イベント。RCCによる完全なサポート体制のもと、入念に計画されたルートを走行し、厳選された宿泊施設に滞在。そして記念ジャージも用意される。2025年のRCCは、日本だけでなく世界中のRCCメンバーと交流できる、素晴らしい機会を体感できるのだ。