車対自転車の対立問題をイーデザイン損保が調査 レポートと動画を特設サイトで公開

目次

東京海上グループのイーデザイン損害保険が、自転車の交通事故関与率が増加している実態を踏まえ、同じ車道を走る車ユーザーと自転車ユーザー計500人を対象とした「車と自転車の交通ルールを巡る対立意識調査」を実施した。この調査では、車と自転車、互いの約8割が「相手にもっと配慮してほしい」と回答し、車対自転車の対立問題が明らかになった。

イーデザイン損保の特設サイト上で、この調査のレポートとともに、調査テーマである「車と自転車のそれぞれの主張」を描いたプロジェクトムービー「〜本音の交差点〜CAR vs BICYCLE」が公開されている。

イーデザイン損保の車対自転車調査

調査結果 主要ポイント

車と自転車の対立意識が判明

車と自転車の互いの約8割が「相手に配慮してほしい」「もっと事情を理解してほしい」と回答。さらに、車ユーザーと自転車ユーザーに対して、相手にやめてほしいと思う運転を聞いたところ様々な声があがった。

車対自転車の対立意識

車の幅寄せ左折=“ビタ寄せ運転”に自転車の安全に配慮した車側の運転事情が判明

車が幅寄せ左折をする理由は「自転車を巻き込まないようにする」が最多。

車のビタ寄せ運転

自転車のはみ出し運転=“膨らみ運転”に安全に配慮した自転車側の運転事情が判明

自転車がはみ出し運転をする理由として「歩行者との接触回避」「路肩の障害物回避」が上位。

自転車の膨らみ運転

調査名:車と自転車の交通ルールを巡る対立意識調査
調査対象:週に1回以上車に乗る人250人と週に1回以上自転車に乗る人250人
調査期間:2025年1月10日〜2025年1月14日
調査方法:インターネット調査
※調査結果の詳細は特設サイトから

背景

近年、交通事故全体に占める自転車の交通事故関与率は増加傾向にあり、自転車による交通事故削減のための法整備が進んでいる。自転車の交通事故が社会課題化するなかで、自転車の交通マナーについて注目が集まり、SNS上では、車対自転車どっちが悪い論争が白熱している。このような実態を踏まえて、車と自転車のリアルな不満と運転事情を明らかにすべく、事故削減につながるさまざまな取り組みをしているイーデザイン損保はアンケート調査を行ったという。この調査により、双方の不満と事情を明らかにし、相互理解を促すことを目的としている。

交通事故全体に占める自転車関連事故の割合

※警察庁「自転車は車のなかま〜自転車はルールを守って安全運転〜」よりイーデザイン損保が作成

専門家のコメント:東京海上ディーアール 主席研究員/慶應義塾大学大学院 北村憲康教授

車と自転車は、同じ道路スペースを混交し、互いに接近していることが多いものです。車と自転車は互いに危険と察知しなければならない関係というわけです。危険回避の鉄則は、危険から自ら離れることにあります。はみ出す自転車のために車が自ら減速する、強引な追い越しをかける車のために自転車が自ら左へ寄るということです。接近を感じて危険センサーが作動するまではできると思いますが、そのあとの自ら回避を行うコツは、3秒先の自分を想像してみることです。危険センサー作動と同時に怒りのセンサーも作動し、アクセルを踏み込んだり、車と並走したりしたら…きっと後悔するのは自分自身なのです。車と自転車の混交時は、お互いに危険回避を第一として、危険センサーと3秒先の自分を想像する習慣をつけてみましょう。さらに、その後、検証してみてください。アクセル操作を続けたことに後悔する日は来るかもしれませんが、ブレーキ操作をしたことに後悔することはないでしょう。

【プロフィール】
1991年東京海上火災保険株式会社入社、2001年より東京海上ディーアール株式会社へ出向後は、企業、自治体向けの交通事故リスク低減に関するコンサルティングの企画、開発、実践を一貫して担当した。2011年からは、大学教員も兼業し、高齢ドライバー対策、自動運転車のドライバーモデル、歩行者安全、優良ドライバーの特性に関する研究を行った。現在も、交通事故対策の実践をコンサルティングで、それらに必要な基礎研究を大学で行い、交通事故のない社会をつくるための取組みを実践、サポートしている。

車対自転車問題の解消を目指すウェブ動画「〜本音の交差点〜CAR vs BICYCLE」

調査結果を踏まえ、互いに自らの運転が相手にとって危険、迷惑になる可能性を自覚し、路上で出会う相手がどのような事情があるのか想像し譲り合うことが、事故のない世界の実現の第一歩だとイーデザイン損保は考えた。そのため車と自転車のすれ違いを埋める特設サイトと、プロジェクトムービーとして「〜本音の交差点〜CAR vs BICYCLE」公開した。

イーデザイン損保の車対自転車動画

ストーリー:
路上では、言葉を交わすことが難しい、自転車ユーザーと車ユーザー。今回の撮影では、仕切りとボイスチェンジャーのある環境で、両者が思い切り議論できる場を用意した。
互いに噴出する、相手側の運転への不満や日頃の鬱憤。議論はヒートアップし、自転車、車、どちらも譲らないまま平行線をたどる。そのとき、2人を隔てている仕切りが外れ、議論をしていた相手と対面……。他人だと思っていた議論相手は、実は、誰よりも大切な家族だった。
相手との関係性が変わることでどのように考えが変わるのか?

調査結果

1.車対自転車 対立意識の実態

互いの約8割が、「相手に自分の運転事情を理解してほしい」と回答

車ユーザーは自転車に対し、「車側の事情をもっと理解して運転してほしい(82.0%)」と回答。一方で自転車ユーザーは車に対し、「自転車側の事情をもっと理解して運転してほしい(81.6%)」と回答。このように、相手に自分の運転事情を理解してほしいと感じていることが明らかになった。

運転事情を理解してほしい車
運転事情を理解してほしい自転車

互いの約8割が、相手に「もっと配慮してほしい」と回答

車ユーザーは自転車に対し、「車に対する配慮が不足している(78.4%)」と回答。一方で自転車ユーザーは車に対し、「自転車に対する配慮が不足している(78.0%)」と回答。このように、相手の配慮不足を感じていることが明らかになった。

もっと配慮してほしい車
もっと配慮してほしい自転車

2.危険、迷惑運転の背景にある運転事情

車の左折前の「ビタ寄せ運転」

画像のように、交差点で車が左折をするときに左側に寄せる「ビタ寄せ運転」。自転車ユーザーの77.6%が危険、迷惑だと感じたことがある一方で、車ユーザーの60.8%がこのような運転をすることがあると回答。このような運転をする理由として「左折時に自転車を巻き込まないようにするため(67.2%)」と回答し、自転車の安全に配慮する車側の事情が明らかになった。

ビタ寄せ運転

ビタ寄せ運転に対する自転車
ビタ寄せ運転する車
ビタ寄せ運転する理由

狭い路地でのプレッシャー追走

狭い路地で車が自転車を追い越せず、後ろについて走行する「プレッシャー追走」。自転車ユーザーの80.0%がプレッシャーや早く追い越してほしいと感じたことがある一方で、車ユーザーの64.8%がこのような運転をすることがあると回答。車がプレッシャー追走をする理由として「路地が狭くて追い越すのが危険だと思ったから(50.4%)」「自転車を追い越すタイミングを見計らっていた(42.4%)」と回答し、自転車の安全に配慮する車側の事情が明らかになった。

プレッシャー追走

プレッシャー追走に対する自転車
プレッシャー追走する車
プレッシャー追走の理由

自転車の「膨らみ運転」

自転車が、車道側に少し膨らんで走行する「膨らみ運転」。車ユーザーの75.6%が危険、迷惑だと感じたことがある一方で、自転車ユーザーの69.6%がこのような運転をすることがあると回答。自転車がこのような運転をする理由として「歩行者との接触回避(54.0%)」「路肩の障害物回避(42.4%)」と回答し、自転車側の事情が明らかになった。

膨らみ運転

膨らみ運転に対する車
膨らみ運転する自転車
膨らみ運転する理由

自転車の「スキマすり抜け」

自転車が、信号待ちで車の左側をすり抜け前に出ようとする「スキマすり抜け」。車ユーザーの73.2%が危険、迷惑だと感じたことがある一方で、自転車ユーザーの66.8%がこのような運転をすることがあると回答。自転車がこのような「すり抜け」運転をする理由として「車の死角に入り、左折時に巻き込まれることを避けるため(40.0%)」と回答し、自転車側の事情が明らかになった。

スキマ「すり抜け」

スキマすり抜けに対する車
スキマ「すり抜け」する自転車
スキマ「すり抜け」する理由

3.車対自転車 相手にやめてほしいと感じる運転

車と自転車の運転手に対して、相手にやめてほしいと思う運転を聞いたところ下記のような声があがった。

自転車:
「かなりギリギリの距離で追い越しする、スピードを緩めない運転をやめてほしい」
「自転車が軽車両であって車道を走行するものだと理解せず、邪魔者扱いしないでほしい」
「お店が立ち並ぶ国道などで車道に出る車が歩道を塞がないでほしい」

車:
「自動車の存在がないかのように避けることもせず、自由に動き回るのは危険なので絶対にやめてほしい」
「車道側を自転車が運転していることがあり、動きが予測できないので不安になる」
「どうせまた抜かされるのに信号待ちのたびに抜いてくる自転車は迷惑」

※「『こういう運転はやめてほしい』と思うことがあれば具体的に教えてください。」という質問の回答から抜粋