Setouchi Vélo協議会福山ミーティングが開催
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瀬戸内地域やその周辺地域を世界に誇るサイクリングの推進エリアとするため、地方自治体、国、経済連合会等で構成するSetouchi Vélo(セトウチ ヴェロ)協議会の7回目となるミーティングが、2025年3月17日(月)に広島県・福山市で行われた。
山、川、海の全てが近い“しおまち海道”
本ミーティングの参加者は主に国や地方自治体の行政担当者で、自転車関連施策などを担う人々だ。ミーティングに先立ち、恒例のトライアルライドを実施。この日は福山駅から尾道市境までを結ぶ鞆の浦しおまち海道サイクリングロード「しおまち海道(27km)」の一部(12km)を走った。
ライド前のブリーフィングでは正しいヘルメットのかぶり方、eバイクの乗り降りのしかた、止まり方、変速の仕方、ハンドサイン等のレクチャーを行い、出発。Setouchi Véloも7回目ということで、eバイク初体験という参加者もだいぶ少なくなってきている印象を受けた。

写真は枝広直幹福山市長。「市町村ミーティングを福山市で開催していただき感謝します。今日ライドするしおまち海道が、しまなみ海道へつながるサイクリングロードとなれるよう、ハード・ソフト両面を整備していきたい」とコメント

オージーケーカブトの広報柿山さんより、指の1、2、3を使った、シンプルで分かりやすいヘルメットのかぶり方のレクチャーを受ける参加者
しおまち海道は、山、川、海の全てを近くに感じながら走れる気持ちの良い道だ。特に芦田川は河畔がとても近く、道も広く走りやすい。河口の最後の橋を渡ると、その先には瀬戸内海が出迎えてくれる。また、海沿いの道では、トラックが自転車に気を使って、無理な追い越しをせずに同じ速度で走ってくれていたのが印象的だった。
自転車施策に関わる有益な情報を共有し、活用していくことを目指す「Setouchi Vélo」
Setouchi Vélo協議会の「市町村ミーティング」では、自転車、特にeバイクを使った観光、及び地域振興、安全な運用、そして利用者の健康促進、その可能性を探るために活発な意見交換会が行われている。
福山市は、市町村ミーティング開催地としては今回が広島県内で初となる。同市は2024年12月に自転車関係団体、経済団体、観光事業者、交通事業者、国、県、市による協議会が新たに設置され、しおまち海道の将来像についての検討を実施することになったそうだ。

開催地を代表して、福山市建設局長 市川清澄氏より「今日は、しおまち海道サイクリングロードや福山市南部地域の観光振興について、皆様からさまざまなご意見をいただき、今後の取り組みに反映していきたい」と開催挨拶があった

事務局を代表して、本四高速 取締役常務執行役員 森田真弘氏より挨拶 「2022年設立当初の29団体が82団体となり、広がりを見せている。また昨年4月より開設したSetouchi Véloスポットも200弱から約600か所まで増えいている。本日は有益な情報収集・交換の場となることを期待しています」

第3期会長 湯﨑英彦 広島県知事より「今日のトライアルライドでは福山の魅力に加え、eバイクの可能性を肌で感じていただけたのではないでしょうか。広島県では瀬戸内に加えて、山側も含め県全域でサイクルツーリズムを展開していけるよう取り込んでいます。ご出席のみなさまと自転車施策に関わる有益な情報を共有することで、今後の活動や施策検討に生かされることを祈っています」とビデオメッセージでコメントした
記念公演「自転車を活用した地方創生」
記念公演「自転車を活用した地方創生」をテーマに講演を行なったのは愛媛県東京事務所 所長 河上芳一氏。愛媛県の自転車新文化推進課の立ち上げなど、愛媛県の現役職員では最も長く自転車施策を担う行政マンだ。
地方創生に関する課題解決のテーマ「人の流れを作る」「地方に仕事を作る」「魅力的な地域を作る」を自転車でできることに置き換え、経験と実績を元に分かりやすく説明した。
愛媛県は当初、しまなみ海道を観光のために売っていこうと考えていたが、2011年に台湾のジャイアント社を訪問したとき、当時の劉 金標会長より「自転車は移動手段だけでなく、健康、生きがい、友情を育むツール」だと教わり、それを踏まえ、自転車新文化推進のために以下の4つの施策を作り、今に至っている。
- 自転車県としてのブランド化
- おもてなし態勢の整備
- 自転車利用の普及・拡大
- 自転車の安全理由
現在の愛媛県の自転車新文化推進計画は、第2フェーズに入っており、2027年5月には、自転車国際会議(Velo-city)の誘致が決定している。
パネルディスカッション
福山市では、2021年に福山駅構内に自転車組み立て場を設置し、しおまち海道の道路標識、サイクリングマップ、動画制作、SNS情報発信などを実施しているが、認知度が今ひとつという現状課題に対して、以下のような意見が出た。
- 福山駅構内に自転車組み立て場があることを知らないし、しおまち海道という名称も初めて聞いたので、PRが足りていないと思う
- 地元経済界を巻き込んでいくのであれば、民間、自治体、それぞれの関係者が、まず自転車に乗ることが重要
- 愛媛県上島町(ゆめしま海道)では、健康増進や仲間作りの場として、60歳以上のシニア向けにeバイクのモニターツアーを実施している
- 福山駅に着いて、自転車の保管場所などが分かる案内がほしい
- 周囲の市町や隣の県と広域につながっていったほうが良い
- 上島町とつなげると船旅もあり、いいルートになると思う
- 地元住民に理解してもらうことが必要
- 地域理解を深めてもらうためには、市街地の安全対策のために交通ルールをしっかり守る、サイクリストが(宿泊等の)お金を落とすといった仕組みも必要
いずれにしても地域理解に打開策はなく、根気よく続けていくことが大事である。また、自転車はeバイクの出現により、自転車の使い方が一気に変わってきた。ターゲットをロードバイクでかっ飛ばすサイクリスト層だけではなく、ゆっくりサイクリングを楽しむ層にも向けていくことが必要となってきている。

コーディネーターにプロサイクリストでコイデル代表取締役の門田基志氏を迎え、パネリストは福山市 建設局長 市川清澄氏、福山市 文化観光振興部長 岩本信一郎氏、愛媛県東京事務所 所長 河上芳一氏、筆者(サイクルスポーツ編集部 迫田)、バイシクルクラブ編集部 山口編集長(写真左から順に)
Setouchi Vélo協議会
構成団体(順不同):
兵庫県、岡山県、広島県、山口県、鳥取県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、近畿地方整備局、中国地方整備局、四国地方整備局、近畿運輸局、神戸運輸監理部、中国運輸局、四国運輸局、中国経済産業局、四国経済産業局、中国経済連合会、四国経済連合会、せとうち観光推進機構、四国ツーリズム創造機構、本州四国連絡高速道路
参加団体(順不同):
南あわじ市、淡路市、神戸市、明石市、川西市、上郡町、洲本市、備前市、玉野市、真庭市、美作市、新見市、津山市、総社市、高梁市、和気町、呉市、尾道市、福山市、竹原市、江田島市、東広島市、三原市、柳井市、周防大島町、大山町、南部町、鳴門市、小松島市、三豊市、土庄町、多度津町、坂出市、観音寺市、さぬき市、東かがわ市、小豆島町、高松市、綾川町、今治市、上島町、松山市、宇和島市、八幡浜市、伊予市、大洲市、西予市、内子町、伊方町、松野町、鬼北町、愛南町、香南市、いの町、宿毛市、本州四国連絡高速道路協会、福山観光コンベンション協会、鳥取県商工会連合会