完成度が極まった第3世代バーディー

バーディーの歴史は意外なほど長く、プロトタイプの誕生は1992年にさかのぼる。当時はMTBがスポーツバイクの主流だったが、ドイツの青年ハイコ・ミューラーとマーカース・リーズは「いつでも、どこでも走れる自転車」を夢み、実際に創り出す。それはまさに発明であり、MTBライクなサスペンションを折りたたみ機構に応用することで、メインフレームを折らない構造ながら圧倒的に小さくなる自転車が誕生。そして台湾のパシフィックサイクルズの高い技術力で量産化に成功。1997年に日本に上陸すると瞬く間に人気を博し、ロードやMTBと並ぶ新しいジャンルを確立した。折りたたみ自転車が趣味として楽しめるスポーツ自転車として認知されたのはバーディーの功績だ。

2005年にはパイプ構造だったフレームがモノコックへ進化。2015年には構成パーツとジオメトリーをロードバイク志向へ転換した。今我々が目にするバーディーは、長い歴史と進化がもたらした第世代なのである。昨年登場した「GT」は太めのブロックタイヤを採用することでグラベル適性を大幅に高め、キャンプツーリングなどの旅自転車としての可能性も高まっている。

「自分に〝引き寄せられる〞圧倒的な拡張性が魅力。タイヤや乗車ポジションの選択肢が広く、ロードバイクとしてもMTBとしても楽しめます。こうした守備範囲の広さに比肩できるモデルは他にありません」（鈴木潤）

長年「BD-1」という名で親しまれてきたが、それは商標をクリアするための国内限定ネームだった。2015年から世界統一ブランドである「birdy」（バーディー）の名で再デビュー。第3世代に進化した名モデルは、ブロックタイヤを身にまとって荒野も活躍の舞台とする

価格/25万8000円（税抜）

SPEC
フレーム●6061-T6、7005-T4アルミ
フォーク●7005-T4アルミ
コンポーネント●スラム・X5 10スピード
ギヤ●52×11-32T
タイヤ●シュワルベ・ブラックジャック 18×1.9インチ
カラー●デザートイエロー、グロスレッド×マットブラック
撮影車両実測重量●11.1kg
標準仕様公称重量●10.3kg（ペダル含まず）

バーディーエアー リムブレーキ採用で軽さを追求

現行のバーディーは、ここに挙げた4モデルとスタンダード（税抜価格22万5000円〜）の計5タイプがある。「エアー」は軽量パーツとロード用のキャリパーブレーキを採用し、10kgを切る軽さと手頃な価格を実現。剛性感ある固定式ステム（ハンドルポスト）によって、前傾姿勢でシャキシャキ走る。

バーディーエアー

価格/18万5000円（ダンデライオン、ファイヤーレッド、インクブラック）、19万5000円（マーキュリーグレイ、ウイスキーブラウン×マットブラック） *いずれも税抜

SPEC
フレーム●6061-T6、7005-T4アルミ
フォーク●7005-T4アルミ
コンポーネント●シマノ・ソラ9スピード
ギヤ●52×11-32T
タイヤ●シュワルベ・コジャック 18×1.25インチ
カラー●ダンデライオン、ファイヤーレッド、インクブラック、マーキュリーグレイ、ウイスキーブラウン×マットブラック
標準仕様公称重量●9.8kg（ペダル含まず）

バーディーR 快走に特化したロードモデル

「R」はシマノ・105と細いタイヤ、そしてハブスミスの軽量アルミホイールを採用したロード特化バージョン。ハンドルを低く遠くできる21Dステムと相まって、舗装路の快走を追求。

バーディーR

価格/32万8000円（税抜）

SPEC
フレーム●6061-T6、7005-T4アルミ
フォーク●7005-T4アルミ
コンポーネント●シマノ・105 11スピード
ギヤ●52×11-28T
タイヤ●シュワルベ・コジャック 18×1.25インチ
カラー●ギャラクシーパープル、ハイポリッシュ×グロッシーブラック
標準仕様公称重量●10.2kg（ペダル含まず）

バーディークラシック 時代を創ったオリジンが復活

「クラシック」は初代同様のストレートフレームながら、各部の剛性は向上。 シンプルながら幅が太いタイヤにも対応できるVブレーキを装備。

バーディークラシック

価格/14万5000円（セミマットブラックメタリック、サンセットオレンジメタリック、フォギーブルーメタリック）、15万5000円（スコッチブライト） *いずれも税抜

SPEC
フレーム●6061-T6、7005-T4アルミ
フォーク●7005-T4アルミ
コンポーネント●シマノ・アセラ 8スピード
ギヤ●52×11-32T
タイヤ●CST 18×1.5インチ
カラー●セミマットブラックメタリック、サンセットオレンジメタリック、フォギーブルーメタリック、スコッチブライト
標準仕様公称重量●10.9kg（ペダル含まず）

磨き上げた圧倒的な万能性

第3世代になってBB位置などが下がった効果で安定感が向上しつつ、こぐのが楽しくなるような独特の軽快さも健在。初めて手にした20年前と同じように乗り手を感動させてくれる。18インチなので、より大径なモデルに巡航性能では敵わないし、より小径モデルには小ささで及ばない。だから拡張性以外の項目は満点にできないが、バランスのよさがバーディーの持ち味。万能性を生かして自分だけの5つ星に育てる楽しみがある。