大阪で開講した自転車のプロを育てる学校。その学びの内容とは?
目次
これまで数多くの人材を自転車業界に輩出してきた東京・渋谷にある東京サイクルデザイン専門学校の系列コースが、2020年に大阪で開講した。専門学校ヒコ・みづのジュエリーカレッジ大阪の「自転車メカニックコース」である。待望の大阪校では、”新しい生活様式”のもと、どのような授業が行われているのか。そこに通う学生たちの志と学びについて、3人の学生と担当講師に聞いた。
大阪校がなければ別の道へ進んでいたかも知れない。
京都出身・在住の佐藤さんは、高校2年生のときにMTBに乗り始め、最近ではグラベルロードで野山を走っているという。大好きな自転車についてもっと深く学び、自分の手で管理できるようになりたいとの思いから自転車の学校を探していたという——。
——自転車の学校を調べたら、東京・渋谷にある東京校の情報が出てきたそうですね。
そうなんです。ただ、東京は遠いですし、下宿するとなるとお金もかかるため、親も難色を示していました。大阪校が開講しなければ、僕自身も別の専門学校へ行っていたかもしれません。両親もカリキュラム内容の充実ぶりと、大阪ならば京都の実家からでも通えるということで承諾してくれました。最近は、家で学校の話をすると、「楽しそうやな」と言われます(笑)。
——佐藤さんの好きな授業は何の授業ですか?
自転車の組み立てや分解、調整も楽しいですが、自分が好きなのは「ロゴグラフィック」の授業です。自分でターゲットを設定して、そのターゲットに合わせて自転車の名前やロゴ、フレームの色などを考え、パソコンを使ってデザインします。自転車が好きというだけでは学べない内容で、将来、ショップのオリジナル自転車や販促グッズを作るといった時にも役立ちそうです。
——一緒に学ぶ友達についても教えてください。
高校時代は自転車に乗っている友達も少なく、いてもロード乗りばかりで、自分みたいにゆったり距離を稼ぎたいタイプの人はいませんでした。でも、ここでは基本的にみんな自転車好きなので話は合いますし、自分と同じスタイルで乗っている人もいて、今度一緒にグラベルを走りに行こうと話しています。
——将来についてどのようなことを考えていますか?
まだどんな将来になるかは漠然としていますが、ショップの店員やメーカーで働けたらいいなと思います。そうやって現場でさらに勉強して、ゆくゆくは自分のショップを持てたらいいですね。
毎日、新しい発見がある。
熊本出身の松原さんも、佐藤さんと同じく高校2年生のときにロードバイクに乗って以来、その魅力に取り憑かれ、将来は自転車関係の仕事に就きたいと思うようになったそう。そんな松原さんは、現在は一人暮らしをしながら学校へ通っている。
——学校のことはどこで知ったのでしょうか。
地元のサイクルショップの店員さんに「自転車のことを勉強したいのなら、東京サイクルデザイン専門学校がある」と教えてもらいました。それで学校説明会へ行ったら、大阪に姉妹校ができると聞いて、東京だったら反対していた両親も大阪ならば親戚が兵庫にもいるし安心だということで賛成してくれました。いまは一人暮らしをしていますが、一人暮らしは楽だけど面倒なことも多いですね。親のありがたみをかなり感じています(笑)。
——授業について、教えてください。
シティ車、いわゆるママチャリを自分で分解、組み立てをするんですが、色々と新しい発見がありますね。パーツひとつ取っても学ぶことが多くて、自転車屋さんの仕事が少しずつわかってきて楽しいです。これまでも自分のロードバイクを整備していたので、なんとなく知っているつもりでしたが、ネジの締め方ひとつにしても、実際にショップの方が講師として教えてくださるので、プロのやり方を学ぶことができて勉強になります。
——講師の先生はどんな雰囲気ですか?
すごくいい人ばかりです。いい意味で先生と学生の間に壁を感じません。気になったことはすぐに聞けますし、授業中も専門的な内容でありながら堅苦しくないんです。今は毎日学校に行くのが楽しいですね。
——将来のことについても教えてください。
まだぼんやりとした希望ですが、メーカーで働きたいという大きな目標があります。ただ今は、自転車好きの友達と一緒に自転車についてたくさん勉強したいと思います。
年が離れていても、みんな自転車好きなのですぐに打ち解けた。
大学卒業後、一度は就職したが、自分のやりたいことに向き合うことで見えてきた自転車への強い興味。一念発起し、学校の門を叩いたという木澤さん。10も年の離れた仲間とともに、自転車についての学びを深めているという。
——自転車について学ぼうと思ったとき、ショップなどで働くという選択肢は?
会社を辞めたときに、自転車屋さんで働くことも考えましたが、働きたいと思っても技術がありません。そんなときに大阪に自転車の学校ができることを知って、まずはしっかりと自転車のことを学んでからショップで働こうと思い入学しました。
——入学を決めるのは、大きな決断もあったと思います。決め手は?
学校説明会で話を聞いたときに、単にデザインの勉強だけだったら入学しようとは思いませんでした。この学校では、実際に自転車を触りながら、自転車整備士の資格を取る勉強もできます。それに社会人になると学びの機会が減るので、ちゃんと勉強したいという思いもありました。
——実際に授業を受けてみて、どんな感想をお持ちですか。
専門分野なので、難しい面もありますが、それが楽しさでもあります。1日中、自転車の分解・組み立てを繰り返す中で、実際に触ってみないとわからないことだらけで、自転車屋さんが何気なくやっていることを繰り返すことで、身につけています。それに、学校なのでどういう原理でそうなるのか、ということを丁寧に教えてくれるのもいいですね。もし、何も知らずに自転車屋さんに就職してしまうと、感覚だけで作業をしてしまったかもしれず、それではお客様にうまく説明できません。基本や原理から勉強できるのはうれしいですね。
——他の学生とは10歳ほど年が離れていますが、友人関係はいかがですか?
入学前はすごく不安でした。何を話せばいいんだろうって。ただ、みんな自転車好きなので、共通の話題ばかり。だから年齢に関係なく自然と仲良くなれるますし、それが自転車のすごいところだと思います。この学校で出会った仲間は、将来どんな仕事をするにせよ、つながりは続くと思います。
——将来について教えてください。
いま学んでいることを生かして、ショップでメカニックとして働いて、誰でにもわかることばで自転車の魅力を伝えて、ちょっとでも自転車に興味を持ってもらえるような店員さんになりたいですね。
自転車の知識がなくても心配のないカリキュラム。
——大阪校の一期生たちは、みなさん楽しそうですね。
そうですね。楽しくやってくれていて、安心しています。僕たち講師陣も楽しくしたいということが前提にあります。教育では、教えることだけ伝えて、あとはやらせるという一方通行になりがちですが、そうならないように大阪校では私が彼らと同じ授業に参加して、彼らを日々見ることができます。学生の目線に立って、楽しさを持続させるにはどうしたらいいかを日々考えています。
——学生の反応はいかがでしょうか。
難しそうな顔をしている印象はありますが、そこは不安になる必要はなく、何度も同じ内容を繰り返すので、いま全部を覚えなくていいということを伝えています。それに私たちも、事前に自転車の知識がない、何も知らないという前提でカリキュラムを組んでいるので安心して学んでもらえます。
——8月23日にはオープンキャンパスがあるそうですね。
はい。当日は屋内サイクリングアプリの「Zwift」を使いながら、ロードバイクの楽しさを体験してもらいたい思っています。それから、参加者1人につき自転車1台を用意するので、一緒に自転車を触りながら、命を預ける乗り物である自転車において整備がいかに大切かということを改めて伝えていきたいと思っています。
オープンキャンパス開催!8月23日、9月6日、20日
最新のサイクリングアプリ「zwift」体験や、バーテープの巻き方、スポーツバイクのサイジング体験など、スポーツバイク好きなら気になるトピックスと併せて学校の魅力に触れることができる。
8月23日(日)10時~12時
■スポーツバイクのメンテナンス & Zwift(ズイフト)体験
スポーツバイクのチェーンの手入れやブレーキ調整など基本的なメンテナンスを体験し、ズイフトでロードバイクに試乗してみよう!
※Zwift(ズイフト)とは?:自転車とトレーラー(ローラー台)を繋ぎオンラインゲーム感覚で仮想空間のライドを楽しめるソフト。
予約ページ
https://hiko-osaka.jp/opencampus-request/date/24717
9月6日(日)10時~12時
◆自転車メカニックコース(体験入学): バーテープ巻き体験
すぐに使えるメンテナンステクニック!
バーテープの巻き方テクニックをレクチャー!初めての方でも、講師と在校生がしっかりサポートしますので安心してご参加ください。その他、入学方法やコースカリキュラム、卒業後の進路についてのご相談、設備見学を行います。
予約ページ
https://hiko-osaka.jp/opencampus-request/date/20518
9月20日(日)10時~12時
◆自転車メカニックコース 体験入学:自転車初心者講座
自分にピッタリの自転車サイズを知ろう!
自転車に初めて向き合う人も、たくさん乗りこなしている人も、安全走行できる自分に合った自転車のサイジングを体験!!
その他、入学方法やコースカリキュラム、卒業後の進路についてのご相談、設備見学を行います。
https://hiko-osaka.jp/opencampus-request/date/25673