タンデム自転車は35自治体がすでに解禁。 東京都は「36番目の解禁」となる?
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タンデム自転車は体力の異なる人=子ども、カップル、身体の不自由な人とでも一緒に行動できるのが魅力。愛好者は肩身の狭い思いで愛用してきたけれど、やっと東京都でも公道での使用が許される扉が開きそうです。
各都道府県の道路交通規則や道路交通法施行細則で、原則として自転車の2人乗りは禁止されていますが、2人乗りを前提に作られた自転車が公道上を走れるようにしている自治体が35あります。11月11日に東京都議会議員でトライアスリートとしても活躍してきた白戸太朗さんがtwitterで次のようにつぶやきました。
タンデム自転車の走行が東京でも部分的に許可されます!
私が3年間取り組んできた、東京都でのタンデム走行認可。とうとう11月13日より許可されます。まだほんの一部ではありますが.ゼロから1は小さくも価値のある一歩
今後はこの道路での状況を検証し検討されていきます。ぜひ安全に楽しんで下さい! pic.twitter.com/7rzcqdJtiL— 白戸太朗【東京都議会議員】 (@tarostokyo) November 11, 2020
そこで本サイトは実地踏査!
タンデム基礎知識
TANDEMは、二頭の馬を縦につないだ馬車の意味でしたが、現在はモーターサイクルや自転車での2人乗りを表すようになりました。
自転車史の視点では、18世紀産業革命のころに三輪自転車が誕生したときにタンデムシートができていました。20世紀には二列直列のタンデム自転車がパラサイクリングの機材としても使われるようになりました。
欧米で根強い人気のタンデム自転車、その魅力を3つ挙げます。
- タンデムは、カップルが相互体験を共有できる。
- タンデムは、障害者とサイクリングの楽しさを分かち合うことができる。
- タンデムを使用すると、親は子どもと大人のスピードと距離でサイクリングを共有できる。
タンデム自転車の言葉を紹介。
「パイロット」(pilot)
前に乗る人は一般的に「パイロット」と呼ばれます。「キャプテン」(Captain)や「操縦士」(steersman)とも。パイロットは、良いハンドリング技術と判断力が必要。また、上半身の強さも要求されます。
「ストーカー」(stoker)
後ろに乗る人は「ストーカー」と呼ばれます。そして2つの責任があります。
ストーカーは主にモーターとして機能します。 ストーカーは自転車を操縦しないので、より多くのパワーを生み出すことに集中できます。スタートするときはできるだけ滑らかなペダリングで巡航速度に加速。上りでは爆発的なパワーを発揮させます(力尽きない程度で)。
ストーカーは操縦してはいけません! ストーカーが予想外の動きをするとパイロットの操縦が困難になり転倒する恐れがあるのです。
*豆知識:「stoker」蒸気機関車の時代に炉(ストーブ)に石炭を焚べる人をストーカーと呼びました。転じてパワーを出す人の意。
法規制
欧米においては道路上を自由に走れます。日本では、道路交通法57条2項に「公安委員会は、道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要があると認めるときは、軽車両の乗車人員又は積載重量等の制限について定めることができる」とあり、各都道府県の道路交通規則や道路交通法施行細則で自転車の2人乗りが原則として禁止されていますが、例外的にタンデム自転車が道路上で走れるようにしている自治体が大部分です。
日本で最初にタンデム自転車の公道利用が認められたのは長野県。外国人がたくさん利用する避暑地の軽井沢があるからでしょうか。タンデム自転車の利用実績があればこそ認められたのではないでしょうか。
タンデム自転車の普及に熱心なウエブサイト【タンデム自転車交流通信】で確認したところ2020年10月1日までに長野/兵庫/愛媛/広島/山形/新潟/宮崎/佐賀/愛知/群馬/京都/富山/大阪/静岡/大分/島根/千葉/滋賀/山梨/山口/高知/福岡/鹿児島/茨城/福島/栃木/熊本/青森/北海道/岡山/奈良/三重/宮城/沖縄/徳島。そして検討中が岐阜。35道府県でタンデム自転車が乗れる現状。
いずれの自治体でも条例改正の前段階で、「パブリックコメント」と「実証実験」が行われるのが通例。今回、警視庁が検証する道路は以下の3つ。
①【多摩湖自転車・歩行者道】(約12.0km)*多摩湖周遊区間
②【浅川ゆったりロード】(約2.5km)*水無瀬橋〜南浅川橋
③【足立さいたま自転車道】(約0.4km)*港北公園〜都市農業公園
以下は白戸議員のtwitterに添付された地図です。
検証ロード3か所実地踏査
小春日和の13日、実地踏査!
①は最高! 道路幅は約3.5m(他も同様)で12kmほどの周回路は緩やかなアンジュレーションがありきつい坂はありません。時計回りでも反時計回りでもオーケー。
スタート&フィニッシュ地点は『都立狭山公園一般駐車場』(無料)がオススメ。初めてタンデムに乗る人を連れて行くには最高のシチュエーションです。
②もいいカンジ。ただ、風景の変化に乏しいです。路面の継ぎ目が等間隔にありハイプレッシャータイヤで走ると突き上げが気になるかもしれません。春は桜並木があるので素敵!
スタート&フィニッシュは『陵南公園駐車場』(無料)がオススメで浅川の右岸を下って水無瀬橋で折り返す。だが折り返すにしてもそのまま下流に向かって多摩川と合流するくらいまで走るのもいいでしょう。
③は微妙かも。たった400mの区間だから。あえてプランするなら都市農業公園のある荒川水門から上流や下流への荒川右岸の土手を走るほうが気持ちいいです。
スタート&フィニッシュは『都市農業公園駐車場』(30分100円)。
①と③には道路標識がありました。この説明「タンデム自転車を除く」は、法律の専門家でないと意味不明ではないでしょうか。しまなみ海道では「タンデム自転車通行可」になっているそうです。改善を望みたい。
ともあれ、白戸議員の言うようにこの実証はタンデム自転車解禁に向けての大事な一歩。解禁へと滞りなく動くことで、サイクルスポーツ界はもっと豊かになるはずです。