関西ヒルクライムコースガイドpart1 大阪(北部)with キャノンデール
目次
北摂のベッドタウンから見てまずシンボルとなるのは、箕面の山ではないだろうか。いつもなら思わず山の前で引き返してしまうけど、勇気を出して一山越えれば、そこには別世界が広がる。ペダルを力強く踏みしめて小さな冒険へと飛び出そう。
都市部からのアクセスも近い北摂ヒルクライム三昧な一日を楽しむ!
ある晴れた秋の火曜日、「カズさん」こと山本和弘さんに北摂のヒルクライムを数ルートつなげて案内してもらった。北摂のベッドタウンから山までの近さは景色を見てのとおりだが、その奥には想像以上のライド環境が広がっていた。
Rider
自転車ライター 米山一輝さん(左)
数年前に故郷の関西にUターンした自転車系ライター。大阪出身だが、東京生活が長く地理は不案内。昔はロードの実業団選手をしていたが今は見る影もない。
キャノンデール・ジャパン 山本和弘さん
愛称カズ。MTBクロスカントリーの元プロ選手で、現在はキャノンデール・ジャパンに勤務。選手を引退しても自転車に乗りまくり、楽しみまくっている。
ベッドタウンの裏は自転車天国
大阪の北部、いわゆる北摂と呼ばれる地域は、大阪の中では比較的最近になって発展した土地だといえるだろう。農村風景が広がっていたところを戦後、日本最初の大規模ニュータウンである千里ニュータウンの開発と、そのそばで1970年に行われた大阪万博を契機に、一気に周辺でも宅地化が進み、大阪の一大ベッドタウン地域となった。
自然豊かな住環境の良さから、若い世代の移住者や転勤族が多く流入。このためいわゆるコテコテの大阪っぽさが比較的少なく、南側とは少し異なった文化圏を形成する。上品なブランドイメージで知られる阪急電車がネットワークを築いているのも、こちら北部地域である。
サイクリング環境も良好。北側には北摂山系が広がる。今では山の麓まで住宅地で埋め尽くされているが、実は一山越えてしまうと、昔ながらの里山の風景が開ける。このギャップは北摂の最大の魅力だ。大阪の中心部からさほど遠くなく、最初から北側に住んでいるのであれば、30分も走らないうちに上りの入り口に着くことができる。
一度奥に入ってしまえば、平坦でも上りでもコースは取り放題のサイクリングパラダイスが広がる。突出して高い山はないが、各種峠をつないでたっぷりヒルクライムを楽しめる。オシャレでロハスなカフェが点在しているのも楽しいところだ。
短くてもたっぷり楽しめる
北海道出身で選手時代は長野県などで暮らしたカズさんが、北摂に住み始めたのは現在の職に就いた5年前。以来北摂エリアを走りまくり、「北摂の環境が良すぎて、家まで建てちゃいました」というほれ込みぶりだ。在宅ワーク花盛りの昨今では、仕事前にグラベルバイクでオン・オフロードを混ぜて近くの山を一周するとか。まるで天国のような生活だ。
この日の最初は池田の市街地から五月山へ。いきなりの急勾配に心が折れそうになるが、すぐに秀望台に着いて絶景にため息。上り坂はさらに奥まで続くが、下りや上り返しもあり、慣れるとうまくこなして気持ち良く走れるようになるそう。
奥まで行くと箕面川ダム。表側へさらに下り、超定番の勝尾寺を西田橋から上る。ほどほどの勾配が続き、速い人は多分猛スピードで、そうでない人もボチボチそれなりに走れる坂で、定番になるのも納得だ。
奥へと走るなら勝尾寺の少し先のT字路を右に曲がり、高山の集落を抜けていくのが定番。道なりに走ると金石橋の交差点に出る。ちょうど妙見山ヒルクライムの入り口だ。最初がやや急で骨が折れるが、山あいから下を見下ろしながら進むのは爽快。一方でラスト1kmは木々深く囲まれる中を走り神聖な気持ちになった。
妙見山から下ると、しばらくは豊能町を横断するようにクルージング。住所は市境を越えて茨木市になる。「茨木市にこんな里山があるとは!」と、新鮮な驚きを感じていると脇道に入り、待っていたのは狩待峠のヒルクライムだ。棚田の間の細い急坂を上がると、やがて杉林に囲まれた別世界へ。こんな隠れ峠がそこかしこにあるらしい。
道中走りながらカズさんが「あ、そこの山道マウンテンで行けますよ」と教えてくれることも多数。これで北摂エリアのほんの入り口付近だというからすごい。
勝尾寺ルート入り口の西田橋まで戻ってきて60kmと少々。東京に長く住んでいた感覚からすると、たったこれだけの距離で、これほどの山を走れるのは驚きしかない。
Route_01 五月山(さつきやま)
1km上れば大阪平野を一望できる絶景
池田駅そばから五月山ドライブウェイを走る。有料道路だが自転車は無料で通行可能。入ってすぐ10%超の急勾配がしばらく続く。1km弱で絶景スポット「秀望台」があり、大阪平野や大阪湾、神戸まで一望できる。愛宕神社を過ぎると勾配は落ち着き、アップダウンしつつ標高を上げていく。最終的には箕面川ダムの横、勝尾寺の裏へ至る。
Route Data_
五月山:五月山ドライブウェイ
距離:6.5km 獲得標高:433m 最高標高地点:475m
Route_02 勝尾寺(かつおうじ)
北摂ヒルクライム定番中の定番コース
ゴールは箕面の山の裏にある勝尾寺。初級者から上級者まで皆が走る、北摂ヒルクライムの聖地。西田橋交差点から上る東側のルートが一般的で、3km地点のT字路は左に曲がる。急坂はなく勾配の変化も激しくないので走りやすい。勝尾寺でUターンするも良し、さらに奥に行くも良し。西側ルートは箕面駅近くから府道43号を走り、箕面の滝の横を抜けていく。こちらは前半と後半の二段構えだ。
Route Data_
勝尾寺:府道4号、府道43号
距離:4.5km 獲得標高:249m 最高標高地点:359m
Route_03 妙見山(みょうけんさん)
北摂の霊山をロードバイクで攻略
関西では自転車乗りならずとも有名な能勢妙見山とあって目的地にぴったり。長く上るなら金石橋からの法輪寺ルートがオススメだ。まず約4km上って一山越える。前半が急勾配区間なので頑張ろう。少し下ってT字路を左折すると、妙見山の山頂へラスト1km、木々に囲まれたつづら折りをラストスパート。最後は駐車場ゲートまで踏みきろう。野間峠の東側から上るルートもあり、こちらも神秘的な景色と急坂が楽しめる。
Route Data_
妙見山・法輪寺ルート:府道4号、605号
距離:6.7km 獲得標高:398m 最高標高地点:649m
Route_04 狩待峠(かりまちとうげ)
短くも景色と勾配は走り応え十分
茨木市の北部、交流施設「見山の郷」そばの長谷口バス停前から上っていく。細い道で長谷の集落を抜けていくと徐々に急坂に。道は悪く苔も生え、とてもこの先に抜けられそうな雰囲気ではないが、構わず進むとやがて杉林の中の急勾配に。直登からつづら折りと抜けていくと、じきに何もないピークを越える。狩待峠自体は少し下った先の三叉路。さらにこの先数十mで府境を越え亀岡市となる。舗装が荒れているので下りは要注意。
Route Data_
狩待峠
距離:1.8km 獲得標高:146m 最高標高地点:464m
Route Map_
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峠BIKE:キャノンデール・スーパーシックスエボ カーボンディスク 105
全部取りのオールラウンド
ロードバイクの旗艦モデルとして展開されているスーパーシックスエボ。現行モデルは軽量性を保ちつつ空力性能を向上させて、キャノンデール歴代最速マシンとしての地位を揺るがないものにした。
翼断面の後端を切り落としたエアロチューブシェイプを的確に採用。丸形チューブと同等またはそれ以上の剛性を維持しながら、最大30%の空気抵抗を削減した。
低い位置で接続する特徴的なシートステーは、シートチューブのしなりを促し、シートバインダー内蔵により変形しやすくなったシートポストとの組み合わせにより、乗り心地と路面追従性が向上している。
クランクやハンドルなどのパーツを早くから自身で手掛けてきたキャノンデールらしく、フレームの設計思想と統一された完成車トータルでのまとまりの良さは今作でも健在だ。ロゴの主張を抑えたシンプルなグラフィックも、キャノンデール独自の世界観を作っている。
プロ選手も使うハイモッド版と、コストパフォーマンスに優れたノーマルモッド版が同じルックスで展開され、ハイエンドと同等の基本性能を低い価格帯まで幅広く届ける。
IMPRESSION:全方位的な高性能がハイコスパで手に入る
105モデルはカーボンロードではローエンドだが、パッケージの良さが光る高コスパ完成車になっている。剛性がハイモッドと同等に調整されたノーマルモッド版のフレームは、ハイモッド同様にマイルドな乗り味。一方で上りも小気味よく進み軽快だ。ディスクブレーキも違和感なく取り込めていて下りでも心強い。スタイルやフィールドを問わず幅広く遊べる一台。上位モデルは価格が2倍3倍となることを考えると、フレームの基本設計が共通なだけに、お得感は際立っている。
spec.
フレーム:カーボン
フォーク:カーボン
メインコンポ:シマノ・105
ホイール:フルクラム・レーシング900DB
タイヤ:ヴィットリア・ザフィーロプロスリック25C
ハンドル:キャノンデール・3
クランク:キャノンデール・1 & FSA・52/36
カラー:ブラックパール、アルパイン、レインボートラウト