関西ヒルクライムコースガイドpart2 和歌山 with ヨネックス
目次
近畿最南端の和歌山県は雄大な太平洋と険しい山々の両方がある自然豊かな県で、高野山など山岳信仰の聖地。険しい地形は現代的な都市の発展を阻んでいるが、その分手つかずの自然が多く、世界遺産登録でその価値は改めて注目されている。
“山の神”が3ルートを案内! 聖域・高野山ヒルクライム
弘法大師・空海が開いた「聖なる山」高野山も、現代ではロードバイクで走行可能。紀の川沿いから山頂までを上ってみよう。
Rider
森本 誠さん
日本の名だたるヒルクライムを制してきた“山の神”。特に乗鞍では4連覇を含む歴代最多タイの8度の優勝を誇る。出身は奈良県桜井市で高野山も近い。
海と山と自然が待つ近畿最南端
和歌山県は日本最大の半島である紀伊半島の西側に位置し、関西2府4県の中では唯一太平洋に面している。一方で南側の大半を紀伊山地が覆い尽くし、隆起と浸食により海のそばまで険しい山が切り立っている。まとまった平野は紀の川流域とその河口近くの和歌山平野以外はごく少なく、つまりほとんどが山地である。
9世紀に中国より真言密教を持ち帰った弘法大師・空海は、紀の川より紀伊山地へと入った峰々に囲まれた標高800mの盆地に、修験の道場として高野山を開き、現代に至るまで日本仏教の聖地の一つとなっている。和歌山には他にも熊野三山が県内にあり、奈良の吉野・大峯と併せて世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」に登録され、日本独自の山岳信仰の姿を今に伝えている。
近年では自転車による地域振興に力を入れており、国際ロードレース「ツール・ド・熊野」が20年以上にわたり開催されているほか、「サイクリング王国わかやま」を謳い、県内に魅力的なコースを設定している。
関西圏からサイクリングに訪れるならば、紀の川沿いをのどかに走るのがまずはオススメ。しかし紀の川のそばに北側は和泉山脈、南側には紀伊山地が連なる。和歌山の名に山の字があるとおり、山はいつでもどこからでもウェルカムだ。
距離が長いのでマイペースで
空海が高野山を開いたのは、1200年余り昔の平安時代。ちなみに高野山という名の山自体は存在せず、周囲を標高1000m級の山々に囲まれた山上の平坦部を高野山と称している。高野山を囲む8つの峰は「八葉の峰」と蓮の花びらに形容され、蓮の花を象徴する曼荼羅(まんだら)の中心に高野山があることを説いている。
現代では道路が整備され、高野山へ上る道も複数あるが、やはり昔からの総門である大門に向けて上るルートが代表的だ。国道を使う2ルートは標識も分かりやすく、特に迷うことはないだろう。勾配もそれほどキツくない。ただし全体の距離が20kmと長くなるので、最後まで失速しないペース配分が重要。ゴールまでの距離だけでなく、自分の巡航速度から所要時間を概算して、あと何十分走り続けるかを念頭に置けばペースをつかみやすいだろう。
ちなみに“山の神”こと森本さんにヒルクライムを速く走るコツを尋ねたが、「キツいところはマイペースで走れば、自然と人数が減っていく」だそうで、そこで遅れる側としては参考にならない回答だった。
ともあれマイペースが重要ということは間違いない。速い人は速く、速くない人はゆっくり。無理せずペダルをこぎ続ければ、いつか必ず頂上にたどり着けるのだ。
Route_01 高野山・九度山ルート
ダイナミックな渓谷の風景を楽しむ
真田幸村ゆかりの地の九度山町から前半は南海高野線沿いに、後半は国道480号のかつらぎルートと合流して大門に至る。スタート後しばらくは緩斜面で線路沿いの風景を楽しむと、木々に囲まれた山中に入り標高を稼いでいく。隙間から見下ろす風景がダイナミックだ。一瞬下って480号に入ると後半はほぼ2車線。途中右側が大きく開けるとゴールの大門が遠く望める。全体に激坂はないが勾配の変化にリズムを崩さず走ろう。
Route Data_
高野山・九度山ルート
距離:20.4km 獲得標高:970m 最高標高地点:883m
Route_02 高野山・かつらぎルート
定番ルートに旧道の梨子ノ木峠を添えて
紀の川沿いのかつらぎ町から、ほぼひたすら国道480号を走るルート。山奥といった感じは少なく、開けた里山の風景が中心で道も広い。最初から上りが続いた後、6km過ぎてしばらく平坦基調に。国道370号と合流する矢立の手前、志賀高野山トンネルは1km以上と長いので、旧道の梨子ノ木峠を通るルートにした。矢立からの後半は九度山ルートと同じ。
Route Data_
高野山・かつらぎルート
距離:20.2km 獲得標高:1007m 最高標高地点:883m
Route_03 丹生都比売神社(にうつひめじんじゃ)
いにしえの高野山参拝ルートをたどる
かつらぎ町三谷から、世界遺産に登録されている丹生都比売神社へ至るルート。近くを通る高野山参詣道の一つ、三谷坂(これも世界遺産)は急坂で知られており、当然こちらも急坂。前半は果樹畑と家々の間をクネクネと上る急勾配で一気に標高を稼ぐ。山中に入ると若干勾配は落ち着き、ピークを越え少し下ると隠れ里のような天野盆地に出る。ルートの奥へ進むと高野山にも上れる。
Route Data_
丹生都比売神社
距離:6.7km 獲得標高:482m 最高標高地点:554m
Route Map_
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峠BIKE:ヨネックス・カーボネックス
完全国産カーボンフレーム
テニスやバドミントンのラケットで世界的ブランドとして君臨するヨネックス。そのヨネックスが作るロードバイクの看板モデルがカーボネックスだ。出来合いのフレームにロゴを貼り付けただけのモノではなく、ラケットなども生産する新潟工場で、カーボンシートの切り出しから塗装仕上げに至るまで、全てハンドメイドの国内生産で作られている。
設計コンセプトは軽量性に置かれており、同時に万人に使いやすいオールラウンドな性能を志向。結果的にヒルクライムに最適なバイクに仕上がっている。塗装の重量を極限まで抑えたフェザーライトコート仕様も用意されている。
ヨネックスがラケット生産で培ってきたカーボン設計技術を惜しみなく投入。ナノサイエンスで樹脂の結合力を高めるXフラーレン、しなやかなチタン合金をカーボン材料に含ませたゴムメタル、一般的なコア材の250%高密度というマイクロコア、楕円断面のフレーム厚を薄くしてしならせ高いホールド性とコントロール性を両立するO.P.S.など、いずれも世界で戦うヨネックスのテクノロジーを生かしたものだ。
IMPRESSION:軽さと絶妙なしなり感がヒルクライムに最適
まず重量自体が軽いという点がヒルクライムにおける大きな武器と言えるだろう。ペダリングの感触は比較的ソフトで、長い上りでも最後まで体力を残して走れる。一方でトラクションが抜けてしまうこともなく、しっかりと推進力へと変換している。高い剛性感で一瞬のダッシュ力を生み出すタイプではなく、しなりを生かして軽快に上るバイク。乗り心地も良く、ホビーサイクリストにはオールラウンドに使える一台だ。
spec.
フレーム:カーボン
フォーク:カーボン
カラー:ピンク×グレー(新デザイン)、ブルー(新デザイン)、 ブルー×グリーン、グラファイト
サイズ:XXS、XS、S、M
※ディスクブレーキモデルあり