UCIワールドチーム使用のBMC・チームマシンSLR01を試乗!
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カデル・エヴァンスのツール総合優勝やフィリップ・ジルベールの世界戦制覇など、数々の勝利に貢献してきた軽量オールラウンダーのチームマシンSLR01。第2世代で独自の解析プログラム「ACEテクノロジー」を導入。第4世代となる2021年モデルでは、これに空力性能を加えた「ACE+」へと発展。デビューから10年が経過した今も最前線に立ち続ける。
チームクベカ・アソスが使用したチームマシンSLR01
元オーナーである故アンディ・リース氏は2000年にフォナック・サイクリングを創設するなど、BMCとトッププロチームとの関係は長い。2019年からは南ア国籍のディメンションデータに供給を開始。当チームは2020年にNTTプロサイクリング、そして2021年はチームクベカ・アソスへと名称を変更した。メインとして使用するのはもちろんチームマシンSLR01で、イタリア選手権&ヨーロッパ選手権の現王者、ジャコモ・ニッツォーロが所属する。
今回の試乗車-チームマシンSLR01スリー-
昨今のロードバイクにおけるトレンドの一つがコンパクトなリヤ三角だ。シートチューブをしならせて乗り心地を良くしたり、空力性能に貢献すると言われるこのドロップドシートステーを、2011年の初代モデルから採用しているのが、BMCのリアルレーシングバイクであるチームマシンSLR01だ。2014年には設計の根幹となるACE(アクセラレイテッド・コンポジット・エボリューション)テクノロジーという解析プログラムを採用した第2世代へ。そして2018年の第3世代ではディスクブレーキモデルが追加された。2021年に登場した最新の第4世代は、エアロダイナミクスが盛り込まれたのがポイントで、例えばヘッドチューブは前後に厚みを増しつつもカムテールデザインを採り入れることで、空気抵抗を減らしながら剛性も高めている。完成車のラインナップは3種類で、ここに紹介するのはフォースeTap AXSをアッセンブルするスリーだ。カラーは写真のメタリックオレンジ×カーボンのみとなる。
チームマシンSLR01スリーインプレッション-速いのに快適、だから脚が残せる!-
BMCにはタイムマシンロード01という、昨今のトレンドを盛り込んだエアロロードがラインナップされている。チームマシンSLR01も、専用設計のボトルケージまで採用するなどこの第4世代で空力性能を高めており、タイムマシーンロード01とどう差別化するのかと危惧していた。しかし、なかなかどうして、SLR01は初代からの流れをしっかりと汲んでおり、チームマシンらしさが愚直なまでに表現されている。
その走りはリアルレーシングバイクそのものだ。標準装備されるDTスイスのカーボンホイールとの相性もいいのだろう、加減速に対する反応にタイムラグがなく、およそ澄み切ったフィーリングなのだ。上半身を積極的に連動させてのダッシュやきつい上りのダンシングでは、ねじれ剛性の高さがひしひしと伝わってくる。これぞプロのための仕事道具だ。その一方で不思議なのは、中級以下のホビーライダーを寄せ付けない雰囲気が一切ないこと。その最たる理由は乗り心地の良さで、路面から伝わる振動のカドがうまく丸められている。これはTCC(チューンド・コンプライアンス・コンセプト)と呼ばれるBMC独自のテクノロジーにより、剛性と快適性のベストバランスを追求した結果だろう。
下りでは、車体が無駄に跳ねないからこそ視線がぶれにくく、高い速度域でも冷静に状況を判断できる。路面が刻々と変化するプロのレースシーンでは、これも大切な要素と言える。ドロップドシートステーで次なるフェーズへ移行した、BMCらしいオールラウンダーだ。
BMCについて〜故アンディ・リース氏の理想を具現化
1986年にアメリカ人のボブ・ブレローがラレーの輸入代理店として設立。1994年にBMC(バイシクル・マニュファクチャリング・カンパニー)というブランドを立ち上げ、スポーツサイクルの製造を開始した。2000年、故アンディ・リースがBMCを完全買収し、本拠地をスイスへ移す。2010年に初代チームマシンSLR01が誕生し、それを駆るカデル・エヴァンスが翌2011年にツール・ド・フランスを制するなど、トップブランドへと急成長した。
Teammachine SLR01 THREE
●完成車価格/94万円(税抜)
●フレーム/カーボン
●フォーク/カーボン
●メインコンポーネント/スラム・フォースeタップAXS
●ホイール/DTスイス・PRC1650dbスプライン
●タイヤ/ヴィットリア・コルサ700×25C
●ハンドル/BMC・RAB 02
●ステム/BMC・ICS2
●シートポスト/BMC・チームマシーンSLR01専用
●サドル/フィジーク・アンタレスバーサスエヴォR5