UCIワールドチーム使用のリドレー・ヘリウムSLXディスクを試乗!

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Presented by 2020 Mizutani Bicycle Co.,Ltd.

デビュー時はクライミングバイクとして、現在は軽量オールラウンダーとして、ロット・スーダルの選手から厚い信頼を得ているヘリウムSLXディスク。リムブレーキからの仕様変更にあたり、いたずらにエアロ化の波には乗らず、細身のラウンドチューブ形状を継続しつつ軽さと剛性を高次元でバランスさせてきた。まさに質実剛健な1台と言えるだろう。

ロット・スーダルが使用したヘリウムSLXディスク

2005年、リドレーが初めて供給したプロチームがロット・スーダルの前身であるダヴィタモン・ロットだ。2009〜2011年を除き、同郷であるロットチームとの関係は現在まで続いている。エアロロードのノアファストディスクを平坦ステージで、山岳を含むステージではこのヘリウムSLXディスクが使われることが多い。フィリップ・ジルベールやジョン・デゲンコルプ、ケイレブ・ユアン、トマス・デヘント、ティム・ウェレンスというビッグネームが名を連ねる。

今回の試乗車-ヘリウムSLXディスク-

リドレー・ヘリウムSLXディスク

ツール・ド・フランス総合優勝を目指すカデル・エヴァンスのリクエストにより、2007年にクライミングバイクとして誕生したヘリウム。その後、プロ選手の声をフィードバックしたモデルチェンジを繰り返し、2013年にはフレーム単体重量750gという超軽量なヘリウムSLが登場、2017年には重量をそのままに剛性を15%高めたヘリウムSLXへと進化してきた。そして2020年、満を持してディスクブレーキ仕様の「ヘリウムSLXディスク」が誕生した。

リムブレーキ版SLXのロードバイクらしいオーソドックスなスタイリングはそのままに、フォークコラムをD型断面とし、それによって生まれたスペースにケーブル類を通す「Fステアー」を採用。これによりヘッドエリアをボリュームアップせずにフル内装化を達成している。付け加えると、キャリパーマウントのある左フォークブレードや左チェーンステーも細身のままであり、これらはカーボン素材の精密かつ完璧なレイアップコントロールによる賜物だ。なお、ディスクブレーキ化による重量増はフレーム単体で75g、フォークで65gと、最小限に抑えられている。

試乗車はリドレーのパーツブランド、フォルツァのカーボンハンドルとアルミステムをアッセンブル。この組み合わせにより機械式コンポでのケーブル類のフル内装化を達成

60T/40/30Tという弾性率の異なるハイモジュラスカーボンを巧みに組み合わせる。ダウンチューブはPF30を採用するBBエリアに向かって縦から横方向へと断面形状を変える

ヘリウムのアイデンティティとも言える極限までシェイプされた極細のシートステーは、リムブレーキ版と同様に横方向に偏平している。剛性を最適化するために設けられたブリッジの造型が美しい

ストレート形状のフォークは、見た目こそ極細だが剛性は非常に高い。エンドはもちろんスルーアクスルで、規格はフロント12×100mm、リヤ12×142mm(ピッチ1.5)だ

タイヤは最大28mm幅まで許容する。試乗車はコンチネンタル・GP5000の25Cを装着しており、フォークとも十分なクリアランスが確保されていることを確認

フォークコラムをD型断面とし、それによって生まれたスペースにケーブル類を通す「Fステアー」を採用。1-1/8インチの一般的なステムが使えるというのも大きなポイントだ

ヘリウムSLXディスクインプレッション-しなやかな体躯、コスパは最強クラス-

インプレッションライダー/大屋雄一:初めて購入したカーボンフレームがリドレーのエクスカリバーだったというフリーランスライター。自転車はジャンルを問わず探究心旺盛で、モータースポーツにも造詣が深い。

試乗車は、ホイールやサドルなどコンポ以外のパーツを自分の好みに合わせて用意する「バイククラフト」によってアッセンブルされたもので、ハンドルとステムはこのヘリウムSLXディスクのケーブル類フル内装化に対応したフォルツァの製品が使われている。奇をてらわない細身のシルエットでありながら、コックピットにおけるケーブル類の露出はゼロ。空気抵抗の低減に対する執念が伝わってくるようだ。

走りについては、秀逸な剛性バランスが印象的だ。ヘッドチューブからBBエリアにかけてプロユースモデルらしい高剛性を感じさせつつも、わずかなしなりによって気持ち良く速度を上げていく。加えて、極限までシェイプされたシートステーの効果もあってか、リヤホイールの路面追従性が高く、荒れた路面でトラクションが抜けにくい。まさに“しなやかな体躯”というイメージにピッタリだ。

本領を発揮するのはやはり上りで、踏み込みに対するレスポンスがいいだけでなく、そのあとに伸びるような感覚すらある。そして、細身のフォークは見た目とは裏腹に剛性が高く、フロントブレーキを残しながら下りコーナーに進入してもラインの自由度が高い。

高速での巡航性能や、30km/h付近からの加速については、エアロロードのノアファストディスクに軍配が上がるが、オールマイティさなら断然ヘリウムSLXディスクだ。何より驚きなのが、これだけ高いポテンシャルを秘めたプロユースモデルのフレームセットが34万円で入手できてしまうこと。コストパフォーマンスという単語はこのモデルのためにあるといってもいい。

リドレーについて-ベルギーの過酷な環境で鍛えられたブランド-

ヨーキム・アーツが自分の理想的な自転車を作るため、1997年に立ち上げたブランドがリドレーだ。2002年には事業拡大を目指してベルギー本社を拡張、そして翌2003年に不朽の名作であるダモクレスを発表する。2005年からはトッププロチームへの供給をスタートし、リドレーのバイクは三大ツールを筆頭に数々のレースで勝利を挙げることに。そして、プロ選手から得られた貴重な意見やアドバイスが、全ての製品にフィードバックされているのだ。

Helium SLX Disc

●価格/34万円(フレームセット・税抜)
●フレーム/カーボン
●フォーク/カーボン
●メインコンポーネント/シマノ・デュラエース ※試乗車
●ホイール/ウルサス・ミウラTC37ディスク ※試乗車
●タイヤ/コンチネンタル・GP5000 25c ※試乗車
●ハンドル/フォルツァ ・シラスプロ ※試乗車
●ステム/フォルツァ ・シラス ※試乗車
●シートポスト/フォルツァ ・シラスプロ ※試乗車
●サドル/セラSMP・ダイナミック ※試乗車