ロード用ビンディングシューズ&SPD-SLを選ぶべき人とは?
目次
ロードバイクでビンディングシステムを選ぶときに代表的なのはシマノのSPDかSPD-SLだが、どちらを選ぶべきなのか。前回の「ロードバイク+SPDシューズの組み合わせが今アツい!」の記事に続き、今回はロードバイク+SPD-SLの組み合わせの特徴や魅力についてまとめてみよう。
ロード用ビンディングシューズとシマノSPD-SLの特徴&メリット
まずはロード用ビンディングシューズと、代表的なビンディングシステムのシマノ・SPD-SLについて、その特徴とメリットについて整理してみよう。今回も識者としてバイシクルセオ 船橋ガレージの堀江正展店長に話を聞いた。
ペダリング効率を最大化
「まず、ロード用ビンディングシューズとは、ロードバイクで舗装路を走るときのペダリング効率を最大化するように設計されたタイプのシューズです。対応するのは、ロード用のビンディングシステムです」。
歩くのは苦手
「よって、歩くことは主眼に置かれていないので、歩くのには向きません。クリートと呼ばれるペダルにシューズを固定する部品がむき出しになっており、アウトソールには歩くためのラバーなどはほとんど設けられていません」。
「このシューズに対応する最も代表的なビンディングシステムは、シマノのSPD-SLです。ペダルの価格帯のバリエーションが広く、クリートキャッチのしやすさや調整幅の広さ、外しやすさなどでバランスが取れています」。
「クリートは3種類で、それぞれ足首を左右に振れる遊びの角度が異なります。取り付け位置は、前後・左右・角度とSPDよりも細かな調整が可能です。
ペダルからシューズ(クリート)を外すときは、足首をかかとが外側を向くようにひねります。シマノのベースグレードのペダルでは、「ライトアクション」という仕様でビンディングの固定力が弱めになっており、初心者でも簡単に着脱できるタイプがあります。
なお、ロード用ビンディングシューズは歩くのに向かないと説明しましたが、これは前回の記事でも指摘したのですが、シマノのクリートは他社に比べて相当歩きやすいし、滑りにくい方です」。
ロード用ビンディングシューズ+SPD-SLを選ぶべき人とは?
「これも前回の記事で説明しましたが、やはり大切となるのは“何を目的にするか”ということ。ロードバイクに乗っている人でSPD-SLをおすすめする人としては、まずは“乗ることをメインで楽しむ人”です。
例えば、レースに出ないサイクリング派の人でも、ライド途中で歩くのはコンビニに寄るときだけ、とか、食事処やカフェに寄ってきれいな床面を少し歩く程度だとか、その程度しか歩く場面がない人ですね。ロードバイクに乗って走ることそのものが目的ということです。
長距離ライドをメインで楽しみたい方にもおすすめです。例えば100km〜200kmを毎週末コンスタントに走るというような人なら、パワーの伝達効率に優れたロード用ビンディングシューズにSPD-SLの組み合わせが有利です。また、長距離ライドなら途中どこかに頻繁に立ち寄っていると時間がなくなってしまいますし、それがメインの目的とはなりにくいでしょう。
もう一つは(オンロードの)レースに出る方です。ロードレースはもちろん、ヒルクライムレースやエンデューロレースなど、パフォーマンスを求めるのでこれはSPD-SL一択でしょう」。
シマノSPD-SLユーザーズボイス〜大宅陽子さん/宮本 亘さん/辰 育夫さん
ここからは、SPD-SLを運用しているライダーの実例を、いくつか参考として紹介したい。
ヨガインストラクター/YouTuber 大宅陽子さん
はじめに、ヨガインストラクター/自転車系YouTuberの大宅陽子さんだ。
「スポーツバイク歴は約10年です。初めて買ったバイクはシクロクロスで、オンロードのサイクリングを中心にそれで楽しんでいました。また、そのバイクでほぼ毎日往復30kmほどの自転車通勤をしていました。
初めてのビンディングはXC(クロスカントリー)用シューズ+シマノのSPDでした。このシクロクロスに組み合わせて、サイクリングと通勤の両方で使っていましたね。これでビンディングに慣れるためと、仕事帰りにスーパーで頻繁に買物をしていたので、そのとき歩きやすいようにと(笑)」と大宅さん。
そんな彼女がSPD-SLを使い始めたきっかけは?
「だんだんヒルクライムにはまっていって、大会にも出てみたいなと思ったんです。そこでロードバイクを購入して、合わせてロード用ビンディングシューズとタイムのロード用ビンディングペダルを購入しました。
しばらくはタイムを使っていたんですけど、プロトレーナーに指導を受けるようになり、ポジションが出しやすいということでシマノのSPD-SLをすすめられ、それからはシマノ派になりました」。
「ロードバイクに乗るときは歩きまわることはしないので、基本的に全てSPD-SLです。レースはもちろん、ふだんのライドでもそうです。電車で輪行してヒルクライムしに行くときもそう。電車に乗るときはロード用ビンディングシューズをリュック等に入れておき、スニーカーを履いています。降車駅でコインロッカーに荷物を入れて、サイクリングウェア+ロード用ビンディングシューズで走るのが基本です。これは現在でもそうですね」。
「シマノのSPD-SLのいいところは、“安心感”。癖がなくて使いやすいし、ポジションが出しやすいし、どんなお店でも扱っていて万能です。あと、耐久性がすごく高いのもいいです。今後もずっとSPD-SLを使い続けると思います」。
宮本 亘さん
続いて、一般のユーザーとして宮本 亘さんの事例を紹介しよう。
宮本さんはなかなかの健脚で、過酷な長距離ライドイベントとして知られる「THE PEAKS」の初期シリーズを全て完走した数少ないライダーの一人だ。最近はコロナ禍で大会には出ていないが、ロードバイクでハードな長距離ライドを楽しんでいる。
「ロードバイク歴は約10年です。それまではクロスバイクに乗っていて、最初は片面フラットペダル・片面SPDのペダルを使っていて、SPDユーザーでした。ロードバイクに乗り換えてからショップにすすめられ、シマノのSPD-SLにしました。
ロードバイクに乗るときは、SPD-SL以外は使いません。ライド中には、きれいな景色の場所があれば止まって写真を撮ることがあるし、また結構SPD-SLのまま歩くことも多いです。そのときはクリートカバーを装着しています。慣れれば、それで全然問題なく歩けてしまいますよ」。
「SPD-SL以外は使ったことがないのですが、踏面が大きく足裏全体で踏める感じがします。ペダルはデュラエースグレードのPD-R9000を使っていますが、固定力を最弱にするとかなり外しやすいです。
ロードバイクで走ることを主体にしたい人なら、SPD-SLを選ぶのがいいと思います」。
辰 育夫さん
最後に、宮本さんの自転車仲間の辰 育夫さんの事例を紹介しよう。
辰さんはヒルクライムレースに出場したり、仲間とグループライドを楽しんでいるサイクリストだ(ただし、現在はコロナ禍により自粛中)。
「中学・高校のとき、通学でロードバイクに乗っていて、40歳になってから再開しました。そのとき、ビンディングとしてシマノSPD-SLを選びました。買ったバイクのコンポーネントがシマノだったので、それに合わせてシューズまでシマノにして、それ以来ずっとシューズ含めてシマノ一筋です。
最近は大会には出ていませんがヒルクライムレース派なので、やはりシューズとビンディングシステムのトータルの軽さでSPD-SLを使っています。サイクリングもしますが、そのときはコンビニとトイレ、食事処に寄ったりするくらいでそれほど歩かないので、やはりSPD-SLです。
シマノSPD-SLの魅力は、シューズも含めてコンポーネントとトータルコーディネートできるところですね。あと、クリートをはめるときのパチッという音がテンションを上げてくれます(笑)」。
「シマノ一筋と言いましたが、実は一時期ペダル型パワーメーターを使うために別のブランドのクリートにしたことがあるんです。そのとき、そのクリートがあまりにも滑るので、驚きました。SPD-SLのクリートは滑りにくいように加工されていて、その恩恵は大きかったんだなと実感したんです。そうした、あまり気を遣わずに使用できる点も、シマノの魅力だと思います」。
編集部おすすめ シマノ ロード用ビンディングシューズ&ペダル
S-PHYRE RC9
S-PHYRE(エスファイヤ)の名を冠する、シマノ最高グレードのロード用ビンディングシューズ。360°サラウンドラップ構造のアッパーによって、あらゆるライダーに適応する優れたフィット感を実現する。レースからハードなロングライドまで、最高のペダリングパフォーマンスを求める人は選びたい一足だ。ペダルには同じく最高グレードのPD-R9100を合わせたい。
RC3
ミドルグレードのロード用ビンディングシューズ。価格は約1万5000円ながらフラッグシップモデルのテクノロジーを受け継いでおり、優れたフィット感と高いペダリング効率を実現している。価格以上に高級感のあるスタイリッシュなフォルムも魅力的だ。ベテランライダーからビンディングシューズデビューするライダーまで、あらゆる人におすすめできるアイテムだ。合わせて使いたいペダルは同じくミドルグレードのPD-R7000。
RC1
エントリーグレードのロード用ビンディングシューズ。3本のストラップで締めるシンプルな構造で、締め付け圧力の細かな調整が可能。ヒールパッドが幅広で丈夫に作られており、歩行時の安定性も確保されている。1万円を切る価格で初めてのビンディングシューズにぴったりの一足であり、十分にこれでレース参戦も可能なポテンシャルも持つ。合わせて使いたいペダルはPD-RS500。
PD-R9100
デュラエースグレードのシマノ最高級となるロード用ビンディングペダル。重量は228gと軽量に仕上がっており、かつ剛性とのバランスも最適化されている。ボディ素材はカーボンコンポジットだ。ペダル軸長はノーマルタイプとプラス4mmのロングタイプをラインアップする。
PD-R7000
105グレードに当たる、ミドルグレードのロード用ビンディングペダル。しかしカーボンボディ採用で265gと上位グレード並の軽さを誇り、広い踏面でパワーの伝達効率も高い。一方で耐久性に優れたステンレス製のボディープレートを配するなど、耐久性も高められているのがうれしい。
PD-RS500
ビンディング初心者に最適な、着脱のしやすさが特徴のエントリーグレードのロード用ビンディングペダル。クリートの固定力が弱めに設定され、開口部も大きく設けられているので、ステップイン/アウトがしやすい。一方で踏面はワイドでパワー伝達力に優れており、レースからロングライドまで、オールラウンドに活躍する一品だ。