東京サイクリング23区編コース6 隅田川の橋めぐり

目次

荒川の岩淵水門を起点とし、下町を貫いて東京湾に注ぐ隅田川。長さ約24kmの流域に300万人が暮らし、多くの橋が両岸を結ぶ。2018年には最下流に築地大橋が開通し、さらに「すみだリバーウォーク」が2020年に加わった。これによって、自転車で通行できる隅田川の橋は合計27。そのすべてを一気に体験しようというのが本コースだ。

清洲橋

重要文化財に指定されている清洲橋。関東大震災の復興事業として1928年に竣工。「帝都を守るツインゲート」と呼ばれ、その姿は女性的とされる

すみだリバーウォーク

東武スカイツリーラインの鉄橋に設けられた「すみだリバーウォーク」。自転車は押し歩けば通行OKだ

 

コース情報

走行距離 約34km

赤羽駅→尾久橋→千住大橋→言問橋→吾妻橋→両国橋→中央大橋→築地大橋→新橋駅

コースデータはこちら

東京サイクリングコース6の地図

自転車で通行できる27橋
①新神谷橋
②新田橋
③新豊橋
④豊島橋
⑤小台橋
⑥尾久橋
⑦尾竹橋
⑧千住大橋
⑨千住汐入大橋
⑩水神大橋
⑪白鬚橋
⑫桜橋
⑬言問橋
⑭東武花川戸鉄道橋
⑮吾妻橋
⑯駒形橋
⑰厩橋
⑱蔵前橋
⑲両国橋
⑳新大橋
㉑清洲橋
㉒隅田川大橋
㉓永代橋
㉔中央大橋
㉕佃大橋
㉖勝鬨橋
㉗築地大橋

 

個性豊かな新旧の橋

隅田川にサイクリングロードはない。高度経済成長期になりふり構わず治水事業が進められたので、荒川や多摩川と異なって広い河川敷がほとんど存在せず、かつて「カミソリ堤防」と揶や揄ゆされた薄く直立したコンクリート堤防で街と分断されている。近年は傾斜が緩いスーパー堤防やテラスが随所に設けられて、だいぶ景観がよくなったが、自転車の乗り入れは禁止されている区間も多い。

隅田川の年季の入った煙突

年季の入った煙突やカミソリ堤防が残る区間もあり、昭和時代の隅田川を思わせる

新豊橋~豊島橋の間

川筋が大きく蛇行する新豊橋~豊島橋の間はスーパー堤防が整備され、土手の上が爽快。上流部のハイライトだ

豊島橋

首都高をバックに架かる豊島橋。ここから下流は両岸とも歩行者用のテラスとなるため、しばし住宅街を進もう

それでもなお自転車で隅田川沿いを走ろうと思わせるのは、架かる橋の多くが個性的で見晴らしもよいからだ。サイクリングロードがないからこそ、自分で道を選び、パズルを解くように行程を組む面白さもある。

隅田川の鉄道橋

鉄道橋や水道橋も多い。それらを合わせると、隅田川に架かる橋の数は30を超える

尾久橋

日暮里・舎人ライナーを乗せた尾久橋。これで右岸に渡れば、しばらく川沿いを走れる(わずかに階段あり

尾竹橋

自転車専用レーンがあって渡りやすい尾竹橋。帝京大学のキャンパスと共に緑地が整備されている

千住大橋

千住大橋には新旧および橋下の小橋があるが、自転車は昭和2年に竣工した千住大橋(旧橋)を進む

千住小橋

千住大橋の下へ階段で潜り込むと「小橋」がある。徳川将軍が利用した湊や松尾芭蕉に関する史跡もある

桜橋

X字型に架かる桜橋は、歩行者と自転車用の橋。優美なデザインで墨田区と台東区の公園を結ぶ

すみだリバーウォーク

浅草と東京スカイツリーを最短距離で行き来できる「すみだリバーウォーク」。ウッドデッキ風の歩道橋だ

吾妻橋とスーパードライホール

赤い欄干が瀟洒な吾妻橋と、金色のモニュメントが乗るスーパードライホール。隅田川といえばこの風景

佃島

隅田川下流のハイライトは、中央大橋で渡る佃島。リバーシティと呼ばれる高層マンション群と佃煮の老舗が共存する

勝鬨橋

跳ね橋として知られる勝鬨橋。お台場へ向かう晴海通りが通るので、何かと渡る機会が多い橋だ

築地大橋

勝鬨橋の下流に新設された築地大橋。自転車はスロープもしくはエレベーターで上り、歩道を進む

隅田川の橋は夜も美しい

隅田川の橋梁群を観光資源として一段と活用すべく、東京都は12橋のライトアップを整備し、日没の15分後から23時まで点灯を実施している。写真はひときわ美しく照らし出された吾妻橋。なお、日没後のサイクリングは、十分に明るい前後のライトと防寒着をお忘れなく。

夜の隅田川

 

使用バイク:ジェイミス・セクエルS2

自転車の性格はタイヤを見ればだいたいわかる。太いほど安定感が増して乗り心地がよく、段差や荒れた路面も走破できる。逆にタイヤが細いほど、整った路面は軽快でスムーズに加速できる。具体的な目安としては、幅30mmくらいが境だ。それより太ければ前者の性格を、細ければ後者の性格を追求した自転車といえる。

近年のスポーツ自転車のトレンドは、間違いなく太いタイヤを志向している。ここで紹介するジェイミスのセクエルS2も、650×47C(mm)というサイズのかなり太いタイヤが特徴だ。フラットハンドルなので一般的なクロスバイクと同じような扱いやすさがありながら、タフなスチール製フレームとフォークに多くの荷物積載ポイントを備えており、キャンプ道具をがっつり積むような本格的なツーリングも楽しめる。いわば自転車のSUVであり、ジェイミスらしい遊び心と実用性を兼ね備えたアドベンチャーバイクだ。

セクエルS2

レイノルズ520という上質なスチールパイプを使ったフレームワークが魅力

ジェイミス・セクエルS2
価格:12万9800円

問:ジェイミスジャパン

セクエルS2のトップチューブ

長めのフレーム(トップチューブ)に短いステムを組み合わせることで、抜群の安定感を発揮。荷物を積んでも安心して走ることができる設計だ

セクエルS2のフォーク

セクエルS2のクランク

セクエルS2のカセット

フロントは変速機構がないシングルギア。これにグッとワイドな10速カセットを組み合わせることで、直感的でシンプルな走行フィールが味わえる

セクエルS2で隅田川の橋を走行

太いタイヤが振動を吸収するので疲れにくく、舗装路の転がりも滑らか

 

今回ピックアップした魅力いっぱいのコースだけでなく、ほかにもたくさんのコースを紹介しているサイクルスポーツ特別編集「東京サイクリング 23区編」は都民や近隣にお住いの方はもちろん、観光やビジネスで東京を訪れる人も楽しめるコース情報が満載。江戸・東京の魅力を、自転車で存分に味わうためのノウハウが凝縮した一冊です。

協力:Life Creation Space OVE

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