自転車日本縦断の最年少記録にチャレンジ中の富樫風虎（ふうと）くん（11歳＝小学5年生）はおよそ2000kmを走破して中国地方に入った。島根県に到着したばかりの風虎くんに再びインタビューしてきた。

島根県安来市を走る富樫さん親子

旅の無事を祈り、富樫さんたちに、ライター・大前が自前のヘルメットを届けた

第2週目まではこちら
https://www.cyclesports.jp/news/others/51574/

8/10 新潟県村上市滞在（お父さんの実家）
8/11 村上市〜笹川流れ〜村上市
8/12 村上市〜燕市
8/13 燕市〜上越市
8/14 雨のため停滞
8/15 上越市〜富山県滑川市
8/16 滑川市〜小矢部市
8/17 小矢部市〜石川県金沢市〜白山市
8/18 白山市〜小松市粟津温泉
8/19 小松市〜福井県鯖江市
8/20 鯖江市〜小浜市
8/21 小浜市〜京都府宮津市
8/22 宮津市〜天橋立〜兵庫県豊岡市
8/23 豊岡市〜新温泉町
8/24 新温泉町〜鳥取県鳥取市
8/25 鳥取市〜島根県安来市

JR山陰本線由良駅（鳥取県）にて

日本最北端の宗谷岬を出発してちょうど1カ月、走った距離は2150kmほどだから、平均すれば1日70kmくらいになる。簡単に走れそうに思うかもしれないが、今年の北海道はたいへん暑く、そして8月は本州に線状降水帯が居座り、サイクリングにとってはかなりの悪条件が重なった。

しかも風虎くんは11歳だ。キャンプ装備を積んだランドナーで走る日本縦断およそ3000kmは、本当に長い長い旅となってきた。学校の夏休みより早く旅に出たけれど、このままいけば佐多岬に着く前に学校の夏休みは終わってしまいそうだ。

オリンピックの開会式を稚内のライダーハウスで見た風虎くん、そのオリンピックはもう終わり、パラリンピックが始まった。「佐多岬にゴールするのはパラリンピックが終わるころなんじゃないかな」と話すのは、お父さんの富樫克美さんだ。お父さんの会社も大丈夫ですか〜？

「ちょっと疲れてきた」。正直にこう話す風虎くん。「寝たら疲れはとれるよ。楽しいから大丈夫だけど、疲れてきた」。
しかも「毎日雨じゃん。1日の3分の1が晴れるくらいで、あとは雨。アップダウンは思ったほどキツくなかったけど、こんなに疲れるんだ、と思った。距離もあるけど、こんなに疲れると思わなかった」。

本州に入ってからコースはおおむね日本海側を走っている。ただ、幹線である一桁国道が自動車専用道路になっている場合が多く、迂回路が峠越えになっていたりと特に新潟以降で苦労が続く。「北海道だったら（1日）100kmは普通だった。こちらに来ると道に迷うし時間は食うし。時間があれば走れるけど、アップダウンがあって疲れもある。走ってきて最後の方（現在地の中国地方のあたり）に来て山があるから、よけいに疲れる」と風虎くん。

ハワイ海水浴場（鳥取県）付近にて休憩する富樫さん親子

宇野海水浴場（鳥取県）付近を走る

風虎くんは、ルート沿いの道の駅には必ず立ち寄って、スタンプを押している。「寄り道はしていないよ。だけど、通り道で『ここ面白そうだな』と思ったら寄ってる。

一番楽しかったのは（石川県）小松市の日本自動車博物館。でもなぜかワーゲンバスがなかった。タイプ1（ビートル）しかなかった」と話す。キャンピングカーに改造したワーゲンバスに乗り、ハーレーにも跨がるお父さんの影響がハッキリ見てとれる。この親子旅は大変だけど、とても楽しそうだ。

風虎くんがスタンプ帳を見せてくれた。日記帳も兼ねている

道の駅あらエッサ（島根県）で準備をする

メカトラはほとんどないという。風虎くんもお父さんもパンクはゼロだ。後ろを走っていることが多い風虎くんのブレーキシューが減ってきて、自転車屋さんを探して交換した。「前のは柔らかくて効くんだけど減りやすかった（ダイヤコンペDC980）。今度のは減りはないけど堅いから、前の方が効く」。ブレーキシューのインプレも一人前だ！

「日本って広い。思ったより広かった。日本って楽しいな」と言う風虎くんだが、正直に「飽きてきた」とも話す。「新潟の家（村上市にあるお父さんの実家）がなかったら、たぶん諦めてた可能性が高い」。慣れ親しんだ田舎の家でゆっくり休み、海で遊んだり友達に会ったりしてリフレッシュできたから、続けることができたのだという。

「でも諦めない。止めるのはイヤだ。諦めるんだったら九州入ってから」というので、「九州に入ったらもうあと500kmもないよ」と教えたら「え、そうなの？　500だったら頑張ったら５日…６日くらいで行けちゃう！　1日100kmを5日はキツいけどね」と風虎くん。

すでに行程は3分の2を過ぎた。もうあと10日ほどでゴールだ！頑張れ風虎くん〜!!

お父さんの実家（新潟県村上市）のすぐ先が山形県境

バイクツーリング仲間が新潟まで応援に来てくれた

風虎くんのインスタグラム