東京発! サイクリング コース4 奥多摩むかし道
目次
奥多摩湖周辺は、都内で本格的な峠越えを楽しめる人気エリアだ。奥多摩町と檜原村を結ぶ奥多摩周遊道路には、都内で一番標高がある風張峠があり、休日はサイクリストやライダーでにぎわう……のは確かだが、標高1000mもある峠を越えるのはちょっと……という方も多いはず。ご安心を。奥多摩の魅力は峠越えだけではない。「奥多摩むかし道」という古道が青梅街道に沿って延びており、これが非常に面白い。
新宿から始まる青梅街道を西へ西へと走れば奥多摩に着くが、その距離はおよそ60kmもある。東京西部にお住まいなら自走圏内だが、JR中央線とJR青梅線で輪行するのが手っ取り早い。終着の奥多摩駅の標高は343mもあり、都内で最も高い駅としても有名だ。
コース情報
走行距離 約17km
奥多摩駅→(約50分・約4km)→境の清泉→(約20分・約2km)→しだくら橋→(約50分・約4km)→水根→(約10分・約1km)→奥多摩湖→(約30分・約6km)→奥多摩駅
アクセス
JR青梅線の中核となる青梅駅は、レトロ映画の看板などが構内を飾っており、旅情を感じさせる。終着の奥多摩駅は山小屋風の駅舎が見どころ。新宿から青梅までは快速列車で1時間ほどだが、青梅線内は距離の割に時間がかかり、奥多摩駅まで合計2時間弱ほど。料金は1100円と非常にリーズナブル。
廃線跡と共に古の青梅街道を進む「奥多摩むかし道」
駅を出ると、すぐに奥多摩むかし道への分岐が現れる。サイクリストの多くは青梅街道である国道411号を進むが、だらだら上りでトンネルも多いので、むかし道のほうが癒される。基本的にはハイカー向けなので、砂利道が現れたり階段を押し上げたりする箇所もあるが、楽に乗車できる舗装路の区間も長い。沿道には奥多摩湖(小河内ダム)を作る際に敷設された貨物線の跡があり、味わい深い橋梁やトンネルが現存している。下流域では大河のような多摩川も、ここではまだ細い渓流だ。
多摩川が刻んだ谷筋に延びる「むかし道」は青梅街道の旧道に相当する。現在の青梅街道は柳沢峠を越えて山梨県の塩山(甲州市)に出るが、かつての旧街道は大菩薩峠を越えていた。険しいが甲州街道(現在の国道20号)よりも近道だったという。むかし道沿いには、いわくのある地蔵尊や宿場を思わせる馬の水飲み場などが今も残り、かつては多くの人が行き交ったことを思わせる。対岸へ渡るための吊り橋が2ケ所あり、はるか足の下を流れる多摩川を見下ろすこともできる。
西久保の切り返しから先に、押し歩くことになる急坂が現れる。数分で越えられるが、歩きやすい靴を選んでおきたい。道中には小河内ダムの堤体を見下ろすビューポイントもあり、青梅街道からは見ることができないアングルなので新鮮だ。後半は下りになり、未舗装路に慣れた人なら乗車したまま進める区間が長い。くれぐれもハイカー優先で、すれちがう際は停車して道を譲ろう。舗装の林道に合流したら、奥多摩湖はすぐそこ。さっきまでの山深さがうそのように広々とした湖面が広がる。まだまだ走り足りないという人は、湖畔に沿って奥多摩周遊道路を進めば、風張峠越えで五日市に出ることができる。青梅街道で来た方向へ戻れば、下り基調なのであっという間に奥多摩駅だ。舗装路とトンネルのありがたみを実感するだろう。
使用バイク:BASSO TERRA
旅の可能性を広げるグラベルバイク
BASSO TERRA
価格:21万7800円
問:ジョブインターナショナル
見慣れたロードバイクに似ているけれど、グッと太いタイヤがいかにも頼もしい……それがグラベルバイクと呼ばれる新しいジャンルの自転車だ。タイヤが太ければ乗り心地がよくなり、悪路の走破性が高まり、荷物を積んだシーンでも安定して走ることができることから、旅情志向のサイクリング〜ツーリング〜には最適だ。ここで紹介するバッソ・テラは、スマートなスチールフレームが目を引くイタリアングラベルバイク。走りの要となるタイヤは700×38C(mm)のパナレーサー・グラベルキングSKを標準装備し、舗装路も砂利道もスムーズに走ることができる。変速メカにシマノ・GRXを搭載し、どんな急坂も余裕でこなせる実力派だ。
今回ピックアップした魅力いっぱいのコースだけでなく、他にもたくさんのコースを紹介しているサイクルスポーツ特別編集「東京発! サイクリング」は、都民や近県にお住まいで、自転車通勤や休日ライドによってサイクリングに関心が高まっている方へ贈るコースガイドです。都心から自走圏内、もしくは輪行で1時間〜2時間ほどでアクセスできる関東近郊での、超おすすめなサイクリングコースを紹介します。巻頭では、関東を代表する5つの自転車道を徹底リポート。輪行の方法もわかりやすく解説します。日帰りから一泊二日で楽しめる、自転車をとおした「大人の遠足」を提案します。