東京発! サイクリング コース7 佐原・銚子サイクリング
目次
利根川の水運で栄えた商都であり、「小江戸」どころか「江戸優り」とも称されるのが北総(千葉県北部)の佐原だ。その伝統的な街並みと、利根川の河口に広がる銚子のダイナミックな景観の双方を、一日で満喫する欲張りなコースを紹介しよう。佐原と銚子は50km近く離れているが、自転車にとって高速道路のような存在である利根川自転車道を利用できるので、とても効率よく移動することができる。一般道を利用する区間も平坦基調で、厳しい坂は少ないエリアとなる。だから街めぐりのポタリングとロングライドの両立もできてしまうのだ。
コース情報
走行距離 約59km
佐原駅→(約60分・約4km)→香取神宮→(約30分・約3km)→利根川自転車道→(約170分・約36km)→銚子大橋→(約50分・約9km)→犬吠埼→(約30分・約5km)→屏風ヶ浦→(約20分・約3km)→外川駅
アクセス
スタート地点とゴール地点が離れていても問題にならないのが輪行の魅力。JR銚子駅からは、やや本数は少ないが特急を利用できるので、東京・新宿へ効率よく移動できる。佐原駅、銚子駅のいずれもサイクルトレイン「B.B.BASE」が停車するが、同じ駅に戻らないとならないので周回コースを設定する必要がある。
伊能忠敬ゆかりの佐原は「江戸優り」
「小江戸」と呼ばれる街はあちこちに存在するが、その多くは武士が作った城下町だ。他と異なる佐原の特色は、商人が作り出した水郷の街であることだろう。醤油などの醸造で栄え、利根川を利用して江戸と交流し、その文化を取り入れてきたという。佐原には江戸時代の情緒を色濃く残した歴史景観が残っており、小野川沿いに商家や町家が並ぶ重要伝統的建造物保存地区の様子は圧巻だ。今も伝統的な家業を続けている商家が多く、「生きている町並み」と称されている。自転車でぶらりと街を見て回るだけで、まるで江戸時代へ時間旅行しているようだ。
そして佐原といえば、日本で初めて実測による全国地図を作った伊能忠敬ゆかりの地としても知られている。地図を見る機会が多いサイクリストとしては、敬意を払いたい偉人だろう。記念館に立ち寄れば、非常に正確な伊能図や測量に使われたさまざまな器具を間近に見ることができる。関係資料の美しい写真を掲載した図録(資料集)も必読だ。
街の入り口になるのは、JR成田線の佐原駅。本格的なサイクルトレイン「B.B.BASE」が停車することでも知られ、サイクリスト歓迎ムードにあふれているのがうれしい。普通列車を乗り継ぐと都心から2時間近くかかるが(シーズン限定で新宿から直通の特急も走っている)、その価値は大いにあるエリアだ。関東屈指の由緒がある香取神宮も近い。ぜひ参拝し、旅の無事を祈ってから利根川自転車道に出よう。
佐原の街を後にして、3kmほど進むと香取神宮の参道が現れる。広い駐車場から続く表参道には華やかな茶店などが連なり、「休んでいきなせ〜」と声がかかる。楼門の横手に通じる旧参道は自転車で進めるので、こちらで参拝してから表参道を散歩するのがおすすめだ。
利根川自転車道は、香取神宮のすぐ北にある。土手の入り口にも鳥居が立っており、かつては船で参拝した人が多かったことを思わせる。いったん土手に上がってしまえば、信号とクルマが皆無の自転車道が河口の15km手前まで続いている。全部走ると距離250kmを超える利根川自転車道だが、香取〜銚子の30kmだけでもスケールの大きさは十分に味わえるはずだ。
ここに限らず川沿いの自転車道を走る際は、逆風だと果てしなくツライ。事前に風向き予報を確かめておこう。風向き次第で、今回はゴールとした銚子エリアから走り始めることも検討したい。追い風に恵まれれば、これほど爽快な道はない。河口側15kmの土手がいまだ整備中で自転車道が途切れてしまうので、そこは一般道を慎重に走ろう。銚子には日本屈指の水揚げ量を誇る漁港があり、銚子大橋を過ぎると無数の漁船が目に入る。周辺には海鮮料理が自慢の食事処が多い。佐原を朝スタートして銚子に着くのはお昼過ぎになるだろうが、ぜひ味わっていこう。
銚子は半径5kmほどのエリアに見どころがぎっしり詰まっている。こんな街こそ、自転車がぴったり。利根川の河口から南へ回り込んでいくと、白い砂に太平洋の荒波が豪快に寄せる君ヶ浜に至り、すぐに関東最東端の犬吠埼だ。利根川も広かったけれど、無限に広い大海原と空のコントラストが圧巻だ。そこに立つ白亜の灯台も美しい。すぐ近くをコトコト車体を揺らしながら走る銚子電鉄が可愛らしい。「東洋のドーバー」と呼ばれる屏風ヶ浦も近い。崖下に延びる遊歩道をのんびり進んでみよう。
旅の締めくくりは、ぜひ銚子電鉄で輪行を。わずか6kmほどの路線だが、レトロな駅舎や車両がほっこりした気分にさせてくれる。銚子駅でJRの特急に乗り換えれば、スムーズに各方面へ向かうことができる。
使用バイク:Liv ESCAPE RX W DISC
小柄な人にも優しいクロスバイクの決定版
Liv ESCAPE RX W DISC
価格:8万5800円
問:ジャイアント
街乗りから休日のロングライドまで気軽に楽しめるスポーツ自転車がクロスバイク。なかでもジャイアントの「エスケープ」シリーズは、日本人の体格に合うフレーム設計と高品質なパーツ構成が人気の定番モデルだ。その上級スポーツ仕様である「エスケープRX」の女性版が、今回のリブ・エスケープ RX W DISC。フレームもパーツも女性専用設計で、ジャイアント版と同サイズでもより楽な乗車姿勢が得られる。クランクやステムは短いタイプがセットされ、体と接するサドルも女性用の快適仕様。小柄な女性が無理なく乗れるXXSサイズも用意される。初心者はもちろん、ロードバイクなどを乗りこなしている人のセカンドバイクとしても理想的だ。
今回ピックアップした魅力いっぱいのコースだけでなく、他にもたくさんのコースを紹介しているサイクルスポーツ特別編集「東京発! サイクリング」は、都民や近県にお住まいで、自転車通勤や休日ライドによってサイクリングに関心が高まっている方へ贈るコースガイドです。都心から自走圏内、もしくは輪行で1時間〜2時間ほどでアクセスできる関東近郊での、超おすすめなサイクリングコースを紹介します。巻頭では、関東を代表する5つの自転車道を徹底リポート。輪行の方法もわかりやすく解説します。日帰りから一泊二日で楽しめる、自転車をとおした「大人の遠足」を提案します。