東京発! サイクリング コース8 黒潮サイクリング
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黒潮が洗う外房(房総半島の太平洋側)は、美しい渚と素朴な港町が魅力だ。その名も「外房黒潮ライン」と呼ばれる国道128号がメインルートとなるエリアだが、必然的に交通量が多い。サイクリングでは、その国道を外して細道を組み合わせるのがプランニングのポイントになるだろう。ここでは、ライフクリエーションスペースOVE(シマノが運営するコンセプトストア)が実施してきた「散走」を元にして、御宿から鴨川へ向かうコースを紹介しよう。この方向だと、海側の車線を走ることができる。
コース情報
走行距離 約40km
御宿駅→(約80分・約13km)→勝浦→(約30分・約5km)→かつうら海中公園→(約30分・約1km)→鵜原理想郷→(約20分・約3km)→守谷海岸→(約50分・約9km)→小湊→(約50分・約10km)→安房鴨川駅
アクセス
コースの起点とした御宿駅、ゴールとした安房鴨川駅は、いずれもJR外房線の特急が止まる。東京駅からダイレクトにつながるのが魅力だ。ただし本数は少ないので、あらかじめ時刻を把握して計画的にサイクリングを進めたい。健脚なら、鴨川から長狭街道で内房へ抜け(距離約30km)、東京湾フェリーを利用して都心方面へ戻るのも一興だ。
外房の浜と港をめぐる
都心から向かうと、外房エリアまでは100km近い距離があるが、幸いJRの特急が運行されている。東京駅発の特急を利用すれば、1時間20分ほどで御宿駅だ。御宿と次に向かう勝浦では有名な朝市が開催されているので、朝イチの特急を利用すれば見て回ることもできる。これから長い距離を走る序盤なので荷物を増やしたくないところだが、干物や地ノリなどは軽くてかさばらないのでおすすめ。
御宿は童謡「月の沙漠」の舞台となった白浜の海岸が見どころ。しばらく国道128号を進むが、勝浦の手前で八幡岬へ向かう静かな道に入る。すると少しアップダウンが現れるが、交通量が少ないから爽快だ。OVE作成のコースらしく(?)、軒下をかすめて自転車を押し歩くような細道も現れる。探検気分で進んでいくと、見晴らしのよい八幡岬公園に至る。戦国時代に築かれた勝浦城址や、戊辰戦争で船が遭難した官軍を弔う塚なども現れ、江戸から遠く離れた外房も歴史の荒波と無縁でなかったことを知ることができる。
朝市(6時から11時まで開催)でにぎわう勝浦の市街を抜けたら、松部漁港の交差点で国道を離れ、かつうら海中公園へ向かおう。高さ24m、水深8mの海中展望塔からは、黒潮が寄せる磯を泳ぐさまざまな魚を観察することができる。コース前半のハイライトだ。コースは一般道を進むが、太平洋岸自転車道に指定されており、十分に走りやすい。
かつうら海中公園でリアス式の海岸美を満喫したら、続いて鵜原理想郷へ。別荘地にする計画があったので理想郷と呼ばれ、広い高台から太平洋を見渡すことができる。自転車で進むには険しい道が続くので、入口に駐輪して徒歩でめぐろう。
外房のこのエリアは、短い間隔で次々と見どころが現れる。鵜原海岸、守谷海岸と連続して海水浴場が現れ、夏場はひときわ華やかだ。自転車で進める小径が波打際に延びているのが楽しい。興津港海浜公園は釣り客も多い。強欲な父の代わりに娘が海に投げこれまれたという悲話が伝わる「おせんころがし」の断崖から望む太平洋も大迫力だ。走る時間よりも、海を眺めたり、由緒を記した案内板を読むために立ち止まっている時間のほうが長くなりそうなコースである。小湊や天津を過ぎると沿道は次第に都会的になり、サーファーで年中にぎわう鴨川でゴールだ。
使用バイク:JAMIS CODA NEOIST
街乗りと旅をつなげる伝統の名モデル
JAMIS CODA NEOIST
価格:8万5800円
問:ジェイミスジャパン
誰もが気軽に楽しめるクロスバイクも、個性的なアメリカンブランドのジェイミスが作ると一味も二味も違う。「CODA」は、MTBライクなフレームやハンドルに、ロードバイクと同じ700C規格の車輪をセットするというクロスバイクの基本スタイルを1991年に実現したパイオニアだ。進化を続けながら伝統のフレーム素材である「クロモリ」(高強度で軽量なスチール)を今も採用しており、スマートなフォルムとタフな実用性を両立。サイズごとにフレームの角度寸法を調整する技術「SSD(SIZE SPECIFIC DESIGN)」を採用しているのも大きな魅力だ。手頃な価格だが妥協は一切ない。
今回ピックアップした魅力いっぱいのコースだけでなく、他にもたくさんのコースを紹介しているサイクルスポーツ特別編集「東京発! サイクリング」は、都民や近県にお住まいで、自転車通勤や休日ライドによってサイクリングに関心が高まっている方へ贈るコースガイドです。都心から自走圏内、もしくは輪行で1時間〜2時間ほどでアクセスできる関東近郊での、超おすすめなサイクリングコースを紹介します。巻頭では、関東を代表する5つの自転車道を徹底リポート。輪行の方法もわかりやすく解説します。日帰りから一泊二日で楽しめる、自転車をとおした「大人の遠足」を提案します。