太平洋岸自転車道約1400km実走調査 黒潮をさかのぼる近代版自転車東海道 其の二
目次
走ってみなければわからない、国内最長のナショナルサイクルルート太平洋岸自転車道を和歌山の青年(?)2人が人と人を繋ぎながら、9日間旅をした記録と各地域の魅力を3回に分けて紹介する。其の二。
4日目:日本一の山と日本一長いナショナルサイクルルート
伊豆の国市スタートの4日目。この旅初の快晴。しかし朝は爆風。本日もまたスタートから沼津まではメインライダーとしてゴンザが走り、ニシバがサポートカーを担当する態勢。
平日の通勤の車の横を走りながら沼津に。市街地のため太平洋岸自転車道と車の走りやすい道路が交差するポイントが多く、さらには自転車ナビライン(自転車通行空間整備による矢羽根)が混在しておりゴンザもニシバも混乱。市街地案内のためのナビラインが沼津駅につながっており、太平洋岸自転車道とはルートが違うのだ。
ここで、この先のサポートカーを担当していただく野地さんと合流する。野地さんは「IT ×地域振興×自転車イベント」という新しい切り口で様々な自治体や地域と持続可能な自転車施策を実施している、株式会社Seabirdの社長さん、自称「沼津のトド」。とても偉い人なのだがこの旅ではゴンザとニシバの兄貴役、そしてサポートカーから撮影、情報発信担当として活躍してくれた。
爆風とナビラインと太平洋岸自転車道の捜索でへとへとになった我々だったが、ここでもGPSの現在位置情報を見て何人もの方々が応援に駆けつけていただいた。本当にありがとうございます!!
元気も出て少し風も収まり、海辺を走行すると、ようやく絶景が現れた。
駿河湾と富士山。青い空、青い海。青い矢羽根。サングラスをつけていてもまぶしく感じる夏の最高のライドが始まったと喜んでいたのも束の間、清水駅から先は自転車歩行者道などの車道分離型に変化したのだ。伊豆の回復区間と想定していた我々は想定外の変化に驚きながら、慎重に入り組んだ太平洋岸自転車道をトレースしていく。スピードも上がらないし、車道横断が頻発するのが今までの太平洋岸自転車道のイメージを一変させる区間だった。
しばらく走ると、ゴンザとニシバがこの旅で絶対に立ち寄りたいと決めていた三保の松原が現れた。ここではゴンザの自転車仲間と合流し、せっかくなので自転車を担いで、三保の松原の海岸まで入っていく。海、松原、富士山、そして自転車の素晴らしいバランスで写真が撮れると思っていたのだが、実際に自転車を入れてスマホを構えると富士山は画角的に小山へと変化するのだった。そう、富士山と自転車を撮影するにはもっと富士山に近い由比あたりで撮影するべきだったのだ。実際に見比べても、迫力がある富士山は富士市から清水までの区間だった。みなさんもお気をつけを。
さて、この三保からはニシバもライダーになり日本平を通り抜け清水市へ。左は海。右は道。その奥には農業用ビニールハウスがたくさん並んでいる。(実はいちご海岸という名の通り、いちごのハウスだった。食べたかった。)
この辺りでお昼頃だったので、昼食を探すがどこもいっぱい。平日だがお盆前で外食は人気だった。今回我々は新型コロナウイルス感染症拡大防止対策として満員の飲食店や密が発生するところには行かないよう徹底していたため、ここから和歌山まで昼食はすべてコンビニ飯や補給食になってしまった。次回は必ずおいしいグルメ旅にしたいと思いながら我慢の旅となった。さわやかのハンバーグが食べたかった……。
コンビニで補給後にリスタート。すると予想外の難関?が現れた。この静岡市~焼津市を繋ぐ区間は自転車歩行者道や階段、側道など主要道路を迂回し、安全に走る最善の道を考えて整備されているように感じた。基本的には車道を走らせない!という意思を感じる設定で、少なくともロードバイク向きの道ではなく。ママチャリやクロスバイクなど街乗り自転車をターゲットに整備されたのではないか。とはいえ安全にサイクリングを楽しんでもらいたいという意思がひしひしと感じられ、色々と考えさせられたルートだった。
ファミリーサイクリングなどには抜群に向いているこの区間。しかしロードバイクの巡航速度は望むべくもない。だがこの日は御前崎市の関係者と合流する約束があった。朝の段階では走行距離と時間を考えても余裕だと思っていたのだが大誤算。川沿いのルートなどでは速度を上げて時間を稼ごうとするのだが、次に待ち受けていたのもスピードを出しづらいコースだったのだ。焼津のお隣の吉田町から牧之原市の末端までは旧静岡鉄道駿遠線の廃線跡を自転車歩行者としている。そのため非常に整備されているし道も分かりやすいのだが、生活道路でもあり間違っても速度を出せない。のんびり走る分にはとても楽しいルートなのだが、気持ちは焦るばかりだ。
とはいえ最大の目的は太平洋岸自転車道の調査。そして色々考えながら走るうちに、本日のゴール・御前崎に近づく頃にはこの歩道走行を理解し始めていた。絶対に車との事故をなくす。車と自転車は別のものだという静岡県中部地区の信念のようなものが感じ取れた。ゆっくり走る、人の近く走る恩恵は車と離すことだけではなく、コミュニケーションという部分で独自の発達をしているように感じた。この区間では行き交う歩行者、自転車の方々が必ず挨拶してくれる。そして車は必ず停止し自転車を優先してくれる区間だった。過去今まで様々な地域を走ったがこんなにコミュニケーションが多い地域は初めてだった。
そう思ったころにはこの日のゴール御前崎市がすぐそこだった。御前崎手前のトンネル通過後、御前崎市職員の皆様が待ってくれていた。そして一緒にマリンパーク御前崎にある観光物産会館まで伴走していただいた。そしてここでは多くの御前崎市の職員さんばかりか、新聞社、そしてテレビ局まできて我々を待ち構えていたのだった。歓迎の横断幕にビビる我々。おもてなしでいただいた御前崎のお茶「つゆひかり」は、うまぁ!! そして御前崎市と言えばメロン! 丸々1個もらってゴンザは最高のおもてなしにおびえ震える。ニシバは余裕のフリをし淡々と取材対応を行う。トドこと野地さんはプロの仕切りで取材陣や行政マンたちを捌く。気分はスターだった。今までの経緯やここまでの静岡の魅力を伝えお礼をしてその場を辞した。(御前崎市の皆様本当にありがとうございました。)
そして、本日の宿・聖火についたのだがこの宿は御前崎市に教えていただいたサイクリストにやさしい宿の一つ。自転車を部屋に持ち込むことが可能で、いいところにコンセントがあり電動コンポーネントの充電も可能だった。自由に使える洗濯機や乾燥機も設置されていて、ここまで泊ってきた宿の中でも最高と言っていい。お部屋食だったため感染症対策もでき、ゆっくりと過ごすことができ、初の晴天ライドを無事走り切った。駿河湾の魅力あふれる海鮮膳だったが、そもそも海鮮が食べれないゴンザは食べられるはずもなく、餃子をパクつくのみだった……。
5日目:出会いと別れ、静岡~愛知の熱烈バトンパス
御前崎市スタートの 5日目。この日も快晴。トドこと野地さんは自分で自慢するほどの強烈な晴れ男なのだ。しかし今日も爆風。5時に起床し旅館のお母さんが用意してくれたおにぎりを食べながら行程の確認。今日はこの旅で最も調査と人を繋ぐプロジェクトが多い区間。ここはミスコースを限りなく減らしたいため、現地サポーターとしてこの企画始まってすぐにオファーをしたヨシさんにコースサポートをお願いした。
我々がミスコースをしたときにはリカバリーや休憩ポイントの案内を事前に頼んでいたのだ。ヨシさんは年齢だけで言うと青年?の我々より大先輩。しかし、自転車歴も長くスポーツサイクルのあらゆることに精通している自転車界のトップリーダー。実際5日目はヨシさんがいなかったら完走できなかったと今でも思う。
スタートにはこの日も御前崎市役所のサイクリスト有志の皆様そして、一緒に走っていただける袋井市の有志の皆様とご対面&ご挨拶。共に今後の太平洋岸自転車道の利活用について高い志を持つ行政マンの皆様だった。
出発して御前崎の灯台を過ぎるとやはり向かい風。いまだに追い風はない。御前崎灯台下の道は海が近く、風の影響で海水が道路に飛んでくる。穏やかであれば絶景の御前崎も我々を強風というお土産を用意して歓迎してくれている。そう、今日もいつも通りだ……。
すぐに浜岡砂丘に到着。遠州灘に広がる長大な浜岡砂丘は、太平洋側最大級の砂丘地帯。天竜川から流出する土砂が沿岸潮流にのり、「遠州の空っ風」と呼ばれる強い西風によって内陸に運ばれて形成されたとのこと。やっぱり風が強いわけだ。それも向かい風(西風)……。せっかくなので、早朝の砂丘を子供のように駆け上って記念撮影。もちろん靴の中は砂でいっぱい。これもまた寄り道を楽しむ自転車旅の醍醐味?だ。
ここからは浜松御前崎自転車道の海岸区間。まっすぐの自転車道に海と砂。そうこれからは砂との戦いが始まるのだった。太平洋岸自転車道を走るうえで初日の千葉とこの日の静岡愛知区間は砂が我々を阻んでくる。コースサポートをしてくれたヨシさんも一か月前に走った状態と一変しているというくらい状況が変わりやすい場所だそうだ。ゆったりと回る発電用の風車、まっすぐなサイクリングロード、美しい海岸線。しかし見とれていると足元には砂がある。美しさとは裏腹にすくわれないように注意を強いられる区間でもある。ガンガン走るには少し無理がある道だった。
途中にある潮騒橋は見たこともないような薄い構造の橋。鳥人間コンテストに出てくる飛行機の羽のようにも見える。土木系の技術職であるニシバは大興奮。この興奮をゴンザやヨシさんに熱弁するも、二人の心には響かなかったようだ……。
袋井市に近づくと土の防波堤?のようなものが見えてきた。人工的な景観には違いないがあまりの大きさに山のようにも見える。あとから聞いてみたところこれは通称「森の防潮堤」というようで県と市が連携して防災機能を高めた海岸防災林の再生に取り組んでいる静岡モデルの防潮堤とのことだ。我々には初めて見る景色で、絶景だった。
自分が海岸線の海の上を走って陸を見るような気分になった。こういう区間は頑張って走ろうとは思わない。自然と自分が一体となって風に逆らわず空気の一部となって流れるように走りたくなる。実際は向かい風できつかったのだが……。
この森の防潮堤で、袋井市役所の皆様が待ち構えてくれていた。今回は実走メンバーの他に各部署の市役所の皆様方。そしてそこには袋井市と言えば、このプロジェクトのフェイスブックでも紹介した缶のお茶「茶ピア」とメロン! そう、牧之原あたりから延々とお茶の産地が続く。それにしてもお茶がうまい。サイクリングの休憩にお茶は程よいカフェインと水分そしてさっぱりした味がちょうどいい。この休憩時に緑茶を飲む習慣はゴールまで続くことになった。
お茶とメロンをニシバと野地さんがガツガツ頬張っている最中にゴンザは袋井市様と意見交換。この景観を生かした自転車活用ができないかとのこと。トイレも茶ピアの自販機、そしてベンチやモニュメントなどイベントのことやレースのことまで様々な意見交換を行った。袋井市様ありがとうございました!!
袋井市をさらに進み磐田市へ。磐田市と袋井市の境では磐田市職員様が待ってくれていた。自転車がめちゃくちゃかっこいいライダーさんだった。ここで袋井市様とはお別れし磐田市様と出発。磐田市は自転車道と市街地のミックスコース。もう少し整備が進んだらいい道になるのではと意見交換しながら天竜川でお別れ。磐田市様ありがとうございました!!
ここからは市街地ゾーンに変わり前半は歩道、後半は車道を走りようやくペースが上がり、サポートライダーのヨシさん、そして磐田市の途中で合流したニシバの友人川合さんの3人が爆走開始。真夏の猛暑の中さらにペースを上げていく。(結局一番長い距離を走るゴンザが皆を引っ張るスタイルで固定されてしまう……ゴンザが速すぎるのだ。)浜名湖を通過し、「道の駅 潮見坂」に到着。
1号線のバイパスと太平洋岸自転車道のサイクルステーションも兼ねている道の駅、車が多い部分と分かれているため利用しやすい場所になっていた。この道の駅では公益財団法人 浜松・浜名湖ツーリズムビューロー様がお出迎えしていただき、挨拶。浜名湖やこの太平洋岸自転車道を今後しっかりと活用できるよう頑張っていらっしゃるとのことだった。(たくさんお土産をいただいた!! このあとの補給食としてしっかり利用させていただいた)
道の駅 潮見橋をスタートしてすぐに太平洋岸自転車道ゲートウェイである「道の駅 とよはし」に到着。ゲートウェイとは多様な交通手段に対応できる機能を有し、レンタサイクルやマップがあり、食事、タイヤチューブが購入可能で、手荷物用のロッカー、着替えスペースが完備され、出発前の準備・調整に必要な工具の貸出がある場所のことだ。実はニシバはこの旅ですべてのゲートウェイの調査も行っている。
道の駅とよはしでは愛知県の豊橋市田原市連合の皆様が待ち構えてくれていた。そう、ここはもう愛知県だった。長かった静岡県を走破し愛知県でも多くの方に歓迎していただいた。事前に連絡をとっていたこともあり我々の太平洋岸自転車道を繋いじゃえプロジェクトジャージと豊橋田原連合ジャージを交換。
ゴンザは嬉しくてそのまま着用し走るみたいだ。そして、豊橋田原連合リーダー志賀さんお手製の太平洋岸自転車道おすすめポイントマップもいただいた。今までも様々な出会いがあったが、このように自分たちが走って感じたことを記入したマップや情報は本当に財産で、我々もこの旅を通じて感じたことは、しっかり多くの人に伝えることが必要だと感じた瞬間だった。
記念撮影後、磐田市から一緒に走っていただいた川合さんからバトンをつなぎ、豊橋田原市連合の皆様と一緒にフェリー乗り場まで出発。豊橋から伊良湖岬までは車道コースと海岸線を走る自転車道コースの2ルートがある。海岸線は絶景。車道コースは走りやすくスピードも出しやすい。行き交うサイクリストも多かった。
ここではこの旅で初めてファミリーサイクリングの方を多く見た。家族で自転車を楽しむ姿に気分も顔も笑顔になる。もちろん足も軽くなったように感じる。途中「道の駅 あかばねロコステーション」で休憩すると、現地サポーターヨシさんの弟さんが営業しているキッチンカーで軽食を振る舞っていただけることに! ここでも歓迎の横断幕が……。嬉しかった。
もうすぐこの日のゴールだが気分はますます元気に。補給していると、ゴンザにFacebook見ていますと声がかかる。なんと、GPSを見て追いかけた方が。お礼にサコッシュを渡すゴンザ(女性には優しいゴンザです)。
伊勢湾フェリーの出発地、伊良湖までもうすぐ。最終便出発まで時間もなかったのでここでもみんなで爆走。交通量も交差点も半島なので少なく予定時間に余裕で到着。(事前スケジュールよりは大幅に遅れ、最終便に乗った)
静岡・愛知ありがとう。そして多くの出会いに感謝!! ニシバは「この道も人も利用してこそつながっていくんだ、今後多くの人に走ってもらいたい区間だ」と思い、ゴンザはこの旅で出会った人について「自転車乗りは背中で会話する。話はあまりできなくても今日から親友だ」と言っていた。
鳥羽に到着することには真っ暗だった。しかし鳥羽駅前のゲートウェイ鳥羽1番街の社長とコンシェルジュがわざわざ我々のために待ってくれていたのだった。営業時間も過ぎていたのにも関わらずぜひゲートウェイを見てほしいとのことだった。このゲートウェイは太平洋岸自転車道の中で最も努力をされている場所であった。民設のゲートウェイでコンシェルジュサービスの他、我々が来るタイミングで案内板や更衣室の中に小道具も整備されていた。もちろん空気入れもある。
更にチューブや補給食は24時間自販機で購入できる。まさにゲートウェイと名乗るにふさわしい整備がされていた。荷物預かりだけでなく、事前に連絡すれば自転車を送って預かっていただくこともできるようだ。これは便利。伊勢ライドの際はここを拠点にしようと思った。ここでも意見交換と地域のライダーからお土産をいただき無事完走した。この日が最後の晴天だった。
6日目:三重県の雨はちょっとしょっぱい。ゴンザの涙と三重の愛。
鳥羽スタートの6日目。2日ぶりの雨。もう雨は気にならない。ここは三重。これから日本一雨が降る街、上からも下からも降ると言われる街、尾鷲に向かって走るのだから雨が降るのは仕方ない。スタート地点鳥羽港には昨日お会いした皆様が応援に来てくれた。雨ももう気にならない。
今日も元気にスタートした。スタートし暫く走ると伊勢神宮(外宮)の看板が現れた。伊勢神宮前は歴史を感じる建物や町並みが整備されていたが、すこし自転車では走りにくい。交差点と縁石が多く交通量の多い時間は気をつけなければいけない。我々は早朝だったためまだ観光客や、車も少なく通過できた。
伊勢神宮(外宮)の横を通過した理由は、今回選んだコースにある。三重県では山コースと海コースの2本が太平洋岸自転車道になっている。事前に山コースを選択していたのは度会町に行きたかったからだ。度会町はこの企画で一番最初に「ぜひお越しください!」と町役場から連絡があった場所だった。つながることを目的としていた我々は悩むことなく山コースで度会町に行くことに決めた。
度会町の「度会町特産品販売所 いらっ茶いわたらい」に到着すると度会町より水出しの伊勢茶をいただいた。ここもお茶が美味しい。走っているゴンザ・ニシバの二人で飲みきりたかったのだが、美味しかったので野地さんまでおかわりし、あっという間に飲みきった。
水分補給し山岳区間を走り始めた。今まで海ばかり眺めてきたが右も山。左も山。川の音に山の風。空気が濃いと感じるほど久しぶりの感覚が帰ってきた。
そう紀伊半島(我々のホームグラウンド)に帰って来たんだと感じた。太平洋岸自転車道は一周ルートでなく一本道のサイクリングルート。走ればその地域ごとの空気を感じることができる。三重県は酸素が一番多い区間だと思う。
気持ちよく走っているとメールが入る。「次、道の駅 奥伊勢木つつ木館に立ち寄ってね。」そう、この頃にはGPSの位置情報で我々の行動を多くの人が見ていて、メッセージを送ってくれるようになっていた。このメールは三重区間のサポートリーダーのぶさんからだった。のぶさんは我々に少しでも多くも関係者とお会いできるよう事前に準備してくれていたのだった。
指示通り道の駅奥伊勢木つつ木館に到着すると、大紀町地域活性化協議会の皆様とご挨拶。大紀町地域活性化協議会は「Taiki E-bike Tour」という名前でサイクリングと宿泊ができるツーリズムを行っているとのこと。山川海何でも揃う大紀町を自転車を使って楽しめる取り組みを自分たちで進めているってすごい!!
もちろん食べ物は何でも美味しく三重県の給食牛乳のほとんどのシェアを持つというモンスターミルク「大内山牛乳」と大内山ソフトクリームを振る舞っていただき、直前の七保峠で大気圏突入したわけでもないのに(大紀町圏には突入)燃え尽きようとしていた2人は大復活! 美味しかった〜。
サポーターのぶさんの次なるミッションは「道の駅 紀伊長島マンボウ」に向かうこと。空気の読めない2人は予定時間より大幅に早くマンボウに到着。この旅でやってみたかったこと。「道の駅 紀伊長島マンボウでPCR(太平洋岸自転車道)+袋井市のアマビエフッピー」となんとも言いにくい冗談を実現し紀北町様と合流。そしてこのあたりから豪雨になる。きっと先程の冗談が寒すぎたようで天候が悪くなってきた。
関西に近づくにつれ天候まで笑いに貪欲になる。そう、最後まで雨は続く。
紀北町様は職員にサイクリストがおり、ここから尾鷲まで一緒にサポートいただけるようだ。一緒に走り始めると。めちゃくちゃ速い! 後で聞いたらヒルクライマーとのこと。雨の紀北町。ヒルクライマー。これでは脂肪の蓄えが人より多いニシバは勝てない。同職の方々には負けない気持ちで走っていたが完敗だった。豪雨の中走行するニシバの心が折れ始めた頃尾鷲に入るとすぐに尾鷲市のサイクリスト有志の皆様が待ってくれていた。もちろん雨。尾鷲の人は雨でも自転車に乗るのか? 当たり前のように雨の中自転車を乗りこなす。やはり日本一の雨の地域尾鷲のサイクリストは雨に強い。勝手な妄想だがそう思うほど無事にゴールに辿り着いた。
ゴールの尾鷲市役所にはとんでもないくらいの人が並んでいる。尾鷲市の職員の皆様が我々を歓迎してくれているのだ。寒さじゃないなにかに震える二人。尾鷲市副市長様より歓迎のお言葉を頂戴する。そしてここでもお茶を頂く。みえ尾鷲海洋深層水で作ったお茶! もちろんうまい! ここ尾鷲は実はゴンザの故郷で、ゴンザには海洋深層水だけに涙のようにちょっとしょっぱい味だったかもしれない。
最高のおもてなしをしていただいた尾鷲の皆様本当にありがとうございました。一度は晴れの日に走ってみたいと思った尾鷲だった。
ここからは、ニシバと野地さんだけ熊野に先回りし、熊野市の皆様とご挨拶。熊野には熊野市新鹿町で発見された小さく可愛い柑橘果実「新姫(にいひめ)」があり、そのジュース、にいひめウォーターをいただいた。ついにお茶シリーズからの卒業かと思い。ニシバが飲んだ。疲れには酸味の効いたドリンクが最高で、1人でこの夜のうちに、にいひめウォーターを飲みきろうとしていたことは誰も知らない。
三重県のポテンシャルに感動し、雨の中でも楽しく走ることができ多くの出会いがあったことに感謝し6日目も無事走った。(今日もまた雨)
9月24日にオンラインイベント「太平洋岸自転車道1400km・9日間の実走報告」を開催
自転車活用推進研究会が主催するオンラインイベントで、今回の企画のオンライン報告会が開催される。申込は以下のページから。