競輪は推し事です。女性目線で見た #競輪 の奥深さ<みみみ通信Web Vol.1>
目次
サイクルスポーツ本誌にて好評連載中の「みみみ通信」。どんなサイクリストもウルトラハッピーに過ごせる世界を目指す「みみみキングダム」の広報誌がウェブ版にやってきた!
今回はギャンブルとしてスポーツとして、多くの人々の心を掴んできた競輪に注目します。女王・石垣&報道官・大城が競輪に魅せられたひとりの女性に突撃インタビューしました。競輪にのめり込んだきっかけや、基礎ルール、ライン戦をはじめとする競輪独自の戦略まで、女性目線からみた「競輪の面白さ」を徹底解剖しちゃいます!
石垣美帆(女王)
ファッションモデル、フィットネスインストラクターとしても活躍中。競輪に関してはまったくの素人。
大城実結(報道官)
サイクルスポーツのライター。競馬と競輪はたしなみ程度に楽しむ。
滝沢佳奈子(滝沢)
サイクルスポーツ編集部員。自転車競技の知識量、熱量は編集部随一。レース会場にはだいたい出没することで定評がある。今回の講師。
私が競輪で推し活をするようになった理由
競輪にハマり込む瞬間とは、一体どんなものなのでしょうか。例えば大勝ちしたとき、それとも負けたとき?
いいえ、賭け事ではなく”推し事”として競輪ファンになった人もいるのです。
女王:滝沢さんはなぜ競輪を見始めたのですか?
滝沢:それこそコロナの影響です。感染拡大で今までメインで観戦していたロードレースの多くが中止になってしまって、観戦飢えから競輪に手を出してしまいました。
報道官:観戦飢えですか。
滝沢:もともとトラック競技は見ていたのですが、競輪って独自ルールが多くて最初はわからないことだらけでした。過去のレース記事や動画、各選手のSNSを見ていくと、どんどん深みにハマってしまいまして、気付けばすっかり競輪ファンになってしまったのです。
女王:観戦だけじゃなくて、賭けてもいるんですか?
滝沢:はい。一応賭けてはいます。最初はビギナーズラックで勝つこともあったんですけど、今思うと知らないからこそ買えてたんですよね。
女王:知らないからこそ?
滝沢:もう今は各選手への思い入れが強すぎて、車券が買えないっていうか……。競輪選手って総計2,300人くらいいるんですけど、本当にいろんな選手がいらっしゃって。
報道官:知れば知るほど買えなくなる……。推し事と賭け事の両立ってやっぱり難しいんですか?
滝沢:いや、できます。両方の車券を買うんです。ひとつは「この人の名前が入っている車券がほしい」という推し活動。もうひとつが賭けて勝つための車券ですね。
女王:それはつまり、好きなマンガの新刊を2冊買うという考え方ですか? 読む用と飾っておく用みたいに。
滝沢:そんなかんじそんなかんじ! 特に推し活動の車券は競輪場へ行かないと入手できませんので重要ですね。
知れば知るほど面白い競輪の世界
競輪は一見シンプルそうに見えて独自のルールがたくさんある競技。しかし複雑なルールだからこそ、観戦するにも熱が入り、新たな物語が生まれることも。
ここではクラス分けや賞金事情、ガールズケイリンとの違いを教えてもらいました。
見る前に知っておきたいクラス分けのコト
滝沢:競輪って下はA3級からS級、さらにトップの9人となるSS級(S級S班)まで強さごとにクラス分けされているんですよ。
女王:トップは9人しかいない……!? 上位クラスに上がっていくにはどうすればいいんですか?
滝沢:半年に昇級があったり、年間の賞金ランキングから算出したり、格式高いレース(G1レース)で勝ったりと、昇級する方法はさまざまですね。そして年末に必ずS級S班の9人が競う「競輪グランプリ」という最も格式高いレースがあるんです。要するにその年の最強の9人での戦いですね。
女王:わぁ〜、ぞわぞわしてきた! 賞金もすごいんですか?
滝沢:グランプリなら1着で1億円くらいです。でも普段のレースでも最低補償額みたいなものがあって、出る度にもらえるお金もあるんですよ。それこそクラス毎に値段が違うんですけどね。
女王:そりゃあ競輪選手はモテますね。
滝沢:確かにSSとかS1の人はレースクイーンと結婚しがちですね(笑)
報道官:じゃあ、どの選手も上位クラスを目指してるんですか?
滝沢:う〜んそれが、一概にもそう言えなくて。S級のトップ選手はレースへの想いが強くて、トップを目指してずっと頑張っています。が、A級の下位クラスになると最低年俸があるから走り続ければ食いつなげる、という考え方もあります。
女王:細く長くってことですか。職業としての競輪選手ですね。
滝沢:そうそう、いろんな考えがあって面白いんです。
女王:でもファンとしてはG1レースで勝ってほしい!というのはありますよね。それに応えるように、強い気持ちで戦う。それがS級ってことなんでしょう。
ガールズケイリンはトラック競技に近い
女王:ちなみにガールズケイリン(以下ガールズ)は競輪と違うものなんですか?
滝沢:似ているようですが、ちょっとずつ異なりますね。例えば使っている機材も競輪はスチールバイクですが、ガールズはカーボン製だったり。また競輪は数名のラインを組んでレースを行うのですが、ガールズは基本的に単騎戦です。イメージ的にはガールズはトラック競技と近いですね。
女王:確かオリンピックにも「ケイリン」という競技がありましたよね。それとも競輪は違うんですか?
滝沢:違いますね。う〜ん、ここはかなりルールもややこしいので、また次の機会にお話しましょう。
競輪の独自戦法「ライン戦」がアツいんです!
競輪独特の戦い方のひとつにライン戦という手法があります。
個人戦なのにグループで勝負するという、一見不思議な戦い方ですが、そこには競輪ならではのアツい世界観がありました。その面白さ、とことん語っていただきます。
暗黙のルールが物語る独特の競技性
女王:さっき「ラインを組んで」という話がありましたが、いわゆる競輪でのラインって一体なんなのでしょうか?
滝沢:出身地区や競輪学校の同期で結託して、数名の縦列ラインを作るんです。ロードレースと同じように、競輪も空気抵抗が勝敗を喫する大きな要素となるので、グループ戦のように勝負をします。例えば番組が発表されたあと、地区ごとに集まって会議をして「オレは当たりに行くから、お前行け」みたいに話したり……。
女王:え、でもみんな1位になりたいんですよね?
滝沢:そう、そこが難しいところなんです! 勝ちたいっちゃ勝ちたいんですけど、みんな競輪選手として長く走っていたいので、協調性も大切なんですよ。仲間を裏切ることをすると、いずれ落ちていってしまう。
女王:え〜! おもしろい! そしたら「あの人がいたから勝てた」とか「勝たせてくれてありがとう」とかありそうですね!
滝沢:それはめちゃくちゃある。完全にチームというわけではないけれど、チーム以上に絆がすごい。
言わばバディ。ゴールデンコンビの活躍にむせび泣く
報道官:やっぱり推し活動としては、選手間の関係性ってアツいですよね。
滝沢:そうそう、中にはよく一緒にいる2人組みたいな選手たちもいるんです。観戦する上で選手間の関係性を重視するファンにとってはそれがたまらない。
女王:いつも一緒に走っているということですか。
滝沢:そう、彼らに何か特別な契約があるわけでもないんです。でも常に一緒にいる。バディみたいなんですよ。
報道官:ああ〜、たまりませんね。個人的には清水裕友選手と松浦悠士選手がほんとうに……。
滝沢:はいはいはい、わかります! それだけでなくて、もっと注目していただきたい選手もいまして。……と、いうような内容をすべて詰め込んだ記事を書きましたので、詳しくはこちらの記事を読んでみてください。
▶KEIRINグランプリ2020取材コラム “スポーツ”として見た競輪 part1
競輪デビューにおすすめは年末「KEIRINグランプリ」
報道官:例えばこの対談を読んで「競輪に興味が出てきた」って人はどのレースから見た方がいいんですか?
滝沢:やっぱり最初は格式高いレース、年末のグランプリを見たらいいと思います。最初にその年のグランプリを見ることで、翌年にどんな戦いが繰り広げられるかを予想できますし。初めに最強の9人を見てほしいです。
女王:どこで見ることができるんですか?
滝沢:JKAのサイトから中継で見られますし、競輪アプリなどでも観戦できます。グランプリなら地上波での中継もやってますしね。
女王:わ〜、早く見てみたいです!
滝沢:競輪はギャンブルとして見ても面白いんですけど、いちスポーツとしてもかなり面白いんです。この面白さをもっと広く知ってもらいたいというのが、いちファンとしての本望です。
報道官:競輪ってどうしてもギャンブルとしての側面が強調されがちですもんね。
女王:今日の話を聞いて競輪に対するイメージがすごく変わりました。賭け事としてはもちろん、選手を応援しに行くという楽しみ方もできるんですね!
滝沢:知って頂けてよかったです。
女王:それじゃあ、今度は3人で競輪場へ行きましょうねっ!
今回新たに知ったのは、スポーツとしての競輪の奥深さでした。今年の年末KEIRINグランプリももちろん12月30日に開催予定です。今から各選手をチェックして、応援(またの名を推し事)してみませんか?
▶Cyclesports.jpで#競輪 関連記事を読む
サイクルスポーツ本誌で好評連載中のコラム。ファッションモデル石垣美帆(女王)とライター大城実結(報道官)が、女性や初心者に役立つ情報や気になるネタをとことん調査します! 調査してほしいこと、話してほしいこと、2人への応援メッセージなどあれば、こちらのフォームまで。