“大人の”四国一周サイクリング完全ガイド Vol.1:プロローグ

目次

渋井さん

 

いつかは走りたい憧れの四国一周サイクリング。人生に何度もない貴重なチャンスに恵まれるなら、ぜひ最高のサイクリング体験にしてほしい。そこで、四国一周基本ルートの設計者であり、台湾一周ツアーを日本人最多の5周回完走した筆者が、四国一周基本ルートをベースに細部をアレンジした11日間/約1,100kmのソロ1周ライドを通じて、これから四国を目指すサイクリストに「大人の四国一周」の実践的なノウハウから裏話まで包み隠さず大公開する連載企画。初回は大人の事情を交えたちょっとマジメなプロローグと、四国一周計画の基本事項についてお話しする。

 

“大人の”四国一周とは?

ここ数年、ニッポンのスポーツサイクル界に急浮上してきた一大ムーブメント「四国一周サイクリング」。サイクルスポーツ本誌も今年2021年5月号で50ページもの大特集を組んだし、他の自転車メディアでもかなり大きく取り上げられている。ネットを検索すれば一般サイクリストの個人ブログなども大小いろいろヒットするだろう。では、筆者はなぜ今さら四国一周レポートをサイクルスポーツ.jpに寄稿するのか……。

理由はいくつかあるのだが、その筆頭は「公式チャレンジパスへの押印」に対するこだわりだ。現在54歳の筆者はアナログとデジタルの人生比率が概ね半々という世代であり、一周の軌跡をスタンプというリアルなモノで残すことにやりがいを感じるのだ(もちろんGPSロガーも常用しているが)。これまでの記事や動画レポートがスタンプ押印をスルーしてきた裏には、限られた予算と日数で全周を紹介するPR記事企画という大人の事情もあったりするし、概ね40代より若い世代に対してはスタンプってどうなのかな?とも思う。だが筆者より上の世代には「スタンプラリー」にも手応えを感じていただけると思うし、全29か所のスタンプポイントをルートに組み込むことで、それらの営業時間と休業日が行程に影響してくるのでゲーム性が高まるという面白さもある。そして、古のスタンプラリーといえる元祖四国一周「お遍路」のオマージュという意味合いがあることもぜひお含みいただきたい。

 

四国一周チャレンジキット

まずは「CHALLENGE 1,000kmプロジェクト」にエントリーして「公式チャレンジパス」と「四国一周ジャージ」を手に入れよう

公式チャレンジパスに押印

公式チャレンジパスに押印が増えるたびにリアルな達成感が積み重なっていく

 

理由の2番目は「食と飲み」へのこだわりだ。筆者が四国一周ルート考案時に設定条件の上位にあった「4県の県庁所在地での宿泊」は、インバウンドツアー向けの宿泊キャパシティや分割一周向けの利便性、あるいは4県の一体感のイメージなどが主因だったが、個人的には「おいしい郷土食との出会い」を最重要視している。サイクリングに限らず旅行や業務出張でも、仕事の内容や景勝地の風景などの記憶より、美味い食事や良い酒の記憶の方が勝るという御仁は多いのではないかと思う。そもそも自分のような食い道楽オヤジは「美味いメシと酒=好きな街」という単純な方程式で生きているので、県庁所在地に限らずすべての街で、できれば朝昼晩3食×旅の日数のすべてをその時期・その土地ならではの食で埋め尽くし、いわばDNAレベルで四国を好きになりたいし、皆さんにもなっていただきたい。そんな思いをお伝えできればと考えている。

 

四国の旬の料理と地酒

評判の割烹で旬の料理と地酒をいただく。B級グルメだけでは四国に失礼だろう

バー

飲むために泊まるといっても過言ではない。良い旅には良いバーが必要だと思う

 

3番目の理由は、「一人旅」をオススメし、その醍醐味やノウハウをお伝えしたいということだ。一周1000km超となれば費やす日数もかなり多くなり、それが一気通貫となれば連続10日間前後の旅となるため、事前準備から旅の現場に至るまで、人数が増えるほどに制限要素も増えてしまう。走行ペース、好きな景観、立ち寄りたい場所、宿、飲食まで、大人同士では完全一致など望むべくもなく、あらゆる局面で誰かが我慢することになる。したがって、大人にはまず一人旅をオススメする。そして「一人では行けない」という方については、今後はぼちぼち登場するであろう「サイクリングガイド帯同のツアー」に参加するのがよいと思う。もちろん、我慢を許容できるような関係性の上級者と同行できるならそれに越したことはないが、現実的には夫婦やカップル、親子か兄弟ぐらいの近縁じゃない限りは、万が一の事故や、突発事項による予算オーバーなどで難局に陥るリスクも増えることもお含みいただきたい。ぜひ来るべき最高の一人旅のために準備いただければと思う。

 

夕暮れの展望台

夕暮れの展望台に立ち寄れば必然的に夜間走行となるが、一人なら自分次第だ

 

そして4番目の理由、それは「台湾一周」への筆者のこだわりだ。近年の台湾ではサイクリングが国民的スポーツとして地位を得ており、台湾一周サイクリングはその象徴となっている。毎年11月初旬頃には台湾交通部観光局などによる準国家的イベント「FORMOSA900」が開催され、国内外のサイクリスト数百名がそれぞれ5〜9日間かけて台湾一周900kmを走る。また、大型イベントのみならず、例えば成人もしくは卒業の記念として自国を一周するような行動が、日本で言えば京都への修学旅行並みにポピュラーな行為として認識されているのだ。

 

2018 Formosa900日本團

「2018 Formosa900日本團」。歴史的な鉄橋を貸し切りで走った貴重な体験

2019 Formosa900日本團

「2019 Formosa900日本團」。田園風景を二列縦隊で走る開放感が素晴らしい

 

余談ながら今年2021年は、台湾交通部観光局が「自転車旅行年」として台湾全体でサイクリングツアーを励行しており、さらには東日本大震災から10年の節目となることから日台双方が「日台友情年」としていたので、本来なら台日交流のかけ橋としてサイクリングが大きく花開くはずだった。残念ながらリアルな交流は果たせなかったが、台日にこうした交流への思いがあったことだけは台湾好き日本人のひとりとしてお伝えしておきたい。

話を戻すと、サイクリングが定着している台湾ではこの10年ほどで数万人もの人が台湾一周を果たしていて、そのなかには「次は日本を走りたい」と考える人が多数含まれるため、コロナ以前までは、しまなみ海道や富士山、北海道などに、毎年多くの台湾人サイクリストが訪れていた。そして、ジャイアント台湾のサイクリングツアー専門部門「ジャイアントアドベンチャー」は、前述した「FORMOSA900」の全体運営といった大規模なツアー事業から小規模団体向けのツアーまで台湾国内事業を主体としながら、年に数回は日本国内へのツアーも実施するため、ジャイアントジャパン側には上記のようなメジャーなエリアに次ぐサイクリングルートを考案せよという命題が課せられていた。一方、愛媛県はしまなみ海道の成功を県全体そして四国全体、さらには中四国九州との連携にまで拡げていきたいというビジョンをもっており、両者のそうした思いが共振して現在の「四国一周」につながっていったのだ。

 

鳴門市内を走るGIANT台湾のツアー担当者

2015年3月、四国一周ルート検証のために鳴門市内を走るGIANT台湾のツアー担当者

「阿波踊り会館」を視察

「阿波踊り会館」を視察。ただ走るだけではなく四国文化にも親しむという理念も計画当初からだった

 

こうして、いわば「インバウンド商材」として机上にのった「四国一周」だが、もし準備もせずいきなり大勢の外国人が四国の道を走るとなればハレーションは避けられない、という強い懸念があった。やはり、第一に求められるのは地元サイクリストが好んで走るリーズナブルなルートであり、次にそれらのサイクリストがエリアの住民や飲食店などから疎んじられていないこと、できれば歓迎されているぐらいの状況であることだ。そうした地盤があって初めてエリア外からサイクリストを呼ぶことができる。四国一周の計画当初、そのようにアドバイスしたと記憶している。

結果として、まずは多くの日本人サイクリストが四国一周を楽しむ状況を目指すことになり、最初に設定した「四国一周サイクリング基本ルート」上にブルーラインなどの案内表示や路肩などを整備。そのルートがサイクリストに認知され、より多くの方に走っていただくために、「四国一周サイクリング公式WEB」や「CHALLENGE 1,000km プロジェクト」が立ち上がったというのが大まかな経緯だ。

経緯はさておき、筆者がここで言いたいのは、「四国一周の先に、台湾一周もある」と頭の片隅に置いて走ると四国一周の楽しさや意義もさらに深まる、ということだ。確かに「四国&台湾・ダブル一周」達成のハードルは低くないが、それでも「いつかは台湾一周」とイメージすることで、日本の義兄弟ともいえる台湾の風土や人に思いを馳せることができるし、逆説的に日本の魅力を再発見できるような心構えも自然とできてくる。日本のサイクリストにはぜひ「自転車好きの隣国=台湾」というイメージをお持ちいただきたい。

 

Formosa900の出発シーン

「Formosa900」は台北市政府(日本でいえば東京都庁)前のセレモニーで全チームを紹介して出発する

渋井さんとGIANTのトニー元CEO

四国一周ジャージで日本團を出迎えたGIANTのトニー元CEO。「ダブル1周」の発案者だ

 

いやはや、すっかり前置きが長くなり恐縮だが、ここで上記4つの寄稿理由をとりまとめ、本記事の主題を「大人の四国一周=スタンプラリーと飲食にこだわり、国際交流サイクリングにも前向きな中年の一人旅」と定義したところで、そろそろ本論に入ろう。

 

四国一周計画における基本事項。

■ 右回り? 左回り?

まず「四国一周基本ルート1,000km」は、「原則的に時計(右)回り」を想定して設計している。これは四国に限らず、海沿いの道路の場合は海側の車線を走ることで流入路が減って安全性が高まるという理屈によるもので、左側通行の国であれば右回り、右側通行であれば左回りとなる。前述した「公式チャレンジパス」にある29か所のスタンプポイントも松山を起点に右回りで並べられている。また右回りは「風向」という観点でもリーズナブルである。それは、1周ルートの中で年間を通じて最も風が強い「室戸岬」周辺で、四国一周に適した時期に限れば、北東または東北東から風が吹く傾向が顕著であるため、「阿南〜室戸岬」間の約120km、特に吹き晒しとなる海陽〜室戸岬の40km区間で追い風を受けられるメリットを重くみているからだ。他にも香川県内が概ね西風基調であるなどの理由もあるが、ともあれ、四国のどこをスタート地に選んでも右回りしてほしいということだ。

 

海を左に見続け四国一周

海を左に見続ける右回りは左からの流入路が少なく走行安全性が高まる

海を右に見て台湾一周

逆に台湾のように右側通行の国なら海を右に見る左回りがセオリーだ

 

■ 四国一周に最適な時期は?

それでは四国一周に適した時期とはいつ頃だろうか。まず考えるべきは「気温」と「降水量」、そして「日照時間」なのだが、一般的なロードバイクのサイクリストがソロで一気通貫する場合は、「ウェアがかさばらないこと」もかなり重要な要素となってくるので、それらを勘案すると、「最高気温=28度以下・最低気温=14度以上、月間降水量=250mm以下、日没=17:30以降」あたりが目安となり、それを以下に例示した気象庁の過去30年間データから得た四国の主要スポット7か所に当てはめてみた結果、「4月中旬〜6月(梅雨入りまで)」と「9月中旬〜10月中旬」が四国一周に最適な時期となった。かなりの手間をかけて調べた割にはほぼ一般的なサイクリング好適期という普通の結果に落ち着いたが、ここでは逆説的に、「梅雨明け〜残暑」と「初冬〜春」を選ぶ場合はリスクやデメリットがあるということを理解いただければと思う。

高知県・室戸岬:過去30年間の月別平均(気温・風力・風向など)

■ 何日で一周できる?

人もバイクも千差万別なのでズバッと答えるのは不可能だが、四国一周を推進する筆者としては、まずは1日の走行距離を100km以下に抑えて、四国の風土や食、人や文化に、日数の許す限り親しんでほしいと考えている。したがって、もし基本ルートをトレースするのであれば最低10日間、できれば11日間以上の行程をオススメする。筆者も今回は11日間の一周ライドに前後1日ずつ移動日を足して全13日間の旅程を組んだのだが、それでもほぼ毎日時間に追われていたので、できればあと4日ぐらい追加したかった。とくに県庁所在地ではパソコン仕事もしていたので、もしそこを連泊にできていたらもっと余裕があっただろうし、そうすることでむしろ長期間の東京不在のインパクトも軽減できたのではないかと思う。

また、前述した台湾一周イベント「FORMOSA900」は900km強の行程を9日間で走るツアーが基本パターンなので概ね1日100kmとなるのだが、ツアー参加者はサイクリングガイドとサポートカーに護られ、ボトルとスマホだけ身につけてライドできるまさにお大尽ツアー。疲労の少なさも安心感も桁違いゆえに誰でも100kmぐらい走れてしまうのであって、ソロで100km、しかも10日間以上連続ともなれば、小さなトラブルや予定外の数分間のタイムロスが積み重なってくるということを念頭においていただきたい。

■ バイクは何がよい?

もちろんどんなバイクでも構わないのだが、今回の旅では「グラベルロード」を見かける機会がかなりあったので、それらについて言及する。まず、四国一周ルートはほぼ100パーセント舗装路であり、筆者のようにルートを外れて走ったとしても未舗装路やガタガタに荒れた舗装路などはトータル10kmもなかったので、路面対応だけ考えるならグラベル用タイヤの必要性はほとんどない。ただ、市街地から離れると舗装の悪い道は増えてくるので、耐パンク性能の高い太めのロードタイヤはオススメしておきたい。すると、太めのロードタイヤから逆説的にまずはディスクブレーキ仕様のバイクが大前提となるが、だからといってグラベルロードまでは必要ないだろう。筆者は今回、新型TCRの最上級グレード「TCR ADVANCED SL DISC」に、700×28Cサイズの軽量チューブレスレディタイヤ「GAVIA FONDO 0」を履かせたが、我ながら大正解だったと思う。

まず、エアボリュームが大きい分だけ空気圧を下げられるので、体感的にはクッション性もグリップも「25Cの3倍ぐらい」に感じた。特に身長185cmで体重が0.1トン近い筆者にとっては、このタイヤの恩恵は甚大だったと思う。また、バリバリの新型カーボンホイール「CADEX 36 DISC TUBELESS」も走行性能と乗り心地を激しく高めてくれた。本来はトップレーシングシーンを意図してつくられた機材なのだが、重量級サイクリストのロングライドウェポンとしても破格だと思う。特にこの「36」は内幅22.4mmのワイドリム仕様なので、28Cタイヤを実寸で31.2mm幅までサイズアップしてくれて、さらに低圧にできるというメリットもプラスしてくれた。

また、Vブレーキ仕様のクロスバイクにも32Cタイヤを履ける車種が多いので、そこそこのグレードのコンポーネントで組まれた上級車種であれば、アップライトな姿勢で大人のサイクリストの助けにもなるだろう。

 

ガビアフォンド0のタイヤ幅

最上級のロードレーサーがこの太さのタイヤを履けるのもディスクブレーキの恩恵だ

 

■ バイクとパッキング

さて、もし四国一周に向けてこれからバイクを新調するという人は、まずはライド中に携行するウェアや街着、洗面用具などを全て用意するかせめて書き出してみて、それらをバイクに載せる方法とともに車種を検討するとよいだろう。ざっくり具体的にいえば、キャリヤを取り付けてガッツリしっかり載せて1日の走行距離は抑え気味とするか、ミニマムの荷物を最新のバイクパッキングでコンパクトに携行してスポーティに走るかの2択になる。筆者がオススメするのは後者の方。スポーツライドをスポイルしないように荷物を厳選し、バイクでは運べない仕事のパソコンや予備の機材、街着や靴などを、あらかじめ東京から宿泊先に送っておくことで、滞在先での食事やレジャーにも妥協なく取り組むのが大人の四国一周だと考えている。もっとも、バイクに全てを積み込んで、予定も決めず自由気ままに走り続けられる旅人こそが一番贅沢だとは思っているので、そういう人であればキャリヤを取り付けたスチールフレームのツアラーやアルミのグラベルロードなどが似合うだろう。

なお、デイパックなどを背負って走っている人も多いが、日程に余裕があって1日の走行距離が短いチャリダー系の旅人か、体力が有り余って発散したいという猛者でもない限り、たとえ100gの荷物でも体ではなく車体の方に載せたい。とくに斜めがけのメッセンジャーバッグで長時間走り続けるのは体を歪ませるのでよろしくない。

 

四国一周のTCRの装備

最新のロードバイクとバイクパッキングとの組み合わせがオススメだ

 

■ 大人の配送計画

筆者は今回、東京から四国へ3系統の荷物を送っている。まずは松山行き。久々の愛媛出張だったので前泊の夜に旧知のバーに行きたかったのと、一周完了の翌日に松山で仕事のアポを入れていたので、街着とビジネススーツの2体分を入れたスーツケースをホテル宛で送っておいて、自分はバイクケースとバイクパッキングだけで飛行機に乗った。

 

スーツの渋井さん

一周達成翌日の筆者。事前に送っておいたスーツ着用でビジネスミーティングへ

 

そして4泊目となる高松行き。これがメインパッケージで、Di2とパワーメーターの充電器やちょっと大きめの工具、機内預けができないチェーンオイル、街着と靴、そして仕事用のノートパソコン、洗濯洗剤やアミノ酸系サプリメントの補充分などを、丈夫な段ボールにたっぷりの緩衝材を詰めて送った。なお、このパッケージは、高松を出発するときに高知のホテル宛で送り、高知からは松山のホテルに送って、帰京時にはパソコンのみ手持ちで、あとは松山行きのスーツケースに入れ直して送り返した。

 

機内預けできないもの

Di2仕様のバイクなら最低でも途中で1回は充電したいところだ

ノートPC

日々使用しているメインパソコンを送ったので最短時間で仕事を片付けられた

 

3つ目は徳島行き。徳島の友人と会食の予定を入れていたため、街着と靴、サプリメントの予備だけ送った。これは徳島だけでお役御免だったので翌朝に東京へ返送した。

 

ダンボール

ポイントは少し大きめの箱に多めの緩衝材を詰めること。返送時の梱包も早いし安心だ

夜の街着

筆者の走った10月は昼夜の寒暖差が大きいので夜の街着は配送一択だった

 

この程度の手間を加えるだけで、4県すべての県庁所在地で楽しい夜を過ごし、突発的な急ぎの業務にも対応できた。多忙な現役世代サイクリストの参考になれば幸いである。

■ ホテル等の宿泊

ソロサイクリング旅の準備で最も手間がかかるのが宿泊の手配なのだが、四国一周オフィシャルWEBの「おもてなしサポーター」のおかげで悩まず予約できたのはありがたかった。今回は全12泊のうちの6泊がこのリストから選んだ宿だったが、その全てでバイクを自室か屋内に保管できたので、盗難やいたずらの心配など1ミリもなく、充電や整備なども効率的に済ますことができた。また、そのほかの6泊も全て屋内か敷地内の屋根付きスペースでバイク保管ができたのも、しまなみ海道の成功による四国全体への波及効果といえると思う。まさに「サイクリングアイランド四国」という打ち出しに相応しい、国内最高峰のサイクリング環境と言い切って良いだろう。

 

ホテルの自室にバイク

ホテルの自室に当たり前のようにバイクを入れられる環境が整っている

 

さて、事前に計画すべきことは他にもあり、もっと詳細にバイク機材やパッキングについてお伝えしたいところだが、それらは今後の連載で触れていくので、今回はこの辺で切り上げ、いよいよ次回から四国に上陸する。次回以降もぜひご高覧いただきたい。

 

 

渋井さん

<筆者プロフィール>
渋井亮太郎(しぶいりょうたろう)
ジャイアントの広報・宣伝・イベント業務を主軸に、スポーツサイクル振興事業全般に関わるサイクルビジネスプロデューサー。2012年に開催したしまなみ海道での大型イベントを契機に「愛媛県自転車新文化推進事業総合アドバイザー」となり、以来、台湾と日本におけるサイクルツーリズム振興に携わっている。四国一周については、2014年にジャイアント側でツアー計画に着手し、その実績から2016年に自治体側の基本ルート設計も受任。以後も各施策にアドバイスしている。また、国際的なサイクリングツアーでの現場経験からサイクリングガイドの必要性を痛感し、「一般社団法人日本サイクリングガイド協会」を2014年に設立。スポーツサイクル業界の立場から、サイクルツーリズムの根幹を支える専門技術の標準化と専門人材の育成・組織化に心血を注いでいる。1967年東京生まれの54歳。