KUREが本気で作った自転車用ケミカルをテスト
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日本のケミカルメーカー、KURE(呉工業)による「5-56」は、国民的とも言える定番中の定番の防錆・潤滑剤だ。その「5-56」で有名なKUREが手がけるスポーツバイク専用の製品群が「Made For Speed」シリーズである。そのチェーンルブとクリーナーの実力を、“スーパーヒルクライマー”田中裕士さんに試してもらった。
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Made For Speedシリーズの特徴
Made For Speedシリーズは、KUREがさまざまなロードレーサーやメカニックのフィードバックを受けて、スポーツバイク専用に開発したメンテナンス用品のラインナップだ。チェーン用の潤滑剤として「チェーンルブ ドライ」「チェーンルブ セミウェット」、クリーナーとして「チェーンクリーナー ジェット」「パーツクリーナー マルチ」があり、他にハンドクリーナーもラインナップする(下で詳しく紹介)。
チェーンルブ ドライ
オイルによる抵抗を極限まで抑えつつ、優れた潤滑効果が持続する、ドライタイプのチェーン用潤滑剤。摩擦抵抗を低減しスムーズな走りを実現するとともに、汚れやほこりなどの付着を抑え、チェーンを摩耗から防いでくれる。
チェーンルブ セミウェット
3つの潤滑成分配合で抜群の潤滑力と耐久性を実現した、セミウェットタイプのチェーンルブ。長距離レースやロングライドに最適で、耐水性にも優れ、雨などの悪条件下でも効果を発揮する。またチェーンへの付着性に優れており、オイルの飛散を抑えてくれるのも特徴だ。
チェーンクリーナー ジェット
浸透性に優れた中乾性の強力なチェーンクリーナー。チェーンのリンクまでしっかり浸透し、油汚れやグリスなどの頑固な汚れを素早く落とす。また、こびりついた汚れも溶解してくれる。そして防錆剤配合により、洗浄後のさびの発生を抑制する効果も併せ持っている。
パーツクリーナー マルチ
さまざまな部品に使える強力な速乾性のパーツクリーナー。特殊溶剤を配合しており、樹脂はもちろん、電動変速機など電子パーツにかかっても素材を傷めない。速乾性のため液が残らず、拭き取りが不要なのもうれしい。
“スーパーヒルクライマー”田中裕士さんがMade For Speedシリーズの実力をチェック!
有名ヒルクライマーの田中裕士さんに「チェーンルブ ドライ」「チェーンルブ セミウェット」「チェーンクリーナー ジェット」「パーツクリーナー マルチ」の4つのアイテムをテストしてもらった。
チェーンルブ ドライ〜ドライタイプなのに驚くほど持ちが良い
「400km〜500kmほど塗布して走り込んでみました。チェーンの潤滑力、抵抗の少なさについては、正直なところ普段使用している他社のドライタイプのチェーンルブと同等と感じました」。
「しかし驚かされたのはその持ちの良さです。普段使用する他社のドライタイプだと、100km〜200kmでシャリシャリと音がしてきてオイルが切れてしまうのですが、チェーンルブ ドライだと400km〜500km、期間にして1週間ほど走っても全然そうしたシャリシャリしてオイル切れを起こした感覚がありません。
ドライタイプで抵抗の少なさは他社と同等なのに、それでいてドライタイプとは思えないほど持ちが良い。これは大きな強みだと感じました。僕のように距離をたくさん走るライダーにとってはありがたく、武器になるでしょう」。
チェーンルブ セミウェット〜チェーンがギトギトにならず、走りも軽い
「まず、ウェット系のチェーンルブですがそれにしてはかなり走りが軽く、抵抗が少ない感じがするのが印象的でした。しかも、普通のウェット系のチェーンルブだとすぐチェーンがギトギトに汚れてくるものなのですが、これはそうならず、ずっとさらさらとしたきれいなチェーンの状態が保たれていました」。
「時間の都合でチェーンルブ セミウェットを使って数100kmも走り込めてはいないのですが、ドライの方で400km〜500km持ったのだから、間違いなくこちらはそれ以上持つでしょう。ちょうどインプレッション期間中に雨が降らなかったので残念だったのですが(笑)、今後は雨の中でも使って性能をチェックしてみたいですね」。
ドライとセミウェットの使い分けは?
「普段のトレーニングではチェーンルブ セミウェットを使います。私の場合は実走が多くて、しかもシーズン中の温かい時期なら雨でも関係なく走るためです。
そして、レース本番と速度域の高い練習会では、できるかぎり駆動抵抗を少なくしたいので、チェーンルブ ドライを使うでしょう。ただ、雨が降っている場合など、ハードコンディションならレースでもチェーンルブ セミウェットを選びますね」。
国内最長クラスのロードレースで、多くのサイクリストが目標とする「ツール・ド・おきなわ市民210km」ならどちらを使う?
「チェーンルブ ドライです。400kmでも持ってしまうことが試してみて分かったので、できるだけこれで駆動抵抗を抑えたいですね。また、雨が降ることが少ないレースでもあるので。抵抗が少ないのに持ちが良いというメリットが、このレースでは特に生きてくるでしょう」。
チェーンクリーナー ジェット〜ドロドロの汚れが簡単に落ちて使いやすい
「洗浄力がかなり高くて、ドロドロに汚れたチェーンでもブシュッと噴きかけるだけできれいになるので、かなり使いやすいと感じました」。
「また、噴霧の圧がすごく高い一方で、広範囲に飛び散らないのもいいですね。他の部品に飛散せず、狙ったところだけにスプレーできるので、その点でも非常に使い勝手が良いなと思います。かなり気に入っています」。
パーツクリーナー マルチ〜これ一つで何でもこなせて楽
「さまざまなパーツに使ってOKということで、スプロケットやチェーンリングなどの駆動系はもちろん、あらゆる部分に使ってみたところ、こちらも洗浄力は非常に良いと感じました。私はDI2を使っていますが、そうした部品にも安心して使えました。スポーツドリンクの糖分でガビガビになったフレームの汚れも簡単に落ちましたよ。
これ一つでチェーン以外の実にさまざまな部分を一発できれいにできるところに価値がありますね。部品ごとにクリーナーを使い分けなくていいのは、面倒くさくなくて楽です。私は集合住宅に住んでいて水を使った洗車ができないので、水を使わずにパーツ洗浄ができるのは非常にありがたいです」。
Made For Speedシリーズ アザーラインナップ
今回テストしたアイテム以外にも、便利なハンドクリーナーがある。こちらもぜひチェックしてみてほしい
ニュー シトラスクリーン ハンドクリーナー
メンテナンス後に汚れてしまった手を洗うのに最適なハンドクリーナー。天然のオレンジ抽出成分とスクラブ成分によって、落ちにくい油汚れをしっかりと洗浄できる。保湿成分を配合しているため、洗浄後の手の乾燥を防いでくれるのも特徴だ。