【愛媛県】岩城橋開通。ゆめしま海道を完成させる橋
目次
日本を代表するサイクリングルート「しまなみ海道」。愛媛県今治市と広島県尾道市を結ぶこのルート周辺には、しまなみ海道以外にも6つの「海道」がある。その一つ、ゆめしま海道が3月20日に開通した岩城橋によって、ついに道路でつながった。2車線道路が通り、車、自転車、歩行者が通行可能。無料で通行できる。
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ゆめしま海道に開通した岩城橋の位置
岩城橋、余計なものが一切ない解放感
ゆめしま海道は、しまなみ海道が通る因島と生口島から見て南東に位置する愛媛県上島町にあるルート。大小25の島からなる上島町そのメイン4島(弓削島、佐島、生名島、岩城島)を結ぶのがゆめしま海道だ。今回の岩城橋の開通によって、岩城島まで道路がつながったことになる。総延長約2km、橋梁部の長さ916mの斜張橋で、主塔の高さは岩城側137.5m、生名側132.5m。海面からの高さは45.5m。
ゆめしま海道を走るには、しまなみ海道で因島、もしくは生口島まで行き、そこから船で渡るか、広島側からは新幹線の三原駅前の三原港からの航路や、愛媛側からは今治港から直接アプローチできる航路を利用する。
この4島の中であれば道路で島から島へホッピングが楽しめる。しまなみ海道にかかる橋とゆめしま海道の橋を比べると、道幅が狭いので景色がより広く感じるだろう。橋のピークからは雄大な視界が広がる。ゆったりと景色を見ながら走り抜けたい橋だ。
全ての橋を走破するルートとなると、岩城島の小漕港から走り出して、岩城橋、生名橋、弓削大橋を渡って弓削島の上弓削港まで走る。距離は約14kmほどなので、脚力のある人なら、今治~尾道を一気に駆け抜けるプランで、しまなみ海道と組み合わせて走ることもできるだろう。
ゆめしま海道の各島を周遊する推奨ルートなら、距離は約50kmになる。弓削島の東海岸がいちばん坂が厳しい。ちなみに、ゆめしま海道には信号がひとつもない。
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岩城橋開通記念橋カードが配布された(規定枚数に達したため、配布終了)
ゆめしま海道の新スポット
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地元のサイクリスト有吉勇人さん(右)がガイドしてくれた
テイクアウト&カフェ たい屋
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鯛の養殖も手掛けるシェフ、浦安元太さん(左)
鯛の養殖場直営レストラン。養殖とはいえ、この海域は潮の流れが速いので、しっかりと身が締まるそう。店の目の前がその養殖場だ。名物はカルパッチョ丼。鯛の刺身と、これも岩城島の名物であるレモンがきれいに並べられ、その下には黄色いレモンライスが隠れている。まずは刺身だけを食べ、続いてレモンライスと一緒に口へ。鯛の白身にスパイシーなレモンライスが絡み合う味は、他にはない。海を眺めながらのランチに。
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奥が並盛。手前は鯛の量が倍の「鯛ダブル」
テイクアウト&カフェ たい屋
https://www.instagram.com/taiyaiwagi/
トラットリア・アル
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オリジナルカレーの「アルカレー」にカツをトッピング
50年、船でコックをしていたという前川一高さんが、2021年11月にオープンしたカレー屋さん。スパイスに加えてにんにくの辛味が効いたアルカレーが看板メニューだ。サイクリングの疲れた体にしみわたり、活力を与えてくれる。船乗りの体力を支えたメニューだけのことはある。
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店前のスペースはサイクルラック、キッズスペース、駐車場がある。船舶の通信に使われる国際信号旗が目印
トラットリア・アル
https://www.instagram.com/trattoria_aru/
上島町ゆげ海の駅舎 ふらっと
弓削港にある休憩施設。ゆめしま海道の途中でちょっと休憩したいときに助かる立地だ。ゆめしま海道のインフォメーションセンター的な役割も持っているので、因島から来るなら情報収集のために立ち寄るのもアリ。トイレ、水道、フリーWi-Fiが利用できる。サイクルステーションとしての機能のほか、ヨット乗りにも人気のポイントだという。島ならではの出会いが待っているかもしれない。
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施設の運営を行うピーターセンももこさん
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受注生産のゆめしま海道サイクルジャージも展示
上島町ゆげ海の駅舎 ふらっと
https://kamijimatours.com/yugeseastation
ただ走り抜けるには惜しい、ゆめしま海道をゆったり楽しむには
“走破する”ような走り方では、ゆめしま海道はあっという間に駆け抜けてしまうだろう。島に滞留して自転車プラスアルファの視点からゆめしま海道を楽しみたい。筆者がおすすめするのが「釣り」だ。え!?と思うかもしれないが、自分が自転車で走ってきたルートを船から眺めつつ釣りスポットに向かい、糸を垂らすのはかなり楽しい。

岩城港から出航する
お願いしたのは岩城島の「よし正」さんの遊漁船。地元でも「釣らせてくれる」と評判だ。自分で装備を持っていく必要はない。釣り竿、仕掛け、ライフジャケットなどはレンタルできる。手ぶらで行って船に乗れば、長年の経験から、いい場所まで船を走らせてくれる。
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遊漁船でポイントへ。橋から見た海を船で走ると、旅がより特別になる
体験したのは「メタルジグ」による釣り。餌ではなく疑似餌で楽しむ釣りだ。操作としては、30m前後の海底まで仕掛けを落としては上げるを繰り返す、初心者にも挑戦しやすいもの。
ただ、この日は一気に気温が下がったこともあり、魚の動きが悪かった。筆者はヒットがあったものの、釣りあげることはかなわず。船頭さんは見事なキジハタを釣りあげていた。釣った魚は、料理してもらえる。
1日出かけるプランと、半日のプランがある。まず半日プランから挑戦してみては?
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リールを操作するだけなので、デュアルコントロールレバーの変速操作より簡単。レクチャーを受けていざ大物をねらう!
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釣り竿、タイラバの仕掛など、一式借りることができる
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船頭さんがキジハタを釣りあげた! 筆者もヒットはあったが釣りあげるには至らず。リベンジを誓う
活魚・民宿「よし正」
https://www.yoshimasa.jp/
島の人との触れ合いが楽しめるアットホームな宿
民宿「中塚」
弓削島にある民宿。これぞまさに民宿、というか民泊に近いアットホームな雰囲気はとても魅力。女将さん姉妹がふるまってくれる料理は、まさに地元の味。この日のメインは鯛やカワハギの刺身、オコゼのから揚げ。魚がおいしいのはもちろんだが、煮物に使われているひじきや、酢の物のわかめがとんでもなくうまい。土地の話を聞きながら夕食を食べれば、ただ走り抜けるだけでは知ることができない、ゆめしま海道への愛着が湧いてくるだろう。
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豪華な夕食付。女将さんと、走ってきたルートについて土地の話で盛り上がれる
民宿「中塚」
https://www.kamijima.info/lodging/guesthouse_nakatsuka/
古民家ゲストハウス「汐見の家」
佐島港のすぐ近く、路地裏にある入口は自転車で行ってもちょっと迷う。門をくぐれば、古民家そのもののゲストハウスが待っている。引き戸を開けて土間があり、上がり框に腰かけて靴を脱ぎ座敷に上がる。掘りごたつに入りながら宿帳に記入すれば、もうそこの住人だ。水回りはきれいにリノベーションされているので不便はない。風呂は薪で沸かす五右衛門風呂だ。
宿は3部屋。宿泊者以外にも地元の人がふらりと立ち寄って、世間話をしていく。そんなところだ。
古民家ゲストハウス「汐見の家」
http://shiomihouse.com/