自転車活用推進功績者と自転車通勤優良企業が表彰 2022年は自転車関連会社も優良企業に
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自転車活用推進功績者と「自転車通勤推進企業」宣言プロジェクトの「優良企業」の合同表彰式が、2021年5月27日(金)に国土交通省で行われた。2022年の自転車活用推進功績者には個人2名と6団体、「自転車通勤推進企業」宣言プロジェクトの「優良企業」には4団体が選ばれた。
自転車活用推進功績者
自転車活用推進功績者は、自転車活用推進法15条に基づき、自転車の活用の推進に関し特に顕著な功績があると、自転車活用推進本部長(国土交通大臣)が認めた個人または団体のこと。今回は、井口和彦さん、山田大五朗さん、地球の友・金沢、ツール・ド・東北実行委員会、那須ブラーゼン、西日本旅客鉄道和歌山支社、日本パラサイクリング連盟、南アルプス山守人の個人2名と6団体だ。
井口和彦さん
全国初のサイクリング検定の実施、サイクルイベントを通じた乳がん検診の啓発活動、ナショナルサイクルルート指定やサイクルトレイン運行と連携した観光客誘致等、自転車を幅広く活用しながら地域課題の解決に尽力している。
井口さんのコメント:
「今回このような賞を頂けたのは、平成19年に紀の川サイクリングクラブを発足して以来、様々な方々のご支援とご協力の賜物と感謝申し上げます。今後ともサイクリングの魅力や自転車文化の発信を通じて、和歌山を盛り上げていきたいと思います」
山田大五朗さん
元MTB選手として、イベントやサイクルツーリズム推進を通じた地域振興、九州北部豪雨災害復興支援に貢献。“自転車の完全循環利用型社会”実現のため、自転車再生利用や定額利用サービス(バイクイズライフのページ)等の事業を運営している。
山田さんのコメント:
「この度は、栄えある自転車活用推進功績者表彰を頂きましたこと、とても栄誉のあることと感動しています。今後も、仲間と共に自転車を文化にするという目標に向かって邁進し、子供から大人まで多くの方に自転車の楽しさを伝え、風を切る人生の素晴らしさを伝えて参る所存です。本日は誠にありがとうございました」
地球の友・金沢
行政機関や地元高校生と連携した自転車の安全性向上の取組等で、金沢市が自転車施策の先駆者となるよう貢献。そのノウハウを、全国会議の運営、国際会議での活動報告等を通じ国内外に展開している。
地球の友・金沢のコメント:
「『地球の友・金沢』は今年で32年目を迎える地域の環境NGOです。平成12年からは『環境と交通』の視点で、歩行者・自転車・クルマにも安全なまちづくりを目指してきました。国・県・市・警察と連携して、安全な道づくり、交通安全教育、自転車全国会議など、自転車利用環境の向上を目指しています」
ツール・ド・東北実行委員会
東日本大震災復興支援のため2013年以来開催している「ツール・ド・東北」は国内最大級規模(約4000人)のイベントになった。収益を積み立てた「ツール・ド・東北基金」により観光振興や復興支援に貢献している。
ツール・ド・東北実行委員会のコメント:
「東日本大震災の復興を後押ししようと2013年からスタートさせたイベントで、高い評価をいただき、光栄です。この大会は『応援してたら、応援されてた』をキャッチフレーズに、被災地の住民をはじめ、共催自治体、協賛企業など多くの方々のご支援で成長してきました。大会を通じて観光振興にも貢献していると確信しております」
那須ブラーゼン
日本初の観光地での地域密着型ロードレースチームとして発足。地域ブランドのPRや累計250回超、2万人に及ぶ自転車安全教室のほか、コロナ禍においては、こども食堂などのフードデリバリー、JAとの連携による農畜産物PRなど地域貢献に奔走している。
那須ブラーゼンのコメント:
「この度、自転車活用推進功績者表彰を受賞できたことを大変嬉しく思います。今後も、より多くの皆様に自転車の素晴らしさを知っていただき、安心して楽しんでいただけるよう、様々な取り組みを行っていきたいと思います」
西日本旅客鉄道和歌山支社
きのくに線沿線約150kmで予約不要、追加料金不要のサイクルトレインを全曜日で本格実施。駅設備の改良やモデルコースの設定などの誘客強化で区間乗客数増を達成した。
西日本旅客鉄道和歌山支社のコメント:
「栄誉ある賞をいただき大変嬉しく思います。この受賞は和歌山県をはじめとする多くの関係者とご利用の皆様が支えてくださった結果であり感謝申し上げます。ローカル線を取り巻く状況は大変厳しいですが、これからもこのサイクルトレインを魅力あるものに育てていき、地域の活性化に貢献できるよう努めていきます」
日本パラサイクリング連盟
障害者自転車競技の日本代表選手を育成し、東京2020パラリンピック大会では杉浦佳子が2種目で金メダル獲得。タンデム車の活用、普及を通じた障害者の社会参加促進、いわき市への交流施設開設を通じて、自転車文化の発信や地域活性化に貢献している。
日本パラサイクリング連盟のコメント:
「障がい者のスポーツ団体と地域が連携した活動に対して評価いただき大変うれしく思います。自転車は誰にでも楽しめる乗り物です。これからも自転車を通じて社会を明るく元気にできればと思います。本日は誠にありがとうございました」
南アルプス山守人
MTBの振興にとどまらず、官民が連携したボランティアによるトレイル整備、森林保全、移住促進等、地域全体の活性化に貢献。地域課題解決手段としてのMTBの新たな可能性を開拓している。
南アルプス山守人のコメント:
「私たちはマウンテンバイクを使って地域貢献活動をしています。そのためにも、私たちが1番やりたい事は『マウンテンバイクの制度化』です。健全なマウンテンバイクフィールドが普及する
ことで、山林環境保護や人びとのふれあいがさらに実現し、日本の地方創生と言う、地域と共存する素晴らしい巨大なフィールドを作り上げていきます」
「自転車通勤推進企業」宣言プロジェクト「優良企業」
自転車通勤を積極的に推進する企業、団体を認定する「自転車通勤推進企業」宣言プロジェクトでは、2022年末時点で「宣言企業」に52社が認定されている。そのうち特に優れた企業、団体は「優良企業」として認められ、今回は、コカ・コーラボトラーズジャパン、マスターのほか、自転車乗りにはおなじみのシマノ、ブリヂストンサイクルの合わせて4社が優良企業となった。
コカ・コーラボトラーズジャパン
コロナを契機に新たな自転車通勤制度を導入。交通事情や天候等に応じて、日によって自転車通勤を選択することが可能とし、通勤手当も柔軟に支給。自転車通勤のしやすさにもつながるカジュアルなビジネススタイルを提唱するとともに、複数のメディアを活用しながら、自転車通勤の取組を積極的に発信している。
コカ・コーラボトラーズジャパンのコメント:
「この度は非常に栄誉ある『優良企業』に認定いただき誠にありがとうございます。コカ・コーラボトラーズジャパンは、社員の心身の健康維持向上と環境負荷低減に貢献することを目的として自転車通勤を推進してまいりました。今後も健康経営やウェルビーイングの推進とともに自転車活用に関する議論を継続してきたいと考えます」
シマノ
広く一般に向けた自転車通勤専用のウェブサイトを開設し、自転車通勤の効用を科学的根拠で見える化するとともに、駐輪場や自転車保険、盗難対策などの情報も含め積極的に発信。従業員のヘルメット着用義務付けやヘルメット購入補助を実施。入浴施設やロッカールームの設置など自転車通勤の環境を整えているほか、パンク修理など実践的な講座を実施している。
優良企業に認定されたことについて、シマノの楳田謙治総務課長は、「当たり前のことをずっとやっているだけなので、今回こういう優良企業ということで認定いただいて本当にありがたいなとは思っています」と話した。楳田課長もロードバイクで毎日自転車通勤をしており、その効用やシマノの取り組みの良いところについて次のように語った。「片道10kmですね。電車、バスで行くと1時間くらい掛かるところ、自転車だと30分なので、雨でも自転車で行って。びしゃびしゃで着くんですけどお風呂に入らせてもらって。会社にシャワーとかお風呂があるのがすごく助かってます」。
ブリヂストンサイクル
自転車通勤に関する交通安全教育について相談のあった企業や自治体に対し、各々のニーズに合わせた講習を対面またはオンラインで実施。「宣言プロジェクト」制度の紹介、交通安全教育の動画提供、講師としての従業員派遣、乗り方の実技講習など幅広く活動している。
ブリヂストンサイクル スポーツ車戦略部の大槻浩太郎さんは、「今までこういった自転車を安全に使っていただくという活動をしてきましたので、こういった形で評価していただき非常にありがたいなと思っていますし、また、こういった表彰をいただいたことを励みに、より一層こういった活動に力を入れていきたいなと思っております」と話した。これからの活動で目指すところについては、「自転車交通安全っていうところだけだとちょっと堅くなってしまう部分もあるので、より楽しく、全ての年齢の方が“面白かったね。じゃあちょっとルールも守ってみようかな”って言っていただけるような活動になるように頑張っていきたいなと思っております」。
マスター
マスターは、主に石鹸の製造、販売を行う大阪・堺市の企業だ。自転車体験シミュレーターを活用した安全教育や、自動車ドライバー向けの自転車の視点からの安全教育を実施するとともに、従業員が自主作成した通勤経路の「ヒヤリハットマップ」を安全教育に活用。防犯カメラやミラーの設置など、駐輪場の防犯・安全対策も強化している。
マスターのコメント:
「令和4年度『自転車活用推進企業』優良企業として表彰を賜りましたこと、関係者一同この栄誉に感謝申し上げます。弊社は、安全への取り組みを重要視しており、教育訓練や従業員自ら積極的に試行錯誤しながら日々改善に努めています。今回の受賞を励みにして、今後もより良い活動が出来るように取り組んで参ります」