乗鞍でMTBトレイルが本格オープン!「のりくらコミュニティマウンテントレイル」、その在り方と走り方
長野県松本市の乗鞍エリアのトレイル群が、MTB用として公開された。6月11〜12日にオープニングイベントが行われた「のりくらコミュニティマウンテントレイルズ」、略称「NCMT」だ。これまでガイドツアーでしか走れなかった乗鞍高原の国定公園内のトレイルが、一般のMTBライダーでも走れるよう公開されたのだ。
ヒルクライム大会でも名高い長野県の乗鞍高原。その地形の美しさを活かしたMTBトレイルを走るガイドツアーが、長く乗鞍では人気だった。その手入れの行き届いたツアー用のトレイル群が、一般にも公開されたのだ。ガイドツアーではそのルートを公開しないというのが通常の考え方だが、それを公開することで新たなビジネスチャンスを見出すというのが狙いだ。
2022年の6月11〜12日のオープニングイベントにて「のりくらコミュニティマウンテントレイルズ」、「NCMT」と略されるトレイル群が公開され、このイベントには長野県松本市の臥雲義尚市長、元五輪選手の鈴木雷太氏などが来場、テープカットでこの新たなトレイル群のオープニングを祝福した。
22年度のトレイルのオープン時期は、この6月11日から11月初旬ほどまで。利用には、下記のホームページからの申し込みと、トレイル整備協力金のウェブでの支払いが必要になる。その受付メールを現地の『乗鞍BASE』または観光センター内『GiFT NORiKURA』に見せてリストバンドをもらい、それを着けて利用する流れだ。
現地で地図ももらえ、看板と合わせてたどっていけば大まかなルートを走れるようになっている。長野県の条例では自転車に乗るには保険への加入が欠かせないのだが、1日2500円のトレイル整備協力金には、その一日加入金500円も含まれている。
オープニングイベントでは、地図を読みながら指定地点を辿ってポイントを加算していく『ロゲイニング』が行われた。 MTBとハイキングの2クラスで行われ、その賞品の豪華さが人気だった。2日目にはMTBガイドツアーが行われた。現地では《ロッキーマウンテン》の最新試乗車もあったので、それに乗ってツアーを走ってみた。
今回のガイドツアーは大まかな上りを車で行い、そこから自走で距離を稼ぎながら下り走っていくMTB経験者向けのもの。午前中をかけて走ったのは、主に『ディープフォレストクリーク』というトレイル。昔のトロッコ道をトレイルにしたもので、ガイドツアーでは主なルートとしてよく使われていたものだそう。その走りの流れは、とても心地よかった。
公開されているトレイルは、看板の立てられた自然のトレイルである。境界線をきっちり仕切ってあるパークとは違い、ある程度の安全意識などが必要だ。路面も全くの初級者では根っこの段差や岩場があって怖いかもしれない。ただスポーツ自転車に乗り慣れていれば、中級者向けトレイルなら問題なく走れるだろう。路面はしっかり手入れが行き届いている。
今回はガイドがいるので、コース選びはお任せだ。トレイル途中にある難しいセクションは、事前にガイドがそのむねを伝えてくれるので、走る前に心の準備をしよう。心の準備があれば、そこを行くにせよ降りるにせよ余裕ができる。
一緒に走った参加者は5人。
試乗車は《ロッキーマウンテン・エレメント アロイ30》。ラインアップのフルサスMTBでは一番低価格のXCフルサス・アルミ29インチ。ヘッドは寝ているが上りの細かなターンでは傾けるだけで曲がるし、そこでグイっと踏むと車体が立ち上がって戻って楽しい。沈んだリヤサスが前へ伸びるように走っていく感じが面白かった。低い何かを前に転がすように走らせる感じ。カーボンならこの挙動がもっと軽いんだろう。
この日にオープンしたトレイル群は「のりくら高原トレイルズ」として、MTBとハイキング、2種類のトレイルとして共有していく。一部はMTB専用だが、ルートのほとんどはハイカーとの共有区域だ。MTBが自由に走れるトレイルとはいえ他の利用者もいる。また走る方向は一方通行なのに気を払い、途中ハイカーと会ったら積極的に降りて挨拶をしたい。
初めてのりくらトレイルを走るならガイドツアーが安心、長く乗鞍でツアーを続ける「ノーススター」が人気だ。車での搬送サービスもあるから、上りは苦手なお子さんがいるファミリーもライドを全員で味わえ、ベストなルートを時間も見つつ案内してくれる。荷物も少なく走れて、救急など万が一の時の助けも万全だ。泊まりがけで来て1日をヒルクライム練習に使いたい場合も、家族がツアーに参加すれば何かと便利だ、ぜひ利用したい。