全日本最速店長・岩島啓太の強さに迫る〜私のトレーニング履歴書
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自転車レースの上級カテゴリーで活躍する有名レーサーたちは一体どんなトレーニングをしているのか? 彼らの“トレーニング履歴書”に迫る特集をお届けしよう。今回は2022年に「全日本最速店長選手権」3回目の優勝を達成したエイジサイクル店長・岩島啓太さんだ。
国内主要市民レースのタイトルを持つ実力者
岩島啓太(いわしまけいた)さんは、東京都日野市のスポーツ自転車専門店「エイジサイクル(eijicycle)」の代表であり店長だ。1979年生まれの現在43歳。2022年4月に開催された、日本で最速の自転車ショップ店長を決める「アミノバイタル® プレゼンツ 第11回 全日本最速店長選手権」で優勝し、通算で3勝目(史上初)の快挙を達成した。
“最速店長”のイメージが強い岩島さんだが、実は過去に国内最高峰と言われる市民レースでいくつか優勝している。特に目を引くのは2010年の「ツール・ド・おきなわ市民210km」、そして2012年の「ジャパンカップ・オープン」(若手プロ選手の登竜門でもあり、勝つのはかなり難しい)だ。この両方のタイトルを持つのはかなりの偉業だ。他にも「ニセコクラシック」の年代別優勝、そしてUCIグランフォンド世界選手権への出場も果たしている。
岩島さんの身体的スペック〜“超合金”の異名を持つ筋骨隆々とした肉体
「中学・高校時代はラグビー、大学時代はアイスホッケーをしていました。アイスホッケーでついたあだ名が“超合金”なんです。ロードバイクを始めたのは24歳のときだったんですよ」と岩島さん。確かにその名が示すように筋肉質でいかにも強そうな体型をしている。
●身長:171cm
●体重:67kg
●FTP:約315W
●脚質:TTスペシャリスト
身長に対して体重はある方だが、「ヒルクライムレースの年代別カテゴリーで優勝したこともあり、上りは苦手ではありません」と岩島さん。「淡々と一定ペースで走る、タイムトライアル的走りが得意です」と語る。
FTPは体重の約4.7倍と、近年の“FTPインフレ”とも言える状況下では高い数値ではない。しかし、そんな中でもロードレースできっちりと上位に入ってくるのは、戦略や走り方のうまさがあるのだろう。
岩島さんのフォーム〜上半身がぶれない
平地で速度を上げて走るときから上りまで、基本的にブラケットを持つことが多いという岩島さん。前傾姿勢を深くすると、背中の真ん中あたり(下部胸椎)から曲がるのが特徴的だ。特筆すべきは上半身が全然ぶれないこと。まるで精密機械のようにビシッと安定している。
岩島さんの機材選び〜新進気鋭のパーツを採用
「オールラウンドな性能を重視して、バイクはスコットのアディクトRCを使用しています」と岩島さん。セッティングはいたってオーソドックスに見える。しかし、随所にこだわりが。
「楕円リングを使っています。これは自分にとってはペダルを踏むときにリズムがつかみやすく感じるからです。あと、シューズはカーボンではなくナイロンソールのモデルを使っています。こっちの方が長距離を走るときに良いんですよ」。
岩島さんのトレーニング〜インドアトレーニングメインでそれほど長時間は乗らない
日本国内としては長距離のロードレースで活躍する岩島さん。長距離・長時間で乗り込むようなトレーニングをしているのか?
「実走とZwift(ズイフト)を使ったインドアトレーニングを組合わせたトレーニングをしていますが、最近はZwiftの方が多いです。また、ショップ主催のクラブ練習を除く個人練習の場合は、長くても1日2時間程度です」と岩島さん。
基本的なトレーニングの流れは下記のとおり。
月曜:休息日
火曜:休息日
水曜:トレーニング 1〜2時間
木曜:トレーニング 1〜2時間
金曜:休息日
土曜:トレーニング1〜2時間または休息日
日曜:クラブ練習 4時間程度
しっかりと休息日を設け、意外と短時間でのトレーニングをしていることが分かる。
「個人でトレーニングする日は、Zwiftの場合だとワークアウト機能を使っています。トレーニングゾーンで言うとL3〜L4のあたりで、長く踏める中〜高強度領域のメニューをこなしています。
そうしたトレーニングは遠くの環境の良い長い峠に行かないとまず不可能なので、Zwiftのメリットが大きいです。
実走する場合は、2分または3分ほどの緩めの勾配の上り坂を、強度を上げて反復します。
月間走行距離にすると、1000km〜1200kmほどです。“とにかく乗りまくる”というトレーニングはしませんよ。今出場しているレースだとそうした内容は必要ないと考えていますから」。
強度が高めの練習を短時間で集中してこなし、しっかりと休息をとる。ここに岩島さんの強さの秘けつがあった。
岩島さんのコンディショニング法①〜胃腸を休ませる
40歳を超えて、コンディショニングには気を遣うようになったという岩島さん。近年気をつけているのは胃腸を休ませることだという。
「夜の20時までに夕食を済ませ、翌日の12時までは何も食べないようにしています。16時間連続で食べない時間を設け、これによって胃腸を休ませます。こういうコンディショニング法があることを知って試してみたところ、私の場合は合っていて、調子が良くなりました。
食事内容もある程度は気をつけています。栄養バランス良く、まんべんなく食べるようにし、最近は米を玄米にしたり、発酵食品を多く摂るようにしていますね。でも油ものは気にしすぎず摂っています」。
岩島さんのコンディショニング法②〜スポーツサプリメントとしてアミノバイタル®を活用
「スポーツサプリメントとしてアミノバイタル®GOLDをトレーニング後30分以内に、速やかに摂るようにしています。食事だけで必要な栄養をまかなおうとすると、どうしても摂取カロリーが高くなる傾向があると思います。しかしロードバイクの場合は体を絞る必要があるうえに栄養もしっかりと摂らないといけず、その点ではスポーツサプリメントを活用するメリットは大きいです」。
アミノバイタル®GOLD
人生の最終目標は生涯元気に自転車に乗り続けること
最後に、岩島さんの今後の目標について聞いてみた。
「直近の目標だと、ニセコクラシックでの総合優勝です。2022年は総合で8位でした。また、UCIグランフォンド世界選手権で年代別の優勝を達成したいです。2022年9月にイタリアで開催される同世界選手権への出場権は獲得しましたので、このまま体を仕上げていって、いい結果を出したいです。また、ツール・ド・おきなわ市民210kmではもう一度勝ってみたいですね。
長期的な目標もあります。それは、“生涯元気に自転車に乗り続けること” です」。
40歳を超えた今でもロードレースの第一線で活躍する岩島さん。40代のサイクリストは多いので、ぜひ参考にしてみてほしい。