シマノ・GRXをいかにして使いこなすか?グラベルライダーの構成要素Vol.1
舗装路から未舗装路まで、多彩なフィールドを走るグラベルバイク。だからこそ、フレームの性能やパーツ構成には乗る人ごとのこだわりが詰まっている。そこでシマノ・GRXをメインコンポーネンツとして取り入れ、グラベルライドを”本気で”楽しみ尽くしている皆さんのバイクアッセンブルや考え方を「パナレーサーニセコグラベル2022」で直撃した!
01:自転車ブロガー 神楽坂つむりさん
Q1:自身のグラベルバイク全体のコンセプトと、そのフレームを選んだ理由は?
コンセプトは「気軽にグラベル体験」です。グラベルバイクの所有はこれで2台目ですが、1台目はカーボンフレームでいわゆる「良く走る」系のフレームでしたが、カーボン素材ゆえにいろいろと気を使ったりレーシー過ぎる点が気になっていました。グラベルライドはあまり気負わずに日常の延長線上にあって然るべきだと感じたので、アウトドアウエアをゆるっと着るような感覚でアルミ素材かつポジションにゆとりがある英国のRIBBLE(リブレ)フレームをチョイスしました。
Q2:タイヤ、ホイールなど足まわりは?
とにかく汎用性の高さを重視しています。あっちを立てたらこっちが倒れる、みたいな足まわりはグラベルバイクには使いたくありませんでした。気軽にグラベルに突っ込めるようなエアボリューム、ロングライドでも使える軽さ、キャンプ道具を積載した際の安定感。これらを満たすためのチューブレスレディ(TLR)、パナレーサー・グラベルキングSK 700×43Cタイヤ、シマノ・WH-RX870ホイールです。足まわりについては最新の規格が間違いなく優れています。
Q3:どんなギヤ比構成?
ここはこだわりました。絶対に機械式変速かつフロントダブルです。ギヤ比はシマノGRXの提案が最高だったのでフロント48-31T、リヤ11-32Tです。トラブルがあっても無事に帰ってくることが大前提なのでDI2の魅力を理解しつつも安全側で機械式変速を選んでいます。GRXの機械式変速は使えば分かりますが驚く程にスムーズで、正直これなら全く不満がありません。また、機材によって走るシーンを成約したくないので、フロントダブルはマストです。キャンプツーリングからグラベルイベントまで「気軽に」同じ機材で楽しめる点を重視しています。
Q4:普段はどんなグラベルコースを走っている?
日本中を走っています。好きな場所は北海道なら空知地方やオホーツクエリア、東北なら秋田県、甲信越なら佐渡島や甲府、東海エリアであれば新城、関西圏なら京北と北摂、中国四国なら徳島、九州なら阿蘇が気に入っています。
Q05:グラベルライドにおいて、最も大切にしていることは?
気負いしないこと。そして安全に帰ってくることです。フットワークを軽くしてまずは玄関を飛び出すことが大事ですが、必ず帰ってくることがもっと大事です。ですから機材トラブルが起きないように信頼のできるセッティングが必要です。GRXは何一つトラブルを予感させない信頼感があるので、より安心して冒険ができるようになりました。
02:自転車系youtuber けんたさん
Q1:自身のグラベルバイク全体のコンセプトと、そのフレームを選んだ理由は?
コンセプトは、余ったパーツで組んだけどなんかいい感じになった「寄せ集めバイク」です。フレームを選んだ理由は元々アルミのチネリ・キングジデコを持っていて、カーボンモデルが出ると聞いて飛びつきました。要は見た目で選びました。重くなりがちなグラベルバイクですが、グラベルの中でもそこそこ軽く、結構軽快に走ってくれます。
Q2:タイヤ、ホイールなど足まわりは?
タイヤはパナレーサーのグラベルキングと、フカヤオリジナルブランドのダボスのコラボタイヤ「グラベルランナー」700×38Cです。舗装路の転がり抵抗少なくしたいけど、グラベルも走るんだよねといったわがままライダーに良さそうなタイヤ。今回のイベントは舗装も多いので良さそうかなと思ってこれにしました。
ホイールはシマノ新作のカーボンホイールWH-RX870ですね。太いタイヤを履いてもタイヤの性能を発揮できるようにワイドリム化されています。タイヤサイドがヨレず、しっかり張りのある走りができます。見た目のバランスも良く、ホイールとタイヤが綺麗に見え気に入っています。ワイド化による重量増はカーボンリムでカバーって感じです。
タイヤはチューブレスレディ化。このタイヤは太さはこれしかラインナップがないのですが、グラベルオンリーのコースなら40Cくらいはあってもいいかもです。
後ろの転がりを軽くするならセミスリックなど別のタイヤにしても良い気がします。後ろは滑ってもなんとかなりますので!
Q3:どんなギヤ比構成?
ギヤ構成はフロントシングル(42T)、リヤは11速で11−42。前は少し大きめなのでフラットでもそこそこスピードは出せます。ギヤ比は最低1〜最高3.81で、ケイデンス90で時速43kmほど出る計算です。グラベルはもちろん、ツーリングライドするには十分ですね。
Q4:普段はどんなグラベルコースを走っている?
圧倒的荒川河川敷が多いです。周回とかしてしまえば無限に走れます。
Q5:グラベルライドにおいて、最も大切にしていることは?
ちょっと前までは「グラベルだからのんびり」というライドが多かったですが、最近は高速域のグラベルライドが大好きで、走りを犠牲にしないライドを重要視してます。五感をより多く刺激してくれる感じがたまらないですね。そしてそれは速度が速くなったり、難易度の高いコースを走るとより感じることができ、ハイになれます! そしてシマノGRXは新しい自転車の楽しみ方を身近にしてくれました。これさえあればグラベルはOKという安心感があります。
03:キャノンデール・ジャパン マーケティング担当 山本和弘さん
Q1:自身のグラベルバイク全体のコンセプトと、そのフレームを選んだ理由は?
乗っているバイクはキャノンデール・シナプスカーボン1RLE。プライベート用に2022年春に購入したバイクです。走りの軽さとグラベルタイヤ(700×35C)まで装着可能な懐の広さ。ライト、レーダーを統合したスマートセンスを搭載していることから、安全性と普段の足用として非常に便利な機能がついています。通勤、週末のロンググラベルライドで使用しています。
Q2:タイヤ、ホイールなど足まわりは?
ホイールはシマノGRXカーボンWH-RX870。タイヤはグラベルキングSK700×35C。内幅25mmワイドリムの安定性に惚れています。路面との接地面を広くできるので、35Cのタイヤでも十分なエアボリュームによる快適性を得ることができると同時に、タイヤ自体を軽くできるので、走っても軽く非常に満足する組み合わせです。
Q3:どんなギヤ比構成?
フロント50-34T、リヤ11-34T。どのスピード域でも適正なギアを使えて、ストレスがないため、フロントは2枚が好きです。
Q4:普段はどんなグラベルコースを走っている?
普段は大阪の北をメインに走っています。 田んぼのわき道から、 MTBのトレイルまで、多種多様な道があるので、気に入っています。 あとは日本のグラベルイベントには積極的に参加するようにしています。その土地のグラベルハンターがおすすめするルートを走って、その道の歴史を感じることが好き。
Q5:グラベルライドにおいて、最も大切にしていることは?
GRXを使うことで走る場所を選ぶことなく、妥協することなく楽しめる点が気に入っています。 特に今作のカーボンホイールRX870は傑作。グラベル遊びは足回りで決まるといっても過言ではないので、ホイールとタイヤ選びはこだわりが強いです。 シーラントは多めが好きで各100mlほどを入れており、精神衛生上とても安心です。
04:サイクルスポーツ編集部 江里口恭平
Q1:自身のグラベルバイク全体のコンセプトと、そのフレームを選んだ理由は?
僕の求めるグラベルバイクは、少ない荷物でサクサクと走り続けるような軽快さと、あらゆる道に入り込める走破性を両立すること。サーヴェロのアスペロは、いつもさまざまな試乗車が並ぶ編集部のなかで、最も僕を引きつけたものでした。2019年当時はここまで軽量でシンプルなグラベルフレームはまだほとんどなく、まるでロードバイクの様な舗装路での快走感、そして未舗装路に入った時のシンプルさを活かした機動力に魅せられたものです。このバイクとともにさまざまな実走取材を経験していますが、未だに乗る度に新鮮な印象を与えてくれる一台です。
Q2:タイヤ、ホイールなど足まわりは?
想定するコースによってタイヤ、ホイールともに頻繁に交換しています。このバイクは今はロードバイク的な舗装路ライドにも使用しているので、その時はセミスリックのIRC・ボウケンプラス700×32Cを履き、ホイールはシマノGRXのアルミモデルWH-RX570でガンガン輪行しています。今回のニセコグラベルのような未舗装路の分量が多い場合は、素直にブロックパターンのパナレーサー・グラベルキングSKの700×43Cを履いています。これ以上タイヤが太くなると、やはりバイクが鈍重になるので、今のところ43Cが(フレーム的にも)最大かなと思っています。そして太いタイヤを履くからこそ、ホイールは軽く。シマノGRXカーボンWH-RX870でまとまり感のある足まわりが完成します。ちなみにめっちゃタイヤを交換するので、チューブドで運用することが多いです。その場合、アールエアーやチューボリートなどの軽量チューブを使用しています。チューボリートはエア圧を下げることができるので個人的にオススメ。
Q3:どんなギヤ比構成?
コンポーネンツはシマノGRX DI2。電動の俊敏で確実な変速を十分に活かしたフロントダブルです。ギヤ比はフロント48-31T。リヤ11速で11-32T。これで上れない坂は、自転車を担ぐ坂です。とはいえ行く道が酷いので、よく担いでます。シマノGRX DI2はAスイッチがロードモデルよりもアクセスしやすい位置にあるので、シンクロシフトを設定。右スイッチに「シフトアップ」、左スイッチに「シフトダウン」を与えて、2×11速全てが自動で変速してくれるように設定しています。操作がよりシンプルになることで、グラベルの路面とのコミュニケーションに集中できます。
Q4:普段はどんなグラベルコースを走っている?
取材も趣味ライドもともに、日本各地のグラベルを探索しています。基本は二拠点で動いており、東京からだと、信州各地、日光、伊豆半島によく入り込んでいます。大阪からだと箕面、金剛山系、奈良の奥地、四国四県なんかも最高ですね。各地のグラベルライダーたちに、ローカルグラベルをアテンドしてもらって一緒に走ることも大好きです。
Q5:グラベルライドにおいて、最も大切にしていることは?
一言でいえば、「冒険心をくすぐるライド」。自転車でのツーリングはさまざまな旅心を満たしてくれるものですが、グラベルロードはそのなかでも特にアドベンチャーな気分を盛り上げてくれます。そのために「知らない道、知らないエリア、知らない目的地」を必ず設定します。「この先はどんな路面になるだろう?」、「本当にたどり着ける?」、「この補給や装備で走りきれそう?」。そんな自身の未知の領域へ、自転車という道具とともに分け入っていき、それが達成できた時に、これ以上ない充足感を得ることができます。そして、ライドの最後は必ず温泉!