全日本ロード女子チャンピオン・樫木祥子の強さに迫る〜私のトレーニング履歴書

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Presented by AJINOMOTO CO.,INC.

自転車レースで活躍する有名レーサーたちは一体どんなトレーニングをしているのか? 彼・彼女らの“トレーニング履歴書”に迫る特集をお届けしよう。今回は現全日本ロード女子チャンピオン(2023年3月現在)の樫木祥子(かしき しょうこ)選手だ。

全日本ロード女子チャンピオン・樫木祥子の強さに迫る

 

海外レース経験も豊富な実力者

樫木祥子選手

樫木祥子選手

 

樫木選手は1993年生まれで東京都出身。ビル管理などの事業を手がける企業、オーエンスの社員として普段は働いているが、会社公認でレース活動を行っている。よって、ほぼフルタイムのレーサーと言っていい。

一度延期となり、2022年10月開催となった全日本自転車競技選手権大会ロード・レースの女子エリート(以下、全日本女子ロード)で見事優勝し、全日本女子ロードチャンピオンとなった。

大学4年生のときにはインカレロードでも優勝しており、2021年/2022年には全日本選手権個人タイム・トライアル・ロード・レース大会でも優勝。2022年はロードレースもタイムトライアルも、ダブルタイトルを獲得したことになる。

そんな輝かしい成績をおさめた彼女だが、ロードバイクに乗り始めたのは大学1年生のときからだったという。「もともとはトライアスロンをやりたかったのですが、大学に部活がなく、とりあえず自転車部があったので入ってみました。そこからロードレースを始めました」と樫木選手。それまでは小さい頃からずっと水泳に取り組んでいた。

かつては海外チームに所属していたこともあり、またナショナルチームの選手としても活躍しているので、海外レースの経験も豊富だ。

 

樫木選手の身体的スペック〜意外と体が硬い

樫木選手の体型

樫木選手の体型。前屈してもらうと、意外や手が地面に届かなかった……!!

 

「私、体が硬いんですよ」と樫木選手。確かに前屈してもらうと手が地面に届かない。これまで紹介してきた強豪レーサーのほとんどが高い柔軟性を持っていただけに、意外だった。しかし一般のサイクリストとしては何だか勇気をもらえる。

「アップダウンのあるコースが得意です。脚質はオールラウンダーかな。体重の増減はけっこうあります。FTPは近年は測っていませんし、気にしていません」。

●身長:158cm
●体重:49〜53kg
●FTP:近年は計測していない

 

樫木選手の走り〜体の軸がまったくぶれない

平地でのブラケットリラックスフォーム

平地でのブラケットリラックスフォーム

平地でのブラケットエアロフォーム

平地でのブラケットエアロフォーム

平地での下ハンドルフォーム

平地での下ハンドルフォーム

上り坂でのシッティングフォーム

上り坂でのシッティングフォーム

上り坂でのダンシングフォーム

上り坂でのダンシングフォーム

 

「体の柔軟性が低いので、胸から背中を曲げて前傾を作るタイプです」と樫木選手。確かに、胸椎から曲がり背中の中央が盛り上がって見える。とはいえ、一般のサイクリストに比較すればはるかに前傾は深い。

彼女の走りで特筆すべきは、体の軸がまったくぶれないことだ。シッティングでもダンシングでも、脚だけが正確に動いて胴体がビシッと止まっているかのように見える。そしてダンシングでは車体をあまり振らないタイプだ。この安定したフォームが、彼女の速さの秘けつかもしれない。

 

樫木選手の機材選び〜まったく機材にはこだわらない

樫木選手が乗るスペシャライズド・Sワークス アミラ

樫木選手が乗るスペシャライズド・Sワークス アミラ

 

「機材へのこだわりはまったくありません」ときっぱり断言する樫木選手。確かに、彼女のマシンを見るとそれがよく分かる。

自転車はかつて所属していたアメリカのチームから供給された、現在では廃盤となっているモデルにそのまま乗っている。コンポもいろいろとミックスしており、「タイヤは後輪がパンクして、交換してそのままです」と、前後で違うブランドを使っている。

しかし、この自転車で全日本女子ロードも勝ったのだ。強い選手は何に乗っても強い。まさにそれを物語っている。

樫木祥子選手の機材

なぜかリヤディレーラーがシマノ・GRX。「昔出場した上りのきつい海外レースで大きなギヤを使うためにこれを装着して、そのまま面倒なので交換してません」。そしてこれでそのまま全日本女子ロードも勝った

樫木祥子選手の機材

ホイールもスポンサードされたもので、日本ではまだなじみの薄いファースポーツのS4を使っている。レースは全部これで走っている。チューブラー仕様だ

樫木祥子選手のクランク

クランクは11速のシマノ・旧デュラエース。クランク長は167.5mmで「体が硬くて脚が上がってこないからです」。体の柔軟性の低さを機材でも補う

樫木祥子選手のサドル

サドルはセライタリアのSP-01。「絶対にこの製品じゃないとだめ! というこだわりは特にないのですが、サドルは穴あきタイプなのがマストです。そうじゃないとお尻が(痛くなって)死んじゃうので」

 

樫木選手のトレーニング〜その日の気分と体調でメニューを決める

「トレーニングは、結構ざっくりとしています。例えば1週間どのような流れでメニューを組むか、ということは決めていなくて、朝起きたその日の気分や体調で内容を考えます。好きな分野の練習と嫌いな分野の練習を、その日の気分と体調に合わせて、バランス良く選んでいくという感じです。すごくあいまいな答えになってしまうのですが」と樫木選手。

「年間を通じて、おおよその流れを決めてはいます。これもすごくざっくりなのですが……

1月〜2月:距離を乗り込む
3月:高強度練習
4月〜6月:レースシーズン
7月初旬:一旦オフにする
7月中旬:また乗り込み始める
8月:高強度練習
9月:再びレースシーズン
10月〜12月:オフ。まったく乗らない

という感じです。

長く乗るときは最大5時間くらいですね。逆に短い日は1時間くらいで終わります。

インドアライドでのトレーニングも行うときがあって、そのときは1分程度の高強度のメニューをすることが多いです」。

例えば5時間乗り込む日はどのようなことをするのか?

「今日は10分走を2本と1分走を6本やるかー、みたいな感じで決めて、それをライド中のどこかに入れていきます。これをライドの前半に入れるか後半に入れるかで意味合いも変わってくるのですが、それも割とアバウトに決めています。

パワーメーターは使っていて、数値はちゃんと見てはいますが、それもだいたいの目安くらいのものとしてですね。

いつも自分の感覚と経験を頼りにやっているものでして……」。

な、なるほど……。天才肌の選手なのだろう。

 

樫木選手のコンディショニング〜練習中のアミノ酸補給に気を遣う

アミノバイタル®プロを飲む樫木選手

アミノバイタル®プロを飲む樫木選手

 

選手生活をするうえで、コンディショニングはどのようにしているのか。

「ものすごくこだわっているわけではありません。“一般的に言われる健康的な生活”を送るよう心がけているレベルです。

好きなものはどんどん食べるし、甘いものも気にせず食べます。食事はシビアには管理しませんし、体重管理も気を遣いすぎないようにしています。そうするとメンタルをやられてしまうからです。

いかに自分のやる気を出させるか、を意識すると言いましょうか、メンタル面のコンディショニングをするようなイメージで取り組んでいます。

ただ、トレーニング中のアミノ酸の補給には気を遣っています。私個人は、トレーニング前とトレーニング中には「アミノバイタル® クエン酸チャージ」ウォーターを、同じくトレーニング中とトレーニング後にアミノバイタル®プロを飲んでいます。スポーツサプリメントはこれだけで、他は使っていません。

トレーニング中は補給食として糖質ばかり偏って摂りがちなので、そこできちんとアミノ酸を補充していくという意味でこれらを使っています。1時間おき、2時間おきと、こまめに摂っていきます」。

 

樫木選手も使うアミノバイタルシリーズのおすすめアイテムをピックアップ

 

アミノバイタル®プロ

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スポーツ時に大切なアミノ酸(体では作ることのできない9種類の必須アミノ酸+シスチン、グルタミン)3800mgと8種類のビタミンが口どけの良い顆粒状で飲みやすく摂取できる。詳細や購入についてはこちらから

 

「アミノバイタル® クエン酸チャージ」ウォーター

「アミノバイタル® クエン酸チャージ」ウォーター

運動に大切な5種類のアミノ酸(BCAA+グルタミン、アルギニン)1000mgと、エネルギー源となるクエン酸3300mgを配合した、水に溶かすタイプのサプリメント。スポーツ時の水分補給と同時にアミノ酸の補給もできる。すっきりとしたレモン味で飲みやすい。詳細や購入についてはこちらから

 

これまでの自分のレース経験を後進へと伝えたい

2023シーズンの抱負を語る樫木選手

2023シーズンの抱負を語る樫木選手

 

2023シーズンの目標は? やはり全日本女子ロードの連覇か。しかし出てきた答えは意外なものだった。

「ここまで自分を強くしてくれた人々への恩返しを今年はやろうかなと思っています。具体的には、下の世代へ自分のレース経験を伝えることです。

2023シーズンは、コロナ禍でしばらくなかったナショナルチームの海外遠征も再開される見込みです。そこで、自分が今まで経験したことをコロナ禍で海外でのレース経験ができなかった後進へと伝えたいんです。

私はコロナ禍が始まる前の一番いい時期に海外レースの遠征に多く連れて行ってもらえ、先輩の選手から言葉でも・走りそのものからでも多くを学ばせてもらいました。しかし、私より下の世代の選手は、この3年間海外遠征はおろか合宿すらできない状況で、そもそもレース自体が非常に少ない状況だったんです。そんな彼女たちへ、自分の経験を伝えていきたい。今年1年はそっちに注力するのが目標です」。

全日本というタイトルをとったその先には、日本の女子ロードレース界の未来を見据えていた樫木選手。しかしそんな彼女の走りからは、今後まだまだ目が離せない。

樫木祥子選手