Setouchi Vélo協議会の第1回ミーティングが今治で実施された

目次

昨年10月、瀬戸内及びその周辺地域を世界に誇るサイクリングの推進エリアとするため、瀬戸内圏8県と中四国の経済連合会、地方整備局や地方運輸局等約30の団体で設立されたSetouchi Vélo協議会の市町ミーティングに65名が参加した。

開催日時●2023年4月26日(水)
会場:みなと交流センター「はーばりー」1F みなとホール
主催:Setouchi Vélo協議会

 

セトウチヴェロ

 

Setouchi Véloとは?

瀬戸内地域及びその周辺地域を、環境に配慮し安全で快適な、世界にも認められる「サイクリングの推進エリア」にしたいという想いから2022年10月に地方自治体、国、経済連合会等で構成する「Setouchi Vélo 協議会」が設立された。

 

セトウチヴェロのメンバー

左から 国土交通省 四国地方整備局 荒瀬美和局長、武智邦典伊予市長、上村俊之上島町長、中村時広愛媛県知事、本四高速 後藤政郎社長、徳永繁樹今治市長、国土交通省 道路局 金籠史彦参事官

 

瀬戸内地域のブランド価値の向上を図り、瀬戸内地域やその周辺地域の持続的な地域振興を実現することを目標に、各地・各機関が連携し、さまざまな取り組みを実施していく。合言葉を「ひとつの瀬戸内、それぞれのストーリー」とし、以下の事項について、連絡、調整を行い、相互に連携、協力することで目的の達成を図る。
(1)サイクリングルートのネットワーク化
(2)サイクリングの推進エリア化
(3)国内外への情報発信

 

来島海峡大橋の塔頂体験で生まれて初めて見る絶景に大興奮!

ミーティングに先立ち、eバイクを使ったトライアルライドが実施された。コースは今治港からフェリーで対岸の下田水港へ渡り、そこからeバイクで来島海峡大橋を渡り、途中塔頂体験をし、今治港へと戻る10km程度のルートだ。

走行前に「日本サイクリングガイド協会」の公認ガイドによるヘルメットの被り方や、スポーツバイクの乗り方、降り方、止まり方などのレクチャーがあったので、スポーツバイクがまったく初めてのひとでも安全、安心にライドを楽しむことができた。

 

サイクルシップしまなみ

トライアルライドは今治港から「サイクルシップ しまなみ」に乗り込みスタート。乗船時間は短くてもやはり船は非日常を味わえて楽しい

小さな船に引かれるフェリー

フェリーの船首が小さい船で引っ張られている不思議な光景に出くわす。これも造船業が盛んな瀬戸内ならでは

来島海峡大橋へ向かう

下田水港で下船し、来島海峡大橋へ向かう。eバイクのパワーに思わず笑顔がこぼれる

来島海峡大橋の主塔頂上

エレベーターで来島海峡大橋の主塔頂上まで行くことができる。事前予約制だが中学生以上なら誰でも塔頂体験は可能だ

来島海峡大橋の主塔頂上からの眺め

高さ180mの頂上から見える景色は圧巻だ。筆者は極度の高所恐怖症だが、塀が高いので、安心して景色を楽しめた

 

瀬戸内地域を世界であこがれのサイクルルートとする構想

“Setouchi Vélo協議会”会長の中村時広 愛媛県知事が主催者挨拶で「サイクリストの聖地“しまなみ”だけでなく、ここ瀬戸内エリア全体がとてつもないポテンシャルをもっているということで、サイクリングの振興を通じて、情報発信をし、地域の活性化に結びつけようと発足した協議会である。シェアザロードなどの安全面や地域の理解向上を含めて、日本で自転車といえば“瀬戸内エリアだ。と言われるくらい、圧倒的な存在になれるように目指していきたい」と冒頭の挨拶があった。

 

中村時広知事

「日本で自転車といえば“瀬戸内エリアだ。と言われるくらい、圧倒的な存在になれるように目指していきたい」と開会挨拶をした中村時広愛媛県知事

国土交通省 四国整備局の荒瀬美和局長

国土交通省 四国整備局の荒瀬美和局長「行政間を超えたサイクリングルートのネットワーク化、日本屈指のサイクリング推進エリアとして、歩行者、自転車、自動車が安全に道路を利用できる快適性の高い自転車空間の構築に取り組んでいる」

本四高速の後藤政郎社長

本四高速 後藤政郎社長「30団体でスタートしたが、より多くの方々に参加いただき、活動の幅を広げていくことが重要だ。多くの賛同者を巻き込んで、瀬戸内を世界のサイクリスト憧れの地域にしていきたい」

 

続いて、国土交通省 自転車活用推進本部事務局次長 道路局参事官の金籠(かねこ)史彦さんが「自転車活用に向けた施策展開について」の基調講演。

キーワードは「自転車でつながる!」「町とひとがつながる! そして元気になる、幸せになる!」をベースに自転車活用推進施策の全体動向、国内外のサイクルツーリズムの事例紹介、自転車と公共交通機関の連携について話された。
目標達成のためにはハードウェア(インフラ・自転車)、ソフトウェア(制度・サービス)、オルグウェア(連携・コミュニケーション)の3つの要素が大事であると話をくくった。

 

国交省の金籠史彦参事官

今年4月から自転車ヘルメットの着用が努力義務化されたのと、愛媛県のヘルメット着用が確実に浸透しているので、今日は着座ではなくヘルメット着用で話させていただきます。と基調講演の冒頭で笑いを誘った金籠史彦国土交通省 道路局 参事官

 

会場では各エリアの自転車施策担当者が、熱心にメモを取る様子が見受けられた。次に、地元今治のMTBプロライダー門田 基志さんが「Setouchi Véloの可能性」を台湾一周やヨーロッパの映像を見せながらの有識者講演があった。テキストではなく、実際ご自身が走った海外の映像を見せながら、自転車通行レーンや走行シーンなどのを話されたので、シェアザロードがいかに根付いているのかが非常に分かりやすかった。

さらに国境を超えてもサイクリングルートの環境が変わらない、どの街に行っても、そこに住む人たちが自分の街を愛し、自慢しているように、ここ瀬戸内エリアも「住む人が自信をもって、このエリアが世界で一番いいところ、行ってみたいところになってくれることを目指しましょう!」と話を締めくくった。

 

門田 基志さん

門田 基志MTBプロライダーの講演は、台湾、ヨーロッパの走行映像を見せながら話されたので、会場内では「へえ~そうなんだ~」という声も……。「ヨーロッパでは国境を超えても走行環境が変わらない」は個人的に、めちゃくちゃ説得力ありました

 

最後は、愛媛県 観光スポーツ文化部 自転車新文化推進課の藤原康芳さんが「愛媛県の安全・マナー向上などの施策について」2011年から始まった「自転車新文化」への取組みについて発表された。自転車は地域の活性化だけを目指すのではなく、健康、友情、生きがいを提供することで、地域に根付くものとなるよう努力した。同時にルール、マナー、安全策を同時に進めていった。その一つが全国に先がけての高校生のヘルメット着用義務化だった。そしていろいろな施策を経て、地元民に自転車の認知を深めていったそうだ。

 

愛媛県の藤原康芳課長

10年以上に及ぶ愛媛県の自転車新文化への取り組みを発表される愛媛県 観光スポーツ文化部 自転車新文化推進課の藤原康芳課長

 

以上、この日のミーティングは「瀬戸内地域を世界であこがれのサイクルルートとする構想」についてのものだった。
サイクリストにとって行政境界はないのが当然だが、行政主導で作られている多くのサイクリングマップは残念ながら、行政境界で区切られいるのが現状である。しかし、どこよりも早く広域のサイクリングマップを作り、四国一周サイクリングを実践している四国4県の突破力があれば、この瀬戸内エリア8県をまたぐ、サイクリングの推進エリア構想も夢ではないように思う。時間はかかるかもしれないが、自転車でまちとひとをつなぎ、日本を代表する、世界に誇れるエリアになっていってほしいと切に願う。
次回2回目のミーティングは5/22に淡路島を有する南あわじ市で開催予定。

 

構成団体(順不同)
兵庫県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、近畿地方整備局、中国地方整備局、四国地方整備局、近畿運輸局、神戸運輸監理部、中国運輸局、四国運輸局、中国経済連合会、四国経済連合会、一般社団法人せとうち観光推進機構、一般社団法人四国ツーリズム創造機構、本州四国連絡高速道路株式会社

Setouchi Vélo HP