Setouchi Vélo協議会の第2回ミーティングを南あわじ市で開催
目次
2022年10月、瀬戸内及びその周辺地域を、世界に誇るサイクリングの推進エリアとするため、瀬戸内圏8県と中四国の経済連合会、地方整備局や地方運輸局等約30の団体で設立されたSetouchi Vélo(セトウチヴェロ)協議会。その協議会の参加団体である市町にて、市町ミーティングが開催されている。第2回の開催地は兵庫県淡路島の南あわじ市。このミーティングに51人が参加した。
開催日:2023年5月22日(月)
会場:ホテル&リゾーツ南淡路
主催:セトウチヴェロ協議会
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休憩ポイントの道の駅うずしお in うずまちテラスにて、ライドの参加者全員でSetouchi VéloのVを表現
セトウチヴェロとは?
瀬戸内地域及びその周辺地域を、環境に配慮し安全で快適な、世界にも認められる「サイクリングの推進エリア」にしたいという想いから2022年10月に地方自治体、国、経済連合会等で構成する「セトウチヴェロ協議会」が設立された。
瀬戸内地域のブランド価値の向上を図り、瀬戸内地域やその周辺地域の持続的な地域振興を実現することを目標に、各地・各機関が連携し、さまざまな取り組みを実施していく。合言葉を「ひとつの瀬戸内、それぞれのストーリー」とし、以下の事項について、連絡、調整を行い、相互に連携、協力することで目的の達成を図る。
(1)サイクリングルートのネットワーク化
(2)サイクリングの推進エリア化
(3)国内外への情報発信
アワイチの難所をeバイクで楽しむ
ミーティングの前には、このイベントの定番プログラムである、eバイクを使ったサイクリングが実施された。ミーティング会場であるホテル&リゾーツ南淡路を起点として、道の駅うずしおinうずまちテラスと、うずの丘 大鳴門橋記念館をめぐる約11㎞のコースだ。距離こそ短いがベテランサイクリストでも、苦しむアップダウンの多いエリア。サイクリング初心者もいるこのミーティングでのライドははたしてどうなるか……。
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スタート前に、安全走行に必要なブリーフィングを受ける参加者たち
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ジャイアントのeクロスバイクやeMTBが参加者に用意された。事前に、変速やアシストパワー変更方法の説明が行われた
いざスタートすると、いきなり厳しい上り坂が続く。参加者は楽しめるのか……という筆者の不安をよそに、eバイクのパワフルな走りに、感嘆の声が上がる。それでも、普段自転車で坂を上らない人にとってはやや息が上がるほどの、いい運動量になっているように見えた。
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島外周道路のうずしおラインは、坂で標高が上がる分、海を見下ろせて良い。体力差があっても同じ行程を走れるのがeバイクの魅力
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激坂を上る南あわじ市守本市長。こんな急勾配でもeバイクなら誰もが足を着かずに上れる。
道の駅うずしおinうずまちテラスで、みな玉ねぎになる
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玉ねぎになれるカツラを被る兵庫県園芸・公園協会 伊藤裕文理事長、守本憲弘南あわじ市市長、本州四国連絡高速道路後藤政郎代表取締役社長、プロサイクリスト門田基志氏(写真右から)
休憩ポイントの「道の駅うずしおinうずまちテラス」には鳴門海峡を一望できる展望台がある。筆者が以前、訪れたときよりも、ずいぶん眺めが良くなっていると思ったら、大規模改修が行われて、展望台が広くなったそう。広場には淡路島の名産である玉ねぎのモニュメントと、被ればすぐに玉ねぎに変身できるカツラが用意されていた。早速被って記念写真を撮る参加者たち。
老いも若きも、みんな童心に帰って楽しめるeバイクでのサイクリングとなった。
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サイクルスポーツ編集長も被りました
“セトイチ”という広域周遊ルート構想
玉ねぎによって親交を深めたメンバーは、この日のメインイベントであるセトウチヴェロ南あわじミーティングの席についた。
開催地である南あわじ市守本憲弘市長は冒頭の挨拶で「南あわじ市は今もアワイチでサイクリストが来ている。瀬戸内エリアのブランド向上、サイクリストの意識向上によって世界に誇るサイクリングエリアになるため、さらなるコミットメントを強化していきたい。令和9年には大鳴門橋を自転車で通行できるようになるので、そうなれば淡路島から四国へ自転車で走って渡れるようになる。その先は四国側の瀬戸内を走ってしまなみ海道で、本州へ渡り、今度は本州側の瀬戸内を走ると”セトイチ”が実現できる。また、自転車は脱炭素という観点からもその活用に期待している。南あわじ市はマイカー文化の地域なので、自転車が身近になって、ちょっとした行き来で自転車が使われるエリアになってほしい。自転車で運動すれば健康という面からもプラス。セトウチヴェロがそのきっかけになってくれたらいいなと思っている」と語った。

南あわじ市守本憲弘市長
徳島大学社会産業理工学研究部長の山中英生氏による基調講演では、サンフランシスコを例に挙げて、レンタルバイクでゴールデンゲートブリッジと船を使って街をサイクリングで観光するルートの例が発表された。そこからセトウチヴェロの可能性として、アワイチのような達成感だけではなく、シェアサイクルを使った観光の移動手段としての自転車活用や、ガイドツアーといった多様な自転車活用が、ひいては経済効果をもたらすことが語られた。
セトウチヴェロの事務局を代表して本四高速の森 毅彦常務が講演。「欧州にはユーロヴェロという16コース、総距離9万kmのコースが設定されている。瀬戸内にもコースを体系化し、そして広域化することによって走ってみたい、走破してみたいという気持ちを醸成することができると思っている。そうすることで、サイクリング文化がクラスター化して瀬戸内に市場を作り、文化を作ることになると考えている。
eバイクを活用して、既存のサイクリストだけではなく、普通の人がサイクルツーリズムを楽しめるようにしていくことが普及のカギだ」とコメント。
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南あわじ市吉村文章 万博・観光戦略統括官からは、大鳴門橋の自転車通行空間についての説明があった。これによりASAトライアングルコースという南あわじ市、鳴門市、東かがわ市をまたぐコースが引ける。そして、2025年の関西万博に向けて、観光のPRを強化していくとも
パネルディスカッションでセトウチヴェロの未来を考える
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コーディネーターにプロサイクリストの門田基志氏。パネリストは南あわじ市守本市長、徳島大学山中研究部長、サイクルスポーツ編集長中島、バイシクルクラブ山口編集長、森事務局代表が登壇(写真左より)
ミーティングの最後は、パネリスト5人によるパネルディスカッション。セトウチヴェロが今後、広がり認知され、観光などに活用されるために必要なことは何かについて語り合った。コロナ禍が明けて、観光需要が戻ってきたけれど、現場は人材不足の問題がある。ルート整備という道路インフラだけの整備ではなく、そこを使う人への教育の重要性。観光の中でも食の魅力発信など、エリアの魅力を理解してアピールすることの重要性などが語られた。
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ミーティングの終了後、本四高速後藤政郎社長、洲本市上崎勝規市長、南あわじ市守本憲弘市長、淡路市金村守雄副市長
、兵庫県淡路県民局守本浩二副局長が固く握手(写真右から)
構成団体(順不同)
兵庫県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、近畿地方整備局、中国地方整備局、四国地方整備局、近畿運輸局、神戸運輸監理部、中国運輸局、四国運輸局、中国経済連合会、四国経済連合会、一般社団法人せとうち観光推進機構、一般社団法人四国ツーリズム創造機構、本州四国連絡高速道路株式会社