女子Qリーグ、中学生Nリーグ2023-2024第9戦わたらせクリテリウム・レポート
目次
サイクルロードレースの女子リーグ「クイーン・リーグ(Qリーグ)」、中学生リーグ「ニュー・エイジ・リーグ(Nリーグ)」2023-2024シーズン第9戦:わたらせクリテリウム第2戦が2023年9月16日(土)、栃木県栃木市藤岡町の藤岡渡良瀬運動公園内わたらせサイクルパークにて開催された。
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エスポワール Bクラスのスタート(photo: QNリーグ事務局)
わたらせサイクルパークの完全クローズされた 1周回=約1.1kmを走るクリテリウムレースは、宇都宮ブリッツェン主催で昨年からシリーズ開催。
朝から穏やかな天候に恵まれた会場では、QNリーグ主催のスクール企画「スキルアップ!ロードレーススクール」を併催。さらに名物の出店ブースや地元 TV収録やトークショー、宇都宮ブリッツェン所属の堀孝明選手と小野寺玲選手の登場もあり、各クラスともレースが大いに盛り上がった。
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朝から穏やかな天候とはいえかなりの蒸し暑い残暑のなか、今回も午前中は弊リーグ主催「スキルアップ!ロードレーススクール」を開講。今回はキッズ受講者が多かった。
事前にアンケートで教えてほしいことを確認していたので、9時30分の準備運動から始まったスクールメソッドはそれに応える内容。スムーズなコーナリングの入り方や、集団できれいに並走する方法も指導。特に集団走行ではブレーキだけでなく、ペダルの回転や踏むタイミングでスピード調整しながら、前走者との間隔を保つスキルを覚えてもらった。
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暑いのでこまめに途中休憩を挟みながら、ボトル渡しやゲームも交えて自転車を安全に楽しくコントロールする術を覚えてもらい、約2時間のスクールを終えた。
この後、秋から冬にかけてはシクロクロスに関するスクールを実施する予定で、今後も広い年齢層とさまざまな自転車歴の方々に向けた、きめ細かい対応のできるスクールを続けていく。
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Nリーグ対象レースは男女混走で開催
午前中のレースは、カテゴリー別クラスの後にキッズレースや女子ビギナーと続く。宇都宮ブリッツェンのゲストライダーが先頭を残り1周回まで 35km/h未満にコントロールしてのレーススタートとなる「クリテリウム MAX35」は、クリテリウムの経験やレースにちょっと自信がない方もチャレンジしやすい。
その後、とちぎテレビ放映の地域密着ロードバイク応援番組「RideON! 2nd」の公開収録トークショーを挟んで、さらに気温が上がるなか、いよいよQNリーグ対象クラスのエスポワール各レースがスタートとなった。
Nリーグの中学生男子(N)と女子(NW)対象のエスポワール。Cは小学4・5年生の男女、Bは小学6年生と中学1年生、Aが中学2・3年生と各クラスが細かく分かれており、Nリーグでは中学1年生が対象の「エスポワール B」、そして中学 2・3年生が対象の「エスポワール A」の 2つに分かれるため、それぞれのレース完走者にリーグポイントを付与する。
この措置により、わたらせクリテリウムではとくに中学1年のNリーグ登録選手にとって大量ポイント獲得のチャンスとなる。
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エスポワール Bスタートを待つ現Nリーグ NWポイントリーダー岡田(左から3人目 photo: QNリーグ事務局)
まずエスポワール C、続いてリーグ対象のエスポワール Bが始まった。他の各クラスと同じく競技説明の後、宇都宮ブリッツェンのゲスト選手が先導するニュートラル走行でコース1周をしてから、コントロールラインで一時停止してリアルスタート。
最初の1周目は20人の選手全員が大きい集団のままであったが、2周目から集団のスピードが上がり12人までに集団が絞られる。さらに周回を重ねるごとに人数が減り最終周回の6周目直前には9人に。このエスポワールクラスは男女混走となっており、残った9人の集団には Nリーグ中学生女子NWの現ポイントリーダーの岡田愛裕來(ブラウ・ブリッツエン U15)、そして今シーズン2戦までリーダーをキープしていた小田島寛奈(#1-PRIMERA-)の姿も。
ラスト1周は、最初のコーナーを越えてから一気に集団のスピードが上がり3人が脱落。6人となった先頭集団が最終コーナーへ入り、ゴールスプリントで渡邉公太(ブラウ・ブリッツエン U15)が先行、そのまま勢いを活かして前回の同大会に続く優勝を決め、Nリーグ男子N最大ポイント28を獲得した。
ゴール後、レース解説を務めた宇都宮ブリッツェン小野寺玲氏から「序盤から集団 1つのままでハイペースのまま進み、最後は集団スプリントという展開になったことに関して、いかがでしたか?」と聞かれた渡邉は「今回もなんとか逃げられると思いましたが、逃げを決めることができず思いどおりにはならなかったです。それでも最後にスプリントで勝てて良かった」と安堵の表情。
「スプリントは得意」という渡邉には「次回は逃げきりの展開でも勝つ姿を見たい!」と小野寺氏からエールが贈られた。
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思いきった仕掛けで優勝したブラウ・ブリッツエン U15渡邉 photo: QNリーグ事務局
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自身もスプリンターとして名を馳せる小野寺氏は高評価(左が小野寺、右が優勝の渡邉)photo: QNリーグ事務局
女子NWでは小田島が最後まで先頭集団に残り4位となりランキング2位に浮上、そして岡田が最終周回で先頭集団から遅れるも、トップとのタイム差を6秒にまで抑え前回の同大会よりもペースを最後までキープ。
ポイントリーダー授与式では、最終周回まで先頭集団に残った手応えとして「何度もアタックとかいろんなところで(先頭を)追っていたので、最後は脚がパンパンになって千切れてしまいましたが、次回までにはもっと体力をつけて頑張りたいです!」とスッキリとした表情でコメント。「次のレースでもバトルマリンジャージを守りたいです!」と意気込みを表明した。
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前回大会よりも前を見据えた力強い走りで、さらに成長を見せたブラウ・ブリッツエン U15岡田(photo: QNリーグ事務局)
その後にスタートとなったエスポワール Aはニュートラル 1周+8周回。現Nリーグ男子Nポイントリーダーの落合隼がエントリーしていなかったため、連戦連勝のポイントリーダー不在の今レースでは一気にポイント差を埋める絶好の機会となった。
そんなレースは22人でスタートするも、こちらも積極的な展開で最初の 1周で集団が16人に。中学2年生と3年生が参戦する今クラスは、ある程度レースをこなした選手が走っていることもあり無理なペースアップで引きずり回す展開でなく、しかし決して油断ができないペースで互いの出方を見ながら、アタックが出ては吸収する繰り返し。
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スタートを待つエスポワール Aの選手達 photo: QNリーグ事務局
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ある程度、大きい集団となったままレースは進む photo: QNリーグ事務局
そんな展開で残り3周目には集団は13人、最終周回に入る前には11人までに絞られながらペースが上がり、最終コーナー手前で5人、さらにゴール前では3人でのスプリント。これを成瀬謙汰(FECT)が力強い走りで制し、Nリーグ最大ポイント28を得た。
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終始、アグレッシブな走りで前回大会の雪辱を晴らした成瀬(photo: n.onichi)
前回の同大会では気合が入りすぎて最初の周回でタイヤが外れて落車、惜しくもDNFとなってしまったが、その雪辱を見事に果たした。
「ミスター・アグレッシブと解説では呼ばせていただきましたが、今日のレースはどんなプランで臨みましたか?」という解説の小野寺氏の質問に「途中、途中にアタックしながら(集団の)人数を減らしてからのスプリントを考えていたのですが、何度アタックしてもみんな付いてくるので粘らなきゃいけないな」と、当初は自分の作戦どおりにレースが進まなかったことを吐露した成瀬。
そんな成瀬を気遣うように「逃げるためというよりは、人数を絞るためのアタック。それが決まらなかったうえで最後のスプリントは自信ありましたか?」と聞くと「途中で 1人出てくれたので(残り)3周ぐらいから持つかな?と思いながら集団の先頭で走りました」と、そのアグレッシブさをコメントでも伝えてくれた。
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レース解説を務めた小野寺氏に自分の作戦を伝える成瀬
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兄弟優勝を果たした成瀬や、連勝の渡邉、そしてレースを盛り上げた入賞選手たちでの記念撮影で盛り上がった
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エスポワール Bで活躍したNリーグ登録選手も表彰台に登場。プレゼンターは宇都宮ブリッツェン堀孝明
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エスポワール Aで活躍したNリーグ登録選手も表彰台に登場。プレゼンターは宇都宮ブリッツェン堀孝明
Qリーグ対象レースで根本香織2位
Qリーグ対象となった女子スポーツクラスは、ニュートラル1周+6周回で、午後 3時過ぎにスタート。こちらは7人のエントリーで6人が出走。現ポイントリーダーの根本香織(Team一匹狼)も参戦。
スタートは落ち着いた展開で集団はほぼ 1つであったが、最初の周回で1人が脱落。その後、集団のスピードの上げ下げに翻弄された選手が脱落しそうになりながらも、集団に再び合流する。その繰り返しでレースは進行。
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女子スポーツのスタート前、Qリーグ現ポイントリーダー根本がアメジストジャージで登場
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スタート前に談笑するポイントリーダー根本(手前から2番目)と蒲原(一番手前)
最終周回では4人となり、そのなかから3人へと絞られ、積極的な動きだった昨シーズンQリーグ年間総合ポイントリーダーだった岡本彩那(ブラウ・ブリッツエン)が単独で抜け出してゴールへ。見事に優勝を飾った。
その後ろから追いかける形でのゴールスプリントは、現ポイントリーダーの根本が先行し2位、Qリーグの蒲原琴音(MINERVA-asahi)はわずかに及ばず3位入賞。それぞれリーグのランキングポイントをさらに重ねた。
ポイントリーダー授与式で最後のゴールスプリントへもつれ込んだ展開について「(昨シーズン Qリーグリーダー)岡本選手が、じつは 1周目で逃げを決めようとしていたので、ここで行かせてはいけない!と必死で追いかけました」とコメント。
「最後はカウンターアタックを決めたかったのですが、わずかに及びませんでした。それでも、この(リーグシリーズ)9戦目までアメジストジャージを守ることはできたので、この後のレースでも引き続きジャージを守りたいです!」と熱くコメントした。
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力強い走りで注目の Team一匹狼の根本はアスリチューン目録を手に笑顔(photo: QNリーグ事務局)
今大会のポイントリーダー授与式では、ビオレーサーより「アメジストジャージ」「バトルマリンジャージ」各リーダージャージが提供された。また、Qリーグは株式会社隼より「アスリチューン Qリーグポイントリーダー賞」、Nリーグ中学生男子Nは武田レッグウェアー株式会社より「RxLNリーグ中学生男子ポイントリーダー賞」、Nリーグ中学生女子NWはアイリス株式会社より「EXLUBNリーグ中学生女子 NWポイントリーダー賞」がそれぞれ提供され授与された。
<写真左よりQ リーグ根本、N リーグ落合、NW 岡田の各・最新ポイントリーダー>
アスリチューン賞Qリーグ(高校生以上女子)リーダー:根本 香織(Team 一匹狼)・188p
ランキング2位:蒲原 琴音(Team 一匹狼)・55p
ランキング3位:小田 恵利花(フィッツ)・28p
RxL 賞Nリーグ・N(中学生男子)リーダー:落合 隼・140p
ランキング2位:渡邉 公太(ブラウ・ブリッツエンU15)・102p
ランキング3位:成瀬 謙汰(FECT)・78p
EXLUB賞Nリーグ・NW(中学生女子)リーダー:岡田 愛裕來(ブラウ・ブリッツエンU15)・139p
ランキング2位:小田島 寛奈(#1-PRIMERA-)・84p
ランキング3位:⻄⼭ 千智(High Ambition 女子サイクリングアカデミー)・60p
※ランキングにおいて同点者が出た場合、最新のレース着順が優位の選手を上位とする。
※最終戦終了時において、同点者が出た場合は、最終戦直前のランキングで優位の選手を上位とする。
次のリーグシリーズ第10戦は10月1日(日)に Qリーグのみ対象となる「箱根ヒルクライム 2023」、そして10月15日(日)は第11戦となる静岡県・伊豆サイクルスポーツセンターで開催の「JCRC legacyWRロード:第5戦・伊豆 CSC」と続く。
11月には土日連戦も予定するリーグ後半戦では、秋のロードレースから冬のクリテリウムレースに舞台が移っていくが、ますます目が離せない熱い闘いが繰り広げられるだろう。女子、そしてジュニア選手たちの活躍、引き続きポイントランキングもチェックしながら、その動向を引き続き注目してほしい。そしてリーグ登録選手達は、体調に気をつけながらレースで活躍してほしい。
<レポート概要>
写真撮影:QNリーグ事務局、わたらせクリテリウム大会事務局、n.onichi
テキスト:須藤むつみ(QNリーグ事務局)
協力:宇都宮ブリッツェン、わたらせサイクルパーク
*わたらせクリテリウム公式ホームページ
https://watarase-criterium.jp/
とちぎテレビ「RideON! 2nd」放送予定
今大会では、とちぎテレビ番組「RideON! 2nd」の公開収録で、番組出演者のレース出走や、公開トークショーが行われました。収録した番組は以下のスケジュールで放送予定ですので、ぜひご覧ください!
前編・10月2日(月)地上波 19:00/YouTube配信 19:30
後編・10月16日(月)地上波 19:00/YouTube配信 19:30
*外部リンク:とちぎテレビ番組「RideON! 2nd」
https://www.tochigi-tv.jp/program/?id=412
2023-2024シーズンはQリーグ全15戦、Nリーグ全13戦でシリーズ戦を予定しています。
http://www.jbrain.or.jp/q-n-league/race-profile.html
Qリーグ・Nリーグの登録はこちらから。
各対象レース開催日の 3日前まで登録完了すればポイントランキングに反映。今後も女子とジュニアが活躍するリーグにご声援のほどよろしくお願いします!
https://moshicom.com/83733/