ジロ・デ・イタリア2024 コース発表
来年5月に開催される第107回ジロ・デ・イタリア(UCIワールドツアー)のコース発表会が、10月13日にトレントで開催中の『イル・フェスティバル・デッロ・スポルト』の催しとして行われた。来年のジロは5月4日に北西部のピエモンテ州で開幕し、26日に首都ローマで閉幕する。
トレントのテアトロ・ソチアーレで行われたコース発表会は、2013年と2016年の優勝者であるイタリアのヴィンチェンツォ・ニバリが全体の解説役を務め、今シーズンでロード競技を引退したスロバキアのペテル・サガン(トタルエネルジー)、イタリアのフィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアズ)、2022年の総合優勝者であるオーストラリアのジャイ・ヒンドリー(ボーラ・ハンスグローエ)、そして今年の総合優勝者であるスロベニアのプリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ)がゲストとして登壇した。
第107回大会の総距離は3321.2kmで、ステージの平均距離は157.9km。累積標高は42900mで、50000mを超えていた今年よりも少ない。全21ステージの内訳はスプリンター向きのステージが6、山岳ステージが5で、そのうち4区間が頂上ゴール、トリッキーで起伏に富んだステージが8で、そのうちの2区間が頂上ゴール。個人タイムトライアルは2ステージあり、総距離は68.2kmだ。
今大会最高峰のチマ・コッピは、第16ステージで越えるステルビオ峠(標高2758m)、パンターニの山は第2ステージのゴールになっているサンチュアリオ・ディ・オロパ(カテゴリー1)。バルタリ・ステージはヴィアレッジョからラポラーノ・テルメまての第6ステージになり、ストラーデ・ビアンケ(UCIワールドツアー)に登場する砂利道セクションが後半に3カ所含まれている。
ピエモンテ州で開幕
イタリア北西部のピエモンテ州がジロの“グランデ・パルテンツァ(開幕地)”になるのは史上4回目。2024年は、1949年5月4日にグランデ・トリノ・フットボールチームを乗せた飛行機が、トリノ近郊にあるスペルガの丘に墜落した悲劇から丁度75年目になり、ジロはこの事故を追悼する為に、5月4日に行われる第1ステージでスペルガの丘を通過する。
来年のジロは2日目に早くも頂上ゴールが登場する。第2ステージは1999年にマルコ・パンターニが優勝した、標高1142mでカテゴリー1のサンチュアリオ・ディ・オロパがゴールだ。ピエモンテ州では3ステージが行われ、第4ステージからイタリア半島を南下。第6ステージはトスカーナ州で砂利道を走り、その翌日には中部のペルージャで、カテゴリー4の頂上にゴールする最初の個人タイムトライアル(37.2km)に挑む。
1週目の週末はティレーノ〜アドリアーティコ(UCIワールドツアー)で使用されるアペニン山脈が舞台となり、標高1450mでカテゴリー1のプラティ・ディ・ティーヴォ頂上ゴールの第8ステージを競う。その翌日はナポリがゴールの平坦ステージを行い、最初の休養日を迎える。
2週目の週末からアルプス山岳3連戦
2週目はイタリア南部のポンペイからスタートし、半島を横断してアドリア海沿いを北上する。週末は北部ロンバルディア州で2度目の個人タイムトライアル(31km)を競った後、休養日を挟んだ過酷なアルプス山岳3連戦が待ち構えている。その口火を切る第15ステージは、終盤は一部スイスへと越境し、リヴィンニョの2つのカテゴリー1の坂を上る。
最終週のスタートは、前半に標高2758mでチマ・コッピのステルヴィオ峠を越える頂上ゴール区間の第16ステージで始まる。翌日の第17ステージはジロで初めてゴールになるブロコン峠を2カ所の斜面から上る。来年のジロは第17ステージが最後の頂上ゴール区間だが、最終日前日には標高1675mで全長18.2kmのグラッパ山(カテゴリー1)を2回通過する第20ステージが待ち構えている。
モンテ・グラッパで最後の戦いを終えた後は、イタリア北部から空路で首都ローマへと移動し、最終日は今年同様、ローマ市街地のサーキットでスプリント・ステージを競って閉幕する。ローマがジロの“グランデ・アッリーヴォ”になるのは史上6度目だ。
■プリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ/2023ジロ総合優勝者)のコメント
「(今年のジロ最終日前日に個人TTが行われた)モンテ・ルッサリでの勝利は自分の競技キャリアで最も感動的な日の1つだった。あのステージは何度も観返したよ。ファンと一緒に祝うのは本当にクレイジーだった。2024年のジロで一番好きなステージは、モンテ・グラッパを2回上る第20ステージだ。それは決定的な日になると思う」
■ジャイ・ヒンドリー(ボーラ・ハンスグローエ/2022ジロ総合優勝者)のコメント
「2週目は非常にハードなものになるだろう。第15ステージはおそらく最も挑戦的だ。(来季ボーラ・ハンスグローエへの)ログリッチの加入は、チームに多くを与えるだろうし、我々は非常に競争力を持って、間違いなくグランツールでアップグレードされるだろう」
■ヴィンチェンツォ・ニバリのコメント
「今年のジロのように、自転車競技の内側に居て、レースを違う視点から追いかけるのは素晴らしい。いつもとは違うスタートになるだろうが、最初の2ステージは厳しいものだから、準備ができていなければならない。2日目のオロパは重要なテストになるだろうし、マルコ・パンターニを偲ぶのは素晴らしいだろう。ペルージャのタイムトライアルはマリア・ローザを狙う者にとっては良いテストになるだろう。2週目と3週目には上りがとても多いから、レースは今年のように最後までオープンで、(最終日前日の)モンテ・グラッパが決定的な山になる可能性があると確信している」
■マウロ・ベンニ(コースディレクター)のコメント
「ジロ・デ・イタリア2024のデザインは、過去の大会と比較できない。上り坂で始まり、それは比喩ではなく、集団は既に2日目からオロパでの最初の頂上ゴールに直面する。そこで我々は“コルサ・ローザ(ジロの別名。バラ色のレースの意味)”の歴史で最も英雄的な日の1つに敬意を表するだろう。
これは多くの中級と高い山岳が含まれた進化したルートであり、近年の過酷さでややレースを妨げていた3週目だけでなく、ジロ全体を通して選手たちを試す事になるだろう。(総距離が)ほとんど70kmの個人タイムトライアルも過小評価すべきではない。勝利を望む選手はスタートから準備ができていなければならない。多くの壮観を期待している」
第107回ジロ・デ・イタリア全日程
5月4日(土) 第1ステージ[ヴェナリア・レアーレ~トリノ/136 km]★★★
5月5日(日) 第2ステージ[サンフランチェスコ・アル・カンポ~サンチュアリオ・ディ・オロパ(ビエッラ)▲/150 km]★★★
5月6日(月) 第3ステージ[ノヴァーラ~フォッサーノ/165 km]★★
5月7日(火) 第4ステージ[アックイ・テルメ~アンドーラ/187 km]★★
5月8日(水) 第5ステージ[ジェノヴァ~ルッカ/176 km]★★★
5月9日(木) 第6ステージ[ヴィアレッジョ~ラポラーノ・テルメ/177 km]★★★
5月10日(金) 第7ステージ[フォリンニョ~ペルージャ▲/37.2 km(個人TT)]★★★★
5月11日(土) 第8ステージ[スポレート~プラティ・ディ・ティーヴォ▲/153 km]★★★★★
5月12日(日) 第9ステージ[アヴェッツァーノ~ナポリ/206 km]★★★
5月13日(月) 休養日
5月14日(火) 第10ステージ[ポンペイ~クザーノ・ムトリ▲/141 km★★★
5月15日(水) 第11ステージ[フォイアーノ・ディ・ヴァル・フォルトレ~フランカヴィッラ・アル・マーレ/203 km]★★
5月16日(木) 第12ステージ[マルティンシクーロ~ファーノ/183 km]★★★
5月17日(金) 第13ステージ[リッチョーネ~チェント/179 km]★
5月18日(土) 第14ステージ[カスティリオーネ・デッレ・スティヴィエレ~デゼンツァーノ・デル・ガルダ/31 km(個人TT)]★★★
5月19日(日) 第15ステージ[マネルバ・デル・ガルダ~リヴィンニョ(モットリーノ)▲/220 km]★★★★★
5月20日(月) 休養日
5月21日(火) 第16ステージ[リヴィンニョ~サンタ・クリスティーナ・ヴァルガルデナ(モンテ・パナ)▲/202 km]★★★★
5月22日(水) 第17ステージ[セルヴァ・ディ・ヴァル・ガルデナ~パッソ・ブロコン▲/154 km]★★★★★
5月23日(木) 第18ステージ[フィエラ・ディ・プリミエロ~パドヴァ/166 km]★★
5月24日(金) 第19ステージ[モルテリアーノ~サッパーダ/154 km]★★★
5月25日(土) 第20ステージ[アルパゴ~バッサーノ・デル・グラッパ/175 km]★★★★★
5月26日(日) 第21ステージ[ローマ~ローマ/126 km]★
(※▲…頂上ゴール)