バーレーン ヴィクトリアスの2023ジャパンカップサイクルロードレース
第30回ジャパンカップ。バーレーン ヴィクトリアスは5人の選手がスタートラインに並んだ。メンバーはヘルマン・ペルンスタイナー、エドアルド・ザンバニーニ 、ニコロー・ブラッティ、セルジオ・トゥ、そして言わずと知れた我らがユキヤだ。
朝から雨が降りしきり、スタッフは傘を買いに走った。気温は15度前後で寒すぎるほどではなく、チームはホットドリンクを用意しているわけではなさそうだ。
チームが用意したボトルは周回ごとに内容が決められていて、ある周はマルト(デキストリン)が2本、ある周回はマルトとロケットと、選手による違いはない。ただ、蓋を開けてみれば雨のために補給地点でボトルをとる選手は多くなく、「3周に一回くらいだったね」とマッサーのニックは話してくれた。
空気圧は4.6あたりだが、それは選手によって、そしてもちろん前後でも異なり、whatsappで選手が希望を伝えてメカニックのデジャンがチェックしている。雨のためによりチェックは厳重にやっているように見えた。
スタート前、バーレーン ヴィクトリアスの監督、フランコ・ペッリツォッティ監督ら各チームの監督が集まって周回数を減らしてもらうよう交渉を始めた。チーフコミッセールのウオルター・ユー氏がそれを受け、コミッセールで検討。結局、周回数は3周減らされ、13周でレースが行われることになった。距離は133.9kmだ。
10時、定刻にレースはスタート。1周目の下りで中切れが起き、バーレーン ヴィクトリアスはザンバニーニ以外の全員が後方の集団にとり残された。先頭集団はかなり大きく、タイム差は2分になってしまった。絶体絶命だ!
「あそこから2分を取り戻すしかなかった。だから、TTです。自分たちのミスだから。前を回っているのは僕らしかいないので、何人くらいの集団だったかわかりませんが、20人くらいでしょうか」とユキヤは話す。
「上りでペースを上げて、前に前に行って、追いつくしかなかった。結局追いついた集団は第3集団だということがわかり、そこにザンバ(ザンバニーニ)がいた。その上りで僕がペースを作って、山頂まで残り500mからさらにペースを上げて下りを突っ込んで、そこで3人になった。トレックの選手が追いついてきて4人になり、さらに1周かけてようやく前に追いついたという感じです」。
ジャパンカップのコースを知る人なら、大きな集団を少人数で追い、2分差を追いつくという走りの凄さを理解できるはずだ。でも、ユキヤはこう言う。「前にいなかったらやるしかない。ワールドツアーはダメなものはダメ、追いつくしかないんです。これは意地です」。セルジオ・トゥとニコロー・ブラッティはこの集団から遅れてしまい、リタイアとなった。
ユキヤのアシストのおかげでペルンスタイナーとザンバニーニは前に戻ったが、4周ほども引き倒して前に追いついたユキヤはさすがに力を使ってしまい、その集団に残ることができなかった。
ユキヤはリタイアするかもしれないと思った。
調べるまでもなく、ユキヤが出走したジャパンカップで完走できなかったことはない。
「できれば降りたくなかった。生涯最後のジャパンカップかもしれないから」と話すユキヤは、序盤にメカトラで大きく遅れたライアン・カバナ(キナンレーシングチーム)と2人でフィニッシュを目指した。先頭から13分33秒遅れ、ユキヤとカバナが今年のジャパンカップの最終走者となった。
ペルンスタイナーとザンバニーニの集団は、逃げていたジュリアン・アラフィリップを吸収すると活性化し、分断。2人は第2集団に取り残され、さらに分断した第3集団を形成して岡本隼(愛三工業レーシング)とともにフィニッシュした。
ペルンスタイナーは16位、ザンバニーニは17位だ。ザンバニーニはU23の最優秀選手となったが、レース後いち早くホテルまで自走で向かったために表彰に出られなかった。
第30回記念 2023ジャパンカップサイクルロードレース
2023年10月14日(土)2023ジャパンカップクリテリウム
会場:宇都宮市大通り周回コース
2023年10月15日(日)2023ジャパンカップサイクルロードレース
会場:宇都宮市森林公園周回コース
公式サイト:
http://www.japancup.gr.jp/