デュアルキャリアを目指す「Team Cyclers SNEL」発足
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2月20日、サイクラーズ大森サテライトオフィスにて、新たなサイクルロードレースチーム「Team Cyclers SNEL」の記者発表会が行われた。チーム発足のきっかけや狙いなどを聞いた。
デュアルキャリアを掲げた新チーム発足
今年からJBCF(全日本実業団自転車競技連盟)のJプロツアー(JPT)カテゴリーを走る新しいサイクルロードレースチーム「Team Cyclers SNEL」の記者発表会がサイクラーズ大森サテライトオフィスにて行われた。
競技にのみ集中する従来の国内プロチームの形態とは異なり、このチームの所属選手たちは、タイトルスポンサーであるサイクラーズグループに所属し、現役選手として競技をしつつ、仕事も並行して行っていく。
今回所属が発表された7人中4人の選手がサイクラーズのグループ会社にて勤務。現役大学生のメンバーもインターンとして週2日で勤務しているという。
このチームでの目標は、「サイクラーズグループに所属しつつ、競技をして、仕事の経験も積んでいく究極のデュアルキャリアを築いていくこと」とし、今後、「自転車競技界の一つのモデルケースとしていきたい」と監督を務める三瀧光誠さんは話した。
サイクラーズという会社は、資源リサイクルや廃棄物処理など環境事業をメインで行っており、今回のチーム発足より前の2010年からJCF(日本自転車競技連盟)にスポンサードを続けている。
チーム発足のきっかけは、シクロクロスチームとしてお馴染みのバイクショップスネルの諏訪孝浩さんから、サイクラーズ代表取締役の福田隆さんに、ロードレースの実業団チームを作ろうという誘いがあったことだという。
自らも自転車を楽しんでいるという福田さんは、現在もスネルのクラブ員としてシクロクロスなども参戦しており、諏訪さんとの関係が元々あったそうだ。
「本来はJプロツアーを走るロードチームを作りたかったんです。1~2年前、Jプロツアーのチームを作りたいと声をかけました。福田社長がうちのお店にお客さんとして来ていなければ、今回の縁はなかったですね」と諏訪さんは話す。
その後、ゼネラルマネージャーの松村拓紀さんを中心にチームの立ち上げが本格的に始まり、マヴィックで同僚として働いていた元選手である三瀧光誠さんが監督として招かれ、今回のチームが掲げる目標と合致する選手たちが集められた。
今回発表された7人の中で最年長は25歳という若いチームだが、今後、あらゆるレベルの選手を受け入れたいと福田さんは話す。
「JPTもあるし、JET(エリートカテゴリー)にも今チームがあるので、引退間近で、もうプロで今年最後かなという方も入ってきてもらって、プロを辞めたらその後はE1などで出るというのもいいと思いますし、逆にE1やE2でチャンスがあればプロを目指したいという方も入ってきてもいいと思うし、学生さんもありだと思います。色んなレベルの選手に入ってきてもらいたいというのがあります。
その中で、すごく高いレベルの方も来てもらって我々のチームで成長して、UCIポイントを取っていったり、まずはJPTで結果を出して、コンチネンタルチームになったりなど、積み重ねをしていければと思います」
選手たちは、まずはJプロツアーでの優勝、そして全日本選手権で結果を出すことを目標に据える。
長時間走ることへの耐性が必要なロードレースゆえに、全ての日程をトレーニング中心に考えられないのは少々痛手となる部分がどうしてもあるかもしれない。
しかし現状、Jプロツアーや国内UCIレースの距離は短く、効率的なトレーニングで対応ができる可能性もある。
選手を引退してからセカンドキャリアを築くのがまだまだ難しい自転車界。自転車関連でない企業が中心となって、競技生活を続けつつ、セカンドキャリアの準備もできるというチームの在り方は、自転車競技を続けられる貴重な機会の一つとなり得るかもしれない。
Team Cyclers SNELも参戦する2024年のJプロツアーは、今週末の2月24日から鹿児島県にて開幕する。
Team Cyclers SNEL 選手&スタッフ
【選手】
佐藤大志(さとうひろし)
佐藤宇志(さとうたかし)
湯浅博貴(ゆあさひろたか)
比嘉祐貴(ひがゆうき)
佐藤光(さとうひかる)
松本一成(まつもといっせい)
木下寿杜頼(きのしたすずなり)
【ゼネラルマネージャー】
松村拓紀
【監督】
三瀧光誠
【チーフメカニック】
諏訪孝浩
<参考サイト>バイクショップスネル