Jプロツアー第3戦 真岡芳賀ロードレース ホセ・ビセンテの勝利、シマノレーシングの活性化
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3月23日、栃木県真岡市にてJプロツアー第3戦が行われた。最終周に飛び出した4人から石原悠希(シマノレーシング)とホセ・ビセンテ(マトリックスパワータグ)の一騎打ちスプリントとなり、ビセンテが勝利をつかんだ。
真冬のように冷え込んだ春先のレース
3月23日(土)、栃木県真岡市の井頭公園東側特設コースにてJBCF真岡芳賀ロードレースが行われた。
11時30分からステージで行われたJプロツアーのチームプレゼンテーション前には予報通りに雪が降り、1℃前後までしっかりと冷え込んだ。
チームプレゼンテーションが始まる頃に雪は雨へと変わったが、依然気温は3℃前後と寒く、選手たちはスタート前に防寒着の選択やウェアの下にアルミホイルを仕込むなど入念な寒さ対策を施していた。
第3戦となるJプロツアーでは、基本平坦基調の1周7.2㎞のコース14周する総距離100.8㎞で争われた。スタートラインにはこれまでの2戦よりもさらに多い147人が立ち、雨は止まないまま13時7分にスタートを切った。
リアルスタートが切られるとアタック合戦が始まる。3周目入ったところでの抜け出しができるが、一度集団に吸収。
集団の中盤あたりでは大規模な落車が発生し、早々に集団が大きく割れた。
6周目に序盤から逃げに乗ろうと積極的に動いていた岡本隼(愛三工業レーシングチーム)と入部正太朗(シマノレーシング)の2人の逃げが形成される。
スプリンターである岡本はいわゆる前待ちでの展開を予想。
「後ろから来てほしいなっていう気持ちはずっとありながら」と岡本は話したが、結局2人のまま後半まで逃げ続けることとなった。
入部もまた逃げの人数の少なさに言及しつつ、スプリント力のある岡本と逃げ切っても勝機は薄いと踏み、「チームとしてプラスになるようにとにかく逃げる。もし逃げ切ったらまた最善を尽くす感じで」と考えていた。
7周目に入るタイミングで集団との40秒ほどまで開いたが、集団はVC福岡や地元宇都宮ブリッツェンがコントロールするなどで、タイム差は最大でも1分以内に抑えられた。
スプリント態勢からの抜け出し
逃げ2人と集団の構図は変わらないまま12周目、キナンレーシングチームが集団を引き始める。13周目に入る頃には先頭とのタイム差は20秒を切った。集団自体も60人まで人数を減らしていた。
前の2人がギリギリまで粘るが吸収されると、ラスト周回に入るタイミングで寺田吉騎(シマノレーシング)が単独でアタックするなど、集団は一気に活性化。
集団がまた一塊になった後、ラスト5㎞ほどのところでシマノレーシング勢が再び仕掛ける。風間翔眞が飛び出し、石原悠希を発射した。それにはホセ・ビセンテ・トリビオ、渡邉和貴(アヴニールサイクリング山梨)、サウル・エヴァー(レバンテフジ静岡)の3人が飛びついた。
先頭4人は逃げ切りのために全開でローテーションを回していく。
ラスト1㎞を切った、上り坂の途中となっている最後から3番目のコーナーでさらに石原が全力のアタック。それにつくことができたのは、ビセンテのみだった。そのままフィニッシュラインへと2人のスプリント。
「そのとき、勝てるかは全然分からなかった。石原さんはスプリントで強いから。でも最後は彼はペースを上げて、私は後ろについた。やっぱり彼は脚を使っていたから、最後のスプリントで勝てました」と、ラスト50mほどで石原をかわしたビセンテが先着し、勝利を挙げた。
元々スプリントのレースと予測し、チームメイトの織田聖とアグロティス・アレクサンダーをサポートする予定であったが、「今日みたいに誰かしらチャンスがあれば」と、自ら勝利をつかみにいったビセンテ。
前週のAACAでも勝利しているが、今回宇都宮でのレースということにモチベーションは高かったようだ。「宇都宮はみんな自転車大好きだから応援も多くて、いいところ」と日本語で語った。
2位に入った石原は、「すごく寒くて難しいので、残ったチームメイトで自分を助けてもらうというのがチームの作戦でした」と話し、寒い中でも地元のレースとして並々ならぬやる気を持って今レースに臨んでいた。それだけにあと一歩、勝利に届かなかったことに悔しさを滲ませた。
「本当にここは地元で、通学路にしているぐらいの道だったんです。高校もすぐそこで……なので本当に悔しいですね」
しかし、このレースを終えて石原はリーダージャージを着用。U23ジャージは寺田がキープし、シマノレーシングがダブルでの表彰台となり、さらには今回のレースではベストチーム賞にも選ばれ、全員で表彰台で笑顔を見せていた。
2024年シーズン序盤、表彰台常連となっているシマノレーシング。3月10日に広島で行われた西日本チャレンジサイクルロードレースでは、好調ぶりを見せる寺田の連勝となったが、その時のシマノレーシングは完全に個人戦という体で戦っていたそうだ。チーム最年長の入部はこう話す。
「時にはそういうことも必要で。全員がいい状態でよっちゃん(寺田)が連勝しているので他のチームメイトも、リスペクトしながらも悔しい部分、次は自分だという気持ちを忘れないように、監督にも相談して、全員フリーで自分のベストリザルトを目指すという形でやりました。それでもよっちゃんが勝ったのでゴールした後もみんな悔しがっていたんですけど。良い形で切磋琢磨できてるのかなとは思います」
雰囲気も非常に良さそうだ。
「まだまだこれからもっといけると思うんで」と入部は話した。
Jプロツアー第3戦 真岡芳賀ロードレース リザルト
1位 ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ) 2時間20分45秒
2位 石原悠希(シマノレーシング) +0秒
3位 渡邉和貴(アヴニールサイクリング山梨) +2秒
リーダージャージは石原、U23ジャージは寺田が着用。2人でゴリラのドラミングポーズ