パリ～ルーベ2024は世界チャンピオンのファンデルプールが連覇
モニュメントと呼ばれる5大クラシックの１つで、北フランスの石畳で競われる第121回パリ～ルーベ（ＵＣＩワールドツアー）が4月7日に開催され、ディフェンディングチャンピオンで世界チャンピオンのマチュー・ファンデルプール（アルペシン・ドゥクーニンク／オランダ）が、60kmを独走して２年連続で優勝した。
オランダのファンデルプールがアルカンシエルを着て連覇を果たした (photo : A. S. O./Pauline BALLET)
ファンデルプールは１週間前にベルギーのロンド・ファン・フラーンデレン（ツール・デ・フランドル／ＵＣＩワールドツアー）でも44kmを独走して優勝していた。世界チャンピオンが同じ年にロンドとルーベの両方を制したのは、1962年のリック・ヴァンローイ（ベルギー）以来だった。
追走グループは3分遅れでゴールスプリントを競い、3月にミラノ～サンレモ（ＵＣＩワールドツアー）で初優勝したベルギーのヤスペル・フィリプセン（アルペシン・ドゥクーニンク）が2位になり、チームメイトの隣に立つ栄誉を得た。3位はデンマークのマス・ピーダスン（リドル・トレック）だった。
2つ目の石畳トロフィーを掲げたファンデルプール (photo : A. S. O./Pauline BALLET)
世界チャンピオンが60km独走
曇天のコンピエーニュをスタート。天気予報は外れ、雨にはならなかった (photo : A. S. O./Pauline BALLET)
第121回大会は曇天のコンピエーニュを172選手がスタート。追い風で最初の1時間は平均時速が54.1km/hになった。レース後半、トータル56kmで29カ所ある石畳のセクターが始まり、序盤の逃げは120km地点でアルペシン・ドゥクーニンクがコントロールする40人ほどの集団に捕まった。
今年、セクター19の有名なアランベールの石畳は、ノール県の承認を得て入口にスピードを落とすためのシケインが設置された。これは選手組合からの要望による措置で、滑りやすい石畳のアランベールでの落車を減らす安全措置だった。
ゴールのヴェロドロームまで残り95.3kmで、このシケインを通過して2.3km続くアランベールに入った集団はピーダスンが先頭だった。そこからアルカンシエルを着たファンデルプールが最初の攻撃を仕掛け、先頭で森を抜けた。わずかに遅れてピーダスン、フィリプセン、ニルス・ポリッツ（ＵＡＥチーム・エミレーツ）、ミック・ファンデイク（チーム ヴィスマ・リースアバイク）が続き、すぐファンデルプールに追いついた。
入口にシケインが設置されたアランベールの石畳はピーダスンが先頭で入った (photo : A. S. O./Pauline BALLET)
ここでフィリプセンはバンクに見舞われて遅れたが、先頭グループも後続に追いつかれて再編成された。ゴールまで残り87.2kmでシュテファン・キュンク（グルパマ・ＦＤＪ）とポリッツがアタックし、ファンデルプールをアシストする元グラベル世界チャンピオンのジャンニ・ヴェルメールシュ（アルペシン・ドゥクーニンク）が合流した。3人は30秒ほどのタイム差を付けた後、残り68.5kmでメイン集団に捕まった。
ヴェルメールシュが集団を引き続け、ゴールまで残り60kmでセクター13のオルシーの石畳へと入り、ここでファンデルプールが決定的なアタックを決めた。彼は瞬く間に差を広げ、5km先で15秒差を付けていた。後方ではピーダスンがアタックを試みる度に、ヴェルメールシュがそれを鎮圧していた。ゴールまで残り48.5kmの、難易度5つ星のモン・サン・ペヴェールの石畳セクターを通過した時、ファンデルプールのアドバンテージは1分半を越えていた。
ファンデルプールは60kmを独走した (photo : A. S. O./Pauline BALLET)
モン・サン・ペヴェールでは追走集団からピーダスン、キュンク、ポリッツ、フィリプセン、ローレンス・ピシー（グルパマ・ＦＤＪ）が抜け出し、追走グループを形成した。しかし、ピシーは残り30kmのコーナーで転倒して遅れ、キュンクはゴールまで残り12kmの石畳でフィリプセンの加速について行けず、脱落してしまった。
3分近いタイム差を付けてルーベのヴェロドロームを目指すファンデルプールは、セクター2の石畳を通過した後、勝利を確信してチームカーのクリストファー・ロードホーフト監督と拳を突き合わせた。彼は大きなトラブルにも見舞われずヴェロドロームに到着し、両手を上げてフィニッシュラインを通過した。
ベルギーのアルペシン・ドゥクーニンクは、フィリプセンが3月にミラノ〜サンレモ、ファンデルプールが4月にロンド・ファン・フラーンデレン（ツール・デ・フランドル）とパリ〜ルーベで優勝し、その年の最初の３つのモニュメント・クラシックを制した史上初のチームになった。
仕事を終えて6位でゴールしたヴェルメールシュと喜びを分かち合う1位のファンデルプールと2位のフィリプセン (©SprintCycling)
■アルカンシエルを着て連覇を果たしたファンデルプールのコメント
「今日起こった事は実際信じられない事だ。ボクはチームと一緒に再びルーベで優勝した。チームは去年よりもずっと強かった。チームメイトたちをとても誇りに思うし、それを仕上げる事ができてとても嬉しいよ。長い間とても調子が良いと感じていて、今日はこのクラシックシーズンで最高の日になった。
本当はそんなに早くアタックする計画ではなかった。あの時点でレースをハードにしたいと望んでいたからで、それが自分の強みだと分かっていた。集団は大きすぎて、協力体制はあまり良くなかったから、アタックするには良い瞬間だと思った。差を得た後は、とても調子が良い日だったし、追い風がライバルを寄せ付けない手助けになり、ゴールまで行けるだろうと確信した。
ルーベでは妨げやパンクは身近にあるものだ。でも十分なタイム差があり、チームカーがすぐ後ろに居たから自信があった。限界に達した先週のロンドよりも、この瞬間を本当に楽しむ事ができたよ。今日は信じられない気分で、最後の部分は本当に楽しめた」
ルーベの表彰台。左から2位のフィリプセン、アルカンシエルを着て連覇したファンデルプール、3位のピーダスン (photo : A. S. O./Pauline BALLET)
第121回パリ～ルーベ 結果
［4月7日／コンピエーニュ～ルーベ（フランス）／ＵＣＩワールドツアー／259.7km］
1. MATHIEU VAN DER POEL (ALPECIN-DECEUNINCK / NED) 5h 25′ 58”
2. JASPER PHILIPSEN (ALPECIN-DECEUNINCK / BEL) + 03′ 00”
3. MADS PEDERSEN (LIDL-TREK / DEN) + 03′ 00”
4. NILS POLITT (UAE TEAM EMIRATES / GER) + 03′ 00”
5. STEFAN KÜNG (GROUPAMA-FDJ / SUI) + 03′ 15”
6. GIANNI VERMEERSCH (ALPECIN-DECEUNINCK / BEL) + 03′ 47”
7. LAURENCE PITHIE (GROUPAMA-FDJ / NZL) + 03′ 48”
8. JORDI MEEUS (BORA – HANSGROHE / BEL) + 04′ 47”
9. SØREN WÆRENSKJOLD (UNO-X MOBILITY / NOR) + 04′ 47”
10. MADIS MIHKELS (INTERMARCHÉ – WANTY / EST) + 04′ 47”
(photo : A. S. O./Pauline BALLET)
