リエージュ~バストーニュ~リエージュ2024はポガチャルが優勝
現存する最古のレースでラ・ドワイヨンヌ(長老の意味)の愛称を持ち、モニュメント・クラシックの1つである第110回リエージュ~バストーニュ~リエージュ(UCIワールドツアー)が、4月21日にベルギー南部ワロン地方で開催され、スロベニアチャンピオンのタデイ・ポガチャル(UAEチーム・エミレーツ)が独走で2度目の優勝を果たした。
2位には1分39秒遅れでフランスのロマン・バルデ(チームDSMフィルメニッヒ・ポストNL)が入り、2分2秒遅れの追走集団は3位争いのゴールスプリントを競い、世界チャンピオンのマチュー・ファンデルプール(アルペシン・ドゥクーニンク/オランダ)が制した。
落車事故で集団が分断
第110回大会は25チームの175選手が出走。ディフェンディングチャンピオンのレムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ/ベルギー)は、イツリア・バスク・カントリー(UCIワールドツアー)の落車事故で負傷し、今大会を欠場した。
気温は低く、雨が降ったかと思えば太陽が顔を出す不安定な天候で、バストーニュでは雪が降っていた。序盤に逃げ出した9人のグループは、折り返し地点のバストーニュで集団に4分以上のタイム差を付けていたが、丘越えが始まるとタイム差はみるみる縮まっていった。
集団はゴールまで残り98kmの狭い道で落車が発生して2つに分断し、ファンデルプールやトム・ピドコック(イネオス・グレナディアズ)が遅れた集団に入っていた。ファンデルプールはこの事故の直前にも危うく落車に巻き込まれる所だったが何とか回避していた。
逃げは残り88kmのワンヌの丘で集団に吸収された。ファンデルプールの集団はこの時まだ1分以上遅れていたが、残り71kmで先頭集団に合流する事ができた。集団はUAEチーム・エミレーツが先頭を引き続け、ルドゥトの丘に到着した。
ルドゥトの丘でポガチャルがアタック
ゴールまで残り34.8kmで集団がルドゥトの丘を上り始めた時、優勝候補の筆頭だったポガチャルがアタックし、まだ900m続く細い坂を駆け上がった。すぐにリチャル・カラパス(EFエデュケーション・イージーポスト)が追いかけたが、彼に付いてルドゥトを越える事はできなかった。ポガチャルは頂上で後続に8秒差を付け、独走を開始した。
後続は下りで再編成された後、残り28.7kmでベン・ヒーリー(EFエデュケーション・イージーポスト)がアタックし、バルデが合流した。しかし、この時すでに先頭のポガチャルとのタイム差は1分以上開いていた。追走グループにはロマン・グレゴワール(グルパマ・FDJ)とブノワ・コスネフロワ(デカトロン・AG2Rラモンディアル チーム)が追いついて4人になった。最後に越えたロッシュ・オー・フォコンの丘でこの追走グループからバルデがアタックし、2位の座を確保した。
1分半以上のタイム差を付けてリエージュのケ・デ・アルデンヌに戻って来たポガチャルは天を指差した後、両手を上げてフィニッシュラインを通過した。彼は2021年に今大会で初優勝したが、翌年はパートナーである自転車選手のウルスカ・ジガート(LIV・アルウラー・ジェイコ)の母が亡くなり、急遽スロベニアに帰国しなければならなくなって欠場し、昨年は落車で手首を骨折し、レースを棄権していた。
■2021年に続いて2度目の優勝を果たしたポガチャルのコメント
「2年前、ちょうどリエージュの直前にウルスカの母親が亡くなり、去年は手首を骨折した。だから過去2年間は本当に困難だった。今日はウルスカの母親の為に走り、この素晴らしいレースでまた勝てて本当に嬉しいよ。今日ボクのために働いてくれたチーム全員に感謝する。素晴らしいチームワークだったし、彼らが居なければこれを成し遂げる事はできなかっただろう。
とても感動している。我々は上りでは懸命に走り、下りは安全に走った。ルドゥトではまさに我々が言っていた事を実行した。そこからはゴールまで苦しんだ。こうした長距離のレースの後で、単独でゴールするのは本当に特別だし、ナショナルチャンピオンジャージを着てこんなふうにゴールに辿り着くのは素晴らしい事だ」
■第110回リエージュ~バストーニュ~リエージュ 結果
[4月21日/ベルギー/UCIワールドツアー/254.5km]
1. TADEJ POGAČAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO) 06h 13′ 48”
2. ROMAIN BARDET (TEAM DSM-FIRMENICH POSTNL / FRA) + 01′ 39”
3. MATHIEU VAN DER POEL (ALPECIN-DECEUNINCK / NED) + 02′ 02”
4. MAXIM VAN GILS (LOTTO DSTNY / BEL) + 02′ 02”
5. AURÉLIEN PARET PEINTRE (DECATHLON AG2R LA MONDIALE TEAM / FRA) + 02′ 02”
6. MAURI VANSEVENANT (SOUDAL QUICK-STEP / BEL) + 02′ 02”
7. VALENTIN MADOUAS (GROUPAMA-FDJ / FRA) + 02′ 02”
8. ALEXEY LUTSENKO (ASTANA QAZAQSTAN TEAM / KAZ) + 02′ 02”
9. PELLO BILBAO (BAHRAIN VICTORIOUS / ESP) + 02′ 02”
10. TOM PIDCOCK (INEOS GRENADIERS / GBR) + 02′ 02”
DNF YUKIYA ARASHIRO (BAHRAIN VICTORIOUS / JPN)
◆リエージュ~バストーニュ~リエージュ公式サイト