ジャパントラックカップ I&II 開幕 短距離は太田海也と佐藤水菜、中距離は窪木一茂と内野艶和が強さを披露
目次
- 1. 【女子ジュニア スクラッチ】フィニッシュスプリントを近田が競り勝つ
- 2. 【男子ジュニア スクラッチ】レース終盤に先行した金井が独走勝利
- 3. 【女子エリミネーション】内野が脚の強さを見せて勝利
- 4. 【男子エリミネーション】最終局面、戦略の巧みさで窪木が勝利
- 5. 【女子マディソン】内野・垣田ペアが大量ポイント獲得で圧勝
- 6. 【女子スプリント】佐藤が盤石の走りで勝利
- 7. 【男子ケイリン】力勝負となった最終局面、競り勝った中野が優勝
- 8. 【男子オムニアム】確かな強さを見せた窪木が勝利
- 9. 【男子マディソン】窪木・今村ペアが確かな戦略を示し勝利
- 10. 【女子ケイリン】決勝で大きな落車発生、佐藤が苦い勝利
- 11. 【男子スプリント】太田が全勝で優勝、世界の走りを見せる
- 12. 【女子オムニアム】内野が快勝、垣田が最終種目で2位に上がる
トラック国際大会となる「ジャパントラックカップI&II」が開幕した。これは2024年5月9日〜12日の日程で、「I」と「II」という形で、それぞれ2日間にわたるレースを2連続で行うものだ。
UCIポイントも獲得できる国際大会であるため海外からの選手も多く参加、パリ2024オリンピック前に日本選手が参加する最後のトラックレースでもある。また今回からジュニアクラスも開催された。
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男子マディソン、前方4人が日本ナショナルチーム員
9〜10日にかけて行われたジャパントラックカップIでは、短距離では太田海也と佐藤水菜、中距離では窪木一茂と内野艶和、世界大会でメダルを獲得してきたこの4人がその強さを披露することとなった。男女含めて全12種目のレポートを、開催順にお届けする。
【女子ジュニア スクラッチ】フィニッシュスプリントを近田が競り勝つ
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女子ジュニアスクラッチに勝利した近田
女子ジュニアクラスのスクラッチは5人の参戦。総距離5km、250mトラックを20周回という距離で行われ、スプリントに近い形で先頭は随時入れ替わっていく。
最終周回にてスプリント勝負。3人の選手が先行し、フィニッシュ直前にて近田ちひろ(日本ナショナルチーム)が車体半分先に出て優勝した。レースタイムは6分半強と、まさに中距離的なスプリント力がものを言うレースとなった。
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女子ジュニアスクラッチ表彰式 2位 ジャン、優勝 近田、2位 西原
*女子ジュニアスクラッチ リザルト
1. 近田ちひろ(日本ナショナルチーム)6:34.11
2. ジャン・チュンルイ(Henan Cycling Team)
3. 西原夕華(日本ナショナルチーム)
【男子ジュニア スクラッチ】レース終盤に先行した金井が独走勝利
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男子ジュニアスクラッチ 終盤から独走勝利した金井
男子ジュニアは7人の参加。体力を温存するより抜け出したいという気持ちが各選手にみえ、バンバンとアタックがかかっていく。
レース後半に入って三浦一真(日本ナショナルチーム)が独走に成功。そのまま数周回を先行するも、残り5周回で後方から金井健翔(日本ナショナルチーム)が追いつく。三浦は後方に落ち、金井がそのまま独走で先行。半周ほどの差をキープしながら最終周回まで走り切り、独走勝利を果たした。
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男子ジュニアスクラッチ表彰式 2位 木綿、優勝 金井、3位 三浦
*男子ジュニア スクラッチ リザルト
1. 金井健翔(日本ナショナルチーム)12:17.29
2. 木綿崚介(日本ナショナルチーム)
3. 三浦一真(日本ナショナルチーム)
【女子エリミネーション】内野が脚の強さを見せて勝利
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女子エリミネーション 左から垣田、内野
最後尾の選手が除外されるエリミネーション。力の尽きた選手、位置取りのミスをした選手が除外されていく。終始レースをリードしている印象のあった内野艶和(チーム楽天Kドリームス)を、リー・ジー・ウィン(チーム香港)がぴたりとマーク。
この2人に垣田真穂(チーム楽天Kドリームス)が残り3人の表彰台圏に。ここで内野と垣田が加速しリーが除外。最後1対1となった時に内野が加速、勝利のフィニッシュを決めた。
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女子エリミネーション表彰式 2位 垣田、優勝 内野、3位 リー
*女子エリミネーション リザルト
1. 内野艶和(チーム楽天Kドリームス)
2. 垣田真穂(チーム楽天Kドリームス)
3. リー・ジーウィン(チーム香港)
【男子エリミネーション】最終局面、戦略の巧みさで窪木が勝利
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男子エリミネーションにて最後の3人、左から兒島、窪木、今村
男子エミネーションはスタート直後からとても速さのある展開に。先頭付近はどんどんとペースがどんどん速くなっていくため、集団はどんどん伸びていく。そのため前方にいないと早めに除外されてしまう展開に。
残り5人となっても終始高いスピードの展開は変わらず。残り3人となって日本選手のみが残る。窪木一茂(日本ナショナルチーム)、今村駿介(日本ナショナルチーム)そして兒島直樹(チームブリヂストンサイクリング)だ。
誰も牽制に入る気配はなく、今村が加速し窪木が付いていき、兒島が遅れて除外。今村はそのまま加速し先行勝利を狙うも、後ろについて脚を溜めた窪木が残り半周でさらに加速。そのまま勝利のフィニッシュを通り抜けた。
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男子エリミネーション表彰式 2位 今村、優勝 窪木、3位 兒島
*男子エリミネーション リザルト
1 .窪木一茂(日本ナショナルチーム)
2. 今村駿介(日本ナショナルチーム)
3. 兒島直樹(チームブリヂストンサイクリング)
【女子マディソン】内野・垣田ペアが大量ポイント獲得で圧勝
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女子マディソンを優勝した垣田・内野ペアの交代シーン
チーム楽天Kドリームスで走る内野と垣田が、ポイント周回での確かなスプリントでポイントを加算していく。レース全体の展開は内野が担当し、スプリントでのポイント獲得を垣田が行う。その走りをチーム香港がぴったりとマークしながら、2位ポイントを獲っていく形でレース全体が流れる。
2度のポイント周回を残した終盤、内野が一気に加速を始め、集団をラップしさらに高得点を重ねる。その後も1位ポイントを加算して圧倒的なポイント差をつけて勝利した。2位はチーム香港が獲得。
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女子マディソン表彰式 2位 リー/リオン、優勝 内野/垣田、3位 ファウラー/池田
*女子マディソン
1. チーム楽天Kドリームス(内野艶和/垣田真穂)60ポイント
2. Team HKG(リー・ジーウィン/リオン・ウィンイー)18ポイント
3. Mixed Team(池田瑞紀/ファウラー・プルーデンス)13ポイント
【女子スプリント】佐藤が盤石の走りで勝利
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女子スプリントの決勝、左から梅川、佐藤
スプリントでネイションズカップも制している佐藤水菜(チーム楽天Kドリームス)が負け知らずで決勝まで勝ち上がってくる。決勝での対戦は梅川風子(チーム楽天Kドリームス)。
第1対戦では梅川の隙をついて大きく差をつけての勝利。第2対戦では、先行する梅川を最後差し切って、佐藤が3戦中2戦先勝での優勝。まさに世界レベルの盤石の走りを見せたレースとなった。
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女子スプリント表彰式 2位 梅川、優勝 佐藤、3位 小原
*女子スプリント
1. 佐藤水菜(チーム楽天Kドリームス)
2. 梅川風子(チーム楽天Kドリームス)
3. 小原乃亜(日本ナショナルチーム)
【男子ケイリン】力勝負となった最終局面、競り勝った中野が優勝
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男子ケイリン決勝、フィニッシュスプリントの瞬間、手前左が中野、右が太田
日本ナショナルチームとしてオリンピック出場を目指す4人の男子ケイリン選手全てが決勝に進出。ラスト3周で先行デルニーが外れて残り2周半、太田海也(チーム楽天Kドリームス)が一気に前を出て、太田特有の走りである先行逃げ切りで勝負をかける。
ここに外側から中野慎二(チーム楽天Kドリームス)が先行を狙うも太田は緩むことなく、この2人がほぼ2周回を競り合う形でレースは進む。その速度はほとんど落ちることなく最終コーナー、最後のストレートで中野が一気に伸びてフィニッシュライン。僅差でこの力勝負に競り勝った中野が勝利をその手にした。
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男子ケイリン表彰式 2位 太田、優勝 中野、3位 山崎
*男子ケイリン
1. 中野慎二(チーム楽天Kドリームス)
2. 太田海也(チーム楽天Kドリームス)
3. 山崎賢人(チーム楽天Kドリームス)
【男子オムニアム】確かな強さを見せた窪木が勝利
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男子オムニアム、ポイントレースでの窪木
4種目の合計ポイントを競うオムニアム。全3種目で強さを見せた窪木、第2種目で1着を獲得した橋本英也(日本ナショナルチーム)、そして第3種目でポイントリーダーとなっている今村が勝利を狙う。
第4種目ポイントレースでは、日本ナショナルチーム員と兒島が積極的に前で展開。1位ポイントを重ねていき、中盤でラップを獲得。さらに山本哲央(チームブリヂストンサイクリング)が2度のラップを獲得し一気に上位に。勝負は最終ポイント周回でのダブルポイントに委ねられ、ここを窪木が1着でフィニッシュ、僅差で勝利。2位には今村が入った。
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男子オムニアム表彰式 2位 今村、優勝 窪木、3位 山本
*男子オムニアム
1. 窪木一茂(日本ナショナルチーム)151ポイント
2. 今村駿介(日本ナショナルチーム)148ポイント
3. 山本哲央(チームブリヂストンサイクリング)137ポイント
【男子マディソン】窪木・今村ペアが確かな戦略を示し勝利
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男子マディソン 左から窪木、今村、兒島
日本ナショナルチームAとして窪木・今村が組み、日本ナショナルチームBとして橋本・兒島がペアとなる。この2組が他を寄せ付けないほどの速さで展開し、レース全体を掌握。
1位と2位ポイントを分けあう形で取り合っていくが、窪木・今村ペアが優勢。特に窪木のポイントスプリントでの加速が大きく目立ち、その速さで大きく存在感を会場に示す形で勝利を手にした。
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男子マディソン表彰式 2位 兒島/橋本、優勝 窪木/今村、3位 河野/山本
*男子マディソン
1. 日本ナショナルチームA (窪木一茂/今村駿介)71ポイント
2. 日本ナショナルチームB(橋本英也/兒島直樹)58ポイント
3. チームブリヂストンサイクリングA(山本哲央/河野翔輝)34ポイント
【女子ケイリン】決勝で大きな落車発生、佐藤が苦い勝利
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女子ケイリン決勝 左から2番目に佐藤、3番目が梅川
決勝に進んだ日本の2強女子選手、佐藤と梅川。その対決に大きく注目が集まっていたが、残り3周に入った残した時点で大きな落車が発生。出走6選手中4人が巻き込まれるというもので、これを巧みに避けた佐藤が残り周回を走り切って勝利。2位にイン・ジーウィン(チーム香港)が入った。梅川は完走できず、順位は3位となった。
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女子ケイリン表彰式 2位 イン、優勝 佐藤
*女子ケイリン リザルト
1. 佐藤水菜(チーム楽天Kドリームス)
2. イン・ジーウィン(チーム香港)
3. 梅川風子(チーム楽天Kドリームス)
【男子スプリント】太田が全勝で優勝、世界の走りを見せる
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男子スプリント決勝 写真奥が太田、手前が小原
今期は世界大会でもスプリントでの勝利を手にしている太田が、決勝までの全てのレースを快勝。対戦相手を大きく引き離す勝利を収めてきた。
一方で、小原祐太(チーム楽天Kドリームス)は準決勝でのアジズルアスニ・アワン(チームアジズル)との勝負で消耗。東京2020五輪で銅メダルを獲得したアワンの熟練した走行技術に手こずり、3回戦までもつれ込んだ対戦は、最後体力で小原が押し切った。
その太田と小原の決勝。小原は太田に合わせる形で勝負を挑むも、太田の剛脚は疲労の見える小原の走りを上回って2戦を先勝し優勝。世界を制した走りを日本の観客の前でも見せた。
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男子スプリント表彰式 2位 小原、優勝 太田、3位 山崎
*男子スプリント リザルト
1. 太田海也(チーム楽天Kドリームス)
2. 小原祐太(チーム楽天Kドリームス)
3. 山崎賢人(チーム楽天Kドリームス)
【女子オムニアム】内野が快勝、垣田が最終種目で2位に上がる
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女子オムニアム、エリミネーションの模様 手前左が垣田
第1種目スクラッチ、内野が体力を温存しながらも最終スプリントで1着を獲得。続くテンポレースでも先頭ポイントを重ねて、しかし先頭には出過ぎない走りで着実に1位ポイントを重ねていく。
第3種目のエリミネーションでは、その内野を常に追う形となっていた垣田が6位での通過。ここで垣田は総合順位を落とすも、最終ポイントレース、最終周回でのダブルポイントで2位に上がる。レースは順当に1位ポイントを積み重ねた内野が言葉通りに快勝した。
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女子オムニアム表彰式 2位 垣田、優勝 内野、3位 リー
*女子オムニアム リザルト
1. 内野艶和(チーム楽天Kドリームス)
2. 垣田真穂(チーム楽天Kドリームス)
3. リー・ジーウィン(チーム香港)
2024ジャパントラックカップ I/II 開催概要
開催日時:
ジャパントラックカップI :2024年5月9日(木)、10日(金)
ジャパントラックカップII:2024年5月11日(土)、12日(日)
開催場所:
伊豆ベロドローム(静岡県伊豆市)
出場選手:
トラック強化指定選手、海外4カ国以上の選手を含む世界のトップ選手たち
実施種目(男女共通):
スプリント/ケイリン/オムニアム/マディソン/スクラッチ/エリミネーション/ポイントレース
有観客:
5月9日(木)、10日(金)入場無料
5月11日(土)、12日(日) 有料/エントランスにて500円(現金のみ)
※高校生までは11日も12日も無料
ライブ配信:
More CADENCE YouTubeチャンネルにてLive Streaming予定あり
大会情報ページ:
https://japantrackcup.com/
▪️サイスポ・ニュース:
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ジャパントラックカップII 2日目 男女ケイリンは太田と佐藤、男子ポイントレースで山本哲央が初勝利
▪️サイスポ・トピックス:
日本で世界と渡り合う若手、兒島直樹はパリ五輪メダルを照準に定める