女子Qリーグ、中学生Nリーグ2024-2025開幕戦 しもふさクリテリウム5月・レポート
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5月3日(金・祝日)、千葉県成田市・下総運動公園内において、5期目となるサイクルロードレースの女子リーグ「クイーン・リーグ(Qリーグ)」、中学生リーグ「ニュー・エイジ・リーグ(Nリーグ)」2024-2025シーズンの開幕戦「しもふさクリテリウム 5月」が開催された。
今大会はサイクルロードレース協会東日本(MATRIX)主催で、会場内にある1周回・約1.5kmの常設サイクリングコースでおこなわれ、“しもふさクリテ”の通称で親しまれている。トップクラスはもちろん、ジュニアやキッズ、女子にも人気が高く多くの参加者が集まった。
今シーズンもリーグ開幕戦として対象レースをQリーグとNリーグ中学生女子NWはレディースクラス、Nリーグ中学生男子Nは中学生クラスに設定した。 風の穏やかな天候の中、大会ホストチームでJプロツアーを中心に活躍するチームMATRIX POWERTAGの所属選手達が、第1レースとなる120分エンデューロで参戦ライダーをエスコートしながら大会を温める。
各レース前の試走時間帯にはサイクルクリニックが実施され、レースの初歩・基本をハムスタースピン代表・福田昌弘氏がレクチャー。集まった顔ぶれに合わせて安全走行のコツを指導するなか、なんと成田市のマスコットキャラクター“うなりくん”が登場し、一緒にサイクルクリニックを受講。会場に居合わせた観客や参加者の皆さんとの撮影に応じていた。
成田市は今年で市政70周年を迎え、市内で毎年定期的に開催されている定番自転車レースだからこそ特別にサプライズ登場してくれたようだ。うなりくんは「ゆるキャラグランプリ 2017」優勝の実力を持ち人気が高く、さまざまなイベントで呼ばれるので成田市内でも直接会える機会が少ないため、私も写真を撮りまくってしまった。
朝一の120分エンデューロや個人タイムトライアル、キッズの年齢別クラスレースを経て、かなり暑くなってきた昼過ぎから、今回の大会で初めて実施する「エンデューロ・トゥ・スタディ」がスタートした。
このクラスの発案者である大会実行委員長の中川康二郎氏から「レースイベント参加に不安を感じている方や以前、レースに参加したことはあるが期待ほどの結果を残せず参加を諦めてしまった方などのために、今回30分の疑似レースを経験してもらいたいと考えて新たに設定したんです」と趣旨説明。
「このクラス参加を通じて、安心安全に楽しく自転車に乗って欲しいということもありますし、サイクルスポーツに関心を高めて欲しいという狙いもあります」というコメントのとおり、10名余りの参加者に、先ずはハムスタースピン福田氏が安全講習をおこないグループ分け。
コース試走とライダースミーティングをして、チーム MATRIX POWERTAGの所属選手達や運営協力するサイクリングクラブ・ボンネビルの皆さんとグループごとにスタート。楽しく安全に走りながらレクチャーも交えて30分、そしてゴール後には意見交換して記念撮影。参加記念品を受け取った皆さんの笑顔が印象的だった。
レディースクラスはQリーグ・岡本彩那が優勝
エンデューロ・トゥ・スタディが無事にゴールしたのを見届けてから、しばらく後に「レディース」クラス、そして小学生チャンピオンクラスがスタート。
スタート地点には、昨シーズン年間総合ポイントリーダーのQリーグはアメジストジャージを着用した根本香織(Team一匹狼)、Nリーグ中学生女子NWはバトルマリンジャージの岡田愛裕來(ブラウ・ブリッツエン U15)が最前列に陣取り、MCノゾミ氏からの紹介に笑顔で手を振る。
その横には2021-2022シーズンでNリーグ中学生女子NW、翌年2022-2023シーズンは Qリーグの年間総合ポイントリーダーに輝いた岡本彩那(ブラウ・ブリッツェン)の姿があった。昨年は学業優先のためリーグ登録をお休みしていたが、今シーズンは再び登録。さらに昨シーズンの開幕戦でポイントリーダーを獲得した小田恵利花(ラバネロ)や、初めてリーグ登録したフレッシュな顔ぶれも揃った。
定刻でスタートしたレースには13人が出走。1周回1.5kmのコースを 5周回する最初と 2周回目まで集団は1つ。前方は佐藤直美(Yahoo! JAPAN Cycle Racing team)、ラバネロ小田、一匹狼・根本と Qリーグ登録勢が強力に引っ張ることもあり、3周回目あたりから集団からこぼれてしまう選手が出始める。
そんな積極的な展開のなか、11人となった集団のまま最終周回へ突入。ここでゴールラインから先ず姿を確認できたのは、アメジストジャージを再び獲得するためQリーグへ舞い戻ってきたブラウ・ブリッツェン岡本!後続から2秒差をつけて、単独でゴールを切り優勝を果たした。
その後ろでは7人がゴールスプリントとなり、2位には前回の 3/3リーグ最終戦「しもふさクリテリウム 3月」で優勝した Yahoo佐藤が入り、3位には黒川真理子が入った。一方で終始、積極的なレース展開をしていたラバネロ小田は4位と惜しくも表彰台を逃し、Nリーグ岡田もゴール手前でのスピードアップに付いて行けず10位となった。しかし岡田がエリート年齢の女子選手達のメイン集団に最終局面まで付いていけるようになり、今後の活躍に期待の持てる走りであった。
Qリーグポイントリーダー賞品、そしてアメジストジャージ授与式では、久しぶりにアメジストジャージに袖を通しながら笑顔を見せた岡本。
「楽しかったレース展開でした!最終周回では、小田選手がアタックしたので行かないと!と思い、先ずは後ろについて。そして自分が行けるところはココだ!と思ったところでかけました」と落ち着いたレース運びで勝ち取った流れをコメントしてくれた。
今年は大学受験が控えているが「早く受験が終わったら(リーグ後半戦に予定の)大磯クリテにも出場して、リーグのレースに出来るだけ出場したい」と、この後のQリーグを賑わせてくれることを期待させてくれた。
そんな岡本へのリーダージャージ授与にも登壇したチーム MATRIX POWERTAG安原監督からは「爽やかな17歳、良い走りでした!将来、オリンピックや世界選手権(出場)を目指すのであれば日本自転車競技連盟のロード部会長として、女子選手を引き続きバックアップするから頑張りなさい!」と激をいただいた。
また、Nリーグ中学生女子NWの昨シーズン年間総合ポイントリーダーを防衛した形となった岡田はチーム MATRIX POWERTAGホセ・ビセンテ選手からバトルマリンジャージを受け取った。この後のジュニア強化レースでも敢闘賞を受賞し、今後のリーグシリーズ戦に向けて「今回は結果があまり良くなかったので、次回は堂々とこの表彰台に立てるようにもっと頑張ります!」と力強くコメントした。
中学生クラスは西澤崇介が優勝、Nリーグが表彰台を独占
最終ブロックの午後3時21分スタートとなったのが、Nリーグ中学生男子Nの対象レースとなる「中学生」クラス。
今回は27人のライダーがエントリーし、全員が出走。この4月で中学生になったばかりの選手や、リーグ初登録となった選手も多く見受けられるなか、昨シーズンのポイントランキング2位・渡邉公太(ブラウ・ブリッツェン U15)、3位の岡田來毘(おかだ・らいひ:ブラウ・ブリッツェン U15)、4位の池田竜雅(Team一匹狼)がMCノゾミ氏からコールされ、スタートラインの前方を陣取った。
昨シーズン年間総合ポイントリーダーとなった落合隼は高校生となり卒業、その座の継ぐのは誰になるのか?スタート 10秒前のコールで「シャッス!!」と元気よく、そして号砲とともにコース 6周回と走るレースのスタートを勢いよく切っていった。
最初の周回から集団の速度は高く、1周回目をこなしてコントロールラインを通過した時点でメインとなる先頭集団は24人、2周回目には19人にまで絞られていた。そんな高速集団の先頭を積極的に引くのは、柬理日楠詩(かんり・ひなた:TeamFITTE)、高橋祐樹(LINKVISIONGIRASOLE CYCLING)そして渡邉公太(ブラウ・ブリッツェン U15)のNリーグ登録選手達。
とくに渡邉は昨シーズン、中学1年生ながら常にレース上位に入る大活躍を見せており、走りだけでなく体も成長し期待が上がる。また、マトリックスとウォークライドが主催する大会を対象とした「小学生チャンピオン」年間ランキングでトップとなった茂木陽向(#1-PRIMERA-)も中学生となり、Nリーグ入り。そんな注目すべき中学生選手達が集団のペースを周回ごとに上げていき、最終周回では15人にまで絞られてゴールスプリントとなる展開を予想させた。
しかし、ゴール手前で早めに頭一つ抜け出し単独アタックをしたのは西澤崇介(AVG0)。しっかりと優勝を決めた瞬間、片手を上げて力強くガッツポーズを決めた。
その後ろでは14人のスプリントとなり、ブラウ・ブリッツェン渡邉が2位、その後に続いて3位に一匹狼の池田、4位ブラウ・ブリッツェン岡田、5位・LINKVISION高橋、6位・PRIMERA茂木とNリーグメンバーが上位6人までを独占する、素晴らしい走りを魅せてレースを大いに盛り上げてくれた。
初めての Nリーグ中学生男子Nポイントリーダー授与式に臨んだ⻄澤は、MATRIXホセ選手から手渡されたバトルマリンジャージを着用。
「スプリント勝負になりそうだったので早駆けして、ハイ、行けました」と少し緊張した面持ちでコメント。今後のリーグ目標については「このまま勝ち続けられるように頑張ります!」と、前代のポイントリーダー落合選手のような素晴らしい目標を語ってくれた。
今回もレース会場にブース出展する、リーグ発足時からの協賛、アスリチューンでお馴染みの株式会社隼の代表・三上氏からは「このNリーグのポイントリーダー、そしてポイントランキング制度が始まってから、あきらかに対象になっているレースの展開が変わってきた。とくに中学生クラスは、その前だとスタートから最終周回までは、何となく集団で固まってダラダラ走る印象があったけど、リーグが入るようになるとスタートから集団の人数を減らすような動きや展開で積極的な走りになってきた。レースの面白さが上がったし、選手達もいろいろ考えて走るようになって意識が向上したのは、とても意義のあることだと思う」とリーグ選手達の活躍を大いに評価いただいた。
このようなレースとリーグを実現できるのも、選手達の活躍の場を広げるために協力いただいているスポンサー各社の尽力によるものなので、今後も応えられるように活動をおこないたい。
レースが終わって、西澤が選手仲間達から「今度は落合選手みたいにさー、ゴールで両手広げてカッコいいのを見せてよ!」と言われて照れていた。またQリーグでも根本が女子選手たちの表彰式に立ち会って、写真を撮りながら声援を送っていた。初代から続くリーグ選手たちの熱い想いがシーズンを越えて受け継がれているのを目の当たりにして、今シーズンもシリーズ戦を無事に重ねながら、選手達の活躍を広く知ってもらえるように運営しよう、と改めて強く思った。
各リーグ ポイントリーダー
今大会の年間総合ポイントリーダー授与式では、Bioracerより「アメジストジャージ」「バトルマリンジャージ」各リーダージャージが提供された。また、Qリーグは株式会社隼より「アスリチューン Qリーグポイントリーダー賞」、Nリーグ中学生男子Nは武田レッグウェアー株式会社より「RxL Nリーグ中学生男子ポイントリーダー賞」、Nリーグ中学生女子NWはアイリス株式会社より「EXLUB Nリーグ中学生女子 NWポイントリーダー賞」の賞品がそれぞれ提供された。
Qリーグポイントリーダー:アメジストジャージ、N リーグポイントリーダー:バトルマリンジャージ
アスリチューン賞
Qリーグ(高校生以上女子)ポイントリーダー:岡本 彩那(ブラウ・ブリッツエン)・28p
ランキング2位:佐藤 直美(Yahoo! JAPAN Cycle Racing team)・20p
ランキング3位:小田 恵利花(ラバネロ)・12p
R×L賞
Nリーグ・N(中学生男子)ポイントリーダー:⻄澤 崇介・28p
ランキング2位:渡邉 公太(ブラウ・ブリッツエンU15)・20p
ランキング3位:池田 ⻯雅(Team 一匹狼)・15p
EXLUB賞
Nリーグ・NW(中学生女子)ポイントリーダー:岡田 愛裕來(ブラウ・ブリッツエンU15)・3p
ランキング2位:小田島 寛奈(#1-PRIMERA-)・0p
年間総合ポイントリーダー特別賞:Airfly(株式会社ジゴスペック)
※ランキングにおいて同点者が出た場合、最新のレース着順が優位の選手を上位とする。
※最終戦終了時において、同点者が出た場合は、最終戦直前のランキングで優位の選手を上位とする。
※最終戦については、ポイントテーブルに5 点ずつ加算した点数を付与する(最終戦ボーナス)。
<レポート概要>
写真撮影:Yosuke SUGA、QNリーグ事務局
テキスト:須藤むつみ(QNリーグ事務局)
協力:サイクルロードレース協会東日本(MATRIX)
*しもふさクリテリウム 5月公式ホームページ
https://shimofusa-criterium.powertag.jp/2024/5/outline.html
現時点での2024-2025Qリーグ・Nリーグ対象レーススケジュールはこちら。
http://www.jbrain.or.jp/q-n-league/race-profile.html
次戦は5月25日(土)開催の「わたらせクリテリウム第1戦」となります。
※Qリーグ高校生以上女子は、該当クラスがないため「対象レース無し」とします
https://watarase-criterium.jp/race/858/
Qリーグ・Nリーグの登録はこちら。
各対象レース開催日の3日前まで登録完了すればポイントランキングに反映します。
https://moshicom.com/102128/