ジロ・デ・イタリア2024でスロベニアのポガチャルが総合初優勝

  • photo LaPresse / ©SprintCycling

イタリアで開催されていた第107回ジロ・デ・イタリア(UCIワールドツアー)は、5月26日に首都ローマで125kmの最終ステージを競い、スロベニアチャンピオンのタデイ・ポガチャル(UAEチーム・エミレーツ)が初参加で総合初優勝を果たした。
 

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■スロベニアチャンピオンのポガチャルがジロで総合初優勝した (©SprintCycling)

 
昨年はプリモシュ・ログリッチ(ボーラ・ハンスグローエ)がジロで総合初優勝を果たしており、隣国スロベニアの選手が2年連続で“終わりのないトロフィー”をイタリアの首都ローマで頭上に掲げた。総合2位は9分56秒差でコロンビアのダニエル・マルティネス(ボーラ・ハンスグローエ)、3位は10分24秒差で英国のゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアズ)だった。
 

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■左から総合2位のマルティネス、総合初優勝したポガチャル、総合3位のトーマス (©SprintCycling)


3度目のグランツール制覇

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■特別ジャージで最終ステージを走ったUAEチーム・エミレーツは8人全員が完走した (photo : LaPresse)

 
現在25歳のポガチャルは2020年2021年にツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)で総合優勝していて、これが3度目のグランツール制覇となった。彼は旧都トリノでの開幕ステージから区間優勝を狙ったが、ゴール勝負でエクアドルチャンピオンのジョナタン・ナルバエス(イネオス・グレナディアズ)に負けてしまった。しかし、ポガチャルは翌日の第2ステージを制してマリア・ローザに初めて袖を通し、それを最終日まで誰にも渡さなかった。

第2ステージで総合首位に立ったポガチャルは、マリア・ローザを着て第7ステージ、第8ステージ、第15ステージ、第16ステージ、第20ステージで優勝し、イタリアのレアルコ・グエッラ(1934年)、ベルギーのエディ・メルクス(1973年)の記録に並んだ。イタリアのアルフレード・ビンダは1927年に総合首位で区間11勝を上げたが、当時はまだ総合リーダージャージのマリア・ローザが導入されていなかった。ジロで区間6勝しての総合優勝は、1973年のメルクス以来だった。
 

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■表彰式は首都ローマのコロッセオ前で行われた (photo : LaPresse)

 
ポガチャルのマリア・ローザ着用日数は20日で、一大会での着用日数としては1973年のメルクス、1990年のジャンニ・ブンニョ(イタリア)、1995年のトニー・ロミンゲル(スイス)の21日に次ぐ記録で、1991年のフランコ・キオッチョリ(イタリア)、1992年のミゲル・インドゥライン(スペイン)の記録に並んだ(但し90年代は休養日がない事が多く、ステージ数は現在よりも多かった)。ポガチャルは第2ステージから山岳賞のマリア・アッズーラも獲得していたが、マリア・ローザを着用していたため、それをレース中に着る事はなかった。
 

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■区間6勝したポガチャルは山岳賞のマリア・アッズーラも受賞した (photo : LaPresse)

 
ジロで区間6勝して総合優勝したポガチャルの今シーズンの優勝数は、すでに14勝になった。彼の次のターゲットは、6月29日にイタリア中部のフィレンツェで開幕する第111回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)だ。

 
最終ステージはメルリールが優勝

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■ベルギーのメルリールがローマの最終ステージを制した (photo : LaPresse)

 
最終日の第20ステージは142選手が出走。オスティアの海岸線で折り返す前半は、恒例の凱旋パレードで写真撮影が行われた。後半ローマ市街地に入り、8周する9.5kmのサーキットコースには引退するイタリアのドメニコ・ポッゾヴィーボ(VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)が先頭で入り、地元のレースファンに別れを告げた。

10数秒差で逃げていた選手たちは最終周回に入る前に吸収され、残り9.5kmで鐘が打ち鳴らされた直後、ポイント賞のマリア・チクラミーノを着たイタリアのジョナタン・ミラン(リドル・トレック)が機材トラブルに見舞われてバイクを交換しなければならなくなった。奇跡的にも彼は残り4.5kmで集団に追いつく事ができ、チームメイトたちが列車を組んで彼を集団へと運んだ。
 

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(photo : LaPresse)

 
ゴールまで残り2kmでは、マリア・ローザのポガチャルがチームメイトのフアンセバスティアン・モラノ(UAEチーム・エミレーツ)のために集団の先頭を引く場面もあった。最後はティム・メルリール(スーダル・クイックステップ)が最初に飛び出し、マリア・チクラミーノのミランが追いかけたが、石畳の上のスプリントではベルギー人のメルリールが勝っていた。

メルリールがグランツールの最終ステージで勝ったのは初めてだった。彼は今大会で3勝し、ジロ通算区間優勝数は4勝になった。一方、地元イタリアのミランはローマで今大会区間4勝目を上げられなかったが、2年連続でポイント賞のマリア・チクラミーノを受賞した。
 

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■イタリアのミランが区間3勝し、2年連続でポイント賞のマリア・チクラミーノを受賞した (photo : LaPresse)

 
■総合初優勝したポガチャルのコメント
「この瞬間は言葉で言い尽くせない。素晴らしい。サーキットがとてもテクニカルでデコボコだったから、我々は最後の数周回は前に居たかった。チームメイトたちと一緒にとても良くやり遂げた。モラノが良い脚を持っていなかったのは不運だったが、残りの仕事はとてもうまくいった。だから満足だ。全てで勝てるものではないからね。

このジロには好きな思い出がたくさんある。しばらくすれば、どれが最高の瞬間だったか分かるだろう。全体的には素晴らしいジロだった。マリア・ローザは本当に特別だ。それを20日間持ち続けるのはクレイジーな経験だった」
 

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■ジロを初制覇したポガチャルの次のターゲットはダブルツールだ (photo : LaPresse)


■第21ステージ結果[5月26日/ローマ~ローマ/125 km]

1. MERLIER Tim (SOUDAL QUICK-STEP / BEL) 2:51:50
2. MILAN Jonathan (LIDL-TREK / ITA)
3. GROVES Kaden Alexander (ALPECIN-DECEUNINCK / AUS)
4. GAVIRIA RENDON Fernando (MOVISTAR TEAM / COL)
5. VAN DIJKE Tim (TEAM VISMA | LEASE A BIKE / NED)
6. ANIOLKOWSKI Stanislaw (COFIDIS / POL)
7. DAINESE Alberto (TUDOR PRO CYCLING TEAM / ITA)
8. LONARDI Giovanni (TEAM POLTI KOMETA / ITA)
9. EWAN Caleb (TEAM JAYCO ALULA / AUS)
10. GRONDIN Donavan (ARKEA-B&B HOTELS / FRA)

第107回ジロ・デ・イタリア 個人総合最終成績(マリア・ローザ)
1. POGAČAR Tadej (UAE TEAM EMIRATES / SLO) 79:14:03
2. MARTINEZ POVEDA Daniel Felipe (BORA – HANSGROHE / COL) +9:56
3. THOMAS Geraint (INEOS GRENADIERS / GBR) +10:24
4. O’CONNOR Ben (DECATHLON AG2R LA MONDIALE TEAM / AUS) +12:07
5. TIBERI Antonio (BAHRAIN VICTORIOUS / ITA) +12:49
6. ARENSMAN Thymen ((INEOS GRENADIERS / NED) +14:31
7. RUBIO REYES Einer Augusto (MOVISTAR TEAM / COL) +15:52
8. HIRT Jan (SOUDAL QUICK-STEP / CZE) +18:05
9. BARDET Romain (TEAM DSM-FIRMENICH POSTNL / FRA) +20:32
10. STORER Michael (TUDOR PRO CYCLING TEAM / AUS) +21:11

[各賞]
■ポイント賞(マリア・チクラミーノ): MILAN Jonathan (LIDL-TREK / ITA)
■山岳賞(マリア・アッズーラ): POGAČAR Tadej (UAE TEAM EMIRATES / SLO)
■新人賞(マリア・ビアンカ): TIBERI Antonio (BAHRAIN VICTORIOUS / ITA)
■チーム成績: DECATHLON AG2R LA MONDIALE TEAM (FRA)
■最優秀敢闘賞 : ALAPHILIPPE Julian (SOUDAL QUICK-STEP / FRA)
 

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■フランスのアラフィリップが今年のジロの最優秀敢闘賞を受賞した (photo : LaPresse)

 

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(photo : LaPresse)

 

ジロ・デ・イタリア公式サイト

J SPORTS ジロ・デ・イタリア特設サイト

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