中学生Nリーグ2024-2025第2戦:わたらせクリテリウム第1戦・レポート
目次
5月25日(土)、栃木県栃木市藤岡町の藤岡渡良瀬運動公園内わたらせサイクルパークにおいて「わたらせクリテリウム第1戦」が開催され、中学生リーグ「ニュー・エイジ・リーグ(Nリーグ)」のシリーズ第2戦が行われた。
今シーズン初開催となるこの大会は、2年前から宇都宮ブリッツェン主催でシリーズ戦がスタート。わたらせサイクルパークの完全クローズされた1周回=約 1.1kmを走るクリテリウムレースだ。事前に応援メッセージを走行コース上に書くことができたり、QNリーグ主催のスクール企画「スキルアップ!ロードレーススクール」など、さまざまなイベントも実施された。
朝から穏やかな天候に恵まれた会場では出店ブースも賑わい、ゲストには宇都宮ブリッツェンから本多晴飛、ヴェロリアン松山からは阿部嵩之とプロ選手も登場し、各クラスともレースが盛り上がった。
QNリーグ主催「スキルアップ!ロードレーススクール」開催
午前 9時30分から開始となったレースと並行するかたちで、周回コースの内側を利用してQNリーグ主催の「スキルアップ!ロードレーススクール」を開講。今回は特別版として、女子と中学生以下のジュニアのみが参加できる設定でスクールを実施した。
先ずは自転車に乗る準備が完了してからでもできる準備運動と、ヘルメットの位置合わせや自転車のブレーキなど走行前チェックの手順を指導。その後は事前に受けた「教えて欲しい事アンケート」に応える形で、Uターンを交えた走行でコーナリングを指導。特にブレーキだけでなくペダリングでもスピードを調整するコツを覚えてもらった。
さらにロードレースならではの2列走行も、Uターンを行いながら集団走行で注意したいポイントを実感してもらい、スムーズなスラローム走行のコツやレースで重要なスタートのコツも指導した。
この後は、乗車中におけるペダル加重、および体重を自転車の上で前後・左右に移動させる感覚を覚えて体験したり、このスクール名物にもなっている「ボトル渡し」のコツを指導しながら、補給する側とされる側の2組に分かれてスムーズに渡せるように反復練習。そのなかで暑くなる季節に向けての補給のポイントも伝授。最後にレース中の機材トラブルでの対処実技として、メカニック役と選手役に分かれてホイールを交換した後に選手をサポートして送り出す手順を覚えてもらった。
ロードレースならではの選手とサポート、それぞれの役割を実践し覚えてもらう Photo:QNリーグ事務局
国内のハイレベルなロードレースになれば、補給などのチームサポートのために「アテンダント資格」が必要となる。補給やメカニック対応の練習は、これからアテンダント資格取得やサポートスタッフを目指す人に向けて、どのようなサポートが必要かをリアルに学べる良い機会になるだけでなく、選手がレース本番でサポートをスムーズに受けられるコツも学べると考えている。
今回もスクールは休憩を挟みながら約2時間で実施。今後も春から夏ぐらいの時期にかけてはロードレースに関するスクールを実施し、秋から冬にかけてはシクロクロスに関するスクールを企画し、継続的に事前リクエストに応じながら細かい対応の出来るスクールを続けていく。
レースは男子の各カテゴリーで宇都宮ブリッツェンのゲストライダーが先頭を残り1周回まで、事前指定した時速(km/h)に達しないようコントロールしたなかでのレーススタートとなる。これはクリテリウム経験が少なくレースにちょっと自信がない人もチャレンジしやすい「クリテリウム MAX25」「クリテリウム MAX35」など、わたらせクリテリウムならではのクラスで午前中に開催された。
女子クラス撤廃、見方を変えての評価
女子の独立したクラスは撤廃され、全てのクラスにおいて女子選手がエントリーできる方式に変更され、女子だけの表彰が設定されてなかった。だが見方を変えれば、今大会は関東各地からのアクセスも容易で、平坦コースのクリテリウムレースであり、JBCFなどへのステップアップを考える女子選手には絶好の腕試しにもなるし、午前の弊リーグ・スクール受講と組み合わせればレース挑戦の予習も可能だ。
また、スポーツとビギナーのAは男子クラス、スポーツとビギナーのBはAでエントリーする「男子以外」となる、女子と男子マスターズとしてはどうだろうか?これならば現在、社会的な課題となっているジェンダーフリー選手も「男子以外」としてBでエントリーもできる。
このようにぜひとも、再度の女子クラス設定を考慮してほしいし、高校生以上女子の「Qリーグ」を運営する事務局としては、今後もわたらせクリテリウムのさらなる認知とともに、女子選手参戦の増加をバックアップしたい。今回は、女子クラスの設定が無くなったため、急遽Qリーグのみ対象レースから除外することとした。
エスポワールA&BはNリーグが上位を独占
午後からは気温が上がって少し汗ばむなか、いよいよNリーグの中学生男子(N)と女子(NW)対象のエスポワール各レースがスタートとなった。
こちらは各クラスが、Cは小学4・5年生の男女、Bは小学6年生と中学1年、Aが中学2・3年生と細かく分かれており、Nリーグでは中学1年生が対象の「エスポワール B」、そして中学2・3年生が対象の「エスポワール A」の2つに分かれるため、それぞれのレース完走者にリーグポイントを付与することにしている。これにより、わたらせクリテリウムでは特に中学1年の Nリーグ登録選手にとって大量ポイント獲得のチャンスとなるのだ。
そんなチャンスとなるエスポワールBは午後2時にスタート。エントリーは12人でニュートラル1周回から、いったんスタート位置に停止してからレース周回に入るのは、他のクラスと同じわたらせクリテリウムならではの措置。これにより選手たちには一層、良い緊張感が走る。
6周回のレース、冒頭からNリーグ登録の青木絆星(アオキキセキ・ブラウ・ブリッツェン U15)と茂木陽向(#1-PRIMERA-)2人が他の選手達から先行し飛び出す。その勢いからか、後続の集団は1周回を終えてコントロールラインに戻るまでに崩壊。
しかし、後続もそのままでは先行する2人を追えないと判断したようで、齋藤荘太や笹澤大希(群馬グリフィン)、大関麟太郎(スペースゼロポイント)が集団を形成し追走を開始。先行し逃げ続ける青木と茂木の2人まで 15秒差まで詰めたが、残り1周回では逆に差が広がってしまい、後続3人から齋藤が先行に対して単独でブリッジをかける状況に。
一方で、先行し逃げ続けた青木と茂木は、ほぼ茂木が先頭に立って周回を重ねており、茂木によると「1人で逃げを決めたかった」という。結局、2人のままゴールスプリントへ。なんとかゴールを差し切りたかった青木を茂木が力で捻じ伏せて勝利を手に入れた。
「(今回は)逃げを決められず悔しかったので、次は逃げを決めて勝ちを取りたい!」と、既に次のレースに向けての目標を茂木は語ってくれた。
続いてのスタートとなるのがエスポワールA。エントリー14人で、こちらも阿部嵩之選手による先導でニュートラル 1周を終えてからレース開始となった。
8周回のレース、冒頭で動いたのは山口虎太郎(COW GUNMA)を先頭にした8人が先頭集団を形成。この集団には、現ポイントリーダーの西澤崇介(AVG0)、渡邉公太(ブリッジU15)、柬理日楠詩(TeamFITTE)、高橋祐樹(LINKVISIONGIRASOLE CYCLING)、池田竜雅(Team一匹狼)のNリーグ登録選手も乗っている。8人でローテーションをしながらグングンとスピードを上げていき、後続とのタイム差が10秒ほどまで開く。
4周回目に入ったところでLINKVISION高橋が単独でアタック。これに集団が反応し、入れ替わるように今度は FITTE柬理が先頭に出る。この揺さぶりで次周回で再び先頭集団がまとまったものの、7人に減り、さらに集団は6人となる。
残り1周回では、ここから4人が抜け出すも決定打とならず、ゴールスプリントへ向かう最後の直線では6人に。この直線でうまく抜け出したのが西澤!見事に最後まで襲い掛かるNリーグのライバル5人を振り切って開幕戦に続く連勝をつかんだ。
ゴール直後「何としても、このリーダージャージを守りたかった」とバトルマリンジャージを防衛できた安堵の表情を見せた西澤に、ゲストでレース先導をしたヴェロリアン松山・阿部嵩之選手は「脚を使って逃げたり、積極的に動いたうえでゴールを勝ち取ったのは素晴らしい!」と高く評価していた。
さらにポイントリーダー授与式では西澤に、今レースでは 1位から5位がNリーグ登録選手で占めるという結果に関して問うと「それだけ厳しいレースだったけど、頑張れました」と笑顔でコメント。
副賞プレゼンターとして登壇した阿部選手はNリーグについて、「このように何か明確な目標があるというのは、目的が具現化するので素晴らしいと思います。この先もずっとポイントリーダージャージを守ってほしい」とコメント。
また、今日の西澤の走りについては「一目見て、これもしかしてジャージを守りたい!というレース運びをするのかな?とスグに判りましたので、今後はそれを覚られないようなレースをするか、俺はジャージを完璧に守るからね!という力強い意思表示をしながら、他の選手たちにプレッシャーをかけるような走りをして欲しいと思います」とエールを送った。
さらに逃げのスペシャリストとして阿部選手にアドバイスをお願いしたところ「このジャージを防衛するのと逃げは、ちょっと違うのですが(笑)ジャージを守るなら守る、逃げるなら逃げるというのを、ちゃんと分けてレースをして欲しい」とクレバーな動きをアドバイスしてくれた。
第2戦は、エスポワールAもBも上位をNリーグが独占する、非常に良い形で終えることが出来た。最後の記念撮影では、2021-2022シーズンのNリーグ年間総合ポイントリーダーに輝いた水上央渉(ブラウ・ブリッツェン)も交えて、エスポワールAで入賞したNリーグの後輩達と写真に納まってくれた。
今期で5シーズン目となるリーグには、このように頼もしい後輩達も続いている。今後も多くの中学生や女子達の目標になるような選手が育つように、活躍の場を広げられる活動を行なっていきたいと改めて強く思った。
今大会の年間総合ポイントリーダー授与式では、ビオレーサーより「アメジストジャージ」「バトルマリンジャージ」各リーダージャージが提供された。また、Qリーグは株式会社隼より「アスリチューン Qリーグポイントリーダー賞」、Nリーグ中学生男子 Nは武田レッグウェアー株式会社より「R×L Nリーグ中学生男子ポイントリーダー賞」、Nリーグ中学生女子 NWはアイリス株式会社より「EXLUB Nリーグ中学生女子 NWポイントリーダー賞」が、それぞれ提供された。
アスリチューン賞Qリーグ(高校生以上女子)
ポイントリーダー:岡本 彩那(ブラウ・ブリッツエン)・28p
ランキング2位:佐藤 直美(Yahoo! JAPAN Cycle Racing team)・20p
ランキング3位:小田 恵利花(ラバネロ)・12p
R×L 賞N リーグ・N(中学生男子)
ポイントリーダー:⻄澤 崇介(AVG0)・56p
ランキング2位:茂木 陽向(#1-PRIMERA-)・36p
ランキング3位:渡邉 公太(ブラウ・ブリッツエンU15)・32p
EXLUB 賞N リーグ・NW(中学生女子)
ポイントリーダー:岡田 愛裕來(ブラウ・ブリッツエンU15)・3p
ランキング2位:小田島 寛奈(#1-PRIMERA-)・0p
<レポート概要>
写真撮影:QNリーグ事務局
テキスト:須藤むつみ(QNリーグ事務局)
協力:宇都宮ブリッツェン、わたらせサイクルパーク
わたらせクリテリウム第1戦公式ホームページ(次回は9月14日に開催決定!)
https://watarase-criterium.jp/race/858/
現時点での2024-2025Qリーグ・Nリーグ対象レーススケジュールはこちら
http://www.jbrain.or.jp/q-n-league/race-profile.html
次戦は7月7日(日)開催の「そでがうらサマーサイクルロードフェスタ」
https://summer-sodegaura.powertag.jp/
Qリーグ・Nリーグの登録はこちらから。各対象レース開催日の 3日前まで登録完了すればポイントランキングに反映します。
https://moshicom.com/102128/