7年前にいだいた夢が実現。パリ五輪マウンテンバイク日本代表に決まった川口うらら

来月からパリで行なわれる第33回オリンピック競技大会の自転車競技・マウンテンバイク日本代表に、川口うらら(TEAM TATSUNO)選出され、6月27日に記者会見が行なわれた。

川口うらら パリ五輪

川口のスポンサーでもある株式会社ダイセル東京本社にて行なわれた会見には、日本自転車競技連盟のハイパフォーマンスディレクター三瓶将廣氏、同マウンテンバイクコーチの小笠原崇裕氏も同席。

冒頭、三瓶氏より出場枠獲得と代表選出の経緯の説明があった後、質疑応答が行なわれた。

UCIの定めた“オリンピック予選競技会”では出場枠を獲得できなかった日本だが、昨年の世界選手権U23女子の29位という成績によって国別2位に入ったため、5月29日付けで1人の出場が可能となった。

これにともなう選手選考において、今年5月末時点でUCIランク日本人最上位である川口に決定したという。

川口うらら パリ五輪

 

突然決まったパリ行き

兵庫県たつの市揖西(いっさい)町出身の川口は、小学4年生のとき友人に誘われたのがきっかけでマウンテンバイクを始めた。中学時代はバスケットボール部に所属。高校生から本格的に競技を開始。2017、18年とマウンテンバイク・アジア選手権大会ジュニアカテゴリー連覇。また2021年には全日本選手権U23 XCO、XCE、XCC、U23ロードと4種制覇を達成。

だが海外遠征の連続と自身に課した「強くなること」へのプレッシャーから体調を崩し、睡眠障害を発症。2022年9月のレースを最後に一時活動を休止した。

「高校2年のときに  初めて海外のレースに出してもらって感じたことを形にしたいと7年間走ってきました。その中でうまく進めなかった時もありましたが、自分が納得できるレースをしたいという気持ちが持てたことで、ここまでこれたと思います」

川口うらら パリ五輪

2023年4月に復帰すると徐々に調子を取り戻し、全日本選手権XCCで優勝。今年5月のUCIクラス1やわたはま国際MTBレースでも勝利。

「パリ五輪の可能性は低いと思い、1月から海外遠征をしながら4年後のロサンゼルスに向けたレベルアップを計画していました」というところに、今回の代表決定。

「選ばれたうれしさと不安もありますが、これまで支えてくれた周りの人や家族に恩返しできる機会をいただけたと思います。日本と海外のマウンテンバイクを取り巻く状況は、あらゆる面で差があります。レースまで1カ月くらいですが、やるべきことをしっかりやって1つでも上の順位(*)を目指して「日本の選手でも海外のレベルの高いコースをを思いっきり走れる」ということを、見せられたらと思います。」

川口選手にとってオリンピックとは?という質問には「人として成長できる目標となるもの。目指す過程で試行錯誤しながら競技性、人間性も高めてこれたんじゃないかと思います」と語ったように、彼女の目標には日本でのマウンテンバイク競技の認知度を高め、次を担う子供達に、よりよい環境でマウンテンバイクを楽しんで欲しいという願いも込められている。

7月28日、エランコートの丘で世界の強豪に挑む川口に注目したい。

*これまでの日本人最高順位は、2008年北京、2012年ロンドンにおける小田島(当時は片山)梨絵さんの20位

川口うらら パリ五輪

「とにかく眠かった」という時期を思い出し涙を浮かべる

川口うらら パリ五輪

2016年クップ・ドュ・ジャポンMTBのユースカテゴリーに参戦。エリートに匹敵するラップタイムをたたき出す

川口うらら パリ五輪

スイスで行なわれたワールドカップXCOから機材をオルベアに変更。エリートとして初参戦して57位。(c)ORBEA

 

 

オリンピック出場枠の決定方法

今大会は男女各36人が出場。ホスト国であるフランスには男女各1人ずつの計2人の出場枠が割り当てられており、さらに国際オリンピック委員会(IOC)の三者委員会が決定する「ユニバーサリティ枠」として男女各1枠が用意されている。

残りの68枠(女子34、男子34)は、大会までの競技会の結果に応じて割り当てられ、各NOC(国内オリンピック委員会)に割り当て枠は最大で男子2枠、女子2枠。

UCIのマウンテンバイク・オリンピック予選期間中に獲得したポイントがオリンピック出場枠獲得につながり、1位から8位のNOCが2枠を、9位から19位のNOCが1枠を得ることができる。

2022年5月7日~2024年5月26日を予選期間とし、各NOCの上位3選手のポイントを合計してUCIランキングが決定。ランキングには最大2つの大陸選手権が含まれ、2つ以上ある場合は直近の2大会がカウントされる。

また、ヨーロッパとオセアニアを除く**各大陸選手権(アフリカ、アメリカ、アジア選手権)**で、それぞれ最上位のNOCが最大1枠を得られる。

さらに、2023年に行われるUCIマウンテンバイク世界選手権において、エリートとU23のレースでそれぞれ上位2つのNOCが、NOCあたり最大1枠を獲得(UCIマウンテンバイクオリンピック予選のポイントランキングまたは2023年大陸選手権を通じて出場権を獲得していないNOCに限る)。エリートレースで出場権を得たNOCは、23歳未満のレースで出場権を得る資格はない。

 

▪️サイスポニュース:川口うらら、MTB XCO日本代表に決定