パリ五輪 BMXフリースタイル日本代表候補 記者会見 中村輪夢「オリンピックで結果を出したい」

パリ五輪 BMXフリースタイル日本代表候補 記者会見

7月1日、東京都新宿区にあるJAPAN SPORT OLYMPIC SQUAREにて、2024パリオリンピック BMXフリースタイルの日本代表候補選手の記者会見が行われた。

始めに日本自転車競技連盟のハイパフォーマンスディレクターである三瓶将廣氏より、枠獲得から選考決定の経緯について語られた。

BMXフリースタイルはメダル獲得の可能性が高いというところで強化が図れてきており、東京大会では男女1枠ずつ自国開催枠があったが、パリに向けてまずは国別の出場枠を獲得するところを最初のミッションとして掲げてきた。

パリオリンピックの出場枠獲得に向けてBMXフリースタイルでは、2022年と2023年の世界選手権の結果のほかに、オリンピッククオリファイシリーズという出場枠を獲得できる大会が2024年の5月と6月に2戦行われた。日本ナショナルチームとしても男女共に選手を派遣したが、残念ながらここでの枠獲得はならず。2022年アブダビでの世界選手権での中村輪夢(りむ)の優勝という結果から、男子1枠のみの獲得となった。

国内選考では、世界選手権で優勝した中村輪夢が代表候補として選ばれ、今シーズンのワールドカップのフランスでの第2戦で10位に入った小澤楓がリザーブとして選出された。

パリオリンピックのBMXフリースタイルの日程としては、7月30日に予選、31日に決勝が行われる。

東京オリンピックと異なり、出場者が9人のところから12人に増員。前回の予選では、シーディングという形で出走順を決めるだけだったが、今回は予選で人数が絞られることになる。

予選では一人2本走って平均点を競い、上位9人が決勝へと進む。決勝では、一人2本走って、良い方の点数が反映されるこれまでの世界大会同様のルールだ。

パリ五輪 BMXフリースタイル日本代表候補 記者会見

会見で話す中村輪夢

 

代表候補に選ばれた中村輪夢は、東京オリンピックでは5位という結果。次のパリオリンピックの抱負をこう語る。

「東京が終わったそのときから悔しかったので、パリが次の目標と思っていました。まず出場が決まってうれしいんですが、ここがゴールじゃないので、今回こそいい結果を取って、日本に帰ってこられたらいいなと思います」

東京オリンピックを経験して、オリンピックへの思いに変化もあった。

「正直、東京の時は注目もしてもらって、いい結果を出したいという気持ちだったんですけど、Xゲームとかの大会もあって、そっちが一番っていう気持ちだったのが、とりあえずパリで、オリンピックで結果を出したいっていう気持ちが一番で、3年間ここで結果出すためにやってきたので、今は早くやりたいなと思います」

東京大会から3年が経過。自身が成長を感じる部分について、「メンタルや体のことや技術のこと、成長してないと駄目なんですけど、その中でも、BMXはいろんな技をしますが、やっぱり最後はメンタルが大事な競技だと思うので、そこはこの3年間で成長できたかなと思います」と話す。

パリ五輪 BMXフリースタイル日本代表候補 記者会見

出口ヘッドコーチも中村のパリでの活躍に期待を込める

 

一緒に登壇した出口智嗣ヘッドコーチも中村の変化についてこう語る。

「輪夢はすごく頑張り屋なんですよ。顔にも出さないし、みんなに平等に接することができて、ムードメーカー。ここ3年間、東京から常に大会のときに横に立ってますけど、すごくいい顔に変わりました。緊張しているとき勝手にはっちゃけたりするんですけど、今は素直に笑顔を返してくれて、『行ってきます』と言える。

それが彼の言うメンタルの部分で、メンタルを保つための今までの努力っていうのが多分彼にとってすごく出来上がってきてるのかなと感じてます。フィジカルやライティングスキルに関しては僕は絶大な信頼を持っているので、自信がついて、戦いに行ってるのがっていうのが横にいて、話していて、顔を見て、感じています。特にブダペスト(2022年世界選手権)ではそれが感じられたかなと思うので、そのままパリに行ければ、彼の望む結果がついてくるのかなとすごく思っています」

パリ五輪 BMXフリースタイル日本代表候補 記者会見

自転車は日本の国旗をイメージした白と赤。「前回も真っ白と赤で自転車を組んだんですけど、今回も日本背負って白と赤で」

パリ五輪 BMXフリースタイル日本代表候補 記者会見

ヘルメットの後頭部には、京都をイメージした五十の塔などのデザインが。京都生まれ京都育ちの中村は、「日本もそうですけど、自分の地元京都を背負ってかましたい」と話した

 

BMXフリースタイルの会場は、ツール・ド・フランスの最終ステージでもお馴染みのコンコルド広場。中村と昨年下見に行ったという出口ヘッドコーチはそこで目指すことについてこう話す。

「輪夢が活躍するのを当然僕は一番期待してますし、その中でパリオリンピックを通してBMXフリースタイルが世界中にもっともっといい輪を広げて、オリジナリティがあるスポーツであるということの表現が彼らに求められていると思います。その中でメダルという結果はついてくると思いますが、彼らがかっこいいBMXをぜひ世界にパリから発信してもらいたいなと思います。その中で僕は、輪夢が求めるものを持って帰ってもらって、日本からBMXシーンを世界に広げられるようにしていきたいと思っています」

パリ五輪 BMXフリースタイル日本代表候補 記者会見

出口ヘッドコーチが用意した花束を受け取る中村

 

それに対して中村も、「僕たちがBMXを一番かっこいいと思っていますし、もっともっとみんなにやってもらいたいと思っています。東京で僕が勝っていれば、もっと知名度なり、やる人も増えたかなと思うので、やっぱりそこは責任を感じています。自分の結果はそこにつながると思うので。自分がBMXで僕が恩返しできることはそこだと思うので、今回結果を出して少しでもBMXに返していきたいです」と話した。

東京大会は、コロナ禍により無観客での開催となった。しかし、BMXフリースタイルは観客を巻き込んで盛り上げてこそパフォーマンスを何倍にも上げていけるような競技だ。多くの歓声が響くであろう中で走れることについて中村はこう語る。

「やっぱり盛り上がっている方が逆に緊張しないので。めちゃくちゃ街中なので盛り上がると思いますし、もちろん自分の技を決めたいっていうのもありますし、BMXは一つのエンターテイメントだと思うので、決めて盛り上げたいっていう気持ちもあります。もちろん盛り上げれば盛り上げるほどジャッジとかにも響くと思うので、本当に自分の走りをして、パリのお客さんを盛り上げられたらいいなと思います」

自転車競技としては、トラック、ロード、BMX、MTB合わせて全18名の選手が派遣される。

パリオリンピックの開幕までもう1カ月を切った。各選手が最大限のパフォーマンスを発揮できることを楽しみにしたい。

 

▪️サイスポ・ニュース:
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