ツール・ド・フランス2024 第12ステージはギルマイが3勝目/落車でログリッチが遅れた

  • photo A.S.O. /Billy Ceusters / ©SprintCycling

第111回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月11日にオーリヤックからヴィルヌーヴ・シュル・ロットまでの203.6kmで平坦区間の第12ステージを競い、ポイント賞のマイヨ・ベールを着たエリトリアのビニヤム・ギルマイ(アンテルマルシェ・ワンティ)が集団ゴールスプリントを制し、今大会3勝目を上げた。
 

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マイヨ・ベールを着たギルマイが今大会3勝目を上げた (©SprintCycling)

 
区間2位はベルギーのワウト・ヴァンアールト(チーム ヴィスマ・リースアバイク)、3位はフランスのアルノー・デマール(アルケア・B&Bホテルズ)だったが、デマールはスプリントで危険行為があったとして降格処分となり、ドイツのパスカル・アッカーマン(イスラエル・プルミエテック)が繰り上げで3位になった。区間5位に入った英国のマーク・カヴェンディッシュ(アスタナ カザクスタン チーム)も同様に降格処分を受けている。

この日はゴールまで残り12kmで大きな落車事故が発生し、スロベニアのプリモシュ・ログリッチ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)が巻き込まれてしまった。彼は5人のチームメイトたちと一緒にゴールしたが、2分27秒遅れてしまい、総合4位から6位へと後退し、マイヨ・ジョーヌを守った同郷のタデイ・ポガチャル(UAEチーム・エミレーツ)とのタイム差は4分42秒になってしまった。
 

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落車に巻き込まれたログリッチは2分半近く遅れてゴールした (©SprintCycling)

 
モルコフが新型コロナで不出走

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●第12ステージのコースプロフィール (MAP : A.S.O.)

 
第12ステージは167選手が出走。デンマークのミケル・モルコフ(アスタナ・カザクスタン チーム)が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の検査で陽性になり、出走しなかった。彼に症状は出ていなかったが、チームの医療スタッフがその決定を下したという。ツールは2週目に入って体調不良の選手が続出し、新型コロナが蔓延しているのではないかと心配されている。

オフィシャルスタートからアタックが続いた後、19km地点でヴァランタン・マドゥアス(グルパマ・FDJ)がアタックを決め、チームメイトのカンタン・パシェ(グルパマ・FDJ)と、山岳賞総合2位でマイヨ・アポワを着たヨーナス・アブラハムセン(ウノエクス モビリティ)、アントニー・テュルジス(トタルエナジーズ)が合流した。
 

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マドゥアス、パシェ、アブラハムセン、テュルジスが逃げた (photo : A.S.O. /Billy Ceusters)

 
4人がタイム差を広げる中、集団では23km地点で落車が発生し、マイヨ・ジョーヌのポガチャルが巻き込まれたが、幸い怪我はなかった。その後方では、体調不良でスタートから遅れていたオランダのファビオ・ヤコブセン(チームDSM・フィルメニッヒ・ポストNL)がレースを棄権した。

逃げのタイム差が3分を超えると、集団はアルペシン・ドゥクーニンクが先頭を引き始めた。最初の1時間の平均時速は51.8km/hになった。第12ステージはカテゴリー4の丘が3カ所あり、アブラハムセンはその全てを先頭で通過して3ポイント稼ぎ、山岳賞総合首位のポガチャルと同ポイントになった。しかし、この場合は超級カテゴリーを1位で通過した回数が多い選手が上位になる為、第5ステージで超級のガリヴィエ峠を先頭で通過していたポガチャルが山岳賞総合首位の座を守った。

後方では体調不良で集団から遅れたスペインのペリョ・ビルバオ(バーレーン ヴィクトリアス)がレースを棄権した。バーレーン ヴィクトリアスは、前日にも英国のフレッド・ライトが体調不良で大きく遅れ、制限時間内にゴールできず、失格になっていた。
 

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(photo : A.S.O. /Billy Ceusters)


ログリッチが落車に巻き込まれた

最後のカテゴリー4の丘でテュルジスが遅れて逃げは3人になり、ゴールまで残り42kmで全員が集団に吸収された。国際自転車競技連合(UCI)は、レースの安全性を高めるために、今大会でゴール前のセーフティーゾーン(いわゆる3kmルール)を拡大するテストを行っており、このステージでそれは5kmに拡大していた。しかし、落車事故はそれよりも手前の残り12.5kmで発生した。

最初に道路の中央分離帯に接触して落車したのはアレクセイ・ルツェンコ(アスタナ・カザクスタン チーム)だった。この事故にログリッチも巻き込まれ、右肩を負傷したが、幸いすぐレースに復帰する事ができ、チームメイトたちと一緒に集団を追いかけた。しかし、ゴールスプリントに向けて加速する集団に追いつく事はできなかった。

世界チャンピオンのマチュー・ファンデルプール(アルペシン・ドゥクーニンク)もこの落車で遅れてしまい、ヤスペル・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク)のスプリントをアシストできなかった。最後はチームメイトに引かれたデマールが最初にスプリントを開始したが、マイヨ・ベールのギルマイがやすやすと彼を追い越し、先頭でフィニッシュラインを通過した。

第12ステージはベルギーのヨーナス・リカールト(アルペシン・ドゥクーニンク)、デンマークのセーアン・クラーウアナスン(アルペシン・ドゥクーニンク)、カザフスタンのエフゲニー・フュードロフ(アスタナ・カザクスタン チーム)が制限時間内にゴールできず、失格になった。リカールトは序盤の落車に巻き込まれていたためだったが、他の2人は体調不良が原因だった。今年のツールは1週目にリタイアする選手が少なかったが、2週目はこの2日間で10人がレースを去った。
 

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区間3勝したギルマイはポイント賞総合でも大きくリードしている (photo : A.S.O. /Billy Ceusters)


■第12ステージ結果

[7月11日/オーリヤック~ヴィルヌーヴ・シュル・ロット/203.6 km]
1. B. GIRMAY (INTERMARCHÉ – WANTY / ERI) 04h 04′ 50”
2. W. VAN AERT (TEAM VISMA | LEASE A BIKE / BEL)
3. P. ACKERMANN (ISRAEL – PREMIER TECH / GER)
4. J. PHILIPSEN (ALPECIN-DECEUNINCK / BEL)
5. A. DE LIE (LOTTO DSTNY / BEL)
6. A. KRISTOFF (UNO-X MOBILITY / NOR)
7. P. BAUHAUS (BAHRAIN VICTORIOUS / GER)
8. B. COQUARD (COFIDIS / FRA)
9. D. GROENEWEGEN (TEAM JAYCO ALULA / NED)
10. R. GIBBONS (LIDL-TREK / RSA)
67. A. DEMARE (ARKEA-B&B HOTELS / FRA) ※降格
68. M. CAVENDISH (ASTANA QAZAQSTAN TEAM / GBR) ※降格
120. P. ROGLIC (RED BULL – BORA – HANSGROHE / SLO) + 02′ 27’’

■第12ステージ後の総合成績(マイヨ・ジョーヌ)
1. T. POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO) 49h 17′ 49”
2. R. EVENEPOEL (SOUDAL QUICK-STEP / BEL) + 01′ 06”
3. J. VINGEGAARD (TEAM VISMA | LEASE A BIKE / DEN) + 01′ 14’’
4. J. ALMEIDA (UAE TEAM EMIRATES / POR) + 04′ 20”
5. C. RODRIGUEZ (INEOS GRENADIERS / ESP) + 04′ 40”
6. P. ROGLIC (RED BULL – BORA – HANSGROHE / SLO) + 04′ 42”
7. M. LANDA (SOUDAL QUICK-STEP / ESP) + 05′ 38”
8. A. YATES (UAE TEAM EMIRATES / GBR) + 06′ 59”
9. J. AYUSO (UAE TEAM EMIRATES / ESP) + 07′ 09”
10. G. CICCONE (LIDL-TREK / ITA) + 07′ 36”
 

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ポガチャルがマイヨ・ジョーヌを守った (photo : A.S.O. /Billy Ceusters)

[各賞]
■ポイント賞:B. GIRMAY (INTERMARCHÉ – WANTY / ERI)
■山岳賞 : T. POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO)
(第13ステージは J. ABRAHAMSEN (UNO-X MOBILITY / NOR) が着用)
■新人賞 :R. EVENEPOEL (SOUDAL QUICK-STEP / BEL)
■チーム成績:UAE TEAM EMIRATES (UAE)
■敢闘賞 : Q. PACHER (GROUPAMA-FDJ / FRA)
 

第13ステージはピレネー山岳を控えた平坦区間

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●第13ステージのコースプロフィール (MAP : A.S.O.)

 
7月12日はアジャンからピレネー山脈の玄関口となるポーまでの165.3 kmで、平坦区間の第13ステージが行われる。コース後半にはカテゴリー4の丘が2カ所あり、週末にはピレネーでの超級頂上ゴール区間が2日続くため、アブラハムセンが束の間でも山岳賞総合首位を奪い返す最後のチャンスになるだろう。彼は現在、今年のツールで最も長い距離(累計761km)を逃げている選手になっている。
 

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(photo : A.S.O. /Billy Ceusters)

 

ツール・ド・フランス 公式サイト

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