ツール・ド・フランス2024 ピレネー頂上ゴールの第14ステージはマイヨ・ジョーヌのポガチャルが圧勝

  • photo A.S.O. /Billy Ceusters /Charly Lopez /Aurélien Vialatte / ©SprintCycling

第111回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月13日にポーからカテゴリー超級のサン・ラリー・スラン(プラ・ダデ)までの151.9kmで今年最初の頂上ゴールを競い、マイヨ・ジョーヌを着たスロベニアのタデイ・ポガチャル(UAEチーム・エミレーツ)が独走で圧勝した。
 

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ゴールで雄叫びを上げ、胸を叩いたポガチャル (©SprintCycling)

 
区間2位は39秒遅れでデンマークのヨーナス・ヴィンゲゴー(チーム ヴィスマ・リースアバイク)、3位は1分10秒遅れでマイヨ・ブランを着たベルギーのレムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ)だった。
 

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単独でゴールを目指すマイヨ・ジョーヌのポガチャル (photo : A.S.O. /Billy Ceusters)


ピドコックが新型コロナで不出走

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●第14ステージのコースプロフィール (MAP : A.S.O.)

 
第14ステージは157選手が出走。英国のトム・ピドコック(イネオス・グレナディアズ)は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の症状が出たため、ツールを棄権する事になった。カナダのギヨーム・ボワヴァン(イスラエル・プルミエテック)も病気でスタートしなかった。フランスのレキップ紙によれば、前日に途中リタイアしたスペインのフアン・アユソ(UAEチーム・エミレーツ)も、スタート前に新型コロナの検査で陽性になっていたという。

ピレネー初日は前半が平坦で、カテゴリー超級のツールマレー峠のふもととなる70km地点に中間スプリントがあった。オフィシャルスタートからアタックが始まってスピードが上がると、前日のゴールスプリントで落車したベルギーのアモリ・カピオット(アルケア・B&Bホテルズ)が集団から遅れ、そのままレースを棄権した。

44km地点で世界チャンピオンのマチュー・ファンデルプール(アルペシン・ドゥクーニンク)、ベルギーチャンピオンのアルノー・ドゥリーとセドリック・ブーレンス(ロット・デスティニー)、ブライアン・コカール(コフィディス)の4人が逃げ出す事に成功し、さらに4人が合流して8人の逃げになった。最初の1時間の平均時速は50km/hを超えた。
 

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アルカンシエルのファンデルプールが最初の逃げグループに入った (photo : A.S.O. /Billy Ceusters)

 
メイン集団からは更にマイヨ・ベールのビニヤム・ギルマイ(アンテルマルシェ・ワンティ)やダヴィド・ゴデュ(グルパマ・FDJ)、ミハウ・クフィアトコフスキー(イネオス・グレナディアズ)を含めた追走集団が形成された。中間スプリントをコカールが先頭で通過した後、追走集団は先頭に追いつき、ツールマレー峠を上り始めた。UAEチーム・エミレーツがコントロールするメイン集団は4分遅れていた。

ゴールまで残り62.3kmのツールマレー峠頂上が近づくと、11人に減った逃げ集団からゴデュがアタックしたが、オイエル・ラスカノ(モビスターチーム)が追い抜いて先頭で山頂を通過し、スーヴニール・ジャック・ゴデ賞を勝ち取った。集団の後方ではベルギーのルイ・ヴルヴァーク(スーダル・クイックステップ)とイタリアチャンピオンのアルベルト・ベッティオル(EFエデュケーション・イージーポスト)がレースを棄権した。

ゴールまで残り36.7kmの、ウルケット・ダンチザン峠(カテゴリー2)のふもとで10人の逃げとメイン集団のタイム差は3分を切っていた。8.2km続く上り坂で先頭はゴデュ、クフィアトコフスキ、ラスカノ、ルイス・メインティス(アンテルマルシェ・ワンティ)、ベン・ヒーリー(EFエデュケーション・イージーポスト)の5人になった。ウルケット・ダンチザン峠の山頂はゴデュが先頭で通過し、集団とのタイム差は1分15秒に縮まっていた。

カテゴリー超級のサン・ラリー・スランの上りは残り10.6kmから始まり、ふもとで逃げはまだ集団に1分以上のタイム差を付けていた。上りが始まると逃げからはヒーリーがアタックし、ゴデュが付いて行ったが、すぐにヒーリーが単独で先頭になった。UAEチーム・エミレーツが先頭を引き続けるマイヨ・ジョーヌ集団は20人ほどになっていた。
 

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単独でゴールを目指したがヒーリーだったが… (photo : A.S.O. /Billy Ceusters)

 
A・イェーツがアタック

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ピレネーで戦うマイヨ・ジョーヌのポガチャルとヴィンゲゴー (photo : A.S.O. /Charly Lopez)

 
ゴールまで残り7.2kmで、マイヨ・ジョーヌ集団からアタックしたのはアダム・イェーツ(UAEチーム・エミレーツ)だった。この動きでマイヨ・ジョーヌ集団はマッテーオ・ヨーゲンソン(チーム ヴィスマ・リースアバイク)が先頭を引かなければならなくなった。残り5kmでイェーツは先頭のヒーリーを視界に捉えていた。

集団ではマイヨ・ジョーヌのポガチャルがアタックしたが、ヴィンゲゴーは付いて行く事ができなかった。ポガチャルはちょうどヒーリーに追いついたイェーツに合流し、2人でゴールを目指した。しかし、残り4kmで後方を確認したポガチャルは、追ってくるヴィンゲゴーを見て単独で行く決意をした。

隣国スペインからやって来た熱狂的なファンの波をかき分けて、ポガチャルはサン・ラリー・スランを駆け上がり、残り1kmのフラム・ルージュで追走するヴィンゲゴーとのタイム差は20秒を超えていた。彼はそのまま単独でゴールに到着し、勝利の雄叫びを上げて両手で胸を叩いた。今大会区間2勝目をマイヨ・ジョーヌで勝ち取ったポカチャルのツール区間優勝数は通算13勝になった。

ヴィンゲゴーは39秒遅れでゴールしたが、エヴェネプールを抜いて総合2位になった。しかし、ポガチャルとの総合でのタイム差は1分57秒になってしまった。
 

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ポガチャルのマイヨ・ジョーヌ着用日数は33日になり、あと1日でボッテッキアの記録に並ぶ (photo : A.S.O./Aurélien Vialatte)


■第14ステージ結果

[7月13日/ポー~サン・ラリー・スラン(プラ・ダデ)/151.9 km]
1. T. POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO) 04h 01′ 51”
2. J. VINGEGAARD (TEAM VISMA | LEASE A BIKE / DEN) + 00′ 39”
3. R. EVENEPOEL (SOUDAL QUICK-STEP / BEL) + 01′ 10”
4. C. RODRIGUEZ (INEOS GRENADIERS / ESP) + 01′ 19”
5. G. CICCONE (LIDL-TREK / ITA) + 01′ 23”
6. S. BUITRAGO (BAHRAIN VICTORIOUS / COL) + 01′ 23”
7. A. YATES (UAE TEAM EMIRATES / GBR) + 01′ 23”
8. F. GALL (DECATHLON AG2R LA MONDIALE TEAM / AUT) + 01′ 26”
9. M. JORGENSON (TEAM VISMA | LEASE A BIKE / USA) + 01′ 29”
10. D. GEE (ISRAEL – PREMIER TECH / CAN) + 01′ 29”

■第14ステージ後の総合成績(マイヨ・ジョーヌ)
1. T. POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO) 56h 42′ 39”
2. J. VINGEGAARD (TEAM VISMA | LEASE A BIKE / DEN) + 01′ 57”
3. R. EVENEPOEL (SOUDAL QUICK-STEP / BEL) + 02′ 22”
4. J. ALMEIDA (UAE TEAM EMIRATES / POR) + 06′ 01”
5. C. RODRIGUEZ (INEOS GRENADIERS / ESP) + 06′ 09”
6. M. LANDA (SOUDAL QUICK-STEP / ESP) + 07′ 17”
7. A. YATES (UAE TEAM EMIRATES / GBR) + 08′ 32”
8. G. CICCONE (LIDL-TREK / ITA) + 09′ 09”
9. D. GEE (ISRAEL – PREMIER TECH / CAN) + 09′ 33”
10. M. JORGENSON (TEAM VISMA | LEASE A BIKE / USA) + 10′ 35”

[各賞]
■ポイント賞:B. GIRMAY (INTERMARCHÉ – WANTY / ERI)
■山岳賞 : T. POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO)
(第15ステージは J. VINGEGAARD (TEAM VISMA | LEASE A BIKE / DEN) が着用)
■新人賞 :R. EVENEPOEL (SOUDAL QUICK-STEP / BEL)
■チーム成績:UAE TEAM EMIRATES (UAE)
■敢闘賞 : B. HEALY (EF EDUCATION – EASYPOST / IRL)
 

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残り4kmまで逃げ続けたヒーリーが敢闘賞を受賞した (photo : A.S.O./Aurélien Vialatte)


革命記念日の第15ステージはピレネーのカテゴリー超級ゴール

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●第15ステージのコースプロフィール (MAP : A.S.O.)

 
フランスの祝日である革命記念日の7月14日は、ルーダンヴィエルから標高1780mでカテゴリー超級のプラトー・ド・ベイユ頂上までの197.7 kmで、ピレネー2日目の第15ステージが行われる。スタートしてすぐにカテゴリー1のペイルスールド峠を上る、長く厳しいコースだ。
 

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(photo : A.S.O. /Charly Lopez)

 

ツール・ド・フランス 公式サイト

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