ツール・ド・フランス2024 アルブス頂上ゴールの第19ステージはマイヨ・ジョーヌのポガチャルが圧勝

  • photo A.S.O. /Charly Lopez / ©SprintCycling

第111回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月19日にアンブランから標高2024mでカテゴリー1のイゾラ2000までの144.6kmで、アルプス頂上ゴールの第19ステージを競い、マイヨ・ジョーヌを着たスロベニアのタデイ・ポガチャル(UAEチーム・エミレーツ)が独走で圧勝し、今大会4勝目を上げた。
 

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今大会区間4勝目を勝ち取ったポガチャルのツール区間優勝数は通算15勝になった (©SprintCycling)

 
区間2位は21秒遅れで米国のマッテーオ・ヨーゲンソン(チーム ヴィスマ・リースアバイク)、3位は40秒遅れで英国のサイモン・イェーツ(チーム ジェイコ・アルウラー)だった。

総合2位のヨーナス・ヴィンゲゴー(チーム ヴィスマ・リースアバイク/デンマーク)は、マイヨ・ブランのレムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ/ベルギー)と一緒に1分42秒遅れでゴールし、総合でのポガチャルとのタイム差は5分以上になってしまった。
 

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ポガチャルのマイヨ・ジョーヌ着用日数は38日になり、マーニュと並んで歴代6位になった (photo : A.S.O. /Charly Lopez)


今大会最高峰を越えるアルプス山岳ステージ

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●第19ステージのコースプロフィール (MAP : A.S.O.)

 
第19ステージは143選手が出走。英国のジェイク・ステュワート(イスラエル・プルミエテック)とスイスのシュテファン・キュンク(グルパマ・FDJ)がスタートしなかった。レースが始まるとすぐに22人が逃げ出し、チーム ヴィスマ・リースアバイクはヨーゲンソン、ウィルコ・ケルデルマン、クリストフ・ラポルトの3人をそこに送り込んでいた。

21.1km地点の中間スプリントをブライアン・コカール(コフィディス)が先頭で通過した後、この日最初のヴァール峠(カテゴリー超級)の登坂が始まった。上りで集団からリチャル・カラパス(EFエデュケーション・イージーポスト)とサイモン・イェーツ(チーム ジェイコ・アルウラー)がアタックし、10人に絞られた逃げ集団に合流した。

42.6kmのヴァール峠山頂はカラパスが先頭で通過し、20ポイントを獲得した。逃げとメイン集団のタイム差は山頂で3分半だった。次のボネット峠のふもとで、その差は4分半に開いていた。22.9km続くカテゴリー超級の峠で逃げはケルデルマン、ヨーゲンソン、カラパス、サイモン・イェーツ、ジャイ・ヒンドリー(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)、クリスティアン・ロドリゲス(アルケア・B&Bホテルズ)の6人になっていた。
 

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今大会最高峰のボネット峠で逃げは6人になり、グランツール優勝経験者が3人含まれていた (photo : A.S.O. /Charly Lopez)


カラパスが山岳賞総合首位

標高2802mで今大会最高峰だったボネット峠の山頂1位通過には40ポイントがかけられ、それを獲得したカラパスはポガチャルを抜いて山岳賞総合首位に立った。UAEチーム・エミレーツが引いて18人になっていたマイヨ・ジョーヌ集団とのタイム差は、ボネット峠の山頂でまだ3分半あった。

長い下り坂を無事に下り終えた後、ゴールまで残り16.1kmから最後のイゾラ2000の坂が始まり、逃げと集団のタイム差は4分だった。逃げはケルデルマンが先頭を引き、ロドリゲスがすぐに遅れ、ヒンドリーも残り13.7kmで付いて行けなくなった。そこから残り13.5kmでヨーゲンソンがアタックし、単独でゴールを目指した。
 

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今年のパリ〜ニースで総合優勝した25歳のヨーゲンソンが単独でゴールを目指した (photo : A.S.O. /Charly Lopez)


ポガチャルがアタック

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アダム・イェーツが先頭を引き、マイヨ・ジョーヌ集団は小さくなった (photo : A.S.O. /Charly Lopez)

 
マイヨ・ジョーヌ集団はイゾラ2000でアダム・イェーツ(UAEチーム・エミレーツ)が先頭を引き始め、次第に小さくなっていった。そこからゴールまで残り9.5kmで、満を持してマイヨ・ジョーヌのポガチャルがアタックした。山岳賞総合2位でマイヨ・アポワを着ていたヴィンゲゴーとマイヨ・ブランのエヴェネプールはすぐに反応したが、付いて行く事はできなかった。
 

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(photo : A.S.O. /Charly Lopez)

 
先頭のヨーゲンソンとのタイム差はまだ3分近くあったが、ポガチャルは逃げていた選手たちを次々と追い越し、残り3kmで2番手を走っていたサイモン・イェーツに追いついた。イェーツは何とかポガチャルに付いて行こうとしたが、無駄な試みに終わった。

ポガチャルは残り1.9kmでヨーゲンソンを追い抜いて先頭に立ち、そのままスキーリゾート地のゴールへと到着した。彼はそれがまるでスペクタクルな見世物のエンディングであるかのように、両手を広げ、舞台役者がするような挨拶でレースを締めくくった。
 

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マイヨ・ジョーヌのポガチャルがピレネーに続いてアルプスの頂上ゴールも独走で制し、ゴールでは舞台役者のような挨拶を披露した (©SprintCycling)

 
今大会区間4勝目を上げたポガチャルのツール区間優勝数は通算15勝になった。彼のマイヨ・ジョーヌ着用日数は38日になり、フランスのアントナン・マーニュと並んで歴代6位になった。

第19ステージはゴールの制限時間が3%引き上げられていたが、フランスのアルノー・デマール(アルケア・B&Bホテルズ)が間に合わず、失格となった。
 

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この日はポガチャルのパートナーである女子プロ選手のウルスカ・ジガート(チーム ジェイコ・アルウラー)が応援に来ていた (photo : A.S.O. /Charly Lopez)


■第19ステージ結果

[7月19日/アンブラン~イゾラ2000/144.6 km]
1. T. POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO) 04h 04′ 03”
2. M. JORGENSON (TEAM VISMA | LEASE A BIKE / USA) + 00′ 21”
3. S. YATES (TEAM JAYCO ALULA / GBR) + 00′ 40”
4. R. CARAPAZ (EF EDUCATION – EASYPOST / ECU) + 01′ 11”
5. R. EVENEPOEL (SOUDAL QUICK-STEP / BEL) + 01′ 42”
6. J. VINGEGAARD (TEAM VISMA | LEASE A BIKE / DEN) + 01′ 42”
7. J. ALMEIDA (UAE TEAM EMIRATES / POR) + 02′ 00”
8. M. LANDA (SOUDAL QUICK-STEP / ESP) + 02′ 00”
9. W. KELDERMAN (TEAM VISMA | LEASE A BIKE / NED) + 02′ 52”
10. D. GEE (ISRAEL – PREMIER TECH / CAN) + 03′ 27”

■第19ステージ後の総合成績(マイヨ・ジョーヌ)
1. T. POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO) 78h 49′ 20”
2. J. VINGEGAARD (TEAM VISMA | LEASE A BIKE / DEN) + 05′ 03”
3. R. EVENEPOEL (SOUDAL QUICK-STEP / BEL) + 07′ 01”
4. J. ALMEIDA (UAE TEAM EMIRATES / POR) + 15′ 07”
5. M. LANDA (SOUDAL QUICK-STEP / ESP) + 15′ 34”
6. C. RODRIGUEZ (INEOS GRENADIERS / ESP) + 17′ 36”
7. A. YATES (UAE TEAM EMIRATES / GBR) + 19′ 18”
8. D. GEE (ISRAEL – PREMIER TECH / CAN) + 21′ 52”
9. M. JORGENSON (TEAM VISMA | LEASE A BIKE / USA) + 22′ 43”
10. G. CICCONE (LIDL-TREK / ITA) + 22′ 46”

[各賞]
■ポイント賞:B. GIRMAY (INTERMARCHÉ – WANTY / ERI)
■山岳賞 : R. CARAPAZ (EF EDUCATION – EASYPOST / ECU)
■新人賞 :R. EVENEPOEL (SOUDAL QUICK-STEP / BEL)
■チーム成績:UAE TEAM EMIRATES (UAE)
■敢闘賞 : R. CARAPAZ (EF EDUCATION – EASYPOST / ECU)
 

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超級の峠でポイントを稼いだカラパスが山岳賞総合首位になった (photo : A.S.O. /Charly Lopez)


第20ステージはニース近郊の頂上ゴール

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●第20ステージのコースプロフィール (MAP : A.S.O.)

 
7月26日に開幕するパリオリンピックの影響で、今年のツールは史上始めて首都パリではなく南仏ニースで閉幕する。そのため、最終日前日の7月20日はニースをスタートして近郊の峠を越え、標高1678mでカテゴリー1のコル・ド・ラ・クイヨール頂上にゴールする132.8kmの第20ステージが行われる。

ポガチャルは第19ステージのインタビューで「ボクは今、良いリードを持っているから、明日は逃げを最後まで行かせる事ができる」と話していたが、今年最後の山岳ステージで何が起きるかは誰にもわからない。
 

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(photo : A.S.O. /Charly Lopez)

 

ツール・ド・フランス 公式サイト

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