ツール・ド・フランス2024 今年最後の頂上ゴールはマイヨ・ジョーヌのポガチャルが今大会5勝目
第111回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月20日にニースからカテゴリー1のコル・ド・ラ・クイヨール頂上までの132.8 kmで第20ステージを競い、マイヨ・ジョーヌのタデイ・ポガチャル(UAEチーム・エミレーツ/スロベニア)が、デンマークのヨーナス・ヴィンゲゴー(チーム ヴィスマ・リースアバイク)をゴールスプリントで打ち負かし、今大会5勝目を上げた。
今年最後の山岳ステージ
第20ステージは前日完走した141選手が全員出走。今年最後の山岳ステージは、ニース近郊の3カ所の峠を越えてコル・ド・ラ・クイヨール頂上にゴールするレイアウトだった。
オフィシャルスタートからアタックが始まり、24.7kmのブラウス峠(カテゴリー2)を先頭で通過したエンリク・マス(モビスターチーム)が、ブリュノ・アルミライユ(デカトロン・AG2Rラモンディアル)、ウィルコ・ケルデルマン(チーム ヴィスマ・リースアバイク)と共に集団から逃げ出す事に成功した。
集団からは前日に山岳賞のマイヨ・アポワを獲得したリチャル・カラパス(EFエデュケーション・イージーポスト)、マルク・ソレル(UAEチーム・エミレーツ)、ロマン・バルデ(チームDSM・フィルメニッヒ・ポストNL)を含めた5選手が逃げ出し、追走を始めた。
2つ目のチュリーニ峠(カテゴリー1)の途中で追走グループは3人に追いつき、先頭は7人になった。さらに山頂まで1.2kmでヤスペル・ストゥイヴェン(リドル・トレック)ら3選手が合流し、逃げ集団は10人に膨らんだ。59.8kmの山頂はマイヨ・アポワのカラパスが先頭で通過し、今大会での山岳賞受賞を確実なものとした。山頂で逃げ集団とメイン集団のタイム差は4分36分あった。
チュリーニ峠でメイン集団はスーダル・クイックステップが先頭を引き始め、ゴールまで残り46.7kmで先頭の10人以外の逃げは全員吸収された。3つ目のコルミアヌ峠(カテゴリー1)が始まった時、逃げる10人とメイン集団のタイム差は4分を切っていた。ゴールまで残り36.9kmのコルミアヌ峠の山頂もカラパスが先頭で通過した。
ゴールまで残り15.7kmで最後のコル・ド・ラ・クイヨールの上り坂が始まった時、逃げ集団とスーダル・クイックステップが先頭を引くマイヨ・ジョーヌ集団とのタイム差は2分55秒だった。逃げ集団では残り11.5kmでマスがアタックを開始し、付いて行けたのはマイヨ・アポワのカラパスだけだった。マイヨ・ジョーヌ集団はミケル・ランダ(スーダル・クイックステップ)が加速し、6人に減っていた。
先頭ではゴールまで残り7kmでカラパスが仕掛けたが、マスを蹴落とす事はできなかった。時を同じくしてマイヨ・ジョーヌ集団ではマイヨ・ブランのレムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ/ベルギー)がアタックしたが、ヴィンゲゴーとマイヨ・ジョーヌのポガチャルを出し抜く事はできなかった。
そしてゴールまで残り5kmでヴィンゲゴーがアタックした時、マイヨ・ジョーヌのポガチャルは難なく付いて行けたが、マイヨ・ブランのエヴェネプールは置いていかれてしまった。総合1位2位の2人は残り2.6kmで先頭の2人に追いつき、カラパスは2人に付いて行けたが、マスはすぐに遅れてしまった。
山頂まで残り1kmのフラム・ルージュでマイヨ・アポワのカラパスも遅れ、最後は先頭を走り続けていたヴィンゲゴーとマイヨ・ジョーヌのポガチャルの一騎打ちになった。残り500mでゆっくり先頭に出たポガチャルは、ゴールまで残り150mでスプリントを開始したが、ヴィンゲゴーにはもう応戦する力は残っていなかった。
ポガチャルはヴィンゲゴーに7秒差を付け、両手を広げてフィニッシュラインを通過した後、右手を広げて今大会5勝目をアピールした。1人の選手が1大会のツールの山岳ステージで5勝したのは、1948年のジーノ・バルタリ(イタリア)以来だった。彼のツール区間優勝数は通算16勝になった。
ポガチャルのマイヨ・ジョーヌ着用日数は39日になり、フランスのアントナン・マーニュを抜いて単独で6位になった。
■第20ステージ結果
[7月20日/ニース~コル・ド・ラ・クイヨール/132.8 km]
1. T. POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO) 04h 04′ 22”
2. J. VINGEGAARD (TEAM VISMA | LEASE A BIKE / DEN) + 00′ 07”
3. R. CARAPAZ (EF EDUCATION – EASYPOST / ECU) + 00′ 23”
4. R. EVENEPOEL (SOUDAL QUICK-STEP / BEL) + 00′ 53”
5. E. MAS (MOVISTAR TEAM / ESP) + 01′ 07”
6. J. ALMEIDA (UAE TEAM EMIRATES / POR) + 01′ 28”
7. M. JORGENSON (TEAM VISMA | LEASE A BIKE / USA) + 01′ 33”
8. M. LANDA (SOUDAL QUICK-STEP / ESP) + 01′ 41”
9. A. YATES (UAE TEAM EMIRATES / GBR) + 01′ 43”
10. R. BARDET (TEAM DSM-FIRMENICH POSTNL / FRA) + 01′ 52”
■第20ステージ後の総合成績(マイヨ・ジョーヌ)
1. T. POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO) 82h 53′ 32”
2. J. VINGEGAARD (TEAM VISMA | LEASE A BIKE / DEN) + 05′ 14”
3. R. EVENEPOEL (SOUDAL QUICK-STEP / BEL) + 08′ 04”
4. J. ALMEIDA (UAE TEAM EMIRATES / POR) + 16′ 45”
5. M. LANDA (SOUDAL QUICK-STEP / ESP) + 17′ 25”
6. A. YATES (UAE TEAM EMIRATES / GBR) + 21′ 11”
7. C. RODRIGUEZ (INEOS GRENADIERS / ESP) + 21′ 12”
8. M. JORGENSON (TEAM VISMA | LEASE A BIKE / USA) + 24′ 26”
9. D. GEE (ISRAEL – PREMIER TECH / CAN) + 24′ 50”
10. G. CICCONE (LIDL-TREK / ITA) + 25′ 48”
[各賞]
■ポイント賞:B. GIRMAY (INTERMARCHÉ – WANTY / ERI)
■山岳賞 : R. CARAPAZ (EF EDUCATION – EASYPOST / ECU)
■新人賞 :R. EVENEPOEL (SOUDAL QUICK-STEP / BEL)
■チーム成績:UAE TEAM EMIRATES (UAE)
■敢闘賞 : E. MAS (MOVISTAR TEAM / ESP)
最終日はモナコ~ニース間で個人TT
7月26日に開幕するパリオリンピックの影響で、今年のツールは史上始めて首都パリではなく南仏ニースで閉幕する。7月21日の最終日にはモナコをスタートしてニースにゴールする33.7kmの個人タイムトライアルが行われる。
ツールは1989年にシャンゼリゼ大通りで競われた最終日の個人タイムトライアルで、マイヨ・ジョーヌを着た地元フランスのローラン・フィニョンが、米国のグレッグ・レモンにたった8秒差で逆転負けして以来、最終日に個人タイムトライアルは行われておらず、実に35年ぶりとなる。コースは平坦ではなく、途中カテゴリー2のラ・チュルビーとエズ峠を越えるレイアウトだ。
パリのシャンゼリゼ大通りの代わりに表彰台が設置されるのはニースの有名なプロムナード・デ・ザングレに近いマセナ広場で、優勝者はマイヨ・ジョーヌをあしらった新しいデザインのトロフィーを、チームメイトたちと一緒に受け取る事になっている。